10月6日の太陽表面に出現したコロナホール
自然に破壊され続ける「象徴」
最近の日本は、「自然災害で象徴的なものが破壊される」という事象が多いですね。
先日の台風 24号では、1985年の日航ジャンボ機墜落の現場となった群馬県の御巣鷹で、倒木により「たくさんの墓標が倒される」という出来事が起きていました。
台風24号によって日航ジャンボ機の犠牲者の方々の墓標が倒された御巣鷹の尾根
・張春穎 / 朝日新聞デジタル
やはり台風24号で、沖縄では「巨大な観音菩薩像が倒壊した」ということも起きています。
台風24号で倒れた沖縄市の「琉球金宮観音菩薩」
・琉球新報
この菩薩像は、高さ 25メートル、重量 40トンという巨大なもので、それが写真の通りに「前に突っ伏すように倒れた」のでした。
写真を見ますと、周囲の林は倒木などはしていない中で、観音様だけが倒れられてしまったようです。
こういうような風景を見ますと、2014年に「何の前触れも前兆もなく噴火」した御嶽山での出来事を思い出します。
この時の噴火の際には、御嶽山の頂上に「白川大神」の像というものがありました。
ところが、噴火によって、この「神の像の首から上が吹っ飛ばされた」のでした。
2014年9月 噴火により一部が吹き飛ばされた御嶽山の白川大神の像
この時も、周囲の像は無傷だったのに、「神様の首だけ吹っ飛ばされた」のでした。
このあたりにつきましては、「神話と噴火」などを含んだことを以下の記事で書かせていただいたことがあります。
3000年ぶりの本白根山の噴火、あるいは5000年ぶりの御嶽山の噴火を貫く「日本の神話」と国之常立神。では次は?
投稿日:2018年1月23日
最近は世界中でもこういう例はわりとよくありますけれど、「これらが偶然か、そうではないのか」はともかくとして、今後も自然災害の増加と共にこのような事例も増えていきそうです。
さて、そんな中、太陽表面に、「今年最大級のコロナホール」が生じていることを知りました。
太陽表面の異常が顕著になって久しいですが
現在、太陽表面に出現しているコロナホールは冒頭の写真のものですが、文字などを入れていない状態で示しますと、次のようになります。
黒い部分がコロナホールで、現在、ほぼ地球に正面の位置に向いてきています。
コロナホールとは、低密度のプラズマ領域とされている場所で、黒く見えるということはともかくとして、この場所は、
「磁場が開放されている領域」
となります。
つまり、ここから太陽の磁気が、宇宙空間にどんどん放出されている場所ということになるのです。
それで、現在、この巨大なコロナホールが地球に向いているということは、地球はあと2、3日のうちに「磁気嵐の渦中となる」ことを意味します。日本では 10月8日頃から地磁気の影響が多少出るかもしれません。
このコロナホールの長さは、約 90万キロメートルとされていて、もう少し発達すれば、100万キロメートルの長さの、今年の記録では最大級のものとなります。
この数年、特に、2016年頃から、この太陽のコロナホールの出現は「異常」といえる状態が続いていますが、どのように異常なのかは、以下の記事で取り上げています。
「太陽と宇宙線の関係」が観測史上初めて「崩壊」したかもしれない。そして今、太陽に勃発し続けているきわめて異常な事態とは
投稿日:2018年5月11日
この記事で翻訳しましたメディア記事の部分から「現在のコロナホールの何がおかしいのか」という部分を書き出しますと、以下のようになります。
2018年5月の海外メディアの記事より
2013年8月のはじめ、太陽に出現した巨大なコロナホールについてメディアで話題となったことがある。
その後の数年、コロナホールは頻繁に出現し続けたが、それらは、過去の太陽活動の極小期に見られたものよりも、はるかに巨大だったが、しかし、実はその頃すでに太陽は「何かが普通とは違って」いた。
以前の太陽サイクルでは、巨大なコロナホールは、太陽の極域に出現した。ところが、この 2013年頃から出現し続けていたコロナホールは、太陽表面の中央部分に現れ続けているのだ。
2016年5月の終わり頃にかけて、太陽上に巨大なコロナホールが周期的に何度も出現し始めた。
この際にも、メディアではその大きさについて報じていたが、しかし、実は、問題はそのようなことではない。そして、現在の太陽周期活動に起きていたコロナホールの「異常」について、過小評価されていると思えてならないのだ。
私は、過去すべての太陽画像を検索し調査した。その結果、以前の太陽活動極小期には、この 2016年のような巨大なコロナホールは見当たらなかった。
