脳神経細胞に形成されたレビー小体(赤い領域)。 nihr.ac.uk
感染者あるいは接種者全員に?
最近、ややショッキングな論文の存在を知りました。
これは、X で、フィンランドの最新の疾患の状況を詳細に伝えてくれているフィンランド人のイルッカ・ラウヴォラ(Ilkka Rauvola)さんによる投稿で、もともとは、フィンランドの国内報道「一般的な脳変性疾患は中年以降に発症し始める可能性がある」というものを取り上げていたものです。その報道の冒頭です。
「一般的な脳変性疾患は中年以降に発症し始める可能性がある」より
ヘルシンキ大学とタンペレ大学による最近の研究によると、レビー小体型認知症はこれまで考えられていたよりも中年者に多い可能性があるという。
この研究では、50歳以上の人のほぼ 10人に 1人が、脳に少なくともレビー小体型認知症の初期変化を持っていることが判明した。
レビー小体型認知症は、アルツハイマー病に次いで 2番目に多い脳変性疾患だ。この病気では、α-シヌクレインと呼ばれるタンパク質の蓄積である、いわゆるレビー小体が脳幹、脳の大脳辺縁系および大脳皮質で発生する。
でまあ、このことはいいんですよ。
投稿した記事で、イルッカ・ラウヴォラさんは、その投稿に以下のように書いていました。
レビー小体型認知症に関するこの記事で、この記者たちが言及していないことがある。それは、動物実験で Covid-19 に曝露された「すべての」アカゲザルの脳にレビー小体が発生したという事実だ。
「すべて?」と思い、そのプレプリント論文を読んでみました。
概要は以下にあります。
SARS-CoV-2 は脳炎症を引き起こし、マカクザルのレビー小体形成を誘導する
SARS-CoV-2 causes brain inflammation and induces Lewy body formation in macaques
「 PDFをダウンロード (Download PDF)」から論文をダウンロードすると全文が読めます。
概要を読みますと、確かに、
> 私たちはすべてのアカゲザルの脳でレビー小体を観察した。
とあります。
それで、ともかく論文を読んでみました。
ここに出てくる「レビー小体」というのは、大脳皮質に広がると、レビー小体型認知症を引き起こすとされているタンパク質です。
「レビー小体型認知症とは?」より
レビー小体は、異常なたんぱく質が脳の神経細胞内にたまったもので、主に脳幹に現れるとパーキンソン病になり、さらに大脳皮質にまで広くおよぶと、レビー小体型認知症(DLB)になります。ただし、原因は今のところ十分にわかっていません。
この「レビー小体」が、SARS-CoV-2 に感染させたすべてのサルにおいて見出されたという内容です。
論文から一部抜粋します。
太字はこちらで施したものです。
「SARS-CoV-2 は脳炎症を引き起こし、マカクザルのレビー小体形成を誘導する」より
…脳組織は、レビー小体として知られる α-シヌクレイン沈着について免疫組織化学によってスクリーニングされた。ヒトでは、レビー小体型形成はパーキンソン病またはレビー小体型認知症の発症と関連していることが示されている。
MERS や SARS コロナウイルスを含む特定の向神経性ウイルスがレビー小体の形成を引き起こし、パーキンソニズムを引き起こす可能性があるという仮説が立てられている。
細胞内レビー小体の形成は、感染したすべてのアカゲザルの尾状核(脳の部位)に隣接する腹側中脳領域と 1頭の高齢カニクイザルで明確に示されたが、一方、4匹の対照動物(感染していない動物)では、すべての脳にはレビー小体は存在しなかった。
カニクイザルの場合、この動物は他のパネルメンバー (5~7歳) よりも高齢 (16 歳) であったため、パーキンソン病に関連する年齢依存因子を除外することはできないが、アカゲザルからのデータは SARS-CoV-2 とマカクザルの脳における新型コロナウイルス感染症による炎症の明確な証拠を提供する。
… SARS-CoV-2 がどのようにして広範な脳炎症を引き起こし、レビー小体形成を誘導したのかは依然として不明だ。
このウイルスはさまざまな経路を介して脳に侵入する可能性がある。 この研究では、T細胞の浸潤が血管周囲および脳実質で発見され、血液脳関門の完全性が損なわれ、ウイルスが脳に侵入する機会を提供した可能性があることを示している。
…注目すべきことに、α-シヌクレイン封入体(レビー小体のこと)が動物の腹側中脳領域で見つかった。
レビー小体は、パーキンソン病またはレビー小体型認知症の発症の特徴であると考えられている。
さらなる確認が必要だが、新型コロナ感染症のマカクモデルでの観察は、ヒトにおける新型コロナ感染症関連の認知症症例を予測する可能性があるため、将来的に、無症候性感染または軽度の症状の経過後であっても、これは重大な警告とみなすことができる。
ここまでです。
なお、この研究は、「下垂体」という脳の部位の代謝活動を PET-CT というもので測定したものですが、下垂体の代謝の大きな動きは、「感染後 30日目と 36日目」に見られたそう。
下垂体
msdmanuals.com
それで、おサルにはかわいそうなことですが、この実験に使われたサルは、5週間から 6週間後に安楽死させられ、そこで体の各部位から SARS-CoV-2 ウイルス粒子が検出されるかどうかも調べました。
その結果、死後(感染から 5〜 6週間後)に検出された部位は以下だと書かれてあります。
死後にウイルス粒子が検出された部位
[脳で検出された部位]
小脳
内側運動野
感覚皮質
前頭基底皮質
海馬
淡蒼球(脳の部位)※ 下垂体、嗅球、黒質、延髄、橋、尾核、被殻(それぞれ脳の部位)からは検出されなかった。
[その他で検出された部位]
