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ストレスは「DNAレベル」でヒトの肉体を根本的に改変する(だからどんな健康法もどんな健康医療もストレスには勝てない)

      2017/11/10

2017年10月24日の米医学メディアの記事より

Medicalx Press

ストレスが、肉体や精神の健康に対して、極めて重要なおこないをするということは今ではよく言われることですし、特別に言われなくても、誰しも「ストレスばかりの生活が良いわけがない」とは思うところだと思います。

しかし、今では、そういう感覚的な部分を超えて、ストレスが「人間を根本的に変化させている」ということについて、医学と生化学の世界で「実際的な結果」として数多く示され続けています。

今回は、アメリカの医学メディアに出ていた冒頭の記事をご紹介すると共に、過去記事で取りあげた関連する内容も再度ご紹介したいと思います。

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DNAの改変は、ガンやうつ病を含むさまざまな肉体と精神両方の病気の原因に

今回ご紹介する記事の内容は医学専門メディアの記事ということで、出てくる単語も内容そのものも難しいです。専門用語はやや平易なものに置き換えたりしていますが、それでもわからない部分は多いですけれど、結局は、

「ストレスが DNA にメチル化と呼ばれる変化を引き起こすことがわかった」

ということが主要な概要となります。この「メチル化」というのを正確に説明することは私にはできず、たとえば、DNAメチル化 – Wikipedia を引用したとしても、

DNAメチル化とは、DNA中によく見られるCpG アイランドという配列の部分などで炭素原子にメチル基が付加する化学反応。エピジェネティクスに深く関わり、複雑な生物の体を正確に形づくるために必須の仕組みであると考えられている。

と、あまりよくわからないのですが、「いまだにそのメカニズムがはっきりとわかっていない DNA の変化」というように私たちは考えていいように思います。

これは大ざっぱにいうと、下のような塩基といわれる部分に変化が起きることです。

nuketext.org

この「DNA のメチル化」というものは、良いとか悪いとかというものではなく、それそのものは生体すべてのための重要なメカニズムで、たとえば、「遺伝子発現の制御をおこなう」ということで、生命の誕生そのものに大きく関わっているのですが、人間が誕生した後のこととして、

・DNAメチル化が発ガンに大きく関わっている

・ヒトの長期記憶の保持はDNAメチル化によって制御されている

・DNAメチル化が精神神経系の病気と関係している

などがわかっています。

要するに、乱暴にいえば、「 DNA のメチル化があるからヒトはガンになったり、メンタル系の疾病になったりする」というようなことも言えるのですが、では、「DNAメチル化がなければいいのか」というと、そういうことではないとは思われます。しかし、おそらく、この「 DNA のメチル化」というものが多発することにより、ガンの発生や、メンタル系の病気の発生、あるいは認知症も関係している部分もあると思いますが、それも増えるということになります。

この DNA のメチル化がどうして起きるのかというのは「わかっていない」ことであり、謎に包まれていたものなのですが、今回、アメリカのエモリー大学の研究者たちの実験より、

「ストレスでそれは起きる」

ということが明らかになったということです。

つまり、「ストレスがガンや精神系の病気を作り出す」ということは感覚的な意味ではなく、「ストレスが DNA を改変し、そして病気になる」という道筋となっている可能性がとても強いです。

以前、

アルツハイマー病の最大の原因が「ストレス」である可能性がアイルランドの大学の研究により突き止められる
 2015/10/23

という記事を書かせていただいたことがありますが、これは「ストレスが、脳の中にアミロイドベータというアルツハイマー病の原因となる物質を増やす」ことが研究でわかったというものでした。これも、後で一部抜粋しておきたいと思います。

 

日本を含めた今の主要国の社会というのは、多くの人々が大変に健康に気をつかっていて、食べる物や日頃の生活において「歴史的に見て異常なほど健康に気をつかっている」ということになっていて、高齢の方なども、いつまでも若くと頑張り続ける人がとても多い………………のに「病気はとめどなく増えている」という現実

以前から感じていますが、「今の世の中は《生きているだけでストレスにさらされ続ける》社会」となっていることが原因かとは思います。

何もかもストレス的ではありますけれども、それでも、かつては「夜になれば、ひとりに、あるいは家族だけで過ごせた」のですが、今は違います。スマートフォンや SNS の普及のおかけで「他人から隔離されているリラックス状態」は崩壊しました。

