2020年5月8日 バンク・オブ・アメリカによる米国の雇用状況
・Bank of America
仕事に戻れないアメリカ人の数は7000万人以上に
日々、ニュースにふれるたびに「この莫大な犠牲は何のためだった?」と思わざるを得ないような報道が続きます。
冒頭のグラフは、5月8日に発表されたアメリカの「人口比の雇用状況」で、現在、アメリカでは、一時的な解雇を含む「仕事をしていない状態」の人たちの率が 51%に達しているとバンク・オブ・アメリカが発表したことが報じられていました。
アメリカの就労人口は、約 1億5000万人程度ですが、その半数にあたる人々が仕事を失ったか、仕事に戻ることができない状態が続いているようです。
5月8日に発表されたアメリカの雇用統計による公式の速報値では、4月の失業率は、14%で、2050万人が 4月に仕事を失ったとされています。
・米失業率、戦後最悪の14% 4月の就業者2050万人減 (日本経済新聞)
この 2050万人は大きな数値ですけれど、その前日に米ブルームバーグが報じているところでは、
「新規失業保険申請件数は7週連続で 300万件超え、合計3350万件」
ということで、すでにアメリカには、3000万人を大きく超える失業者が出ているようでして、今回の雇用統計の数値も修正されると思われ、次の雇用統計は、さらに大きな失業率を示すと考えられます。
アメリカでも、この 14%という失業率は疑問視されているようで、ロイターは以下のように報じていました。
米雇用統計、実体過小評価か 失業率23%も=ミネアポリス連銀総裁
米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は7日、労働省が8日に発表する4月の雇用統計について、多くの人が積極的に職探しをできていないことを踏まえると、実体が過小評価される可能性があるとの考えを示した。
カシュカリ総裁はNBCの番組「トゥデイ」のインタビューで、4月の雇用統計について、失業率は17%まで上昇する可能性があるが、実際の失業率は最悪の場合23%まで高まっている恐れがあると指摘。「悪化が予想されている明日の雇用統計は、新型コロナウイルス感染拡大による被害の大きさを過小評価している可能性がある」と述べた。(ロイター)
先ほどのバンク・オブ・アメリカの発表したように「全体の 51.3%が仕事をしていない」状態だということは、失業保険を申請した 3350万人と同じほどの数のアメリカの人たちが、レイオフ(一時解雇)の状態となっていると見られ、そして「その人たちがまた仕事に戻ることができるか」どうかは、職種によってはかなり難しいものとなりそうです。
今後、時間の経過と共に、
「アメリカの失業者は、5000万人を超えてきても不思議ではない」
と言えるのではないかと思われます。
アメリカだけではなく、どの国にしても「経済のV字回復の可能性はない」ですので、仮にいつか復活したとしても、相当な時間がかかるものとなってしまうのかもしれません。
なお、この失業やレイオフの数値などから、米ブルームバーグの経済分析チームは、
「この失業状況は、アメリカの四半期 GDP が実質約 40% 縮小するモデリングと一致する」
と報告しています。
GDP が一気に 40%下落する……。
こんなことを、ロックダウンを意図した当局者たちは想像していたのでしょうか。
このような、40%などという率で GDP が下がるとすれば、5年や 10年で回復するのは不可能だと思われますけれど、すでに、リーマンショックなどまったく比較にならない数値となっているロックダウン・カタストロフは、失業率と GDP の落ち込みの数値だけからは、1930年代の大恐慌も、はるかに超えてきています。
1930年代の大恐慌は、みずほ証券の資料によれば、大恐慌の際のアメリカの GDP の縮小は、1929年から 1933年のあいだで 27%の GDP の縮小でした。しかし今回のロックダウン・カタストロフでは、最初の年に GDP が 40%縮小する可能性があるのです。
大恐慌の時に、失業率が正常に戻るまで、どのくらいかかったかと見て見ますと、おおむね「 12年以上」ですね。
1910年-1960年のアメリカの失業率の推移
・世界恐慌
大恐慌の時は、ニューヨーク株価の暴落から、4年かけて、失業率は少しずつ悪化していったのですが、今回のカタストロフでは、
「たった2ヶ月で大恐慌をはるかに超える失業率を作り出した可能性がある」
のです。
各国の当局者と指導者は、「大恐慌超え」を作り出そうてして、そして、本当にそれを作り出してしまった。
もはや、大恐慌と比較もできない「人類史で最大の経済カタストロフ」を、こんなに短期間で作り出してしまったわけです。
「何をしたかったん?」
と思う人がさすがに増えているのではないでしょうか。
