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アルツハイマー病が「伝染病のように血液感染する」可能性の示唆? : 英国の大学が研究で「ベータアミロイドは血液を通して全身そして他者に広がっていく」ことを突き止める

      2017/11/10

2017年10月31日の英国の報道より

dailymail.co.uk

アルツハイマー病の原因物質と仮定されるベータアミロイド


NHK

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ベータアミロイドは血液にのって全身を巡る

アルツハイマー病については過去に何度か記事にしていますが、取りあげることが多いのは、患者の増え方が、日本を含めた主要国で大変なことになっているという背景があります。

それほど遠くない未来に、この問題はどこの国でも「どうにもならなくなる可能性」があります。

2011年までの世界の認知症の推移(その後も激増)

厚生労働省

また、イギリスでは 2015年に「最も多い死因にアルツイマー病を含む脳疾患となった」というような報道も見かけました。

2017年10月13日の英国の報道より

Dementia now kills more Brits than any other single illness

実際には、性別により違う部分もあるのですが、

・英国で2016年に死亡した人の数は 52万 5048人

・脳疾患での死 12%

・心臓病での死 11%

というようになっているそうで、特に女性では、脳疾患(脳卒中、アルツハイマー病)が、ガンや心臓疾患を抜いているのと上の記事には書かれています。

そして、日本もそうですが、どこの国でも「認知症の割合が減っていく兆しがまるでない」というのが現状でもあります。

そんな中で、10月31日に、ネイチャーの医学誌『モレキュラー・サイカイアトリー (Molecular Psychiatry / 「分子精神学」の意味)』に「アルツハイマー病が、血液を通して他者にうつっていく」ということが実験で確かめられたことに関しての論文が載せられました。

今回は、この内容を報じた英国デイリーメールの記事をご紹介します。

翻訳記事のあとに、過去記事で取りあげました「アルツハイマー病の要因されているもの数々」について、まとめておきたいと思います。

まずはここから記事です。


Alzheimer’s-causing proteins can spread through blood, alarming new study shows
Daily Mail 2017/10/31

アルツハイマー病を引き起こすタンパク質が「血液を介して広がる」という新しい研究結果が専門家たちを驚かせる

アルツハイマー病に罹患したマウスと血液を共有させた健康なマウスがアルツハイマー病を発症したことが科学者たちによって示された。これは、アルツハイマー病の原因とされているベータアミロイド・タンパク質が「血中を移動する」可能性があることを示している。

科学者たちは、アルツハイマー病を引き起こすタンパク質が血液を介し、体全体に広がっていることを示した。この前例のない研究は、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の研究者たちによっておこなわれた。

研究者たちは、二匹のマウスを外科的につないだ。一匹は健常なマウス、もう一匹はアルツハイマー病に罹患したマウスだ。そして、アルツハイマー病の斑を有するマウスにも、血液を共有した健常なマウスのどちらもにも血液中にベ​​ータアミロイドタンパク質の斑が発現したことが示された。

この発見は、アルツハイマー病が脳に到達する前に、肝臓や腎臓のような身体の部位でも、たとえばガンのような発症をしている可能性があることを調べる研究の中で明らかになったものだ。

今回の研究が示すように体中の血液でアルツハイマー病の要因のタンパク質が巡り回っているとした場合、輸血などでの問題を気にしてしまうが、研究のリーダーであるウェイホン・ソン(Weihong Song)教授は、輸血を受けた人々がアルツハイマー病を「体内に取り入れてしまった」というように考えるべきではないと主張する。

ソン博士は以下のように述べる。

「アミロイドタンパク質は、脳の外で産生され得るため、その人がアルツハイマー病であるかそうでないかにかかわらず、輸血によってアミロイドタンパク質が人から人へと通過していきます」

「しかし、私自身は、アルツハイマー病患者からの輸血によって、脳内でアルツハイマー病の斑を発症する可能性は非常に低いと考えています」

認知症の最も一般的な形態であるアルツハイマー病がどのようにして形成されるのかは正確にはわかりっていないが、現在までの医学的見解の中では、ベータアミロイドと呼ばれる血液中のタンパク質が関与している可能性が高いとされている。

今回の実験ではマウスが使われたが、マウスは自然発生的にアルツハイマー病を発症しない。ソン博士のチームは、マウスにヒト型のベータアミロイドを感染させた。ベータアミロイドは致命的な脳疾患に変化し得るものだ。そのマウスは、高レベルのアミロイドを産生するヒト型変異アルツハイマー遺伝子を保持するようになった。

約1年後、マウスはアルツハイマー病を発症した。彼らの脳は、動物の共通血液循環を介してアルツハイマー病のマウスから広がった有毒なタンパク質に感染したと科学者たちは確信した。

アミロイドを投与されたマウスは、記憶の中心または海馬における脳細胞の死を含めたアルツハイマー様の損傷を受け始めた。

「アミロイド・タンパク質は、接続された健康なマウスから脳に入り、神経変性を引き起こした可能性がある」とソン教授は語った。

エジンバラ大学 脳科学センターのタラ・スパイアス・ジョーンズ(Tara Spires-Jones)教授は、以下のように言う。

「この研究は、マウスにおいて血流と共に毒性タンパク質が体内にどのように広がり、どのような生物学的変化に結びついたかということを理解する上で重要なものですが、ヒトに当てはめて考えてることには現段階では無理があると思われます」


 

ここまでです。

実験されてしまったマウスさんたちには申し訳ないと思いながら、この中で気になったのは、

「輸血」

について言及しているところでした。「血液を通して、感染していく可能性」について気になったのです。

ソン博士は、「輸血によってアルツハイマー病を発症する可能性は非常に低い」と述べていますが、実はこの発言には、少なくとも記事や論文を見る限りは、「特に根拠がない」のです。

