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人類の覚醒と真実 地球という場所の真実

「樹木は永遠の命を持つ」 : イチョウの木には老化に関する遺伝子がなく、永遠不滅に近い生命体である可能性が国際研究チームによる解析で判明

投稿日:2020年1月15日 更新日:


Science




 

樹木は老化では死なない

1月13日のサイエンスに、とても興味深い記事が出ていました。

寿命が長いことで知られるイチョウですが、そのイチョウの木の遺伝子と細胞構造を徹底的に調査した初の研究によって、

「イチョウの木は老化ではほぼ死なない可能性」

が示されたというものです。

人間などの生体には、老化に関連する遺伝子があり、老化に従って、この遺伝子が増えていくわけで、「人間は時間と共に年老いていく」ということになっています。

その中で、人間は「時間の経過と共に死亡率が上昇し、そして亡くなっていく」わけですが、イチョウはそうではないようなのです。

今回の分析では、老化に関連する遺伝子がイチョウには見当たらず、また、どれだけ年をとっても、成長もさほど鈍化せず、そして「ストレスに対しての反応も一生ほぼ同じ」という生命体であることがわかったのですね。

つまり、イチョウというのは、純粋な意味ではないですが、「ほぼ永遠に近い生命を持つ」生命体のようです。

なお、私たち人間が「年とともに老いて死んでいく」という生命体ですので、それがどの生物でも同じような感じだと思われているかもしれないですが、あとで振り返りますが、

「老化するにしたがって死亡率が急激に上昇する生命体は基本的には人間だけ」

なのです。

いずれにしましても、まずは、そのサイエンスの記事をご紹介します。

 


How the Ginkgo biloba achieves near-immortality
Science 2020/01/13

イチョウがほぼ不滅であるメカニズムが判明

いくら人間が長生きしたところで、それは樹木の足下にも及ばない。たとえば、イチョウのような樹木は、3000年以上生きることができる。

最近行われた、これまでで最も包括的な植物の老化の研究の中で、研究者たちは、イチョウそしておそらく他の種類も含めて、樹木が非常に長く生き残ることを可能にする分子メカニズムを明らかにした。

この新しい研究は、科学者たちが長い間、真偽を確認したかったあること、それは「植物の基本的な状態は不死である」ということについて、初めて真の遺伝的証拠が提供されたことになる。

この「植物は不死である」という大胆な主張を研究するために、研究者たちは、中国湖北省の安陸市と江蘇省のヒ州市にある 34本の健全なイチョウの木の細い芯を分析することから始めた。

この中で、揚州大学の植物分子生物学者であるリ・ワン(Li Wang)博士とチームは、イチョウの成長スピードが、数百年後でも遅くならないことを発見した。それどころか、数百年後になってから成長スピードがさらに上がることさえあることが見出された。

さらに、葉のサイズ、光合成能力、および種子の品質といった、植物の健康の指標は、何百年経っても変わらなかった。

次に研究チームは、遺伝子レベルで何が起こっているのかを知るために、葉と形成層での遺伝子発現を比較した。形成層とは、植物の茎・根において、維管束の木部と師部(植物の生体組織)との境にある分裂組織である薄い層のことだ。

チームは、樹齢 3年から 667年までの木の RNA (遺伝情報であるDNAから転写されてできる核酸)の配列を決定し、ホルモン産生を調べ、miRNA(特定の遺伝子をオン/オフできる分子)を検査した。

その結果、生命としての最終的で致命的な段階である「老化に関連する遺伝子」の発現は、イチョウの枯れ葉では予想通りに増加した。

ところが、形成層内のそれらの同じ老化に関連する遺伝子の発現を調べたとき、研究者たちは若い木と古い木の違いを見出すことができなかった。老化に関する遺伝子は、枯れた葉だけに見出され、樹木本体には見出すことができなかったのだ。

これが意味するところは、イチョウの場合、葉などの器官は老化して死滅する(枯れる)が、樹木そのものに老化に関連する遺伝子が見出せないということは、樹木本体は老化によって死滅することはないことを示唆する。

