予想されていた以上の制裁の恩恵によるロシアの経済的飛躍
ごく一部の西側諸国による「対ロシア制裁」が続いています。実際には、世界のほとんどの国は支持も協力もしていませんが、欧米と日本や韓国などは、そこにガッチリと組み入れられています。
この対ロシア制裁が始まったときから、
「こんなことは、ロシアが潤うだけ」
であり、
「西側が自滅するだけの行為」
だということは、ほとんど人の目に明らかであったはずです。
ロシア制裁が始まった頃には以下のような記事を書いています。
[記事] 誰を崩壊させるための対ロシア制裁なのか。目指すのは西の自死? それともこれもいわゆるグレートリセットへの道?
In Deep 2022年4月2日
[記事] 西側諸国のすべての指導者たちが「自国民の大量死」を望んでいるのなら…それに対抗しようじゃねえか…と思うのはある意味では当然かもしれません
In Deep 2022年4月4日
エネルギーと食糧に関しての西側の混乱は、特に書く必要もないほどの混乱が常態化してきましたが、「ロシアが潤う」という方に関しては、予想していた以上のものであり、戦争……というより対ロシア制裁が始まってから、
「ロシアの経常収支は過去最高」
を記録しています。
ロシア連邦の過去28年間の経常収支の推移
zerohedge.com
2021年の最高値と比較しても3倍くらいになっている。
どれだけロシアが自力で頑張っても成し得なかったと思われる「めざましい経済成長」が西側の対ロシア制裁「だけで」達成され続けていることになります。
以下の記事で書きましたが、米ブルームバーグのアナリストたちの予測では、「西側の制裁によりロシアが儲ける金額」は 40兆円に達すると 4月に予測されていました。
[記事] 「西側の制裁によりロシアが儲ける金額」はブルームバーグのアナリストの試算では日本円で約40兆円…。西側が一丸となってロシアの経済を強化する理由は何?
In Deep 2022年4月7日
しかし、これではとどまらないと見られます。
たとえば、食糧やエネルギー輸出は、ロシア以外の多くの国での農作状況の悪化、あるいは、エネルギー状況の悪化はこの 4月の時点より深化していることなどから、今後もロシアの輸出は一大景気が続くと思われます。
ですので、ロシアが制裁で得る経済的メリットはさらに大きなものとなる可能性が高そうです。
普通に考えれば、経常収支が3倍などという数字は普通にできるものではなく、しかも、たった2ヵ月でそれを達成したわけですが、ロシアは「何にもしていない」わけです。
ただただ西側の制裁の恩恵で、「儲かって仕方ない」という状況となっています。
さすがに私もこの馬鹿げた状況を見ていますと、
「西側がワザとやっている」
というような気もしないでもないのですが、つまり、日本はそんな考えではないと信じたいですが、欧米のいくつかの国については、
「わざと自国を飢えさせて、国民を貧困にする」
という方向でもっていこうとしているのではないかというような話ですが、そう思わざるを得ないほど馬鹿げている。
先ほどリンクしました 4月2日の過去記事「誰を崩壊させるための対ロシア制裁なのか…」では、カナダのグローバルリサーチの記事をご紹介していますが、そこでは、ジョージ・オーウェルの『1984年』が引用されています。
(ジョージ・オーウェル『1984年』より)
> 戦争は、今では純粋に内政だ。過去には、すべての国の支配グループは、彼らの共通の利益を認識し、したがって戦争の破壊性を制限したかもしれないが、互いに戦い、勝利者は常に敗者を略奪した。
>
> 現在では、彼らはお互いにまったく戦っていない。戦争は各与党によってそれぞれの主題に対して行われ、戦争の目的は領土の征服を成し遂げたり阻止したりすることではなく、社会の構造を無傷に保つことだ。
そして、グローバルリサーチの記事は最後に以下のように締められます。
(2022年4月2日の In Deep より)
> 食料価格の上昇、化石燃料の使用減少、生活水準の低下、そして、公的資金が「再生可能エネルギー」に注ぎ込まれる。
>
> これらはすべて非常によく知られている議題の一部でもある。
>
> 巨大なものと対峙する時が来た。
>
> 私たちは考える必要がある。
>
> 「これらのロシア制裁の本当の目的は正確には何なのか?」
>
> そして、
>
> 「なぜこれらはグレートリセットの内容と完璧に一致するのか?」
>
> ということを。
この1ヵ月半前の記事の、
> 食料価格の上昇、化石燃料の使用減少、生活水準の低下
は、もう間近です。
最近、地球の記録に連続して書かせていただきました、
・原油価格が現在の3倍になる可能性
・天然ガス価格が現在の3倍になる可能性
は、それぞれがスペシャリストの分析であり、無視できるものではありません。
[記事] 「NOPEC法案は石油価格を300ドルに上昇させる可能性がある」とOPECの最も影響力のあるエネルギー大臣が警告
地球の記録 2022年5月14日
[記事] ノルウェー最大のエネルギーコンサルタント企業が「天然ガス価格が現在の3倍になる可能性がある」と警告
地球の記録 2022年5月17日
食糧価格については、現在の水準を維持できる期間はそう長くはないと思われます。
日本の日常の食事の根幹となっている小麦粉(そば、うどん、ラーメン、ソーメン、パスタ、パン、ピザ、天ぷら、唐揚げ、ケーキ、クッキー、ドーナツ…etc)の価格は、昨日の以下の記事を書いた翌日に「史上最高値」を一時更新しました。
[記事] 小麦の近い未来
In Deep 2022年5月16日
2022年5月17日までの過去45年間の小麦先物価格の推移
tradingeconomics.com
たとえば、今の日本の日常から、先ほどのそば、うどん、ラーメン、ソーメン、パスタ、パン、ピザ、天ぷら、唐揚げ、ケーキ、クッキー、ドーナツが「消えたら」通常の生活が続くと思われますか?
