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4月19日にメルマガ私たち現生人類は「鉄の種族」であることから思う生き方を発行させていただきました。

2019年からの世界 人類の未来 拡大する自然災害

いったい何が世界中のミツバチを殺している? ロシア、アメリカ、ヨーロッパ … 全世界でミツバチの黙示録的な大量死と大量消失の拡大が止まらない

投稿日:

昨年ネオニコチノイド系農薬をすべて禁止にしたフランスもミツバチの状況は変わらず


france24.com




 

世界中で進行するミツバチの「大消失」


nuscimag.com

ミツバチの大量死と、突如として消滅する現象の問題は、もうずいぶんと以前からの問題となっていますけれど、実は、

「現在、それらがクライマックスを迎えつつある様相を呈している」

ことをご存じでしょうか。

ロシアでは、今年の 6月から、かつてない規模のミツバチの大量死が発生していることが報じられていて、以下の記事で取りあげさせていただいたことがありますが、この後、ロシアのミツバチの大量死と大量失踪の状況はさらに深刻になっていることが、この数日報じられています。

2019年の夏、ロシアの広範囲で異常な数のミツバチの大量死が起きている

 

そして、アメリカやカナダ、そして、ヨーロッパの各国でも、非常に大規模なミツバチの大量死と大量失踪が発生し続けていることが、たびたび報じられています。

最近の報道でわかるのは、ミツバチの大量死や大量失踪の原因は、これまでよく言われていたような単純な問題ではない可能性が高いということです。

たとえば、「ネオニコチノイド系」と呼ばれる農薬があり、これは実験によって、ミツバチ(あるいは多くの昆虫)の遺伝子に異常を引き起こすことがわかり、確かにミツバチを含めた昆虫に対して大きな悪影響はあります。そのため、こネオニコチノイドがミツバチの大量死の原因ではないかとされることが多くありました。

そのような中、世界に先駆け、フランス政府は、昨年 2018年9月に、

「すべてのネオニコチノイド系農薬の使用を禁止する」

という法案を施行しました。

以下は、その時の AFP の報道からの抜粋です。

仏、ネオニコ系農薬5種を使用禁止に ハチ大量死との関連指摘

AFP 2018/09/03

農業大国フランスで、ミツバチの個体数激減の一因と指摘されるネオニコチノイド系農薬5種の作物への使用を禁止する法律が施行された。対象となるのはクロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム、チアクロプリド、アセタミプリドの5種で、屋外と温室の両方で使用を禁じる。

これまで欧州で使用を認められたネオニコチノイド系農薬はこの5種のみ。

クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサムの3種については、既に欧州連合(EU)が農地での使用を禁止する採択を行っているが、フランスはさらに一歩踏み込んだ措置を取り、ハチ大量死の一因とみられる農薬の使用反対運動の先陣に立った。

 

このように、ネオニコチノイド系農薬の使用を世界に先駆けて「完全に禁止」としたフランスのその後はどうなったかといいますと、冒頭にもありますが、

「現在、フランスは、世界で最もひどいミツバチの大量死にさらされている」

のです。

ネオニコチノイド系農薬を許可している国々よりも、ひどい状況となっているようで、今のフランスは「養蜂という産業そのものが消滅しかねない」ということになっているようなのです。

まずは、冒頭のフランスの報道について、ご紹介したいと思います。

なお、ミツバチの消滅の異常には、大量死と「ある日、突然巣にいたミツバチすべてが消滅してしまう」という「蜂群崩壊症候群」という事象がありますが、どちらも、

「生きたミツバチが消える」

という意味では同じですので、あまり厳密に区分してはいません。

ここから、冒頭のフランスの報道です。

 


French honey at risk as dying bees put industry in danger
france24 2019/06/27

ミツバチの大量死が続く中、フランスの養蜂産業そのものが危機に直面している

フランスの養蜂家たちは、ミツバチのコロニーの崩壊によって、今年のフランスのハチミツの収穫は完全な不作となる恐れがあると述べた。フランス各地の養蜂家たちが全国各地で同じ警鐘を鳴らし続けている。

フランス農業組合 MODEF の会長は、取材に対して以下のように述べた。

「ハチミツはいっさい収穫できていません。このシーズンの始まりは、過去にないほど壊滅的なものでした」

このようなフランスのハチミツの収穫の不作は新しいことではない。 2017年には、フランスのハチミツ収穫量としては過去最低の不作を記録した。その前年の 2016年にも、通常は 20,000トンほど収穫できるハチミツが、9,000トンしか収穫できなかった。

フランスは欧州連合(EU)で 5番目に大きなハチミツの生産国だが、他のハチミツの大生産国であるスペイン、ルーマニア、ポーランド、ハンガリー、ギリシャ、そしてイタリアのような国々でも、ハチミツの生産量の大幅な減少を経験している。

 

気候変動が原因なのか

フランスのミツバチの大量失踪は、1990年代には、年間平均でミツバチのコロニーの 5%ほどで起きていた。ところが今では毎年、コロニーの 30%ほどで大量死が起きる。

フランス養蜂家連合(SNA)の会長は、以下のように言う。

「私たちは、気候変動の影響について懸念しています。養蜂家にとって最大の関心事でもあります。今年の初めは、北半球では霜や悪天候により、植物が枯れたり、花が乾かなくなってしまっていました。これでは蜜は収穫できません」

