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スイスで、「900万人の国民全員を収用できる」核攻撃に対応した地下シェルターが数十年前から作られ続けていたことを知る

投稿日:


ultra.swiss




 

それはスイスの憲法で定められている

今日、スイス在住のアメリカ人の作家の方が、ウルトラスイスというサイトに書いた記事を見ました。

以下の記事です。

バンカーダウン:スイスが大きなものに備える理由
Bunker down: Why Switzerland is prepared for the big one

その冒頭部分は、以下のようにあります。

 

> スイスには 900万人の国民全員のための放射性降下物地下シェルターがある。スイス国家が何十年にもわたって核戦争の準備をしている理由と、核戦争が起こった場合に住民が何をすることが期待されているのか。 ultra.swiss

 

これを読みまして、

「国民全員分の地下シェルター? ……ホンマかいな」

と、どうも信じられなくて、資料を探しましたら本当のようで、スイス・インフォというサイトの記事にそのことが詳しく書かれていました。しかも、今から 13年前の 2009年の記事です。

その記事を読んで知ることには、

 

・スイスには、国民全員が地下避難所を持たなければならないという「憲法」がある

・1960年代からそれは進められていた

・そして現在は、人口の 114%に相当する数を収容できる地下シェルターがある

 

のだそうです。

「へえ」と関心していいいものか、異常な警戒ぶりだと思ったほうがいいのかわからないですが、この記事によれば、スウェーデンとフィンランドにもそれぞれ人口の 70%以上を収用できる地下バンカーがあるのだそうです。

その記事をご紹介します。




 


国民全員分の地下シェルター

Bunkers for all
swissinfo.ch 2009/07/03


核シェルターへの入口。すべてのスイス人にとっておなじみの光景だ。

 

スイスは、必要になった場合に備えて、全人口を収容するのに十分な放射性降下物シェルターを備えているという点で独特な国家だ。

「いったいなぜあなたの家の地下室は鉄筋のドアなのですか?」

私の家を訪れたイタリア人の友人はこのように驚いたが、それも理解できる。彼はスイスの家の地下室のことを知らなかった。

地下室の部屋は、ワイン、本、冷凍庫、不要な服で半分埋まっている。しかし、これは確かに放射性降下物からの避難所なのだ。厚い装甲ドアと防ガスフィルター付きの換気システムのおかげで、最悪の事態が発生した場合、私たちの住居ブロックの 25人ほどは、核攻撃があっても生き残ることができる。

スイス人は実際、他のほとんどの国よりも多く(国家予算の20%以上)を費やして、すべての人に対して保険をかけている。

しかし、もっと単純な理由がある。それは法的要件だ。

スイス連邦法の第45条および第46条には以下のようにある。

「すべての住民は、居住地からすぐにアクセスできる保護された場所を持っている必要がある」

および、市民保護の観点から、

「アパートの所有者たちは、すべての新しい住居に避難所を建設して設置する必要がある」

とある。

この連邦法の第45条および第46条により、1960年代以降に建設されたほとんどの建物(この主題に関する最初の規制は、1963年10月4日に可決された)に放射性降下物シェルターが組み込まれた。

2006年には、スイスの住宅、施設、病院に 30万の避難所があり、5,100の公共の避難所がある。これらは、合計 860万人の保護を提供し、これは人口の 114%をカバーしている。

世界で最大

スイスは、地下避難所の建設では間違いなく世界チャンピオンだ。国際調査は、他の国がそれに匹敵することができないことを十分に示している。

最もスイスと近いのはスウェーデンとフィンランドだ。しかし、それぞれ、国の人口に対して 720万 (81%)と 340万 (70%)を収用できる分の地下シェルターしかない。

他のヨーロッパ諸国の状況は比較すらできない。

たとえばオーストリアでは、人口のカバー率は 30%だが、ほとんどのシェルターに換気システムがない。ドイツでは、カバー率はわずか 3%だ。

ヨーロッパ以外では、中国、韓国、シンガポール、インドなどで放射性降下物シェルターが一般的だが、カバー率が 50%を超える国はない。

イスラエルには人口の 3分の2を収用できる地下避難所があるが、多くの場合、これらの構造物は開口部のある単なるコンクリートシェルであるため、完全に放射性降下物に強いわけではない。

黄金時代

1960年代後半にスイスで放射性降下物シェルターの体系的な建設が始まったとき、それは核攻撃への広範な恐怖とソビエト侵攻の亡霊を反映していた。

「国家の中立性は、放射性降下の到来を防ぐことを保証するものではない」というのが、当時のスローガンの1つだ。

避難所の建設は 1970年代半ばにピークに達し、毎年 30万から 40万の場所が提供されている。年間の数字は現在約 50,000だ。

数年の間、スイスは世界最大の民間防衛プロジェクトを誇ることもできた。最大 20,000人がルツェルンのゾンネンベルク・トンネルに避難することができた。


ルツェルン郊外にあるゾンネンベルク・トンネルは、核戦争の際に最大 20,000人を収容できる。

1976年に開通したこのトンネルの上の 7階には、病院、手術室、ラジオ放送スタジオ、コントロールセンターがあった。しかし、2006年に解体されたこのインフラストラクチャは、いくつかの点で不十分だった。たとえば、厚さ 1.5メートル、重さ350,000キロのドアは、適切に閉まらなかった。

そして、建設業者はいくつかの詳細を見落としていた。それは、そのような大勢の人々が集中しがちなロジスティックおよび心理的な問題だ。

スイスでは政策の変更なし

冷戦の終結と新たな安全保障の状況により、多くの国が政策に根本的な変更を導入した。たとえばノルウェーでは、1998年に当局はバンカーの提供に関する規制を取り消した。

