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7月26日にメルマガ混乱と混沌が発生するメカニズムと契機を発行させていただきました。

アメリカの憂鬱 人類の覚醒と真実 健康の真実

「アメリカでは毎48時間ごとに500人が医療ミスで死亡している」という天体物理学者による投稿が物議を醸す中、計算し直してみたら「48時間で1300人以上」だった件について

投稿日:

2019年8月6日の米国科学メディアより


sciencealert.com




 

最近のアメリカでは連日のように乱射事件で人命が奪われていますが、そのような中、8月4日、アメリカの著名な天体物理学者であるニール・ドグラース・タイソン (Neil deGrasse Tyson)さんという方が、2日間で 34人の方が犠牲になったということを引き合いにしながらも、以下のようなツイートを投稿し、それが物議を醸しました。

下はその投稿の一部です。

2019年8月4日のニール・ドグラース・タイソン博士のツイートより


Neil deGrasse Tyson

アメリカでは 48時間という時間のあいだに、これだけの数の人たちが、このような原因で亡くなっていると。

500人が医療過誤で死亡し
300人がインフルエンザで死亡し
250人が自殺で死亡し
200人が自動車事故で死亡し
40人が拳銃で撃たれて死亡している

 

これは、乱射の犠牲者の数との比較ということではなく、アメリカの医療従事者の人たちに対して、アメリカの医療をさらにより良くしてほしいというメッセージのつもりだったと博士は後に述べています。

しかし、この投稿の直後から、医療関係者あるいは科学関係者から、この投稿に対しての反対意見が相次ぎました。

つまり、

「アメリカでは、医療ミスでそんなにたくさんの人は亡くなってはいない」

という反論が相次いだのです。

冒頭のサイエンス・アラートの記事もまた、このタイソン博士の投稿の内容に異議を唱えるものでした。これは非常に長い記事で、アメリカの医療ミスの統計についての、さまざまな過ちの歴史などが書かれているのですが、この記事そのものは、ご紹介することに意味があるものとは思えませんでしたが、しかし、そういう医療研究の専門家の方々はともかくとして、私たち「一般人」にしてみれば、そういうものの正確な数値を知りたいのなら、

「最も権威のある医療統計を信じる」

という方法しかないような気もするのです。

たとえば、世界で最も権威ある医学誌のひとつに、イギリス医師会が発行するブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)があります。

その BMJ に、2016年に掲載された「医療過誤(医療ミス)」に関しての論文をご存じでしょうか。そこに掲載されている数が真実に近いものなら、何と、先ほどのタイソン博士が述べた数字よりもさらに、「医療ミスで亡くなっている人の数は多い」ということになってしまうのです。

以下は、その BMJ の論文について報じた AFP の記事です。

 


医療ミス、米国で死因3位

AFP 2016/05/05

医療ミスが米国における死因の3位になっているとの研究結果が、3日の英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に掲載された。

研究によると、2013年に、回避可能なミスにより死亡した人は少なくとも25万人に上った。この人数は、脳卒中とアルツハイマー病を合わせた死亡者数よりも多く、また、毎年それぞれ約60万人の死亡の原因とされる心臓疾患とがんに続き3番目に多い。

また、この人数には介護施設や通院患者は含まれておらず、これらを含めると医療ミスによる死亡はさらに多くなるという。

研究結果をまとめた論文の主著者で米ジョンズホプキンス大学医学部のマーティン・マケリー(Martin Makary)教授は「バクテリアや心臓疾患だけが死因ではない。人はコミュニケーションの失敗、医療の細分化、診断ミス、過剰投薬などによっても死亡する」と述べた。

マケリー教授は「これらを合わせると米国の死因3位になる」と続け、世界の保健問題において報告が実際より最も少ないのが医療ミスだと付け加えた。過去の研究によると、医療ミスによる死亡者は推計で年間25万~44万人に上る。


 

ここまでです。

この論文に対しても、多くの反対意見が出たと思われますが、しかし、西洋医学の世界で、「 BMJ に掲載されたジョンズホプキンス大学医学部の研究」を信じてはいけないのなら、私たち一般人は何を信じていいのだろう、という話でもあるのです。

ちなみに、このジョンズホプキンス大学の研究の数値に従うと、以下のようになります。

先ほど、タイソン博士は、「アメリカでは 48時間ごとに 500人が医療過誤で死亡している」としまして、そして、この数値に対して「そんなに多いわけがない」という反論をたくさん受けたのですけれど、上の報道にありますジョンズホプキンス大学の研究によるアメリカでの医療過誤での死者数の推計値の中の「最も少ない数」である 25万人だとすると、

