2019年10月11日 日本各地で空が紫色になった日。hitek.fr
カオスが終わる可能性を消し去った各国の対策
海外のサイトを見ていましたら「私たちはみんな日本人になることができるのか? (Can We All Turn Japanese?)」というタイトルの記事がありました。
何のことかと思いましたら、これは経済ブログの記事を引用したもので、日本の経済構造と現在、世界が進んでいる経済の構造についての話でした。
今回はこの記事をご紹介しようと思いますが、それにしても、前回の記事「「突然出現した」と騒がれる…」で取り上げました「何ヶ月も前からずっと存在していた変異株」が台頭した中で、日本も含めて、世界中で規制とロックダウンがさらに過激化しています。
もともと春や夏までの時点で、中小のビジネスは壊滅的な影響を受けていたわけですけれど、「いよいよそれらの崩壊の最大の山場に来ている」ことを実感します。なぜかというと、あと数カ月はこの状態が変わらないか悪化することは気温の推移予測から明確だからです。
日本にしても、欧米ほど厳しいロックダウンをしていないにも関わらず、状況は大変で、昨日は大阪についての報道を見かけました。
大阪市の飲食店“3533店”が廃業
新型コロナウイルスの感染拡大の影響などで、大阪市内で今年4月~11月までの間に飲食店3533店が廃業したことがわかりました。大阪市によりますと去年の同じ時期に比べて約3割も増えたということです。
北新地や梅田などキタの繁華街がある北区では約2.2倍、道頓堀などミナミのある中央区では2割増えていて、合わせて約1700店に上り、全体の半数近くを占めるということです。 (MBS 2020/12/23)
先日の大雪の際に、北海道に住む母親と話した際には「ススキノでは 400店くらい店がなくなったみたい」というようなことを話していて、いくら大きな繁華街であるススキノでも、そんなに飲食店がなくなっては取り返しがつかないのではと思いますけれど、以下は 10月初めの報道で、そのような数は本当のようです。
感染拡大のススキノ、3か月で飲食店300減
若者の割合の増加に合わせ、ススキノでのクラスター(感染集団)も増えている。5日には接待を伴う飲食店で、過去最大規模の23人が感染するクラスターが判明。今まで確認された8か所のクラスターのうち5か所は9月以降に発生した。
感染拡大は繁華街に大きな打撃を与えている。
すすきの観光協会の推計では、5月に約3800店あったススキノの飲食店は、感染拡大による経営悪化などで8月までに約300店が営業をやめたとみられる。 (読売新聞 2020/10/07)
この時点で 300店が消滅していたのなら、12月の時点で 400店以上がなくなっていても不思議ではないです。
報道では、「今年の倒産件数が…」というように述べられることがありますけれど、小規模の飲食店の場合は、倒産ではなく自主的な廃業が圧倒的だと思われ、それは倒産の数値には出ないために、報道に出てくる倒産件数というものと、現在進行している実際の廃業の数とには大きな隔たりがあります。
これは失業数の公式数値も同じだと思われます。クラブやスナックや風俗で働く人たちが仕事を失っても、多くは失業申請さえできないですので、実際の現実の数はおそろしいものとなっている可能性があります。
大阪と札幌のこの状況は、日本の都市の多くに共通していると思われ、そして、懸念としては、「これからが最もひどくなる」と予測されることです。
前回の以下の記事などでもふれましたけれど、気温が下がるこれからが流行の本番であり、基本的には「気温が下がり続けている間は、何をどうやったところで感染拡大は収まらない」ということはほぼ確実です。
「突然出現した」と騒がれる英国の新型コロナウイルスN501Y変異株は、4月にはブラジルで、8月にはアメリカでもすでに流行している…
投稿日:2020年12月23日
もちろん、マスクだの外出規制だの営業の時短などがまったく効果がないことは、少し前の記事に載せました以下の 11月に緊急事態宣言が出された後の米メイン州のデータでもわかります。
米メイン州(マスク義務、屋内飲食禁止、時短営業)の3月から12月までのコロナ感染確認数の推移
Justin Hart
あるいは、「変異株の出現」を理由としてロックダウンを強行したイギリスでは、そのロックダウンの数日後に「過去最大の感染者数」が記録されています。
Daily New Cases in the United Kingdom
