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人類の未来 資本主義の終焉

2020年の生活 : コロナウイルス下の世界の光景と現実をもはや呆然と眺める

投稿日:2020年5月18日 更新日:

1962年にイタリアの新聞に掲載された「2020年の生活」と題されたイラスト

summit.news




 

たった3ヶ月で地球全域を覆い尽くした「非日常」

冒頭の「すべての人たちが透明のポッドに入って生活している光景」を描いたイラストは今から 58年前の 1962年にイタリアの週刊新聞に掲載されていたものだそうです。

基本的には単なる「未来の光景」として描かれたものなのでしょうけれど、この「 2020年」というキーワードと、「隔離」というキーワードが融合した実に見事な作品であるようにも思います。

ちなみに、以下の写真は、5月上旬に撮影されたドイツの「レストラン」の様子です。このお店は、すべてこのように「ひとつのグループずつポッドで囲む」という隔離政策を行っています。


Reuters

個人的には、数日前くらいから、何となく虚脱感が漂うにようにもなっていまして、少し前までは、現在の各国の対策、つまりロックダウンとか自粛とかですけれど、そういうものを強く否定することに対してのエネルギーがあったのですけれど、最近の世界のデータを眺めていますと、

「人々はロックダウンされたがっている」

ようなんです。

たとえば、以下は、イギリスでおこなわれた世論調査の結果を報じたものです。

英国の世論調査を報じる5月10日のサンの記事

The SUN

以下のような記事でした。

「封鎖を続けろ」 イギリス人の90%が新型コロナウイルスのロックダウンを緩和することを望んでいないというショッキングな世論調査の結果が見出される

90% of Brits do not want Boris Johnson to ease coronavirus lockdown, shock poll finds
The Sun 2020/05/09

イギリス人の 10人に 9人が、ロックダウンの緩和をしてほしくないと思っていることが世論調査で明らかとなった。ほとんどのイギリス人が、コロナウイルスのリスクを回避するために、今後も家に閉じ込められることに不満はないという。

すでに英国は、7週間の行動制限が課せられているにもかかわらず、調査では、全面的にビジネスが再開されることを望んでいる人たちは全体の 4%だけだった。

圧倒的多数のイギリス人たちは、彼らのビジネスを犠牲にする可能性のある経済的な崩壊よりも、新型コロナウイルス感染の第二波を恐れている。

全体の 3分の 1以上の人たちが、ウイルスが根絶されるまで、政府が、国民全員に家にいるように命じることを望んでいる。

この制限期間が長すぎると考えているのは 50人に 1人だけだった。今週( 5月第1週)からロックダウンを徐々に解除することを支持している人たは、全体のわずか 4%だった。

しかし同時に、イギリス人の 10名中 8名がロックダウンがさらに長引くことが、英国の経済を破壊し、自分たちの生活に悲惨な結果をもたらすのではないかと心配していることも示している。

記事は、まだ長く続きますが、調査で示された数値はそのようなものでした。

ビジネスの関係でいえば、具体的な数値としては、以下のようになっていました。

ロックダウンによる仕事と収入の影響をどのように考えていますか?

・解雇やレイオフをされても自宅で待機していたい 50%

・自分の仕事や会社にリスクが生じるようなら、仕事に戻りたい 25%

・今後長く経済に深刻な影響が出るため、すぐに仕事に戻りたい 11%

・考えたことがない 13%

このようになっていまして、比較的多くのイギリスの人は、「新型コロナウイルによるロックダウンの影響は、少なくとも自分に対してはそんなに深刻にはならないだろう」と考えているようです。

そして、多くの英国の人たちは、「新型コロナウイルスの流行が収束するまでロックダウンが続いてもいい」と考えているというような数値となっているのですね。

「へえ」と思いましたけれど、これが世論なのでしたら、民主主義的に、ロックダウンのほうが正しい政策ということになるようです。

より多くの人がそれを望んでいるというのなら、外部の人間がどうこう言う話ではなのかもしれません。「人間って不思議だな」とも思いますけれど、まあ、逸れた話となりますので、詳しくふれないですけれど、この精神状態は、いわゆる「ストックホルム症候群」の生存本能のメカニズムと少し似ているのかなとも思います。

ストックホルム症候群は、いろいろと説明されますけれど、要は、「極限状態での生存本能」としてのメンタルのメカニズムです。

ストックホルム症候群

犯人と人質が閉鎖空間で長時間非日常的体験を共有したことにより高いレベルで共感し、犯人達の心情や事件を起こさざるを得ない理由を聞くとそれに同情したりして、人質が犯人に信頼や愛情を感じるようになる。

