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4月12日にメルマガ夢見と古代ギリシャと「痛みとの個人的歴史」が混沌とを発行させていただきました。

2020年からの世界 人類の未来 拡大する自然災害

海の異常は終末的なレベルへ : 極端な魚類の消滅が世界各地で発生中。そしてカリフォルニア沖の海底では「原因不明の謎の巨大穴」が5000個以上見つかる

投稿日:2019年12月14日 更新日:


globalresearch.ca




 

カタストロフ的な局面に近づく世界の海洋

海の異常については、かなり以前から取り上げることがありましたが、ここに来て、いよいよ「終末的」ともいえる様相を呈しています。

アラスカ湾では、これまで一度も漁獲量が不足したことのないタラとサーモンが、ほぼ完全に海から消え、今年は史上初めて「アラスカ湾での漁が中止に追い込まれた」ということが報じられています。

日本でも、12月上旬、兵庫県の海岸に数万匹のイワシが打ち上げられていたり、あるいは、日本各地でも大変な不漁が続いていまして、今年 2019年は、

「マグロ、スルメイカ、サンマ、サケなどは戦後最低の漁獲量となる見込み」

だと報じられています。

今回は、アラスカと日本の壊滅的な状況を伝える記事をご紹介します。

まず、アラスカに関しては、カナダのメディアであるグローバルリサーチの報道をご紹介させていただきます。


Fish All Gone! Gulf of Alaska Fishery to Close for the First Time Ever: No More Cod: Salmon All but Gone: Millions of Small Sea Birds Died Since 2015
Global Research 2019/12/08

すべての魚が消えた! アラスカ湾の漁業が史上初めて中止という事態に。タラもサーモンもまったくいない。しかも、数百万羽の海鳥が2015年から死に続けている

アラスカ湾のタラの生息数が極端に少ないことを理由に、アラスカ湾での漁業が、史上初めて中止に追い込まれた。これは太平洋でのタラの生息数が歴史的に少ないことに対する前例のない対応といえる。

2020年のタラ漁のシーズンにかけて、漁は完全に停止される。漁獲量不足の懸念から漁業が閉鎖されたのはアラスカでは初めてのことだ。

このように極端にタラの生息数が減少した理由は、乱獲によるものではなく、気候変動によるものだ。海水が高温化していることにより、タラの他にも、アラスカの多くの漁業や地元の住人たちの間には大混乱が起きている。また、生物学者たちも状況を深刻に受け止めている。

2014年に、突如「塊のような海洋熱波の領域」が出現するまで、アラスカ湾のタラ漁は順調だった。ところが出現したこの海洋熱波は、周辺の海水温度を 4〜 5℃上昇させた。科学者たちによると、これにより、若いタラが死に始めた。

最初に海洋熱波が出現した後、タラの漁獲量は、2014年の 11万3830トンから2017年には 4万6080トンまで現象し、半数以上が消えた。その後も着実に減り続け、そして、今回のタラ漁の停止という事態に至った。

アラスカでは、ピンクサーモン漁も悲惨な状況となっている。今年は、ほとんど雨が降らず、非常に少ない流量になり、産卵前のサケの前例のない数の絶滅と、時期として異常に遅い移動を観察した。

その後、川は再び干上がり、大量のサーモンたちは海に戻るのに十分な水がない潮溜まりに止められ、魚たちはすべて死亡した。9月の最初の 10日間だけで、3万匹近くのサーモンが死亡した。

過去にアラスカでこのようなことが起きたことは一度もない。

2019年11月には、アラスカから渡航した数千羽の海鳥アオアシカが、シドニーのビーチで大量に死んで海岸に打ち上げれた。原因は、太平洋の信じられないほどの「魚不足」であることが確認された。

これらの海鳥は、夏をアラスカで過ごした後、繁殖するためにオーストラリア南部に移動する。その 1万4000キロメートルの距離を移動するためには、大量のエサを食べ、体力を最大にする必要があるが、現在の太平洋には、彼らがエサとするオキアミや他の魚類などが決定的に少なかった。

今年、アラスカの海岸で確認された海鳥の大量死は、6月から 8月まで各所で発生し、ロシアのチュコトカ半島でも多くの海鳥が大量死を起こした。

アラスカとカナダでの海鳥の大量死は、2015年から続いており、原因は調査中だが、ほとんどの場合で、海鳥たちは衰弱しており、胃や腸に食べ物がまったくなく、やせ衰えている。そのため、大量死の原因は、魚類などのエサ不足である可能性が高い。


 

ここまでです。

記事の中に出てきました、

「塊のような海洋熱波の領域」

というのは、以下の記事で取り上げたことがあるものです。

海の異常は極限に : 大平洋の海に出現した「塊のような異常な高温海域」。そして世界中で起きているかもしれない「魚のアルマゲドン」

この記事のタイトルには、

> 世界中で起きているかもしれない「魚のアルマゲドン」

というように「起きているかもしれない」としていますが、今回の報道で見られるように、「現実としてそれが起き始めている」ことがわかります。

この「塊のような海洋熱波の領域」は、以下のような領域に 2014年に出現した後、拡大し続けており、この周辺は非常に高い海水温度となっているために、多くの海洋生態系が影響を受けています。