大恐慌は、最初はアメリカから始まったものではありましたけれど、1930年当時の日本の状況もまた今と似ているものでもありました。すなわち、「もともと経済が脆弱になり始めているところに襲ってきた恐慌」という点が似ています。
日本は、第一次世界大戦の戦勝国の 1国となったものの、その後の恐慌、関東大震災、昭和金融恐慌によって弱体化していた日本経済は、世界恐慌の発生とほぼ同時期に行った金解禁の影響に直撃され、それまで主にアメリカ向けに頼っていた生糸の輸出が急激に落ち込み、危機的状況に陥る。
株の暴落により、都市部では多くの会社が倒産し就職できない者や失業者があふれた。恐慌発生の当初は金解禁の影響から深刻なデフレが発生し、農作物は売れ行きが落ち価格が低下した。
1935年まで続いた冷害・凶作、昭和三陸津波のために疲弊した農村では娘を売る身売りや欠食児童が急増した。
1935年に公共土木事業が打ち切られ、生活できなくなり大陸へ渡る人々も増えた。 (Wikipedia)
これを読みますと、大恐慌の時の日本では、関東大震災などの自然災害も相次いだようで、いつの世でも、「複合的に来る」ものなのだなと思います。
なお、今回のアメリカで影響を受けている業種に関しては、当初は、観光、飲食、レジャーなどのセクターに集中していましたが、その後、ほぼすべての職種に広がっています。
5月8日の時点で、おおむね以下のようになっていると報じられています。
アメリカの職種別の失業数
・レジャーと娯楽産業: 失業数 765万3000人
・教育および医療サービス: 失業数 250万3000人
・小売業: 失業数 210万6900人
・専門サービス等: 失業数 212万8000人
・ヘルスケアと社会支援業: 失業数 208万6900人
・製造: 失業数 133万人
・建設: 失業数 97万5,000人
・情報: 失業数 25万4000人
・金融: 失業数 26万2000人
・輸送および倉庫: 失業数 58万4100人
この図式が、今後の日本に当てはまるということではなくとも、ある程度は似た状況となってくる可能性はあると思われます。
このような中で、世界中のさまざまな業種が「消滅」しつつあるようで、イギリスでは、伝統的なパブの多くが閉店の危機に瀕していることが伝えられています。
・英文化の象徴「パブ」 4割が閉店危機 9月までに (毎日新聞)
また、米 msn は、「アメリカの中小企業の 52%が、今後半年以内に事業停止に陥る可能性がある」という調査を発表しています。
アメリカの中小企業の数は 1400万社に上りますので、数百万の会社が消えていく可能性があるようです。
今回は、その米 msn の記事をご紹介して締めさせていただきます。
米国の中小企業に暗雲が漂う。全体の52%が事業継続の困難を予測した
Gloom grips US small businesses, with 52% predicting failure
msn 2020/05/07
新型コロナウイルスは、大部分のアメリカの中小企業を閉鎖する可能性がある。
アメリカ人事管理協会(SHRM)による新しい調査によれば、アメリカの中小企業の 52%が、今後 6か月以内に廃業するつもりであると回答していたことが判明したのだ。
調査は、375社の企業に対して、4月15日から 21日のあいだに行われた。
SHRM の最高経営責任者(CEO)は、以下のように言う。
「私たちは、中小企業のビジネス、労働者、職場への新型コロナウイルスの影響を、過去数か月にわたって追跡してきました。中小企業というのは私たちアメリカ国家の完全な経済的バックボーンです。ですので、アメリカの中小企業が一掃されることを私たちは懸念しています。そのような経済を支える中小企業が、アメリカには、およそ 1400万社あるのです。その大部分が消えるかもしれないのです」
調査によると、中小企業の 3分の 1強は、今後 6か月以上の企業経営を継続できると予測しているが、その 14%は、継続に不確実性があるとしている。中小企業の約 4分の1は、今後数か月で、収益が増加するか、あるいは変化しないと予測していると答えた。
しかし、全体の 52%は、6ヵ月以内に営業を停止すると予測している。
中小企業のうち、10社中 8社で従業員の職位が下げられ、調査対象企業の60%が従業員をレイオフした。調査された企業の 3分の 1は、今後、従業員の給与削減が常態化すると予想している。
ここまでです。
なあ、何がしたかったん?
あるいは、以下の記事のような「完全な破壊」を希望していたとか?
誰かが「完全な破壊」を目指している:世界保健機構の守り神はヒンドゥー教の破壊と再生の神であるシヴァである模様。そして、中国とアメリカはパンデミックの中で核実験の応酬中
投稿日:2020年4月17日
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