ただし、時間の経過とともに木に何らかの変化が生じるという証拠は見つかった。古い木は、インドール-3-酢酸と呼ばれる植物の成長ホルモンのレベルが低く、アブシジン酸と呼ばれる成長阻害ホルモンのレベルが高かった。

200歳以上の樹齢の木の場合はまた、細胞分裂、分化、および成長に関連する遺伝子の発現の減少が見出された。これは、古い樹木の形成層の幹細胞は、若い樹木ほどには簡単に新しい木材と樹皮に分裂しないことを意味する。

北京林業大学の植物生物学者ジンシン・リン(Jinxing Lin)博士と、今回の研究の研究者たちは、数千年後などが経過し、樹木の形成層細胞の分裂率が低下し続けると、木の成長は遅くなり、イチョウの木が最終的には老齢になる可能性があると述べる。

しかし、実際には、ほとんどの樹木は、老齢で死滅するのではなく、害虫や干ばつなどの「外部環境」で死んでいっているように思えるという。

研究者たちは、樹木が老化するにつれてストレス要因に対して、より脆弱になるかどうかを調べるために、病原体抵抗性とフラボノイドと呼ばれる保護抗菌化合物の産生に関連する遺伝子を調べた。すると、樹齢の異なる樹木の間の遺伝子発現に違いがないことがわかり、樹木は、年老いても、外部のストレス要因に対する防御能力を失わないことが示された。

これは、イチョウが何千年もの長い期間、健康に成長するのを助ける「並外れた」能力だと、研究チームのひとりで、米ノーステキサス大学の分子生物学者であるリチャード・ディクソン(Richard Dixon)博士は言う。

イチョウの木が老化で死滅することがないということは「人間にとっては理解することが難しいです」と、バルセロナ大学の植物生理学者セルジ・ムネ・ボッシュ(Sergi Munné-Bosch)博士は述べる。

「彼ら樹木にとっては、老化は問題ではないのです。彼らが対処しなければならない最も重要な問題はストレスなのです」

研究者たちは、今後、イチョウの木の突然変異率の研究を続け、老化の背後にあるメカニズムを調べていくという。また、研究者たちは、他の科学者たちも今後さまざまな種類の樹木について、樹木の老化と死滅について研究が始まっていくだろうと予測している。

 


 

ここまでです。

科学の世界には元々、「植物は永遠不滅なのではないか」という考え方があったということを初めて知りました。

この記事の感じでは、他の多くの樹木も「高齢で死ぬことはない」というものが多そうです。たとえば、樹齢についてというページで、日本の樹木で樹齢がわかっているものでは以下のようなものがあることが記されています。

・岩手県気仙郡三陸町の杉 樹齢 7000年

・高知県長岡郡大豊町などの杉 樹齢 3000年

・山梨県北巨摩郡武川村の神代ザクラ 樹齢 2500年

他にもいろいろと出ていますが、杉などが多く、これらの樹木にも「高齢による死滅はない」可能性が高いです。

死滅するとすれば、「外部環境が原因」であることがほとんどなのだと思います。

たとえば、皮肉な話ですが、この永遠不滅のイチョウも、Wikipedia によれば、

> イチョウは、レッドリストの絶滅危惧IB類に指定されている

と、絶滅危惧種に指定されているようなんです。

また、その Wikipedia によれば、

世界古来の樹木の一つであり、イチョウ科の植物は中生代から新生代にかけて世界的に繁栄し、世界各地で化石が発見されているが、氷河期にほぼ絶滅し、イチョウは唯一現存する種である。