おそらく、2016年頃から頻繁に出現している巨大なコロナホールは、私たちが想像している以上に「普通ではない」ものなのかもしれない。
しかし、それを理解するほど、私たち人類の太陽観測の歴史は長いものではないことも事実ではある。
このような記事でした。
この記事の最初に、その頃メディアで話題となった 2013年のコロナホールについての記述が出てきます。
それは「その巨大さ」で当時話題となったのですが、それがどのようなものだったかというと、下のようなコロナホールです。
2013年7月18日の太陽のコロナホール
巨大は巨大ですが、現在、太陽に出ているコロナホールのほうがはるかに巨大ですし、領域(黒い領域)も今のほうが大きい。
ここからわかることは、「 2013年頃は、この程度の大きさのコロナホールでも大きなニュース」だったということです。
ところが、その後、何度も何度も太陽表面に大きなコロナホールが出てくるようになりまして、そして上の記事にもありますが、「 2016年」にひとつの頂点をむかえます。
下は、2016年10月25日の太陽表面の様子です。
もはや、「黒い部分の領域が太陽の見える部分の半分くらいを占めている」という壮絶な状況が出現したのでした。
2016年10月25日に出現した超巨大コロナホール
現在に至るまでも、この時のコロナホールが観測史上で最も巨大なものだったと思われますが、しかし、ここまで巨大でなくとも、2016年からは、
「 2013年最大のコロナホールより巨大なものが今ではごく普通に出現するようになっている」
のです。
このあたりが、太陽表面に関しての一番の変化であり「異常」と言えるところなのではないかと思われます。
これは、見た目だけの問題ではありません。
先ほど書きましたように、コロナホールというものは、
「磁場の開放領域」
です。
ですので、巨大なコロナホールが出現している場合は、太陽は常に宇宙空間に大量の磁気を放ちます。
そして、今のように「地球に向いている時」は、地球にそれが到達するということになります。
今回の磁気嵐の影響自体は、少なくとも地上では大したものではないと思われますが、個別の事案というよりも、
「最近は何だかずっと地球が太陽からの磁気の直撃を受け続けている」
ということが気になるのです。
なぜかというと、
「今は地球の磁場による保護機能が失われつつあるから」
です。
下の図は、太陽の磁気が地球に直撃するイメージです。
太陽からの磁気嵐のイメージ
・Geomagnetic storm
図にありますように、地球には「磁気圏」があり、これが「強い保護シールド」として機能しているために、さまざまな放射線や、あるいは磁気を含んだ粒子などから守られている部分があります。
しかし、この地球の磁場は、過去 200年間で約 15%減少しています。
現状ではさらに減少していると見られます。
しかし、これがさらに進むと、地球の環境は「今以上に厳しい」ものとなる可能性があるのです。
以下の記事でご紹介しましたように、地球が磁場を失った場合は、「火星のような状態となる可能性」について言及する科学者もいるほどです。
「地球は磁極のポールシフトで磁場を失うことにより、太陽風に晒され水と大気を失った火星と同じ状態を200年間経験するだろう」 -- NASA火星探査メイヴン計画主任
投稿日:2015年11月7日
ここまで大げさな話ではなくとも、今回のことも含めて、最近見られている以下ふたつのことによって、地球の環境はさらに不安定になっていくのではないかというような気はします。
・地球の方向に向いて出現する巨大なコロナホールの出現数が非常に増えている
・地球の磁場による保護は一貫して減少し続けている
具体的には、たとえば、
・あらゆる無線通信の不安定化
・原因不明の停電の頻発
などが将来的に加速していく可能性があることと、それだけではなく、人間などの体調やメンタルへの影響もあるはずです。
あるいは、磁場で方向を掴み生きている鳥やクジラなどのような生き物たちの本格的な減少や絶滅も含めて、すぐにどうこうという話ではないですが、今現在、すでに起きていることがさらに加速していくような気はします。
ただ、今出ているコロナホールで何か重大なことが起きるということではないです。
今回のコロナホールについては、小さな通信障害や停電は起きるかもしれないですが、「ふだん見られない場所でオーロラが観測されるはず」という程度の影響になると思います。
そのことよりも、このようなコロナホールは、「太陽の異常が定着して、それが普通になった」ということをさらに強く示していると感じます。
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