ここが気になった理由は、過去記事で、アルツハイマー病の原因が、微生物(1種類のウイルスと2種類のバクテリア)であるかもしれないという仮説が発表された際に書きました下の記事、

現代の認知症は「パンデミック」の一種かもしれない : 国際研究チームが「微生物がアルツハイマー病の原因」であることについての声明を発表
 2016/03/12

の中にあるものなのですが、そこで翻訳した内容の中に、

もし、微生物がアルツハイマー病の原因となる役割を果たしていることが確認された場合、アルツハイマー病が手術や輸血を介して拡散する可能性があることを示唆する証拠を強化する説明が可能となる。

とあり、ここに「アルツハイマー病が手術や輸血を介して拡散する可能性があることを示唆する証拠」とあるということは、すでに「輸血でアルツハイマー病が拡散するという何らかの示唆」が医学界にはあったことになります。

それがどうして拡散するのかについては、ウイルスという説や、今回のベータアミロイドが血液を介して広がるとかいろいろとあるわけですけれど、「輸血」という枠を取り外して、単純に、

「血液を介して感染していく」

というような概念がアルツハイマー病に当てはまった場合、それはちょっとこう、すごいですよね。

その場合は、要するに感染症に近いものであるわけで、現在の「パンデミックにも似た爆発的なアルツハイマー病にの増加」という理由も、インフルエンザのような感染症の爆発的な拡大というようなことと同じように考えられたり……するのかどうかはわかりませんが……。

なお、これまで取りあげたアルツハイマー病に関しての内容などを簡単に並べさせていただきます。

 

数々のアルツハイマー病の原因とされているもの

過去には、藻に含まれている「 BMAA 」という毒素が、アルツハイマー病と関係しているという強い示唆を発表したイギリスでの研究についてを、

アルツハイマー病とALSの外部的原因の特定? : 青藻が作り出す毒素 BMAA が神経変性疾患発症の直接的外部要因として関与している可能性が濃厚に
 2016/01/24

という記事でご紹介したことがあります。

また、最近では、「人工甘味料」が認知症を含めた脳疾患を非常に高めているという研究結果について下の記事で取りあげました。

人工甘味料入りドリンクが「脳卒中とアルツハイマー病の発症率を3倍にする」というアメリカの調査結果からふと思う、そういう飲み物が「糖質を極端に嫌う今の日本」には数十億本以上流通して……
 2017/09/17

そして、アルツハイマー病に対してだけの問題ではないのですけれど、認知症の発症に対してのストレスの強い作用が認められることは確かに考えられると思います。下の記事です。

アルツハイマー病の最大の原因が「ストレス」である可能性がアイルランドの大学の研究により突き止められる
 2015/10/23

また、大気汚染物質に含まれる PM2.5 などの微細粒子が脳を破壊している可能性についても、これはデータ上非常に明確で、脳の中にある「松果体」という器官のダメージと関係あると見られていますが、これも関係を否定することはできません。下の記事に記しています。

これから全世界の92%の地域で進むこと……。主要道路沿いに住む人たちの認知症リスクが異常に高い理由を考えているうちにわかった「ナノ粒子とPM2.5が脳機能(海馬、松果体)を破壊していくメカニズム」
 2017/01/13

こういうように、いろいろな発症と関係すると考えられる問題はあるのですけれど、しかし、

・藻
・大気汚染
・ストレス

今に始まったというものでもないと思われます。しかし、特に、ここ数年くらいでのアルツハイマー病の増加の速度はものすごいもので、そういうことなどからも、「感染するように広がっていく」というようなことも「プラスされているのかもしれない」と何となく思ったりします。

なお、現在までに出ている大規模な医学的調査の中で、発症率の変化が「きちんとした数値で出されている」ものがひとつあります。

それは「痩せすぎ」です。

2015年4月の英国ガーディアンの記事より

theguardian.com

これは、ロンドン学の研究チームが平均 55歳のイギリス人約 200万人を対象とした大規模な統計的調査を行ったところ、従来とは違う「認知症の傾向」が見えたというもので、簡単な数値だけ書きますと下のようになります。

・痩せ型の人(BMI 20未満)の認知症リスクは他よりも「 34%高かった」

・超肥満体の人(BMI 40以上)の認知症リスクは他よりも「 29%低かった」

つまり、中年期以降は「痩せていればいるほど認知症のリスクが高くなる」ということになり、また、太っていると認知症のリスクは下がるということになり、今までの健康観念とはかなり違うものとなっています。34%高いというのは、誤差の範囲を越えています。

200万人規模の調査であり、信憑性は高いのですけれど、どういうわけか、その後この「痩せていると認知症のリスクが非常に高まる」という話はあまりでで来なくなっていますが、今のところは、この数値が医学的統計で出されている最も認知症のリスクが高いものとなっています。

最近は、お年をとられても体型などに気をつかい、スリムな方が増えましたけれど、女性などでは「ちょっと痩せすぎでは」というような方々も一般でも有名人でもお見かけします。そういう方が以前よりも多くなっている気がします。

女性は普通の体型で十分に美しいと私は思うのですけれど(男性の体型はどうでもいいですが)、今の社会の価値観は「痩せすぎ」くらいのほうに美の価値観の重きが置かれていまして、これもまた将来の認知症の増加と関係しそうです。

さらに混沌としてくるアルツハイマー病の周辺ですが、「感染する」という概念もあながち完全に否定はできないところにまで来ているのかもしれません。



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