イギリスは三度目のロックダウンとなりますが、そのすべてに少なくとも長期的な感染拡大抑制効果がなく、それが経済を破壊するだけだとわかったなら、「ロックダウンを停止する」という方向に考えるのが普通だと思うのですが、イギリスはちがうのですね。
このように感染拡大が止まらない中で、昨日、英国政府が述べたのは、
「ロックダウン地域の拡大」
でした。
英国で本日クリスマスイブに発表された内容は、イギリスの多くの地域でさらにロックダウンの段階を引き上げ、すべての英国人の約 40%、数にしておおむね 2000万人が、ティア 4 と呼ばれている最高レベルのロックダウン措置のもとにある状態になったようです。
12月24日からの英国のロックダウンの状況
zerohedge.com
子どもたちにしてみれば、何も楽しいことがなかった1年の終わりの、せめてクリスマスくらいは、いつものように過ごしたかったはずですが、ティア4の最高レベルのロックダウン下にある地域では「家からの必須ではない外出と移動はすべて禁止」ですし、「必須の商店」以外は営業していないですので、プレゼントやクリスマスケーキを買うことも難しいかもしれないです。
英国では、ロックダウンの段階の表現に、「ティア / Tier 」という英語を用いていますが、同じ発音に「涙」を意味する Tear があるのが泣けるところです(わざと? とか思いました)。
子どもだけではなく、若い人たちすべてが非常に絶望的なクリスマスとなっていると思われます。私自身はクリスマスに何かするようなことはない人でしたが、多くの若い人たちは、クリスマスは特に男女関係なんかに関してウキウキする日ではあるはずです。
成立したかもしれない恋愛や出会いまでも断絶されている。
男女の出会いは、次の新しい世代の人々を作り出す唯一といってもいい機会なのに。
何だかこう「何もかも奪われている」感じがします。
さらには、楽しいとか楽しくないということを越えて、さらに拡大するのが、「若者を中心としたメンタルヘルスの崩壊」と「飢餓」です。
以下のような記事など何度かご紹介したことがありますが、どちらもすでに壊滅的な様相となっていますが、これがさらに進行することが確実となりました。
第二波とロックダウンの中でアメリカの子どもたちの精神が崩壊寸前…
投稿日:2020年11月21日
世界食糧計画が「2億7000万人が飢餓に向かっている」と声明…
投稿日:2020年12月7日
このようなことが起きることが、夏までには事実としてはっきりとわかっていた中で、それでも、経済を破壊し、自由を奪い、人の精神を破壊する理由が、以下の記事に書いたような将来的に統制された世界を作りたいためだとわかってはいても、どうもやりきれないですね。
「デジタル奴隷制」の始まり
投稿日:2020年12月15日
この記事に、かつてナチスが人々を支配するための原理について書きましたけれど、そこにある、
・国家によって引き起こされた経済的困難からの救済として、国民の国家への依存度を劇的に増加させる。
・国家からの大規模な約束と引き換えに、国民の自由を剥奪する。
・新しい生活様式が持続することを確実にするために、警察国家と全体主義の規則を制定する。
というようなことが着々と行われていることを実感します。
イギリスほど極端な政策をとっていない日本でも、先ほどの大阪などのように中小の多くのビジネスが消滅しているのですから、欧米の中小ビジネスの消滅は壊滅的なものとなっているはずです。
そこに最大の稼ぎ時である年末のホリデーシーズンが、欧米の多くで、あるいは日本でも「潰された」わけですから、日本も含めて、世界中での中小ビジネスの閉鎖の嵐の本番は完全にこれからだと思われます。
これまでの現実を振り返ってみれば、どこのいかなる国でも「人為的にウイルスを制御した国はない」です。
季節の推移で、単に気温が上下する中で感染例が増減しているだけというのが真実です。
まるで風邪やノロウイルスを人為的に制御できると考えているのと等しい不条理なことを地球全体でおこなっている。
これは完全に狂気的な不条理なのに、世界の多くの人たちがこの不条理を受け入れてしまっている。
まあ・・・しかし、こうなってくると、もう転換点は見当たらなさそうで、いろいろとどうしようもならない局面に入ったこともまた事実で、春にはブログで「夏には改善すると?」と書き、夏にも「冬には改善していると?」と書きましたけれど、今は、
「2年後に改善していると?」
と書かなければならなくなっています。
何だか前置きが長くなりましたが、こういう状態の中で各国で進んでいるのが、経済支援や経済刺激策の膨大化ですが、それが、冒頭でご紹介した、「世界中が日本化に」という言葉と結びつきます。
この10年の日本