しかしスイスでは、そのような再考はなかった。

2005年に国会議員から、もはや不要ではないかという主張が出たが、スイス政府が状況を分析した結果、武力紛争の場合だけでなく、「汚い爆弾」によるテロ攻撃、化学事故、自然災害の可能性を考慮しても、地下シェルターは依然として有用であると結論付けた。したがって、スイスの放射性降下物シェルターの将来はまだ明るい。


 

ここまでです。

オーストリアでの「ほとんどのシェルターに換気システムがない」というような、むしろ入る都危険なシェルターなどもあるようですが、それはともかく、この記事の中に、

> 中国、韓国、シンガポール、インドなどで放射性降下物シェルターが一般的だが

とありますが、「韓国にも」とあります。まあ、北朝鮮のことがありますので、あるだろうとは思いますが、調べてみますと、「あることにはある」というような存在となっているようです。

2017年の米ロイターの記事に、

> 韓国全土には 17,501の避難所があり、ソウル市には 3,321の民間防衛避難施設がある。

とあり、地図も掲載されていました。

ところが、別の 2017年の米ロイターの報道では、

「地下避難所はあることはあるが、市民は誰も場所を知らない」

とあり、また、以下のようにありました。

 

米ロイターの報道より

> ソウルのシェルターは、核、化学的、または生物学的攻撃から保護するために構築されていない。これらは主に、所有者の同意を得て避難所として指定された民間のアパートや商業ビルの地下鉄の駅や地下室や駐車場にある。

> ソウル市庁の関係者はロイター通信に対し、ほとんどの爆弾シェルターには食料、水、医療キット、防毒マスクの長期供給がないと語った。公的資金が提供されていないため、在庫を強制することができないという。

> 日本の東京では、第二次世界大戦で残された爆弾シェルターがあるが、その数は不明だと、東京首都圏防災局の関係者はロイターに語った。

> 東京は今のところ、数十年前の避難所を再利用したり、新しい避難所を建設したりする予定はないという。 Reuters

 

韓国のほうは、あるにはあるけれど実質的に機能しておらず、日本は、少なくとも公式には「ない」ということになりそうです。

先ほどの記事に、シンガポールもありましたが、シンガポールの爆弾シェルターは機能しているようで、シンガポール民間防衛隊のシェルターに特化したウェブサイトもありました。
以下のようにあります。

 

内務省シンガポール民間防衛隊のウェブサイトより
> 地下の MRT 駅は公共の避難所として機能し、緊急時に保護を提供します。公共の避難所としても機能するように強化された 48の地下 MRT ステーションがあります。

> MRTシェルターは、エリアのサイズに応じて 3,000〜 19,000人を収容できます。これらのシェルターは、安全で快適な環境を確保するための設備を備えて設計されています。設備には、防爆ドア、除染設備、換気、電力および給水、乾式トイレシステムが含まれます。 scdf.gov.sg

 

ただ、「放射性降下物」という言葉がないですので、核兵器での攻撃は想定していないシェルターのようです。

とはいえ、すべてのシェルターの詳細な住所が内務省のウェブサイトに記載されていましたので、比較的丁寧に管理されているのかもしれません。これによって、住んでいる近くのシェルターを事前に知っておくことができるようです。

「いろんな国が結構いろいろとやってるんだなあ」

と改めて思いましたが、ロシアにも大規模な地下シェルターがあり、首都モスクワには「市民全員を収用できるシェルター」があります。

ずいぶん以前ですが、2016年9月の In Deep の記事で、

「ロシア非常事態省が、モスクワのすべての市民を地下シェルターに避難させる用意ができたと発表」

したというロシア・トゥディ (RT)の報道をご紹介したことがあります。

元の RT の記事もまだ残ってました。


RT

この時に翻訳した内容は以下のようなものでした。


ロシア非常事態省は、モスクワ市民の避難のための地下シェルターを完全な状態で用意したと発表

RT 2016/09/29

ロシア非常事態省の発表によると、緊急時の市民の避難のためにモスクワの地下に設計されたシェルターが完全な状態で用意されたという。また、このシェルターはモスクワの市民全員を収容することができるとも述べている。

EMERCOM(ロシア民間防衛問題・非常事態・自然災害復旧省)の長官補佐であるアンドレイ・ミスチェンコ氏は、 RIA 通信に対して以下のように説明した。

「モスクワの民間防衛を担う新しい手法の導入の結果として、モスクワの地下空間の建物の目録が完成した。そして、これは、モスクワ市の住民の 100%を収容することができる」

非常事態省の担当者は、この対策はロシアの民間防衛を強化するために取られたと述べた。

現在、非常事態省は、管理システムと報告の近代化、そして、法的枠組みを形作り続けている。また、公共訓練システムを改善し、民間防衛の分野での国際協力を強化するための作業も進行中だ。


 

ここまでです。

少なくとも、首都モスクワには「全市民を収容できるシェルターがある」ようです。

モスクワの市民人口は 1200万人で、スイスの国としての人口の 900万人より多いです。

それにしても、スイスのように、国民全員に地下シェルター、しかも核兵器攻撃に対応できるシェルターを用意し続けてきた国があったということを今回、初めて知りました。

しかし、そんなに自国民を守るための対策を持っていたスイスが、コロナワクチンの接種に関しては、積極的に進めていたのは不思議です(完全なワクチン接種率は 68%)。

関係ない話ですが、現在、スイスではコロナ感染者が高止まりしていまして、前の流行波が終わっていない中で、新たな流行波が始まった兆しがあります。

このような政策の不均衡は不思議です。

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