250000 ÷ 365 = 684人

となり、「 1日平均で 684人の方が医療ミスで亡くなっている」ことになります。

ということは、48時間で 1368人となり、タイソン博士の数より、さらに大きなものとなりまして、

アメリカでは 48時間ごとに 1300人以上が医療過誤で死亡している

ということになってしまうのでした。

あるいは、ジョンズホプキンスの研究での最大値である「 44万人」ですと、

アメリカでは 48時間ごとに 2400人以上が医療過誤で死亡している

ということになります。

また、上の AFP の報道では、

> この人数には介護施設や通院患者は含まれておらず、これらを含めると医療ミスによる死亡はさらに多くなるという。

という下りがあることから、医療過誤による現実的な死亡数は、相当なものとなっている可能性があります。

特に、過剰投薬に関しては、結果として、かなり多くの人に害を与えていると思われます。

たとえば、頭痛や関節痛などの時に誰でも服用する「鎮痛剤」ですが、一般的に処方される消炎鎮痛剤のほぼすべてが「非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)」と呼ばれるもので、この薬の「致死率」もかなりのものです。

私も、十数年前に、整形外科で処方されたボルタレンという非ステロイド性抗炎症薬を服用している中で胃潰瘍を発症し、その後、深夜に大吐血をして救急病院に運ばれ手術をして入院するハメになったという思い出があります。

こういう薬の副作用などについては、一般的には医療過誤には入れられませんが、医療過誤に「薬の害」の事例を含めますと、相当な数になっていくと思われます。

なお、先ほどの鎮痛剤に関して、非ステロイド性抗炎症薬 - Wikipedia には、以下のような記載があります。

NSAIDsを処方された患者の10~20%に消化器症状が現れ、アメリカでは年間に10万人以上が入院し、1万6500人が死亡している。また、薬剤が原因の救急患者の43%をNSAIDsが占めている。

日本人の場合は、アメリカ人より、ピロリ菌という胃に炎症を発生させやすい細菌を胃に持つ人が多いですので、アメリカでの事例以上に、鎮痛剤から胃潰瘍になる方は多いと思われます。

ちなみに、ピロリ菌に関しては、私の自身の経験(ピロリ菌の除菌)から、「ピロリ菌は、人間にとって悪さをする細菌ではない」と確信していますが、それについては以下の記事などをご参照下さればと思います。除菌したことは本当に誤った選択だったと思いますが、一度除菌されたピロリ菌が戻ることはありません。

ピロリ菌の除菌は、結局「胃ガンの発症リスクを増加」させていることに気づき、そこから「統合失調症の原因は腸内細菌の変化」だという医学研究を思いだすまで

そして、最近は、以下の記事でご紹介しましたけれど、なんということもない症状に使われる「ありふれた薬」が、認知症の発症リスクを増加させていることなどもわかってきています。

花粉症の薬や風邪薬、胃薬にパーキンソン病の薬、そして抗うつ剤や抗不安剤……多くの「抗コリン」一般薬が、認知症発症のリスクを著しく増加させていることが判明

その認知症発症リスクの増加ぶりは、それほど軽視できるものではなく、こういうものは、医療過誤とは言われないものですけれど、「何とかしたほうがいいのではないか」とは思ったりすることもあります。

 

なお、アメリカ人の死因の上位は、以下のようになっています。


CDC

1位の心臓疾患で亡くなる方と、2位のガンで亡くなる方が、それぞれ年間 60万人くらいですが、医療過誤での死亡数に関しては、先ほどのジョンズホプキンス大学の研究の「 25万人から 44万人」という数字を照らし合わせれば、ガンの次の 3位ということになりそうです。

私個人としては、先ほど書きましたように、「薬による幅広い副作用の影響」を考慮すると、あるいは「死因の 1位なのかもしれない」と思うこともあります。

とはいっても、これは医療を非難しているわけではありません。西洋医学というものは、そもそもが「仕方のない犠牲」の上に進んできたものだということの前提上にあると私は理解しています。

副作用のない西洋薬というものが存在しないように、西洋医学そのものの中に「何かを犠牲にして何かを治す」という思想は常にありまして、その思想の流れの中では、医療過誤による死亡数が多いことは当然でもあるのかもしれません。

なお、医療過誤のような経験をしないための唯一の方法は、「医療にかからない」ということになるのでしょうけれど、現実の世の中は、それとかけ離れていることなどを含めまして、なかなか難しい時代です。





  • この記事を書いた人

Oka In Deep

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