・ケニアを飛びまわるイナゴ(サバクトビバッタ)。AFP
イナゴの大群は中国の手前に。10万羽のアヒル部隊は無念の撤退
新型コロナウイルスの感染拡大は、次第に無制御の様相を呈するようになっていまして、懸念されていた「多くの国や地域で指数関数的な増加を示すのではないか」ということが現実化してきています。
指数関数的というのは、以下のようなイメージで考えて下さるとわかりやすいのかもしれません。イタリアでの感染確認数拡大の推移です。
韓国も同じようなグラフを描いていましたし、フランスも次第に同じ状況となってきています。
最新の報道によると、アメリカの感染確認者数も 300人を超えたそうですので、アメリカでも同じような増え方となってしまうのかもしれません。
世界全体の感染者数については、こちらの記事「中国の新型コロナウイルス感染者数の「数字操作のカラクリ」が明らかに…」で書きましたように、最も感染者数が多い中国での実際の感染確認数がまったくわからないですので、実際の数値はわからなくなっています。
ただ、「中国以外の感染確認者数」に関しましては、本日 3月7日に 2万人を超えていました。
イタリアは、4600人超、ドイツも 600人超、フランスも 400人を超えていて、これらの国々でもイタリアのような数字を描き始められますと「混乱はこれから」といった感じになってしまうのでしょうか。
なお、以下の記事でふれましたが、イナゴ(サバクトビバッタ)の被害が、その後、さらに激しくなっていてまして、中国と国境を接するパキスタンのイナゴ被害は「過去最悪級に広がっている」と伝えられています。
イナゴに対しては、以下の記事で、中国政府が、パキスタンのイナゴ被害を食い止めるために「 10万羽のアヒル部隊を派遣する方向」で検討していることにふれました。
疫病と蝗害…聖書的な災いが現実に:狂気的な数千億のイナゴの大発生による被害範囲がアフリカ、中東から中国までの20カ国以上に拡大。国連は6月までにイナゴの数が「現在の500倍に膨れあがる可能性」を警告
パキスタン国境へ移動する中国のアヒル師団
・standardmedia.co.ke
ところが、その後、中国当局は、
「パキスタンにアヒル部隊を派遣しない」
と方向を変えたことが英ガーディアンなどが報じていました。
その理由というのが、中国のアヒルはパキスタンの気候に合わないだろうということと、アヒルというのは、ものすごくたくさんの水を消費するらしいのですが、パキスタンは基本的に水不足気味の国家でして、「その水を用意できない」可能性があるためだそうです。
戦意高揚していたアヒル兵士たちですが、今回は無念の撤退となるようです。
そして、そのような間にも、イナゴの大群は、パキスタン各地から「中国に侵入する可能性」が出てきています。イナゴの繁殖が本格化するのはこれからですが、どういうことになるでしょうかね。
もはや、東アフリカからパキスタンなどの多くの国や地域で農作物の大半が食い尽くされているところもあるようで、それが中国に拡大すると、厄介ではありそうです。
皮肉なのは、水不足でアヒル部隊がパキスタンから撤収したと伝えられていますけれど、パキスタンでイナゴが大発生した理由は、そもそも、「ふだんはないような大雨と洪水がパキスタンで繰り返されたから」なのです。
アフリカや中東でイナゴが大発生している理由も同じです。
砂漠のアフリカの国々で、昨年から今年はどこでも大雨と大洪水が続いていまして、それにより土地が一時的に肥沃になり、イナゴの繁殖条件が整ったことによるものでした。
本来なら砂漠のサウジアラビアなどでは、そうイナゴの大繁殖などは起きないものですが、今はもうかつてと気候が違っておりまして、以下のようなイナゴの大群が中東の砂漠を繰り返して襲っています。
https://youtu.be/Q3EvQCozXLU
今後も中東やアフリカで、通常とは違う雨の状態や洪水がさらに繰り返されれば、夏に向けて、イナゴの大発生がさらに拡大する可能性もあり得ます。
そして、この、
「異様な大雨と洪水」
というのが、今年 2020年の特徴のひとつでもあります。
