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3月15日にメルマガニネベの年に起きること。そしてガンと寄生虫の関係を発行させていただきました。

2020年からの世界 人類の未来 日本の未来

世界全体で食品流通が崩壊しようとしている。そのような中、国連とWHOは世界的な食糧危機が「数週間以内に起きる可能性」を警告

投稿日:2020年4月2日 更新日:


4月1日の報道より。siasat.com




 

予想より早く食糧危機が到来した理由は「封鎖と移動の制限」

むかしから、散歩がてら、いろいろなスーパーを覗くのが習慣なんですが、私の住んでいる場所は、ベッドタウンであるせいなのか、徒歩圏内に 6つの大きなスーパーがある立地でもあります。

最近は、食料などの一部の商品に「お一人様3つまで」というような表示が見られるようになりましたが、本日、近所のスーパー中で、唯一、食べ物に対しては購入数の制限をしていないスーパーを見てみましたら、今日になり「いろいろなものが売り切れになっている」のでした。

麺類やレトルト、あるいは小麦粉とかホットケーキの粉などの「粉類」の棚はかなり空になっていまして、ここに来て、何かの報道でもあったのかどうか知らないですけれど、また急激にパニック買い的なことが起きている面もあるようです。

このような身近な変動はともかくとして、昨日、食糧農業機関(FAO)、世界保健機構(WHO)、世界貿易機関(WTO)の 3つの国際機関の各事務局長が、

「各国が協調しなければ、食糧危機の発生を防ぐことができなくなる」

という共同声明を発表していました。

それを取り上げていた海外の報道をご紹介したいと思います。

現在、国境の封鎖や移動の制限により、農業は生産から流通までが「破壊」されつつあるようで、また、いくつかの食料生産国は、食物の輸出禁止措置を打ち始めています。

新型コロナウイルスの流行が始まった頃、アフリカや南アジアでは、イナゴ(サバクトビバッタ)のかつてない大群が発生し続けていることなどを含めて、「食糧危機が近いのかも」というようなことで、以下の記事を書いたのが、2月18日でした。

大規模な飢餓の発生を懸念する武漢の人たち。しかし、新型コロナや過去最悪のイナゴ被害、中国での鶏の大虐殺などは、世界すべてに「想像できないような飢餓の時が迫っている」ことを示す
投稿日:2020年2月18日

しかし、この記事を書いた時には、そのような危機が来るにしても、夏以降とか、つまり、ゆっくりと影響が出てくるのだろうと思っていましたが、現実には「いつ始まっても、おかしくない状態」となっています。

この原因は、各国が無分別に続けている封鎖と移動の制限にあり、これが続く限り、食料生産と供給チェーンがすべて崩壊の危機に直面する可能性があることを報道は伝えています。

記事をご紹介します。


コロナウイルスの影響で世界は食糧危機に直面する可能性がある

Coronavirus impact: World could face food crisis
siasat.com 2020/04/01

各国政府の当局者たちが、進行中の新型コロナウイルス危機を適切に管理できなかった場合、世界的な食糧不足が発生する可能性があることを 4月1日に、食糧農業機関(FAO)、世界保健機構(WHO)、世界貿易機関(WTO)の 3つの国際機関の代表が警告した。

 

国際貿易、食品サプライチェーンの減速

各国政府の多くが、新型ウイルスの蔓延を遅らせるために、自国において国家封鎖あるいは都市封鎖(ロックダウン)の措置を実施している。しかし、これが、国際貿易と食物供給システム(サプライチェーン)における深刻な減速をもたらした。

一方、封鎖された都市で孤立した人々によるパニック買いは、多くの国でスーパーマーケットの棚を空にしており、どのような国であっても、すでに食糧サプライチェーンの脆弱性が示されている。

国連食糧農業機関(FAO)長官の屈冬玉(チュー・ドンユィ)氏と、WHO 事務局長のテドロス・アダノム氏、そして世界貿易機関(WTO)事務局長のロベルト・アゼベド氏の三者は 4月1日に署名した共同文書で「食糧の入手可能性に関する不確実性は、輸出制限の波を引き起こし、世界市場に不足をもたらす可能性がある」と述べている。

そして、これはすでに具体的な状況となって現れている。たとえば、2007年の世界金融危機後、コメの大生産国であるインドとベトナムは、予想される価格上昇を防ぐために輸出を制限した。その結果、コメの価格が高騰したため、途上国のいくつかの地域では食糧暴動が発生した。

そして、今、ベトナムはまたコメの輸出を禁止する法令に署名した。少なくとも、3月28日までは、ベトナムは海外へのコメの輸出を許可しない。また、小麦の主要輸出国であるカザフスタンは、3月初めにソバ、ライ麦粉、砂糖、ニンジン、ジャガイモの出荷を禁止した。

現在、ロシアの当局者たちが小麦の輸出を制限しているため、国際機関のこの警告は、主にロシアに向けられている可能性がある。

 

食品のサプライチェーンを混乱させてはいけない

国際機関の共同声明は、「 COVID-19 の封鎖の中、特に食糧不足を回避するために、貿易が可能な限り自由に流れるようにあらゆる努力を払わなければならない」と述べている。

共同声明は、「各国の国民の健康と福祉を保護するために行動するとき、各国は貿易関連の措置が食糧サプライチェーンを混乱させないないように行動するべきだ」と付け加えた。

封鎖対策と移動の制限は、長期的には、農業労働力が利用できないことと食品を市場に届けられないことにより、農業生産の混乱を引き起こすリスクがある。

「農業や食品業界の労働者の移動の制限、食品容器の配達遅延の拡大などの混乱は、生鮮食品の腐敗や食品廃棄物の増加をもたらす」と 3人の事務局長は述べた。

今回の国境の閉鎖は、主要国のいくつかの国で、作物を生産するために外国人労働者たちにどれだけ依存しているかを明らかにした。

 

