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2019年からの世界 人類の未来 拡大する自然災害 日本の未来

全世界に「極端な夏の寒波」が到来。そして、アメリカ海洋大気庁の予測からは、秋からの日本はさらに平年より寒くなっていく可能性が浮上

投稿日:2019年7月9日 更新日:

世界中に広がる「夏の寒波」を報じる海外メディア


electroverse.net




 

全世界を覆いつつある異様な寒気

少し前、以下の記事で、ヨーロッパの気温が「熱波から一転して、記録的な寒波」になったことをご紹介しました。

狂った気候と気温の中で、世界の食糧生産地帯を見てみれば

この記事に書かれてあることは、7月5日くらいまでの世界の気象や気温についてでしたが、その後の数日で、

「全世界の気温が、ほぼ寒冷化に向かいだした」

ということが起きていますので、ご紹介したいと思います。

日本も、昨年あたりと比べますと、非常に気温の低い夏となっていますが、他の国や地域では、その寒さのレベルが違います。

すでにドイツやオランダでは、以下の記事にありますように、7月としての観測史上最も低い気温が観測されていますが、今後同じように気温の記録が更新されていく地点が増えていくものと見られます。

ヨーロッパの「夏の超寒波」が拡大。ドイツでは7月として観測史上最も低い気温が全土的に記録される

世界の気温状況を掲載していた記事から、現在の状態をご紹介したいと思います。

なお、記事に出てくる地図の中の「気温の色分け」は以下のようになっています。

おおむね、「濃い青から紫」で示されている場所は、平年より 5℃から 15℃ほど気温が低いことをあらわします。

ここからです。

 


PERSISTENT “WORLDWIDE COLD” BRINGS SERIOUS BREADBASKET CONCERNS
electroverse.net 2019/07/08

持続する「世界的な寒波」が穀倉地帯に深刻な懸念をもたらしている

世界最大級の数々の穀倉地帯が今年は苦戦している。

寒冷前線の後に、さらに寒冷前線が続くような状態が、地球上で最も広大で最も重要な穀倉地域の数々を攻撃し続けている。その範囲は、東アジアからカナダ、アメリカ、そして、ヨーロッパからブラジルにまでに広がる。

それらの国や地域では、多くの農家の人々が 、歴史的に低い太陽活動に関連する弱いジェット気流によってもたらされていると見られる予測不能な気象パターンに対処するのに苦労している。

 

東アジアの現在の状況

中国では、毎年、夏になると野菜価格が下落するが、慢性的な供給不足から考えれば、中国での季節的な野菜価格の下落は今年は起きないだろう。

中国では、2019年の第 1四半期中に、持続的な寒波が発生し、そのために、日照時間が少ない地域が広がっており、また、6月には記録的な降水量を観測された。

そして今後、7月もまた、容赦ない異常な寒波に見舞われる可能性がある。

2019年7月8日の東アジアの平年との気温の平年との差異の予測

GFS

この東アジアの異様な寒さは、アメリカ海洋大気庁によれば、少なくとも 7月19日まで続くと予測されている。

2019年7月19日の東アジアの平年との気温の平年との差異の予測

GFS

さらに、日本の気象庁は 7月7日に、今後 2週間、日本列島全域が平年より気温が低くなるという予測を発表し、農作物管理に注意を呼びかけた。


気象庁

 

カナダとアメリカの現在の状況

カナダには、カナディアン・プレイリーズと呼ばれる豊かな穀倉地帯がある。

サスカチュワン州はさらにカナダの主要な穀倉地帯として名高い。

最新の予測では、今後、平均 16℃以下の気温差をカナディアン・プレイリーズの中心にもたらすと見られる寒気がやって来る。これは、アルバータ州中央部からテキサス州中央部まで 2400キロメートルにわたり続くアメリカの重要な小麦地帯にも影響を与える。

2019年7月9日の北米の気温の平年との差異の予測

GFS

 

 

ヨーロッパの現在の状況

ウクライナは、豊かで広大な土壌を持ち、また農作に条件の良い気象を持つために、「ヨーロッパの穀倉地帯」とも呼ばれている。

しかし、今年の夏は、少し違うことになりそうだ。

2019年7月9日のヨーロッパの気温の平年との差異の予測

GFS

ウクライナにかかると予測されている、地図でピンクがかった紫色で示される強力な寒波が懸念されている。

ウクライナは、ロシア、EU、そして中国などへの輸出を中心として、世界中に相当量の穀物、野菜、テンサイ、ヒマワリの種、牛乳、肉などを輸出している。

加えて、近年、ロシアの小麦生産量が上がっており、西暦 2000年から倍増している。そのため、メキシコやエジプトなどがロシアからの小麦の輸入に頼っている。

しかし、この気温予測からは、ロシアの小麦生産も減速する可能性があり、かつてあったように、ロシアが小麦の輸出を法律で禁止した場合、世界的に大きな影響をもたらすと思われる。

 

 

ブラジル及び南米の現在の状況

ブラジルは世界の食料生産の 25%を占めている。そこには、砂糖、大豆、タバコ、コーヒー、綿、およびオレンジジュースが含まれる。

このブラジルでも、最新の予測によれば、7月は異常な寒波に見舞われているように見える。ボリビア、パラグアイ、ウルグアイ、ペルー、エクアドルも同様に寒波の影響を受けるだろう。

2019年7月7日の南米の気温の平年との差異の予測

GFS


 

ここまでです。

記事の中に、ロシアの小麦に関しての記述がありますが、ロシアは、今から 9年前の 2010年に、その時は寒波ではなく猛暑と山火事が原因でしたが、農作物に壊滅的な被害が出たために、「小麦の輸出を全面的に禁止した」という前例があります。