起きている間中、かつてなかった緊張とストレスに見舞われ続けている毎日。

ガンを含めた病気がすさまじく増加している原因、そして、認知症が歯止めが効かないほど増加している原因をここに求めるのは奇妙でしょうか。

というわけで、冒頭の記事をご紹介します。なお、文中に出てくる、うつ病の検査としての「強制水泳試験」と「尾懸垂試験」は、マウスにおこなうもので、人間を対象にしたものではありませんので、ご安心下さい。


Mysterious DNA modification seen in stress response
Medicalx Press 2017/10/24

ストレス応答に見られるミステリアスなDNA修飾

ゲノミクス(ゲノムと遺伝子について研究する生命科学の一分野)の進歩により、科学者たちは、動物の DNA 配列から次々と追加の構成要素を発見している。

そして、発見される DNA の珍しいメチル化による改変(DNAのメチル化修飾)は何か特別な意味を持っているのだろうか。それとも細胞のメカニズムが間違いを起こした徴候というだけなのだろうか?

ジョージア州アトランタにあるエモリー大学医学部の遺伝学者ペン・ジン博士(PhD. Peng Jin)は、いまだに理解されていない動物における DNA の変化、すなわち DNA アデニンにおけるメチル化を研究している。そして、博士たちは、DNA のメチル化が、ストレス条件下で脳内に多く現れ、神経精神障害において役割を有していることを見出した。

この研究結果はネイチャー・コミュニケーションズに掲載される。

DNAのメチル化とは、DNA 中の配列の部分などで炭素原子にメチル基が付加する化学反応のことだ。DNA のシトシン上のメチル化は、一般に遺伝子を遮断し、DNA 遺伝子自体を変更することなく DNA コードをどのように読み取るかを細胞が変化させるエピジェネティック的な調節の重要な部分となっている。

DNA のアデニンにメチル化が現れるとどうなるのだろうか?

バクテリアの場合では、メチル化したアデニン( N6 – メチルアデニン)は、ファージというバクテリアに感染するウイルスによる細胞内への侵入に対して防御する方法の一部となる。

そして、このエピジェネティック的な変化は、細胞のメカニズムの間違いなどではなく、その機能の完全な説明を待っていた。

研究論文の著者であり、エモリー大学人間遺伝学の助教授であるビン・ヤオ博士(PhD. Bing Yao)は最近、 DNA 配列の新しく見出された部分を調べるために、自身の研究所を設立した。ネイチャー・コミュニケーションズの論文で両博士は、うつ病の研究のための標準モデルである強制水泳試験、および尾懸垂試験において、ストレスを受けたマウスの脳の前頭前野を調べた研究について発表した。

この状況下で、ストレスを受けたマウスの脳細胞の DNA 中のメチル化したアデニンの存在量は 4倍に増加したことを科学者たちは見出した。

DNA の変化は、液体クロマトグラフィー/質量分析および、メチル化したアデニンに対する抗体への結合の 2つの繊細な技術で検出された。

メチル化したアデニンは、ゲノムの特定の領域に限定されて存在すると考えられる。

変化した DNA の構成要素(メチル-A)は、遺伝子間の領域に多く見られ、タンパク質をコードするゲノムの部分からほとんど除外されていた。

メチル-Aの喪失は、ストレスによって上方制御される遺伝子と相関し、活性遺伝子の周りで何かがそれを除去していることを示唆している。

ストレスから誘導されるこれらのメチル化した遺伝子は、精神神経障害に関連する遺伝子と重複しているが、しかし、より多くの調査が必要な関係性でもある。

科学者たちは、ストレスに応答する異常な DNA の変化は、DNA結合タンパク質を異所的に生成されること(本来発現する場所以外で遺伝子が発現しタンパク質が生成されること)によって精神神経的疾患の発症に寄与すると推測している。


 

ここまでです。

まあ、やっぱりわかりにくくはあるのですが、これ以上はわかりやすくすることができなくて申し訳ないです。

ところで、関連としまして、過去記事で、

・子ども時代のストレスが DNA の構造に影響を与え、将来の寿命を縮める

・ストレスが認知症を誘発することについて

に関して取りあげたことがあり、その海外の報道をご紹介したものから抜粋しておきたいと思います。

記事は、

ヒトは幼少期のストレスで《染色体の生命の回数券》テロメアが短くなることで老化が加速し、寿命が短くなることが判明
 2016/10/05

アルツハイマー病の最大の原因が「ストレス」である可能性がアイルランドの大学の研究により突き止められる
 2015/10/23

です。

翻訳全文はこれらの記事にありますのでご参照いただければ幸いです。

まずは、子ども時代のストレスと DNA の損傷に関しての記事からの抜粋です。

子ども時代のストレスが細胞レベルで人の寿命を短縮することが科学者により判明

Scientists: burdens in the childhood reduce life at the cellular level

小児期における離別や悲痛が DNA の損傷に対して保護をする役割を持つ染色体の先端部分にあるテロメアの長さを減少させることが判明した。テロメアの長さの減少はヒトの細胞の老化を意味する。