気管支リンパ節
心臓
肝臓
脾臓
腎臓
肝臓
脾臓
以下の 1年ほど前の記事では、ドイツの研究を取り上げていまして、ここでは「脳すべてからスパイクタンパク質が検出された」とありますが、「すべて」ではないようです。
ショッキングなドイツの研究論文:スパイクタンパク質は、骨髄から血管から本体まで「脳のあらゆる部位から検出され」それらは一様に脳組織を破壊していた
In Deep 2023年4月12日
今回のサルでの研究は、規模は小さなものですが、「すべて」からレビー小体が見つかったというところに迫力があります。
そして、今さら書くまでもないことですが、このサルの研究では、「コロナに感染させたサル」ということになっていますけれど、
「ワクチン曝露も同様」
だと考えられます。
無症候を含めますと、日本で自然のコロナ感染をした人の数が何人くらいなのかはわかりようがないですが、ワクチンのほうはわかります。
大ざっぱに 1億人です。
仮に、この「すべて」にレビー小体が形成されているとすれば…ということで、冒頭に「ショッキングな」と書いたのでした。
論文には、以下のようにありました。
> 新型コロナ感染症のマカクモデルでの観察は、ヒトにおける新型コロナ感染症関連の認知症症例を予測する可能性があるため、将来的に、無症候性感染または軽度の症状の経過後であっても、これは重大な警告とみなすことができる。
ちなみに、この論文は、発表されたのが 3年前の 2021年2月なんです。
つまり、まだ日本では、コロナワクチン接種が始まっていない時期に、すでにこういうことが示されていたのですね。
それと共に、論文に以下のようにあり、血液脳関門が破壊されるということも、この時点でわかりつつあったようです。
> 血液脳関門の完全性が損なわれ、ウイルスが脳に侵入する機会を提供した…
そして、その血液脳関門を破壊するのは「スパイクタンパク質」であるわけで、自然感染もワクチン曝露も同じことになります。
正確には、血液脳関門の破壊を引き起こす RHOA 遺伝子というものの活性化をスパイクタンパク質が引き起こすことにより、血液脳関門の完全性が失われます。
以下の比較的最近の記事にあります。
やはりスパイクタンパク質は「血液脳関門を破壊する」模様。長期のコロナ後遺症は、それに起因することを実証したネイチャー掲載の論文
In Deep 2024年2月27日
この記事でも、いくつか論文や資料をご紹介していますが、
「破壊された血液脳関門は、自然には修復されない」
ようなんですね。
ところで、レビー小体型認知症というのは、どのように進行するのでしょうか。
レビー小体型認知症の進行速度
生命保険会社の説明では、以下のようになっていました。
レビー小体型認知症の進行速度
レビー小体型認知症の進行速度は人によって異なるものの、末期にいたるまでにかかる期間は一般的に10年未満といわれています。アルツハイマー認知症に比べて進行が速いのが特徴です。
初期での特定が難しいにもかかわらず、初期発見できないと知らぬ間に進行が進んでしまう厄介な認知症といえるでしょう。
症状が発現してからの平均的な寿命は、6~12年程度とされます。
レビー小体型認知症の初期に見られる主な症状は以下のようです。
レビー小体型認知症の主な症状
・幻視
・妄想
・パーキンソン症状
・睡眠行動障害
・自律神経症状
・抑うつ症状
ちなみに、この「幻視」なんですけれど、うちの奥さまは以前、介護関係の仕事をしていまして、今はその仕事はもうしていないのですけれど(ワクチン接種が地元の介護職員にほぼ強制的に適用されることになり 2021年2月頃に退職)、仕事をしていた頃、このレビー小体型認知症の高齢の女性のお世話をしていたことがありました。
奥さまが言うには、その方には、幻視があるにはあるのですが、私たちが一般的に想像するようなものとは異なったものでした。
幻視は、医学上の説明では、「実際に存在しない人や物体が見える」とありまして、それはそうなんですけれど、その女性が言うには、
「いつも同じ人が同じ場所にいる」
のだそうです。
違う人だったことは一度もないそう。
そして、それはひとりではなく、ある部屋にはある特定の人が一人いて、別の部屋には、ある特定の人が一人いるというような。
その人たち以外が見えることはないのだそうですが、奥さまが、「今もそこにいるんですか?」と部屋の片隅を指指すと、
「いつもの人がいますよ」
と答えるそう。
そして、さらには、その女性には「幻視以外のあらゆる認識や行動の異常がない」のだそうです。認知はしっかりしており、言動、計算、生活すべてにおいて何の問題もない。介護を受けていたのは、脚がお悪く、歩くことに不自由していたためで、レビー小体型認知症のせいではなかったようです。
話がそれましたけれど、ともかく、レビー小体というものが形成され初めてから、症状に移行するまでにはずいぶんと時間がかかるもののようです。
先ほど、
> 末期にいたるまでにかかる期間は一般的に10年未満…
という表現もありましたが、最初にご紹介したフィンランドの報道で、
> 50歳以上の人のほぼ 10人に 1人が、脳に少なくともレビー小体病の初期変化を持っている…
ともあり、レビー小体の形成から症状が出るまでは、さらに長い期間である可能性もあります。
いずれにしても、仮に、サルの研究で示されたように「自然のコロナか、あるいは、ワクチンに曝露した全員」にレビー小体が形成されるということが、繰り返しますが「仮にでも」あるとすれば、今後 10年などの社会は相当な問題を抱えることになりそうです。
10年間は長いといえば長いですが、しかし、わりとあっという間に過ぎていく時間でもあります。
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