その時のワシントンポストの報道を、当時の(翻訳した記事だけ掲載していた時代です)In Deep のこちらに載せていますが、その冒頭部分を載せたいと思います。熱波と寒波の違いをのぞけば、今年と状況が似ていることがわかります。

ロシアが干ばつと火災の作物の荒廃により小麦の輸出を禁止

ワシントンポスト 2010/08/05

ロシア政府は、激しい干ばつと火災のために国の作物の5分の1を失い、国の非常備蓄制度に従い、穀物輸出を禁止すると(2010年)8月5日に発表した。

世界でもっとも小麦輸出量の多い国のひとつであるロシアの輸出禁止措置発表を受けて、シカゴ商品取引所では正午までに小麦価格は 8.3パーセント上昇し、過去 2年間の最高値を更新した。

穀物価格は世界の他の地域での異常気象の影響も受けている。

カナダでは大雨で作物の多くを失い、カナダ政府は小麦生産が 35パーセント低下することを予測した。世界でもっとも人口の多い中国では、この 10年間でもっともひどい洪水に見舞われ、コメの生産が 5パーセントから 7パーセント減少すると予測している。中国は世界に供給されるコメのおよそ3分の1を生産しており、シカゴ商品取引所では 7月1日以来、コメ価格 は15パーセント上昇した。

アメリカは小麦農家にとって明るい展望の見える唯一の国と言える。アメリカ農務省は、約 10億ブッシェルの小麦の余剰を予測している。そしてこれは、他の国の小麦不足はアメリカの小麦産業により不足を埋められることを意味する。

 

このように、2010年は「アメリカで小麦が豊作だった」ことが今年と大きく異なります。今年は「アメリカの小麦が最も影響を受けている」という状態です。

9年前は、世界中が熱波に見舞われていたことに対して、今年 2019年は、「寒波が世界すべての穀倉地帯を狙ってやって来た」というような感じの分布となっているのでけすけれど、それと共に思うのは、

平年より異常に気温の低い場所

平年より異常に気温の高い場所

が隣り合っているような場所も各地域にあり、こういう気温の状態は、ものすごい悪天候を生みやすい状況でもありそうです。

気温の問題も大きいですが、大雨や雹嵐、突風などによる農作物被害も起きやすい状況なのかもしれません。

もちろん、この 7月の状態が夏の間中続くというわけではないでしょうが、しかし、夏のこの時期は、農作物管理にとても重要な時期のようにも思いますので、国や地域によっては、厳しい場所も出てくるのかもしれません。

そして、それを過ぎると、子今度は台風シーズンにもなりますし、いろいろ波乱の要素は続きそうです。

それと共に、いわゆる「エルニーニョ」に関しての世界予測が急速に変化してきていることについて少しふれておきます。

 

 

エルニーニョが夏の間に突然ラニーニャに変転する可能性

現在、太平洋の赤道付近の海水温度が通常より高くなるエルニーニョ現象が起きていますが、6月までの予測では、このエルニーニョは「ゆっくりと変化しながら、秋まで続く」と予測されていました。

エルニーニョの逆の現象で、太平洋の赤道付近の海水温度が「低くなる」というラニーニャというものがあるのですが、少なくとも、今年、ラニーニャが発生するという予測は、6月の時点ではほぼ示されていませんでした。

ところが、最新のアメリカ海洋大気庁(NOAA)などによる予測では、

「秋頃からエルニーニョがラニーニャになる可能性」

が、少なからず出されているのです。

わかりやすいグラフではないかもしれませんが、以下は最新の、今後の太平洋赤道付近の海水温度の予測シミュレーションです。

基本的に、平年より 0.5℃海水温度が高ければエルニーニョ、0.5℃低ければ、ラニーニャということになるようですが、複数の予測ラインのうちのいくつかは、「 8月頃からラニーニャの基準に達する」ことを示しています。

太平洋赤道付近の海水温度の予測シミュレーション


CFSv2

これを見ますと、現在の 7月の時点で、「すでにエルニーニョは終わっている」ようにも見えるのですが、それはともかくとして、今後、急速に該当する海域の海水温度は低くなっていくと予測するシミュレーションも多くなっています。

描かれている複数のシミュレーションのラインの中には、エルニーニョが継続することを示すものもいくつかありますので、どちらへ行くのかは結局、その時期が来ないとわからないのですけれど、仮に唐突にラニーニャになっていった場合、またも気温が大変なことになる可能性はあります。

エルニーニョになるとこうなる、とか、ラニーニャになるとこうなる、というような決められた傾向があるわけではないですが、一般的には、日本においては、

エルニーニョ → 夏の低温、梅雨の長期化、冬の高温

などが言われていまして、ラニーニャはこの逆となります。つまり、

ラニーニャ → 夏の高温、冬の低温化

となることが多いとされています。

仮に、秋からラニーニャになるとしたなら、場合によっては、今年は、

「夏も秋も冬も寒い」

という流れが起きないとも限らない可能性が出ています。

ただ、今の日本の低温で雨が多い状態が、エルニーニョの影響かどうかはわかりません。その理由は「世界全体の状況でも、各地で低温と大雨が見られている」からでして、日本においては、エルニーニョの影響は起きているにしても、他の影響も多くありそうです。

日本では、少なくとも、あと 2週間は同じような天候と気温が続くと気象庁は述べていまして、その先がどうなるかは今のところはわからないですけれど、世界全体で気候と気温の問題はますます大きくなっていく可能性があります。





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