テロメアは、人体の各細胞の核にある染色体の末端部分にある部位で、DNA を損傷から保護する働きをもつ。テロメアは、細胞分裂を繰り返すたびに徐々に短くなっていき、短くなると染色体は不安定になり、最終的に分裂をしなくなる。その時に細胞は死滅する。

つまり、テロメアの長さが短いほど、細胞の死滅が近いということになり、それは老化を意味する。

 

最近、科学者たちは、テロメアの長さが加齢の状況だけで変化するのではないことを見出した。

加齢だけではなく、うつ状態、経済的困難、そして、ストレスと結びついた構造体の中でのプロセスの結果として、テロメアの長さが変化することがわかったのだ。また、親しい人との離別と孤独は、より強くテロメアを短くすることもわかった。

ブリティッシュ・コロンビア大学の科学者が率いる研究チームは、小児期にストレスが多い状況で過ごした場合、それが、テロメアの長さと細胞の健康に影響するかどうかを確かめる大規模な調査を実施した。

この研究のために、科学者たちは約 4600人のアメリカ人の高齢者を分析した。これは、染色体におけるテロメアの長さと老化の関係を調べるものとしておこなわれた調査としては、アメリカで最大規模のものとなる。

その結果、小児期における有害要因がテロメアが短くなる結果と結びつくことを示し、高齢者において寿命を短くさせることを加速させた。その場合、テロメアが平均で 11%短くなっていることが示された。

 

というように、幼少期のストレスが、「そのヒトの寿命を短くしている」ことがわかったというものです。

次は、ストレスとアルツハイマー病の関係についての 2015年のアメリカの報道の翻訳からの抜粋です。

アルツハイマー病の発症とストレスの関係についての新しい研究

World Alzheimer’s Day 2015: New Study Associates Stress With The Development Of The Disease

ダブリン大学の研究者たちは、ストレスとアルツハイマー病の発症との間の画期的ともいえる関連を発見した。

研究者たちによると、人は、プレッシャーやストレスの下にあるとき、副腎皮質と呼ばれるホルモンが放出される。これらのホルモンは、アミロイドベータ(アミロイドβ)と呼ばれる化学的物質の断片の産生の引き金になる。アミロイドベータは、認知症に罹患している患者における記憶喪失を引き起こすことが知られているタンパク質を形成する。

今回の研究の間、研究者たちは、多くのストレスにさらされた実験室のマウスの対照群は、脳におけるアルツハイマー病と関連するタンパク質の多くを示したことを発見した。

ストレスにさらされたマウスたちは、また、彼らの脳内にアミロイドベータのタンパク質の凝縮を示した。これは、アルツハイマー病の発症に重要な役割を果たすことが知られている特定のタンパク質だ。

研究者たちは、この知見を人間の脳細胞に置換した。チームは、これを、人間の脳細胞における副腎皮質刺激ホルモンの放出因子であると見なし、また、アルツハイマー病に関与するアミロイドタンパク質のレベルの増加を発見した。

 

ここまでです。

これらの過去記事を載せましたのは、「ストレス」という存在は、一般的な概念をはるかにうわまわるほど「病気の誘発要素として強い」ことが、医学的研究で非常に明らかになっている発見が次々と見出されているということをご紹介したかったからです。

しかしまあ、現実として、今の社会がストレスが軽減される方向に向かうとは考えがたい面があり、そのことから「今後もあらゆる病気は増えていく」ということは既定路線だと考えられます。

あらゆる健康法や食生活や健康診断も、ストレスの前には無力に見えます。なぜなら、DNA を改変できるような食べ物も健康法も基本的にないですが、「ストレスは DNA を改変できる」からです。パワーに差がありすぎます。

今の社会は、本来なら、このことに本気で向きあう必要があると思いますが、もはやその余裕は個人にも国家にもなく、そして医療費はさらに膨らみ続け……。

そんな現代であり、近い未来もそれほど変わるのかどうかは何とも言えません。



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