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2020年からの世界 中国という国 人類の未来 健康の真実

またも中国から…。パンデミックの可能性を持つ新型のH1N1豚インフルエンザ株が確認される

投稿日:2020年6月30日 更新日:

中国で発見された新型豚インフルエンザ「G4」の電子顕微鏡写真

A New Swine Flu Strain With 'Pandemic Potential' Has Been Identified in China




 

2020年の中国発パンデミック第二弾になってしまうのか

世界の新型コロナウイルスの毎日の新たな感染確認数は、いよいよ歯止めがかからなくなっていて、世界全体の増加ぶりは以下のようになっています。2、3ヶ月前よりはるかに激しい指数関数的な増加となっています。


coronavirus stats

おおむね、世界が全体的にロックダウンを開始した 3月下旬から 5月下旬頃までに 1日あたりの世界の感染確認数は倍増し、そして、各国がロックダウンを解除し始めてから、さらに倍増したというような感じとなっています。

その中でも、この 1週間ほどが、過去と比較しても、最大の上昇を示しています。

新しいウイルスによる感染症というものが、人から人に感染していくというものだとして、そうなりますと、「感染者数が増えれば増えるほど、次の感染者数も増えていく」という理屈にもなりまして、今後もしばらくこの指数関数的な増加は続くと見られます。

結局、「ほとんどの人たちが感染する」までは、どのような方法を使っても、このようなグラフの形を変化させることはできないはずです。

私たちも、そして世界の保健当局者たちも、「ウイルス感染とは何か」という真実を理解しなければならないと思いますが、しかし、こんな病原体にかまっている間に、

「また中国から新しい病気が出てきた」

のです。

アメリカ科学アカデミーが発行する PNAS (米国科学アカデミー紀要)に、6月29日に以下の論文が発表されましたす。すなわち、「パンデミックを起こす可能性がある新型の豚インフルエンザ」が中国で発見されたのでした。

2020年6月29日のPNASより

Prevalent Eurasian avian-like H1N1 swine influenza virus with 2009 pandemic viral genes facilitating human infection

各メディアが、この新型インフルエンザについて報じていますが、基本的には、多くの人が免疫を持たない新型インフルエンザであり、潜在的に、「パンデミックとなる可能性がある」もののようです。

このウイルスには「 G4 」という名称がつけられています。

以下は、ユーロニュースの報道です。


中国でパンデミックの可能性がある豚インフルエンザが発見された

Swine flu with pandemic potential discovered in China
euronews.com 2020/06/30

新たに発表された研究によると、「パンデミックの可能性」がある新型インフルエンザウイルスが、中国の科学者たちによって確認された。

中国農業大学と中国疾病予防管理センター、そして英ノッティンガム大学の研究者たちは、豚に対するインフルエンザウイルスの監視の中で、G4 という新しい H1N1 インフルエンザ株が発見されたことを明らかにした。

PNAS で発表された研究では、「この G4 ウイルスは、パンデミックを起こす候補としてのウイルスであるすべての本質的な特徴を持っている」と研究者たちは述べている。

また、以下のように記している。

「懸念事項としては、豚に関係する労働者たちが G4 ウイルスの血清有病率の上昇を示していることだ。豚における一般的な G4 H1N1 ウイルスの抑制と人間集団、特に豚と関係する産業の労働者たちの綿密なモニタリングが、緊急に実施されるべきだ」

この G4 ウイルスは、今のところブタからヒトに伝染することはわかっているが、ヒトからヒトへ伝染するという証拠はほとんどない。だが、研究者たちはこのウイルスが「ヒトへの感染の増大性を獲得している」ことを強調した。

中国の 338人の豚関係の労働者に対して実施された血清学的調査では、調査した中の 10.4%が G4 ウイルスに陽性であることがわかった。中でも、18〜35歳の参加者たちの陽性率は 20.5%だった。

「このような感染性は、ヒトにおけるウイルス適応の機会を大幅に拡大すると考えられ、このウイルスがパンデミックに発展する可能性に対する懸念を引き起こしている」と研究者たちは述べた。

研究者たちはまた、ヒトインフルエンザワクチン株(季節性インフルエンザ)は G4 ウイルスに対する免疫を提供しないことを発見している。

アメリカ疾病対策予防センター(CDC)によると、2009年の新型インフルエンザの発生では、世界中で 157,000〜 575,000人が死亡した。

死亡者の 80%は 65歳未満の人々であったと推定されている。CDC によると、60歳以上の 3分の 1近くが 2009年のパンデミックウイルスに対する抗体を保有していることがわかっていて、これは、「より古い時代の H1N1 ウイルスへの曝露が原因である可能性が高い」という。


 

ここまでです。

この新しいウイルスである「 G4 」は、2009年にパンデミックを引き起こした新型インフルエンザウイルス株の特徴を持っているようなのですが、この記事にもありますけれど、アメリカ CDC は、この 2009年の豚インフルエンザウイルスに関してのページで、以下のように記しています。

2009年 H1N1 ウイルスは、若い年齢層は、ほとんどウイルスに対する既存の免疫(抗体)を持っていなかったが、60歳以上の 3分の 1近くの人たちはこのウイルスに対する抗体を持っていた。

