分子模倣という概念
前回、コロナ再感染での脳卒中リスクについての以下の記事を書きました。
[記事] 接種後の「コロナ再感染のさまざまな疾患リスク」が判明する中、「スパイクタンパク質に37カ所の変異」が見られる強力な変異種が登場
In Deep 2023年7月31日
タイトルに、「さまざまな疾患リスク」と書いたわりには、この記事では、脳卒中にしかふれていないことに気づきましたが、やはり「さまざま」だと思われます。
先日、プレジデントで、「25歳で突然 1型糖尿病に…食事を前に手が震えた地獄のような日々から食べる喜びを取り戻すまで」という記事を読みまして、ご苦労されているなあと思ったのですが、同じ日に、
「若者の間での 1型糖尿病の増加は新型コロナ感染症に関連している」
という米エポックタイムズの記事を見まして、「これも増えているのか…」と悟った次第でした。
一般的に言われる、つまり生活習慣病などと呼ばれる糖尿病は、2型と呼ばれるもので、1型糖尿病というのは、生活習慣等とは関係ないもので、以下のようなものです。
(日本IDDMネットワーク「1型糖尿病とは」より)
> 1型糖尿病は、主に自己免疫によっておこる病気です。自分の体のリンパ球があやまって内乱を起こし、自分自身のインスリン工場、膵臓にある膵島β細胞、の大部分を破壊してしまうことで発病します。 japan-iddm.net
この膵臓ベータ細胞というには、ACE2受容体という、スパイクタンパク質が結合する部分があり、膵臓は比較的スパイクタンパク質の攻撃を受けやすい部位だと思われるのですが、それはともかくとして、「自己免疫の病気」ということについては、コロナ感染そのものというより、ワクチンを巡る状況でよく出てきたものでもあります。
スパイクタンパク質が自己免疫疾患と関係してくるということについて、具体的に初めて知ったのは、今から 2年半くらい前に、世界的に著名なイスラエルの免疫学者のイェフダ・ショーンフェルド博士という方が、著作で書かれたものを知った時でした。以下の記事にあります。
[記事] 「免疫学の父」と呼ばれるイスラエルの免疫学者が、今後の世界の「自己免疫疾患の壊滅的な大流行」を警告 — 分子模倣による細胞内の戦争が始まる
In Deep 2021年2月20日
「分子模倣」という非常に難しい概念に基づく話でしたが、分子模倣とは、以下のような概念です。
分子模倣とは、本来無関係である感染微生物抗原と宿主抗原の間に一次構造、あるいは高次構造の類似性が存在することをいう。
これにより両者の間に免疫学的に交差反応が生じ、自己抗原に対して抗体が産生されたり、T細胞を介した免疫応答による自己組織の障害が生じ、自己免疫反応が生じると考えられる。(Molecular mimicry と自己免疫疾患)
類似性、というのは、たとえば、ワクチンでいえば、
「ヒトが持つ本来のタンパク質と、ワクチンにあるタンパク質に、類似した部分がある」
というようなことがあるとするなら、それが該当します。
そして、イスラエルのイェフダ・ショーンフェルド博士の研究では、
「ヒトのタンパク質と新型コロナウイルスのスパイクタンパク質に同一の配列が 26 特定」
されたのでした。
スパイクタンパク質には、本来のヒトのタンパク質と「類似している部分」が複数あり、それが、「分子模倣」という概念と関係して、上の引用にありますように、
> これにより両者の間に免疫学的に交差反応が生じ、自己抗原に対して抗体が産生されたり、T細胞を介した免疫応答による自己組織の障害が生じ、自己免疫反応が生じると考えられる。
ということになる可能性を、ショーンフェルド博士は述べています。
一応は、自然感染のスパイクタンパク質もワクチン由来のスパイクタンパク質も同じ作用だとしておきますが(構造の強度が違いますが)、それで、ショーンフェルド博士は、歴史上まれに見る、このような大規模接種キャンペーンがもたらすリスクのひとつとして、以下のことを述べています。
イェフダ・ショーンフェルド教授の著作より
「ワクチンの大規模接種の副作用の 1つは、特に遺伝的に自己免疫を起こしやすい人たちにおける自己免疫疾患の出現である可能性がある」
これが進行している可能性が高いです。
自己免疫と関係する疾患はあまりにも多く、現状がどうなっているのかはわかりようがないですが、多くの自己免疫疾患が増加していても不思議ではないとはいえます。
たとえば、世界中で「若い人たちのガン」が増加しています。ガンは自己免疫の病気とは見なされないですが、しかし、自己免疫に問題があれば、ガンにもなりやすいとも言えるのではないかとも思わないでもないです。
[記事] 全世界でとめどなく若年層のガンが増加しており、そして今後この増加はさらに拡大することが確定している中で「ガンの自然退縮」を改めて考える
In Deep 2023年6月6日
2030年までのアメリカの直腸ガン患者の年代別推移の予測
dailymail.co.uk
それでも、ガンなら自分でも治せるものかもしれないですが、1型糖尿病などになりますと、それも難しそうで。
身体面だけでなく、メンタルの崩壊もデータ上で各国で見られます。以下は、2021年以降のスイスの若者たちのメンタル疾患の爆発について取り上げています。
[記事] スイスの歴史で前例がない「うつ病と精神疾患の増加」の報道から思い出す、スパイクタンパク質とヒトヘルペスウイルスの再活性化の関係、そして MAO との関係
In Deep 2022年12月13日