そんな非現実的なことが「起こり得る」瀬戸際に私たちはいます。
あるいは最近、「米食を見直そう」というような文字を見ますが、そば、うどん、ラーメン、ソーメン、パスタ、パン、ピザ、天ぷら、唐揚げ、ケーキ、クッキー、ドーナツが消えても、お米の価格は今のままでしょうか。
少なくとも、過去 100年くらいでは考えようがなかったような現実が少しずつ近づいてきています。
いずれにしましても、
「世界が根本的に変わる」
という気配が強くなっています。
先日、ロシアの元大統領で、現在はロシア安全保障会議の副議長であるドミトリー・メドヴェージェフ氏が、テレグラムに、
「このロシア制裁は新世界秩序への拍車になる可能性がある」
として、今後の世界を予測した記事を投稿していました。
それを読むと、ほとんど奇異な感じはなく、私なども漠然と思っていたことが書かれてあるだけですが、西側は「相当な痛み」を得ると思われます。
そこには、「大量死」が伴います。
それは避けられないはずです。
メドヴェージェフ氏のテレグラムを英訳して取り上げていた記事をご紹介させていただきます。
「次は何か」:元ロシア大統領が西側の「自傷行為」制裁は「米国中心の世界の崩壊」を意味すると警告
"What's Next": Former Russian President Warns West's "Self-Harming" Sanctions Mean "Collapse Of US-Centric World"
ZeroHedge 2022/05/16
制裁の脅威と強制の波に続いて、元ロシア大統領ドミトリー・メドヴェージェフ氏は、次に、この制裁に対しての多くの「世界的な結末」があるだろうと予測した。
ロシア安全保障会議の副議長であるメドベージェフ氏はテレグラムに、この制裁は、ロシア政府が以前に歓迎すると述べた新世界秩序への拍車になる可能性があるとして、以下のように書いた。
「制裁の結果として、新しいセキュリティ体制が作られるだろう」
また、この制裁は、「規則に基づく秩序などの国際関係の西洋化された概念の弱さ」を浮き彫りにし、メドベージェフ氏は「アメリカ中心の世界の考えの崩壊」も予測した。
「次に何が起こるか、または対ロシア制裁後の世界に何が起こるか(今はまったく予測されていない) 」というタイトルの投稿で、メドベージェフ氏は、サプライチェーンは崩壊し、インフレが急上昇し、食糧危機と金融危機がどのように発生するかを 10の箇条書きで概説した。
メドベージェフ氏の概説は以下となる。
1. 多くの世界的な商品のサプライチェーンが崩壊し、ロシア領土上空を飛行することが禁止されている外国の航空会社の崩壊を含む、大きな物流危機が発生する可能性がある。
2. ロシアのエネルギー輸送業者の供給に「自主的に」制裁を課した国では、エネルギー危機が激化し、化石燃料価格のさらなる上昇が続き、世界のデジタル経済の発展は鈍化する。
3 .本格的な国際食糧危機が、個々の国で飢餓の可能性を伴うだろう。
4. いくつかの国では、多くの国の通貨の安定性の低下、インフレの急増、および私有財産を保護するための法制度の崩壊に関連して、金融および金融危機が発生する可能性がある。
5. 長年にわたって平和的に状況が解決されていない場所、または主要な国際的プレーヤーの重要な利益が無視されている場所では、新たな地域的な軍事紛争が発生する。
6. テロ活動は、現在の西側当局の注意がロシアとの対決に向けられていると確信しており、より活発になっている。
7. 衛生および疫学の分野での真っ当な国際協力の拒否、または生物兵器の使用の直接的な事実によって引き起こされる、新たなエピデミックが始まる。
8. 欧州評議会など、ウクライナの状況を解決する過程で、その有効性を証明できなかった国際機関の活動は減少するだろう。
9. イデオロギー的ではなく実用的なアングロサクソン基準に基づく国々の新しい国際同盟が形成される。
10. その結果、新しいセキュリティ体系が作成され、事実上、次にデ・ジュリ(規則上)で、次の既存の現実が認識される。
a)「規則に基づく秩序」やその他の無意味な西側のガラクタなどの国際関係の西洋化された概念の弱さ
b)アメリカを中心とする世界の考え方の崩壊
c)西側世界との紛争の深刻な段階にある国々において、世界社会によって尊重される利益の存在
メドベージェフ氏のこの悲観的な未来像は、冷戦後の国際秩序からの転換点であり、ウクライナに侵攻する直前のプーチン大統領の発言をも反映している。
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