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人類の未来 未来の地球

将来的に肉食から離脱し「完全菜食国家となる」ことを国策に掲げたスウェーデン政府が推し進める「昆虫食計画」

投稿日:2016年5月14日 更新日:

2016年5月2日のスウェーデンの報道より

sweden-eat-insect
NyTeknik




 

まあその・・・これが良い方向なのか、そうではないのかよくわからないのですが、今回ご紹介する記事は、スウェーデンで「肉食から離脱する」というためのプロジェクトが立てられたというものです。

そのプロジェクトは「動物性タンパクを昆虫から摂取する食品作り」であります。

上に掲げた記事はスウェーデンの報道で、見た目は、ちょっとグロかもしれないですけれど、こういうように食べるというようなことではなく、何か「昆虫肉を原料とした製品」を作り出すことを目指しているようで、スウェーデン・イノベーションシステム開発庁という政府部局が、日本円で3億円以上の研究開発費を、国内の様々な食品開発組織に投じているというものでした。

ちなみに「昆虫」と書いてしまっていますが、主軸は「ミミズ」のようで、これをこう、なんというか、「環境に優しい食材」としてスウェーデンで定着させていきたいと。

この理由なんですが、今回ご紹介する記事にありますが、

・スウェーデン政府は、気候変動は人為的な要因だと考えている

・その中でも、動物の肉食が環境に大きな負荷を与えているという結論になる

・そのため、将来的には、スウェーデンは「完全菜食の国(動物肉を食べないという意味で)」を目指す

ということから来ているようです。

「完全菜食主義」なら、昆虫もあれじゃないかとも思うのですが、基本的には、今の栄養学では、「人間は動物性タンパク質をとらなければならない」ということになっていて、その部分を昆虫などからとろうということのようです。




 

地球が将来的には肉食から離脱せざるを得なくなる理由

私自身は、人間は動物性タンパク質を必ずしも摂取しなければならないということもないだろうとは思っていますが、一般論を書きますと、

人間の体を作るタンパク質は 20種類のアミノ酸から構成されていて、そのうちの 9種類のアミノ酸は体内で合成できないが、体に不可欠であり(必須アミノ酸)、そのため、食べ物から取らなければならない。しかし、いくつかのアミノ酸は、植物性タンパク質にはほとんど含まれていないので、体を維持するためには多少なりとも肉食は必要。

ということや、

血液を構成する赤血球や、細胞内のミトコンドリアには、鉄イオンというものが不可欠で、これをヘム鉄という形でとる必要があるが、植物からでは、このヘム鉄がほとんど吸収できない。

 

ということで、植物だけの摂取ではアミノ酸に不足が出ることや、あるいは、長期的には体内の鉄分が不足して貧血的な状態になりやすいというのが現在の栄養学での理論です。

つまり、栄養学的には、「植物だけの食生活では、人間の体は維持されない」ということになります。

しかし、現実に世界では、非常に多くのベジタリアンや、あるいは完全菜食主義のビーガンの人たちなども健康に生きているわけですし、あるいは、そんな主義や主張などなくても、昔の日本のジイサン、バアサンなどは「毎食、ゴハンとたくあんと味噌汁」だけで十分という人はいくらでもいたはずですので、動物性タンパクをとらないことは、そんなに致命的なものでもないのかなとも思います。

もっとも、「ものすごい長生きをして、その間はものすごく健康でいたい」という場合は、植物性の食事だけでは足りないのかもしれないですけれど、適度に生きて適度に死ぬという人生でいいのでしたら、どちらでもいいのではないかと

ちなみに、私自身は、今はもう、食事に対して特に主義や理想はないです。

強いていえば、1712年に貝原益軒さんが書いた『養生訓』の以下の部分の考えに近いように思います(貝原益軒は肉食を禁忌としていません)。

貝原益軒『養生訓』第三巻の一

人とは、天と地から生まれてきた。しかし、人が元気に生きていくには飲食により養分を毎日とらなければいけない。たとえ、半日でも飲食をぬかすことはよくない。

でも、飲食とは欲望の一つである。欲望のおもむくままに飲食を続けることは、胃腸によくない。度を過ぎれば、生命にもかかわることである。

胃腸から取り込まれた養分が、身体を養っている。草木が土のなかの栄養を取り込み生きているのと同じ事である。

養生訓 (抄訳)より

要するに、「好きなものを少し食べる分には何を食べてもいいのではないか」というような気はします。

しかし。

個人的にはそれでよくても、時代は確かに、そういう呑気な食事への観念ではいけないような事態にまで至り始めているのかもしれないのです。

スウェーデン政府のいう「人為的な理由での気候変動(いわゆる地球温暖化)」というのはともかく、先日の記事、

あと25年で「30億人分の水が足りない」状況になることを報告したウィキリークスがリリースした機密文書 : 原因は世界中で進行し続ける過度な肉食
 2016/05/09