危機の始まり

たとえば、アメリカは、現在、メキシコからの季節農場労働者の不足により、多くの作物の生産が危険にさらされている。西ヨーロッパでは、北アフリカと東ヨーロッパからの労働者の不在が同様の結果を生み出す可能性がある。これは、解決策がすぐに見つからない限り、深刻な事態を招く可能性がある。

食糧農業機関の上級エコノミストであるアブドルレザ・アッバシアン氏は「私たちはこの危機の始まりに立っているに過ぎません」と述べ、特に生産そのものより、輸送と物流の問題が大きいという。

アッバシアン氏は、現在、インドの状況を注視している。全土の封鎖が、さらに 2週間にわたって続いた場合、何が起きるか。インドは、人口の規模が大きく、また輸出国としての重要な役割を持っており、今後のインドの状況は大きな影響を及ぼすと確信している。

「農作物の収穫は、あと数週間内に始まります。その際において、農作物の流動的な動きが保証される必要があるのです」とアッバシアン氏は、電話インタビューで AFP に語った。

国連食糧農業機関、WHO、世界貿易機関の指導者たちはまた、多くの人たちの健康のために、食品の生産、加工、流通に従事する従業員を保護し、食品のサプライチェーンを維持する必要性を強調した。

イタリアとフランスでは、スーパーのレジの人々の多くが新型コロナウイルスに感染し、それらの店舗では、スーパーの労働者たちを保護する手段と設備の不足に対してのストライキが行われた。

アメリカの上級階級向け食料スーパーマーケットの「ホールフーズ・マーケット」も営業の停止に直面している。

ここ数年は、アメリカの国際協力が機転をみせ、ドナルド・トランプ大統領は国際協定や制度を利用し、貿易戦争をたびたび起こしている。

しかし、国際機関のトップたちは、新型コロナウイルスと戦うための対策によってもたらされる食糧不足を回避するために、各国が協力する必要があると述べた。


 

ここまでです。

基本的には、以下のふたつの問題が重なっているようです。

・移動の制限によって、物流に混乱が起きている

・多くの主要国が、農業労働力を外国人に頼っていたため、国境の封鎖によって、その労働力が失われ、農業自体が立ち行かない

なお、国連食糧農業機関は、4月から 5月にかけて混乱が起きる可能性があると声明で述べています。

アメリカの CNBC は、今後のアメリカの食料供給の見通しについて、

現在のところ、アメリカでの食料供給は十分であり、混乱は最小限に抑えられている。しかし、FAO によると、価格の急騰は、十分に供給されている主食よりも、肉や生鮮商品などの高価値製品で起きる可能性が高いという。 CNBC

と記しています。

現在、世界の主要国の多くは、コメや小麦などの備蓄は大量にあるため、主食が手に入らなくなるというようなことはすぐには起きないでしょうけれど、今後、生鮮品などの価格が影響を受けてくる日も出てくるのかもしれません。

また、アメリカでは「農業の経営そのもの」が危うくなっている生産者が多いことを 米 CNBC は以下のように伝えています。

昨年のアメリカでは、米中貿易戦争により多くの農民が廃業した。その後、農地が洪水に破壊され、記録的な低い収穫だった農家が多い。そして夏には、猛烈な熱波がアメリカ中西部の作物の成長を妨げた。

現在、新型コロナウイルスのパンデミックは、すでに脆弱になっているアメリカの農業経済に新たな打撃を与えており、パンデミックにより作物や家畜の価格が下落し、農家は突然の労働力不足に苦労している。

アイオワ州で農業を営むロブ・エウォルト氏はこう語った。

「私たち農家の多くは、新型ウイルスの問題以前に極端な財政的圧力にさらされていました。そして、ウイルスによる作物価格の下落にとどめを刺されたのです」

「(昨年の農業の状況がひどかったために)私たちの多くは今年に希望を抱いていました。しかし、ウイルスが私たちの業界をすべて止めてしまいました」 CNBC

このように、現在のアメリカ、そして多くの国々では、「農業の生産自体が停滞している」上に、生産された貴重な作物も「輸送に混乱が起きている」ことで、正常な流通になっていないようで、今後、封鎖と移動の制限の措置が拡大すれば、さらに混乱は大きくなっていくと思われます。

なお、中国語報道の NTD は、4月1日に中国湖北省のいくつかの街で、

「穀物と石油のパニック買いが発生し、当局は、噂の流布の禁止と店舗の閉鎖を命じた」

と報じています。


NTD

これも、先ほどご紹介したことと関係していまして、国連などの食糧危機の声明や、いくつかの国が食糧輸出を禁止したというような報道を受けて、

「世界最大の食糧輸入国の中国で食糧不足が発生するのではないか」

という「噂」が中国各地で流れ、それによりパニック買いが発生したようです。

なお、国連などは「各国が協調して対応するべきだ」というように言っていますが、今、そのような余裕のある国がそれほどあるとは思えません。

そもそも、思考的に余裕があれば、「極端な封鎖対策と移動の制限政策は食糧生産を破壊する」ことを想定できたと思うのですが、結果として、おそらく、すでに取り返しのつかない局面にまで来ている可能性があります。

流通に関わる経済にしても、多くの農業生産者たちの経済そのものについても、すでにあまりにも破壊され過ぎていて、今後の見通しは立ちにくい状況のようです。

この後、各国の封鎖と移動の制限がいつまで続くのかによって、あるいは、イナゴの発生状況やアフリカ豚コレラの発生状況などによっては、かつて経験したことのないような世界全体規模での食糧危機も起こり得る雰囲気となってきています。

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