ここ数年の海外の記事などを読みますと、経済の専門家の一部は「日本はすでに純粋な意味での資本主義国家ではない」というように見えているようです。
純粋な意味での資本主義とは何かというような難しい概念はともかく、最近の現実を見るだけで、確かにそれはそれほど間違ってもいないようには思われます。
たとえば、最近の以下のような報道などもそれを示しているのかもしれません。
強まる日銀の「孤独」 最大の日本株保有者に
日本経済新聞 2020/12/03
ついにトップ交代か――。株式市場で国内最大の株主を巡る臆測が広がっている。首位の座がこれまでの年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)から、日銀に移った可能性があるからだ。
日銀が11月26日に公表した2020年4~9月期決算によると、日銀の保有する上場投資信託(ETF)は9月末の時価で40兆4733億円。GPIFは41兆5010億円で日銀との差は約1兆円あった。
日経平均株価が29年ぶりの高値を付けた11月の株高局面でも日銀は上場投資信託(ETF)を買い入れた。一方、運用資産に占める国内株の比率が目安としている25%に近いGPIFは一部を売却しており、保有額の逆転が起きたとみられる。
どちらがトップかは別にしても、現在の日本の「最大の株主」は、9月の時点で、
・日本銀行 (40兆4733億円保有)
・年金 (41兆5010億円保有)
このふたつのようなんですね。
こういう状態が健全かどうかはわからないですが、もはや止めることもできない。
そして、日本の「景気刺激策」の末の債務の状態は以下のようになります。
世界銀行による数値です。
日本の一般政府債務のGDP比の推移 (左の数値はGDPに対するパーセント)
gnseconomics.com
現在、欧米や中国を含めて、多くの国がこのような「日本の状態」に近づきつつあるようです。
世界全体が「破裂」しようとしているのかもしれません。だからこそ、グレートリセットなどという概念も出てくるのかもしれないですが。
ここからです。
世界経済を「日本化」することは可能なのか?
Can the world economy ‘Japanificate’?
gnseconomics.com 2020/12/23
コロナウイルスの突然変異が明らかに現れた今、多くの人たちは、世界経済がこの事態にどれだけうまく対処できるか懸念を持っている。「良い方向ではない」というのが、かなり明白な答えだと私たちは考えている。
しかし、恒久的な景気低迷とソブリン債務の大幅な増加があるとしても、世界経済が日本が経験した「日本式」を反映した大規模な政府の介入によって一般的な経済崩壊を回避することに成功することを期待する人たちもいる。
疑わしい目標にも思えるが、それは可能なのだろうか。
この記事では、なぜ全世界は「日本化」できないのかを説明する。さらに、そのような試みが中央銀行による世界経済と金融市場の乗っ取りにつながり、最終的には世界経済のディストピアにつながる理由を説明する。
日本が示した「模範」
1990年代の日本の金融危機については知られていることでもあり、ここでは簡単な要約のみを示す。
日本の国家経済危機が激化した際、日本銀行は危機における中央銀行の主要な任務である最後の貸し手として行動し始めた、それはいくつかの金融機関を救済した。中央銀行は通常、資本ではなく流動性のみを銀行に提供し、民間金融会社には提供しないため、これは非常に例外的な事態だった。
日本政府は、病んでいる企業に銀行が融資を行うことを許可し、場合によっては、それを奨励さえした。政府は、透明性に欠ける会計ギミックの使用を許可し、銀行監督当局は、銀行が貸倒損失を軽視し、資本を誇張することを可能にする政策を実施することを可能にした。
そのため、株式市場と不動産市場が崩壊した後でも、日本の大手銀行の大多数は、1990年代のほとんどの間、恒久的な減損(機能的には破綻している)の状態にとどまった。
破綻した銀行は、不良債権を資本増強したり、帳簿から清算したりすることなく、支えられた。銀行が減少した融資資金を使って不健康な企業を支援し、さらなる損失を食い止めると、リスクの高い新規企業への資金が不足した。これは、イノベーションの落ち込み、生産の減少、利益の減少という悪質なフィードバックループにつながり、最終的には経済の停滞につながった。
日本経済は、絶え間ない金融および財政刺激策の助けを借りて、標準以下のペースで成長は続けている。その結果、日本国債の水準が急上昇した。
私たちはみな日本人になることができるのだろうか?