2014年から拡大し続ける「太平洋の海洋熱波」

NOAA

先ほどの記事には「気候変動」という言葉が出てきますが、この海洋熱波の出現の仕方は、気候変動と関係しているとはとても思えないものです。

それよりも、

「海底で何か起きている」

と考えたほうが合理的です。

そういえば最近、これに関して、アメリカの太平洋の海底で「異常なこと」が起きていることが、アメリカの非営利海洋研究センターである「モントレー湾水族館研究所」から発表されていました。ご紹介します。

 

太平洋の海底に「穴が開き始めて」いる

モントレー湾水族館研究所ニュースリリースより

mbari.org

これは、

「正体不明の穴が 5000 個以上、カリフォルニア沖の海底に広がっている」

というもので、それが「 1300平方キロメートル」にわたって広がっているというのですね。日本の本州が 1500キロメートルですので、相当な範囲であることがわかります。

穴は大きなものも小さいものもありますが、平均して、

・幅 175メートル
・深さ 5メートル

だそう。

遠隔操作の水中潜水艇で撮影し、コンピュータで 3D 化した、その穴の様子は以下のようなものです。

カリフォルニア沖の海底で発見された「謎の穴」のひとつ

mbari.org

このようなものが「 5200個」発見されたのです。

これがどういう現象かということについては、今のところ不明ですが、科学者たちの中には、「海底から噴出するメタンと関係がある」と推測している人たちが多いようです。

2017年のこちらの記事で取り上げたことがありますが、現在、世界中のあちこちで「海底からメタンが噴出している」のです。

なお、この 5000を超える海底の謎の穴が発見された海域も、先ほどの「塊のような海洋熱波の場所」と重なります。

以下の黒いラインで囲んだ部分が、海底の謎の穴が発見された場所です。

海底の謎の穴が発見された場所

 

この謎の穴と、太平洋の「異常な速度での魚類の減少」が関係あるものかどうかはわからないですけれど、このあたりの海域の海水温度が異常に高くなったままだということを含めて、「何か」が進行していることは間違いなさそうです。

そして一方で、やはり海産物が食物流通の中で大きな比重を占める日本もまた、漁に関して相当に厳しい状況となっています。

これは 12月13日の週刊現代で特集されていましたが、長い記事ですので、概要を箇条書きします。全文をお読みになりたい場合は、以下のリンクからどうぞ。

日本を襲う「海の異変」マグロ・イカ・サケ…漁獲激減の恐ろしい意味
 週刊現代 2019/12/13


2019年に、日本の海で起きている異変

・富山湾で深海魚リュウグウノツカイが今年だけで 13匹打ち上げられている。こんな年は前例がないとのこと。

・12月2日、兵庫県西宮市の海岸で数万匹に及ぶイワシの死骸が見つかった。

・青森県大間町でクロマグロの水揚げ量が前年比で 6割も減少。

・五島列島で 10年前まで 1日最大 10トンの漁獲高だったスルメイカが、現在では水揚げはほぼゼロ。

・サンマとサケの 2019年の漁獲量は、戦後最低の水準になる見込み。


 

他にもいろいろ書かれてありましたが、日本でも、いくつかの海産物について「前例のない漁獲高の激減」に見舞われているようです。

また、日本の海域では、「デッドゾーン」と呼ばれる海洋生物が生きられない海域がどんどんと増えていまして、以下のような記事でも取りあげたことがあります。

日本の海が死に続けている理由は、デッドゾーンが過去最大となりつつある米メキシコ湾と同じなのかそうではないのか

今回はアラスカと日本について書かせていただきましたが、このような海の異変は世界中で起きていると思われ、そして、アラスカの例でわかるように、

「事態の進行のペースが早い」

のです。

アラスカでは、2014年から先ほどの「塊のような高温水域」が出現し、それと共に海水温度が上がり、タラが減少し始めましたが、たった 5年後の今「タラがいなくなった」のです。

たった 5年でこのような事態になっています。

このアラスカの事例を見ていますと、日本の一部の魚類の漁の不振も、あるいは、さらに進行していくのかもしれません。

まだ世界は本格的な食糧の問題とは対峙していないように見えますが、

・食肉(アフリカ豚コレラ)

・農作物(極端な気象と気候)

・海産物

など、今の世の中では、人間の主要な食糧体系のすべてに問題が起き始めている。

このような状態が今後も続けば、いつか「食糧問題がどうしようもなく大きな問題となる」時期が来ても不思議ではないです。

それがいつかはわからないですけれど、その時期が近づいているようです。

 
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