もちろん、この 10年くらいは世界中で洪水が増加し続けてはいますが、今年の大雨や洪水の特徴は、「ふつうなら大雨や洪水があまりない場所を襲う」ということが繰り返されていることです。それだけに被害も大きくなりやすい側面があるようです。
イナゴ被害は、ほぼ確実に食料供給に影響を与えますが、大雨や洪水の発生がイナゴの大発生と関係している部分は強く、今後の世界の気象は気になります。
仮に、地域的な食糧危機が起きたとしても、世界が全体として平静な時であるならば、援助も協力も得られやすいと思いますが、この新型コロナウイルスの混乱の中、主要国の食料供給だって今後どうなるのかよくわからない部分もあるのです。
何だか、
・かつてない病気
・イナゴ
・大洪水
というのが複合して襲ってきているあたりは「十の厄災」なども思い出します。
そういえば、トルコで 1月の終わりに M6.7の地震があったのですが、震源に近い場所から「赤い川が流れ出す」なんてこともありました。
今回は、最近 10日間くらいの世界の大雨と洪水について簡単にまとめてみましたので、それをご紹介して締めたいと思います。
こんなような「雨」の事象が、2020年に入ってからずっと続いています。
北半球の大雨と洪水が本格化するのは、通常、春以降ですので、今後このような状況がさらに激化する可能性もあります。
世界各地の2020年3月7日までの10日間ほどの間の黙示録的な豪雨と洪水
ブラジル 記録的な豪雨による土砂崩れで50人以上が犠牲に
3月3-4日にかけて、ブラジルのサンパウロとリオデジャネイロを激しい豪雨が襲い、土砂崩れなどのために、少なくとも 23人が犠牲となり、30人以上が行方不明となりました。死者数はさらに増加すると予想されていると報じられています。リオデジャネイロの雨量は、3月3日と 4日の 2日間の雨量が 3月全体の平均総雨量を超えたと報告されています。
マラウイ 数日続いた豪雨で大洪水が発生
アフリカ南東部のマラウイでは、2月後半の数日間大雨が降り続き、首都リロングウェを含む中央地域で広範な洪水が発生しました。通常は洪水が発生するような地域ではないですので、インフラを含めた被害の復旧が大変そうです。
英国 2月の総雨量が1862年以来の158年間で最大に
英国では、2020年2月の雨量が 1862年に記録がとられて以来、最も 1ヶ月の雨量が多いと発表されました。英国気象庁は、今後も英国では同様の雨の多い状態が予測されるとしています。
インドネシア 大洪水により数十万人が影響を受ける
インドネシアのジャカルタ地方で洪水が悪化し続けています。2月後半以来、9人が犠牲となり、4万5861人が避難しました。同地では広大な土地が水没し、数十万人の住民が苦しんでいると伝えられています。
コンゴ共和国 2019年後半から雨が降り止まず国家緊急事態に
コンゴ共和国の政府当局は、3月4日、2019年以来の洪水に苦しむ人々の数が 21万3000人に達したと発表。同時に、国連の人道問題調整事務所は、コンゴへの支援を要請しています。
コロンビア 豪雨により20名以上が死亡
南米コロンビア北部では、2月の後半に断続的に大雨が降り、各地で洪水、土砂崩れなどが発生し、少なくとも 22名が死亡したと伝えられています。
・鉄砲水から奇跡的に救出された8ヵ月の赤ちゃん。Telemetro Reporta
中米ホンジュラス 記録的な豪雨による洪水で1万7000人が影響
2月の終わりから、中米のホンジュラスを立て続けに豪雨と強風が襲っており、ホンジュラス緊急事態常設委員会によると、17000人以上が影響を受けたと報じられています。
オーストラリア・メルボルンで1日で1ヶ月分の雨量。1日雨量が観測史上最大に
オーストラリアに、熱帯サイクロン「エステル」から変わった低気圧によってもたらされた悪天候により、3月5日、メルボルンでは 1日で 1ヶ月分の雨が降り、1929年以来、90年ぶりに記録を更新しました。
このあたりまでとさせていただこうと思います。
>> In Deep メルマガのご案内
In Deepではメルマガも発行しています。ブログではあまりふれにくいことなどを含めて、毎週金曜日に配信させていたただいています。お試し月は無料で、その期間中におやめになることもできますので、お試し下されば幸いです。こちらをクリックされるか以下からご登録できます。
▶ 登録へ進む