すべてにおいて原因はひとつではないとは思います(すべてもともとあった疾患ではありますので)。しかし、「後押しするもの」が、2021年以降に登場したということは否定できない気がします。
そのひとつにはスパイクタンパク質があるように思われます。
問題は今後もそのような状態が続いていく可能性があるということなのかもしれません。しかし、今の社会では、もはや「何が原因か」にふれられることはありません。
若い人たちの間で、1型糖尿病が増加していることについての、米エポックタイムズの記事をご紹介して締めさせていただきます。
なお、この記事は、基本的には「コロナの自然感染との関係」を書いていますが、前回の記事でも書きましたように、接種後は、感染・再感染しやすいということからも考える部分はいろいろとあります。
若者の間での 1型糖尿病の増加は新型コロナ感染症と関連している
Rise in Type 1 Diabetes Among Young People Linked to COVID-19: How to Prevent Autoimmune Diseases
Epoch Times 2023/07/24
新しい研究によると、新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に世界中の子供や十代の若者の間で1型糖尿病の診断が急増した。これは予測されていなかったことだ。
この JAMA (米国医師会雑誌)が発行した系統的レビューは、19歳未満の約 38,000人を対象とした 17の研究を含む、糖尿病の発症率に関する 42の研究を分析した。
このレビューでは、2020年に 1型糖尿病の症例が 14パーセント急増したことが明らかになった。
パンデミック前と比較すると、2021 年には 27% 増加していた。
さらに、この研究では、パンデミックの開始後、2型糖尿病の発生率と、1型患者に多く見られる糖尿病の重篤な合併症である糖尿病性ケトアシドーシス(※ 糖尿病の急性代謝性合併症)の増加が浮き彫りになった。
新型コロナウイルスと 1 型糖尿病との関係は何か
研究著者たちによると、新型コロナウイルス感染症と糖尿病発症リスクの上昇との正確な関係は不明だという。
しかし、一部の医師たちはこれに同意していない。
1型糖尿病は自己免疫疾患として十分に確立されており、体がインスリンの主な供給源である膵臓ベータ細胞を攻撃することを特徴としている。
ウイルス感染とワクチン接種はどちらも自己免疫疾患の引き金として知られており、新型コロナウイルス感染症とそのワクチンも例外ではない可能性があると、救命救急医であり、米イースタンバージニア医科大学の元教授のポール・マリク博士は述べた。
多くの症例報告で、新型コロナウイルス感染症または新型コロナウイルスワクチン接種後に患者が 1型糖尿病を発症した例が文書化されている。
マリック博士によると、SARS-CoV-2ウイルスに存在するスパイクタンパク質、およびワクチン接種後に体内で生成されるスパイクタンパク質は、自己免疫を引き起こしている可能性が非常に高いという。
「SARS-CoV-2スパイクタンパク質が 1型糖尿病の引き金となる可能性が最も高いことには、ほとんど疑いの余地はありません」とブラジルのサンパウロ連邦大学の内分泌学者で研究者のフラビオ・カデジャーニ博士は電子メールでエポックタイムズに語った。
COVID-19 スパイクタンパク質の主な役割は、細胞表面の ACE-2 受容体に結合して細胞に侵入することだ。
そして、膵臓ベータ細胞は、ACE-2 受容体を持っており、感染やスパイクタンパク質の侵入による損傷に対して脆弱なのだ。
スパイクタンパク質はヒトのタンパク質にも似ており、スパイクタンパク質の存在により、体はスパイクタンパク質を標的とするだけでなく、膵臓を含むヒトの組織を攻撃する抗体を生成する可能性がある。
マリック博士によると、この分子模倣現象は、ワクチンで損傷した患者や長期にわたる新型コロナウイルス感染症患者に見られるという。
他の研究では、どちらのグループ(※ 自然感染、ワクチン接種者)の患者にも自己抗体、つまり身体自身の組織や細胞を攻撃する抗体が存在することが判明した(論文)。
2型糖尿病: より一般的かつ複雑な結果
この研究は 1型糖尿病と 2型糖尿病 (※ いわゆる糖尿病と呼ばれるほとんどの型)を同じ病気として誤って混同する可能性があるため、「根本的なメカニズムは明らかではない」という結論になったと、認定内科医のキース・バーコウィッツ博士は語った。
2型糖尿病は 1型糖尿病よりも複雑で代謝性が高く、肥満、加工食品の摂取、心臓病、血中コレステロール、高血圧などの要因の影響を受ける。
バーコウィッツ医師は、新型コロナウイルス感染症後およびワクチン接種後の患者に独特の血糖調節異常パターンを観察したと述べた。
2型糖尿病患者は通常、ベータ細胞が疲労するため、血糖値が高く、インスリン値が高く、または低くなっている。しかし、バーコウィッツ医師は、患者の中にはインスリン値が高く、低血糖を伴う人もいるのを観察したと述べ、これまで経験したことのない症状であると語った。
「私が管理している糖尿病患者でさえ、特にワクチン接種と新型コロナウイルス感染症の両方を受けた患者の状況は良好ではありません」とバーコウィッツ医師は付け加えた。
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