だということで、前回の氷河期にイチョウ科の樹木はほとんど絶滅したようです。

結局、このイチョウは「老いて死なないけれど、環境によって死滅する」というのを聞きまして、

「まったく植物だなあ」

と思いました。

私の考えの中には、「植物は人間と共生している」という強い思いがありまして、つまり、植物というのは、

「人間が生きられないような環境下では、樹木も生きられないので死滅する」

という(たとえば氷河期など)ことになっていて、逆にいえば、

「人間が快適に生きられる環境下なら、樹木はそこで永遠に生きる」

ということもいえそうです。

快適で適切な環境下の地球なら、植物は永遠に生きると。

しかしまあ、オーストラリアの森林火災などを見てもわかりますけれど、今の地球は、樹木に対しての外部環境としては、あまり良いとはいえないです。

日本では、現在、ナラ枯れ(正確には、ブナ科樹木萎凋病)といわれる集団枯死が深刻化しています。これは、ニュース検索で「ナラ枯れ」と検索しますと、日本の各地で大きな問題となっていることがわかります。

 

人間だけが特別な老化と死亡率を持つ

ところで、イチョウなどの樹木が「基本的に永遠の生命を持つ」ことと「年老いることもほぼない」ということが判明したわけで、そういう意味では「イチョウは特殊な生命」のような響きを感じますが、実は、地球の生命の中では、もっと奇妙な老化と死亡率を持つ生命体があります。

それは人間です。

実は、

「老化によって急激に死亡率が上昇する生命体は、人間以外には地球にいない」

のです。

それは以下の記事などに記しています。

ドイツのマックスプランク人口研究所などが科学史上で初めて挑んだ「地球上の生命種の老化と死亡する確率の関係」」の大規模研究で、「そうなる理由がわからない」という結論の記事でした。

進化論の崩壊の序曲? : 「なぜ老いるのか」という理由がわからなくなった科学界
 In Deep 2013年12月12日

この記事で翻訳してご紹介した記事の冒頭は以下のようなものです。

なぜ私たちは年をとるのか? 科学では何の説明もできない

高齢化という問題は最近のメディアでは最も注目される話題であるにも関わらず、科学者からはそれに対しての答えは出ない。

最新の人間と動物、そして植物の統計データは、老化プロセスにおける極端な多様性を明らかにした。

しかし、既存の進化論ではこれらを説明することができないのだ。

寿命と死亡率は生命種によって大きく異なる。

死亡する確率が年齢と共に上昇するという事実は、人間には適用することができるが、全般として見れば、生物の真実ではない。

 

大まかには、地球の生命は以下の3つに分類されます。

地球の生命体の老化と死亡確率の分類

・年を取るにつれて死亡率が上昇する

・年を取るにつれて死亡率が「下がる」

・死亡率が一生を通じて一定

人間はひとつめの「年を取るにつれて死亡率が上昇する」に該当するわけですが、年老いた後の死亡率が他の生物と比べて、あまりにも急上昇していて、

「地球には同じような死亡率をもつ生命体はいない」

ことがわかったのです。

基本的には、人間だけが特別に奇妙な老齢化と死亡率を持つ生命なのです。

なぜ、人間だけがそうなのか。

そもそも「なぜ老化するのか」も、科学ではその理由がわからないままです。

それに、老化と外観の奇妙な関係を持つのも、ほぼ人間だけです。人間は子どもと老人とではずいぶんと見かけが違いますが、ヤドカリやネズミやイワシや、あるいはどんな動物でも、年齢でこんなに外観が変化する生命はほぼいません。

進化論からいえば、「すべての地球の生命種の老化の理論と死亡率との関係は、基本的に同じでなければならない」のに、実際には、人間だけが不思議な老化と死亡率を持って地球に存在しています。

なぜ人間だけがそうなったのか。

しかし、今回、「樹木は永遠」だと知ることで、少しわかりかけてきたような気もします。

私自身は、「植物と人間は《対極》の関係」だと思っています。これは、対立するということではなく、鏡にうつる同士のような存在だと思っています。その植物が「物質的に永遠」であるならば、おそらく人間にも「永遠であるもの」があるという示唆でありそうな気がします。

それはおそらく「物質的なものではない」ということになるような気もしますが、まあ、そのあたりの話は別の話となりますので、ここではふれません。

いずれにしましても、多くの樹木が永遠の命を持っていることが示されたのでした。

 
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