では、ウィキリークスがリリースしたネスレによる「水不足についての調査」についてご紹介しましたが、そこには、

「肉を作るには、同じカロリーの穀物を作ることと比べて 10倍の水が必要であり、世界の中産階級クラスが今よりさらに多くの肉を食べるようになった場合、地球の水資源は危機的なほど枯渇に近づく」

とあります。

スウェーデン政府のいう人為的な気候変動ということ以前に、肉食がこれ以上拡大した場合、「地球から人間が利用できる水がなくなる」という問題のほうが大きいように思います。

なので、スウェーデン政府の「肉食から昆虫食へ」という流れが正しいものなのかどうかはわからないのですが、スウェーデン政府が目指す、

「将来的に肉食から離脱する」

という意志は、悪いものではないのかもしれないようには思います。

くどいようですけれど、これは、ベジタリアニズム的な主義でそう思うのではなく、「地球から水がなくなる」ことへの懸念からそう思うのです。

しかし、

「じゃあ、虫を食べましょう」

という気になるかというと、あまりそういう気にはならないです(苦笑)。

ちなみに、昆虫食自体は、世界中でポピュラーな場所ではポピュラーで、タイなどでは(今はどうかわからないですが)大都会のバンコクでも、屋台で揚げた昆虫を売っているのよく見かけました。

また、6年ほど前には、中東の通信社アルジャジーラが、「ラオスで昆虫食プロジェクトが進んでいる」ことを報じていました。

ラオスは、子どもたちのタンパク質不足による栄養失調が進行していて、それを克服するために、昆虫食を推進していたようで、農家が「昆虫農場」を兼ねるようになり、それが新たな収入となる上に、子どもたちの栄養状態も良くなりつつあるという二重の良い効果が出ているとしていました。

2010年9月14日のアルジャジーラより
laos-bugs
Edible bugs enrich Laos diet

 

このラオスの昆虫食の場合は、本当に「昆虫が子どもたちの命を救っている」ということで、大変に素晴らしいことだと思いますし、スウェーデンの場合とはちょっと意味も理由も違います。

それでも、スウェーデンの、考えてみれば、わりと思い切った政策は「これからの地球の人間の生活の何らかの手がかり」になる可能性はあるかと思います。

そして、やはり、これらの問題の最大の部分が、先ほど書きました、

「人間には動物性タンパク質は絶対に必要なのかどうか」

というところに尽きるかと思います。

このことと関係しているかどうかはっきりしませんが、ルドルフ・シュタイナーが、1909年の講演で「肉食と菜食」について語っている部分がありますので、それを抜粋しておきたいと思います。

シュタイナーの1909年の講演『何を食べるとよいか』より

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菜食にすると、体内に摂取された植物は人体に多くのことを要求します。菜食は、脂肪分の多いものではありえません。

人体は自分で脂肪を製造する能力を有しており、「脂肪でないものから脂肪を作る」ように要求されるのです。

つまり、菜食にすると、人間は内的に活動を展開しなければならず、脂肪の製造に必要なものを使い尽くすよう、内的に努力しなければなりません。動物性脂肪を摂取すると、そのような活動が省かれます。

唯物論者は、「努力なしに、たくさんの脂肪を得られるなら、それは人間にとってよいことだ」と言います。精神的な立場からは、「内的活動こそ、内的な生命本来の展開だ」と、見なくてはなりません。

自分で脂肪をとり出す力を呼び起こす必要があるとき、その内的活動のなかで、自我とアストラル体(感受体)が肉体とエーテル体(生命体)に対して主導権を持ちます。

動物性脂肪を摂るなら、その結果、自分で脂肪を作り出す労力は節約できます。しかし、菜食にして、みずから活動する機会を得るなら、人間は自由になり、自分の身体の主人になります。