「花や蜜がなければ、ミツバチは生きられず、コロニーは急速に崩壊します」

今年、フランスでは、5月になっても寒波が続き、霜が下り続けたことで、多くの植物が枯れたり、花が咲かなかった。

ミツバチの個体数が減少するもう 1つの主な原因は、農薬の普及だと言われる。

ネオニコチノイド、またはその化学組成がニコチンの構造を模倣している農薬は、ミツバチの中枢神経系を直接攻撃するため、特に危険なものだ。

EUは、ミツバチを標的とする農薬の使用を徐々に制限してきており、昨年フランスは主要 5種すべてのネオニコチノイドを禁止する最初のヨーロッパの国となった。

しかし、状況は改善していない。

養蜂家連合の会長は、ネオニコチノイド以外のあらゆる農薬や殺虫剤もミツバチに脅威をもたらしている可能性が高いと述べる。養蜂家連合は、伝統的な農業方法など、持続可能な方法を模索していかなければならないと考えている。

フランス養蜂家連合会長は以下のように言う。

「ミツバチは約 8000万年前に地球に現れたことを覚えておく必要があります。 300万年前には最初の人類が登場しました。そして、 8万年前から 1万年前くらいの間に、すでに農業は存在していました。現在の集中農業が始まったのは、ほんの 70年前なのです。わずか70年で、私たちは環境と生態系を大きく変えてしまいました」

「ミツバチを失うと、私たちの食糧である果物、野菜、さらには穀物さえも失うのです。それらがなければ、鳥や哺乳類なども地上から消えていくのです。ミツバチは、生物の多様性の基盤を作っている存在なのです」


 

ここまでです。

アメリカも、2018年の冬から 2019年の春までの間のシーズンのミツバチの大量失踪数が「過去最大」となったことが、以下のように報じられていました。

アメリカでの2019年の記録的なミツバチの消失を伝える科学メディア


iflscience.com

アメリカのミツバチの大量消失の状況は、この 10年くらいは「高い水準で推移したまま」なのですが、その高い数値からさらに「徐々に悪化して」います。

10年前には、年間 30%程度のコロニーの消失だったのが、2012年頃からは、ミツバチのコロニー全体の 40%ほどが消失しているという状況となっています。

アメリカのミツバチの大量消失の割合の推移


beeinformed.org

 

ちなみに、アメリカでは、オバマ政権だった 2013年に、「送粉者保護研究計画(Pollinator Protection Research Plan)」という「受粉に関わる生物を保護する政策」を実施しました。

受粉に関わる生物は、ミツバチ、鳥、コウモリ、蝶などですが、上のグラフを見る限り、2013年から実施された政策に効果が出ているようには見えません。

その後、オバマ大統領から変わったコブフェフェ大統領は、これらの実施をおこなっていたアメリカ環境保護庁(EPA)の「縮小」に着手していますので、オバマ大統領が施行した「送粉者保護研究計画」が現在も続いている可能性は少ないのかもしれません。

 

ロシアは、さらにひどいことになっていまして、報道によれば、

「ロシアの 30の地域で、ロシア全体の 60%のミツバチを失った」

ということになっているようです。ロシアの 90%近くの養蜂家がミツバチの消失や大量死の影響を受けたと記されています。

 

ここまでミツバチの大量死と大量失踪が世界中で拡大し続けているというのは、もはや、理由は「まったく単純なものではない」ことを示しているようにも思います。

ネオニコチノイド系農薬を禁止したヨーロッパ各国が、さらに激しいミツバチの大量消失に見舞われていたり、あるいは、「寒波に見舞われた地域も、熱波に見舞われた地域も、平年のままだった地域も、どこも一様にミツバチの大量消失に見舞われている」ことからも、気候変動だけの原因とも言えなさそうです。

 

そういえば、ずいぶん前に、以下のようなタイトルの記事を書かせていただいたことがありました。

 

イギリスの子どもの5人に1人は生まれてから一度も野生のミツバチを見たことがない
 In Deep 2013年07月05日

 

これは、このタイトル通りのもので、2013年にイギリスで行われた調査で、

「イギリスに住む 10歳未満の子どもの5人に1人は野生のミツバチを生まれてから一度も見たことがないことがわかった」

のだそうです。

確かに、特に都市生活をしていると、本当にミツバチは見ないですね。

私の家の場合は、ベランダなどが花や植物に支配されているので、まあ、たまにはミツバチがやってきますが、それでも、本当に稀です。

 

そういえば、ロシアでは先ほどご紹介しましたような「ロシア国内での大規模なミツバチの消失」が、さまざまに報道されているのですが、その中に、「予言」を取り入れている記事がありました。

2019年7月16日のロシアのメディアより


pronedra.ru

ババ・バンガという、かつてブログで取り上げたこともあります、ブルガリアの著名な女性預言者(上の写真の左の方)と、アインシュタインが、生前に言っていたとされることを取り上げて、

世界は、今後そのようなことに実際になってしまうのではないか

というようなことが書かれてある記事でした。

アインシュタインの言葉は、よく語られるわりには、「実際にアインシュタインがそれを語ったという記録が残っていない」という意味で、都市伝説的な面もあるのですが、以下の言葉です。

 

「もしこの地球上からミツバチが消えたら、人類は 4年しか生きられない」

 

そして、ババ・バンガは、以下のような予言を残していたのだそうです。

 

「世界中でミツバチの大量死が始まり、その後多くの人々が死んでしまう」

 

ババ・バンガやアインシュタインのように極端なことではなくとも、実際に、受粉動物として最大の存在であるミツバチが極端に減少することがあるならはば、食糧生産を含めて、かなり厳しい世の中にはなりそうです。

そして現実として、原因の特定ができないツバチの大量死という黙示録は拡大を続けています。





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Oka In Deep

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