ストックホルム症候群は恐怖と生存本能に基づく自己欺瞞的心理操作(セルフ・マインドコントロール)であるため、通常は、人質解放後には、犯人に対する好意は憎悪へと変化する。 Wikipedia

現在のイギリスでは、それほど経済の先行きに対して悲観していない人たちが多いようですが、たとえば、アメリカでは以下のような状態となっているわけでして、同じようなことが他の多くの国で次第に明らかになるのではないでしょうか。

すでに大恐慌など目ではない惨状 : ロックダウン後のアメリカは「人口の50%以上が失業とレイオフにより働くことができていない」という米国史上初めての事態に

そういえば、このイギリスでは、ロックダウンの影響なのか、「新型コロナウイルスとは関係のない過剰死亡」が起きていることが報じられています。

3月から4月の英国での新型コロナ以外での死者数(平年との比較数)

Normzy Esq

2020年4月3日-4月24日の英国の死亡者数

・2020年4月 総計 7万9251人
・平年の同時期 総計 4万1780人

(平年との差異は +3万7471人)

・この差異中、新型コロナによる死亡者 2万6683人
・この差異中、新型コロナではない死者 1万788人

このようなことが起きているにも関わらず、英国では、政府も国民もこのロックダウンのさらなる延長を望んでいるということで、このような数値は今後さらに増加していくと思われます。

5月に入ってからは、統計などを含めて「非現実的なもの」を多く目にするようになってきました。

そのようなものを少しご紹介させていただこうかと思いますが、これらのような数値でさえ、「今はまだほんの始まりに過ぎない時期である」ということを考えますと、すさまじい世界が先に待っていそうです。

 

来たるべく世界を示すいくつかの数値

まずは、アメリカのクレジットカードのローン支払い状況です。

まだロックダウンが始まったばかりの 3月で、以下のようになっています。

米国のクレジットカードの支払い状況

US Consumer Credit Unexpectedly Crashes

この十数年、アメリカ人たちは「借金をどんどん増やして」きました。

以下は、アメリカの学生ローンの推移と、自動車ローンの推移です。
特に、学生ローンは 2006年から 4倍となっていて、このようなすごい状況の渦中で、新型コロナウイルスのパンデミックが発生したのです。


US Consumer Credit Unexpectedly Crashes

大量の失業者(現時点で 3600万人)がアメリカではすでに出ていますが、大学をやめざるを得ない人も今後急速に増えそうです。

それと、過去 120年ほどの「アメリカの債務の急激な増加」もすさまじいものがあります。


The National Debt Clock Is Flashing A Major Red Alert

そして、この後の 2020年4月に「アメリカ政府の過去最大の支出」がありました


US April Deficit Hits Record $738BN As Government Spends $1 Trillion In One Month

このような中で、投資家たちは、アメリカ国債を過去最大に売り越しています。


Monthly Change TSY Holdings of Foreign Private Investors

このアメリカの「異様な数値」に見られるような影響は主要国のほぼ全体に広がっているはずで、そして、主要国は、すでに昨年 2019年の時点で、以下の記事で取りあげましたように「債務の限界」に達していました。

世界の借金総額が「2京円」に達する中で思う「世界の債務バブルが壊滅的な炸裂を起こすまであと何年?」という諦観

世界債務、過去最大の2京円に IMF

日本経済新聞 2019/11/08

国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事は7日、ワシントンで講演し、世界の公的部門と民間部門の債務が計188兆ドル(約2京円)と過去最大を更新したと明らかにした。

これは世界の国内総生産(GDP)の約2.3倍に当たる。債務の持続性や透明性の確保がより必要だと指摘し、リスク管理を強化するよう訴えた。

こういう数字やデータの多くが、「ロックダウンが本格化する前のもの」であるということを考えると、先行きは相当すごいことになりそうです。

そして、先ほどのアメリカの「クレジットカードの破綻の状況」を見ていますと、影響が及ばない業種はほぼないのではないかとも思います。

それは以下の記事でもふれています。

ハイパーインフレーション…預金封鎖…。ロックダウンパニック後には、どちらが先にやってくる?

最近なんとなく脱力気味なのは、あまりにも非現実的な未来を想定しながら日々の生活をしなければならないということとも関係あるのかもしれないですが、それでも、辿り着けるところまでは何とか精一杯生きるしかないのですかね。

 
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