物質的に生を味わい尽くすために自らの特性を発達させようとしている戦闘的な民族は、どんな生活をしているでしょうか。彼らは原則的に肉食をしているのが分かります。もちろん、例外はあります。

その反対に、特に性格が内面的であり、瞑想的な生活をしている民族は、もっぱら菜食にしているのがわかります。

このシュタイナーの講演の内容は『人間の四つの気質 ― 日常生活のなかの精神科学』に収められています。

これは、現在の栄養学とは相容れない内容ですが、しかし、現実として、馬や牛などの草食動物は、植物だけであれだけ立派な体格を作り出すわけですし(彼ら草食動物は、腸内の動物性の微生物から植物にはない栄養素を吸収しているそうです)、人間も何とかなるのではないでしょうかね。

ここからスウェーデンの昆虫食プロジェクトの報道をご紹介いたします。


Swedish Govt Spends Millions Telling Citizens To Eat Insects To End Global Warming
Breitbart 2016/04/28

スウェーデン政府は、地球温暖化を止めるために昆虫を食べるように国民に喧伝することに何億もの費用を費やす

スウェーデン政府が自然保護の原則と、気候変動との戦いへの公約を示している。それは、コオロギやミミズの肉から作った「食用肉」の開発に税金をかけることによりなされる。

各種の研究開発のために資金を分配するスウェーデンの政府機関「スウェーデン・イノベーションシステム開発庁(VINNOVA)」は、今年、環境に優しい行動のために、27億クローナ(約 3億6000万円)の一時金を拠出した。

その行動とは、より持続可能な未来のために、ヨーロッパが「肉食文化からの離脱」をするためのものだ。

スウェーデン政府は今回の試みを「完全菜食主義への扉」と位置づけており、環境保護活動家や国連などが「月曜日は肉を食べない日(Meat Free Mondays)」としていることなどへの政治的背景への主導権をとる意味もある。

この行動は、肉の大量の消費は、人為的な気候変動の原因のひとつとなっているという前提に基づいている。

肉食でのタンパク質の摂取による地球への負荷を減らすために、昆虫から動物性タンパク質を摂取するという方法論だ。

そのために、イノベーションシステム開発庁は、スウェーデン全国の 15の異なる昆虫食開発プロジェクトに予算を分配した。

それぞれが、新たな食品の「昆虫食の試作品」を作成する使命を帯びている。

これらのプロジェクトは、「ミミズの肉から美味しくて、健康に良い製品」を作り出す試みに対して資金提供されている。それは、環境に良い、すぐれた動物性タンパク質になり得る可能性を持つ。現在、「洗練されたミミズ肉食品」の試作品が試みられている。

さらに、コオロギからは「環境に良いひき肉」が作られた。

他に、昆虫が含まれない魅力的な響きの製品もある。

それは、「真菌タンパク質」だ。

これは、副産物から作られた「健康なベジタリアン・バーベキュー」と言え、また、豆から作られた「ブルーチーズのような製品」もある。

今年11月には、それぞれのプロジェクトから最高の製品を選ぶためのコンペティションが開催され、選ばれた製品には、政府から 200万クローナ(約 2600万円)の支援金が供出される。

イノベーションシステム開発庁がこのプロジェクトを立ち上げた理由については、プレスリリースで以下のように述べている。

「昆虫ベースの栄養について、スウェーデンでその認識が高まれば、食による環境負担の削減になるでしょう。イノベーションシステム開発庁は、環境に優しいタンパク質の革新的な開発のための努力を支援します。そして、従来の肉食に代わって、将来のための健康的で美味しい食べ物を作り出したいのです」

「そして、このブロジェクトは、スウェーデン国内で製造できる原料をベースに開発されているため、費用対効果として、スウェーデンの食品産業の競争力を高めることができるのです」

スウェーデン政府が、食品の変革に関心を示したのは今回が初めてではない。

昨年、ストックホルム市は「環境に優しい料理本」を発行し、そこでは、「環境に優しいピザ」のトッピングとして、昆虫の幼虫を提唱していた。

この料理本によれば、「昆虫の幼虫はとてもおいしいです。そして、フリーズドライの毛虫は卵黄の味です」ということなのだそうで、穏やかで、カシューナッツのような味がするのだという。

 

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