それはできない。
第一に、世界経済は 1990年代に急速に成長し、それが輸出需要を通じて日本経済を支えた。第二に、「ゾンビ化した」グローバル企業部門は、経済と金融市場に十分な支援を提供することができない。彼ら自身が簡単な条件でのさらなる債務を絶えず必要としているからだ。
第三に、ゾンビ化されたグローバル銀行セクターは、「ゾンビ化された」借り手を支援することによって自然に自らの存続に集中するため、新しく活発な企業の成長を支援することができない。
第四に、金融市場は健全な企業利益と強力な銀行に依存しており、市場が適切に機能し続けるために十分な資本と流動性を提供するのに役立つ。これらの要因は存在しないため、世界経済は永続的な脆弱性の状態にあり、常に崩壊のリスクにさらされている。
このように、日本については、それらの企業や銀行、そしてそうでない世界の他の経済の支援に頼ることができるので、日本化することができた。
しかし、世界経済の臨界量は、「日本化」の状態に到達することはできない。これは、需要と資本の両方を提供する人が他にいないことを意味する。
銀行危機と世界的なディストピアが待っている
グローバルな日本化は選択肢ではないとしたならば、ではどうすればよいだろう。
パンデミックの第3波で、中小企業と世界のサービス部門は 2番目の矢面に立つ可能性がある。
欧州の銀行セクターはパンデミックの悪影響に対処できなくなる。銀行危機の発生は、大規模な財政刺激策と債務モラトリアムによって延期されたが、船が転覆するのをそれほど長く防ぐことはできない。
政府や中央銀行は銀行間市場にアクセスできず、金融機関の間の信頼が失われると、金融危機が発生する。当然のことながら、預金者が銀行から資金をまとめて引き出す従来の取り付け騒ぎから始まることもあるだろう。
中央当局に残されている唯一の選択肢は、銀行セクターと金融市場の完全な国有化だ。しかし、これは「世界的なディストピア」につながる可能性がある。それは、経済的、そして最終的には政治的自由の喪失を意味し、何億人もの人々にとって絶望的で残酷で疎外された存在につながる可能性があるのだ。
別の方法
私たちは、経済とビジネスの関係の西洋モデルの歴史的基盤を回復する必要がある。資本市場での無料の価格発見が必要だ。活発な起業家階級が必要だ。
勝者だけでなく、熾烈な競争に巻き込まれた、あらゆる規模の多様な企業が必要だ。また、「創造的破壊」を復活させるために、すべての経済活動においてリスクと報酬の関係を再構築する必要がある。
そして、中央銀行は、抑制されるか、完全に解体される必要がある。
彼ら中央銀行の影響力と干渉の圧倒的な重みは、世界経済の裏側から取り除かれなければならない。これは、少なくともまだ多くの人々がまだ理解していない、または受け入れていないことになるが、そうでない場合、待ち受けている未来は非常に恐ろしいものになるため、私たちは中央銀行が解体されるときのために備える準備をしている必要がある。
私たち人類は今、現在と未来の世代の自由を求めて戦いを繰り広げている。それを勝ち取るために必要なことをするのに十分な勇気を人々が持っていることを心から願っている。
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