2009年 H1N1 ウイルスは、すでに存在していた H1N1 ウイルス(季節性インフルエンザ)とは非常に異なっていたため、季節性インフルエンザのワクチン接種は 2009年 H1N1 ウイルス感染に対する防御をほとんど提供しなかった。CDC

今回、中国で発見された新型インフルエンザが、この 2009年と、どの程度に同様なのかはわからないですけれど、2009年の新型インフルエンザは、

・60歳以上の人たちの多くは免疫を持っていた

・季節性インフルエンザのワクチンには予防効果がない

という特徴を持っていたようです。

60歳以上の人たちの多くが免疫を持っていた理由としては、過去のどこかの時点で、この抗体となり得るインフルエンザが流行していた時があり、その時に感染していたために免疫を獲得したと CDC は推測しています。

2009年に 60歳以上ということは、現在は 71歳以上ということになります。

これと同様のこと、つまり「過去にインフルエンザに感染しているから、パンデミック時に感染しない」ということに関しては、以前、以下の記事で、米国アリゾナ大学とカリフォルニア大学の研究についてご紹介しています。

「1968年以前に生まれた人たちは鳥インフルエンザのパンデミックで死なない可能性」を示したアメリカの研究が示唆する「世紀末のメカニズム」
In Deep 2016/11/21

毎年流行の度合いの差異はありますけれど、季節になるとインフルエンザが流行しますが、「季節性インフルエンザに感染することには大きな意味がある」と私自身は考えています。

何のために季節性インフルエンザにかかるかというと、「将来のパンデミックで生きのびるため」だと、少なくとも私自身は考えています。

このあたりは完全に個人的な考えですが、以下の記事などで記しています。

大流行している季節性インフルエンザに「かかったほうが良い」科学的理由 : それはその感染が「来たるべき新型インフルエンザのパンデミックから命を守る」から
In Deep 2019/02/05

私自身は、地球上のあらゆる病原体が、ただ意味なく単純に人間を傷つけるためのだけに存在しているとは考えていません。

フレッド・ホイル博士は、ウイルスの存在は「人類という種(あるいはすべての生物)の進化のためにある」と述べていましたが、そのような面はあると思っています。

それはともかく、たとえば、2018年-2019年のシーズンは、東京などで壮絶なインフルエンザの流行がありましたが、その多くが「 10歳未満」でした。

インフルエンザ大流行、東京で過去最多の患者数  半数近くが10歳未満
医療介護CBニュース 2019/01/30

東京都のインフルエンザの1週間当たりの患者報告数が、 感染症法に基づく調査が始まった1999年以降で過去最多を記録したことが、 都がまとめた21日から27日までの週の患者報告で分かった。 小中学校などで学級閉鎖が相次いでおり、 患者が急増している自治体は警戒を強めている。

年齢別では、 10歳未満が全体の半数近くを占めている。

こういうことも、子どもたちの「防衛の準備」だと思っています。

もちろん、病気にかかれば、中には重症になる人がいて、あるいは亡くなってしまう人たちもいます。

でも、「それがこの世というものでは?」とも思います。

自然の摂理はこの世のすべてに関係するものだとは思います。

まあ、いずれにしましても、またも中国発の「新たな新型ウイルス」が登場してきたわけで、これがパンデミックに発展していってしまうのかどうかは今はわからないですけれど、ただ、これは、何ヶ月もの間、ずっと気になっていることですが、

「ロックダウンやステイホームで子どもたちの健康状態が悪くなっているのではないか」

という心配はあります。

大人も当然そうですが、しかし、特に太陽の光が必要で、動き回ることが必要である子どもたちが、それをできない期間を長く過ごしたということは、かなり致命的な健康の状態と関係してしまうのではないのかなという気はしています。

今後、子どもたちの熱中症や食あたりなどが、ふだん以上に増えるのではないかなと思っていますし、まして、新たなパンデミックが起きるとイヤだなと思っていました。

それでも、状況を考えますと「今後も何度もパンデミックが起きていくのだろうな」とも思ってもいました。

そして、パンデミックが起きるかどうかはともかくとして、そのようなことに結びつく可能性のあるウイルスが実際に出現してしまったと。

 

今は、大人も子どもも、世界的にみんな心身共に弱っている気がしますし、やや心配ではあります。

 

ところで、ウイルスには「干渉」という作用があることが知られていまして、それは、以下のようなものです。

干渉 (ウイルス学) - Wikipedia

ウイルス学における干渉とは 1個の細胞に複数のウイルスが感染したときに一方あるいはその両方の増殖が抑制される現象。

平たくいえば、「何らかのウイルスに感染している時は、他のウイルスの感染からは免れる」というようなことで、つまり、たとえば、「新型コロナウイルスとインフルエンザには同時には感染しない」というような原則です。

今後どのウイルスが社会を席巻していくのかは、今はまだわかりません。

今回見つかった中国の新型インフルエンザも、今後、世界に拡大していくかどうかはわからないですが、仮にそうなったとすれば、新型コロナウイルス対策で疲弊した人々には、重くのしかかる事象となるのかもしれません。

 
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