2019年1月21日 米アーカンソー州で撮影された皆既月食
スーパー・ブラッド・ムーンの日に思い出すこと
日本ではちょうど今日(1月21日)の日中にあたる時間に「赤い月」が広く観測されました。
赤い月というのは、皆既月食のことで、皆既日食は太陽が黒くなるのに対して、皆既月食の場合は、光の反射の性質により、月が血のような真っ赤になることが知られています。
皆既月食が起きる時には、太陽と地球と月が以下のように並びます。
そして、このブログでは、赤い月について取りあげることがわりと多かったのですね。
赤い月が出現する時は、いつも世の中で印象的な出来事が起きてきたイメージがあるのですけれど、今回の皆既月食もいろいろな意味で印象的です。
まず、今回の月食は、英語で「スーパー・ブラッド・ムーン(Super Blood Moon)と呼ばれるもので、これは、
・スーパームーン → 地球から見た満月の円盤が最大に見えること
・ブラッドムーン → 皆既月食のこと。皆既月食では月が血のように赤くなるため
のふたつの言葉が重なっているものです。
ほぼ 1年前の 2018年1月30日に、やはり皆既月食が観測されたのですが、この時の皆既月食は、「スーパー・ブルー・ブラッドムーン」というものでした。
先ほどのスーパー・ブラッド・ムーンに「ブルー」がついているわけですが、これは、
・ブルームーン → 1ヶ月のあいだに満月が2回あること
の「ブルー」となります。
そして、1年前のこのスーパー・ブルー・ブラッドムーンは、何と「 150年ぶりに観測された」ものなのでした。
これについては、昨年の以下の記事でご紹介させていただいていまして、この 150年という時間軸は、日本にとってはなかなか興味深いものでもありました。
150年ぶりに「スーパー・ブルー・ブラッドムーン」が出現する : 前回の1866年は江戸時代が消える日本の近代史上最大の転換点の時だった
上の記事からの 150年前というのは、西暦1866年ですが、これがどんな年だったかといいますと、以下の通り、日本が大きく変わった年でした。
この年は、
「明治天皇が即位し、江戸時代が実質的に終わりを迎えた時」
だったのです。
そして、今の日本もまた平成の天皇陛下が去られる時期でもあります。
それと共に、今回の赤い月の印象的なところは「観測された中心地域がアメリカ」だったことでした。
タイトルには、「アメリカだけを照らした」というように書いていますが、実際のところはこれは正確ではありません。
しかし、以下の「皆既日食が完全に観測できた地域」の図を見ますと、今回の赤い月が「アメリカ中心」だったということがおわかりかと思います。
完全な皆既月食、つまり「完全な赤い月」を観測できたエリアは下の「赤い部分」となります。
2019年1月21日に皆既月食を観測できた地域
英国も観測できる地域に入っていますけれど、中心は南北アメリカです。
そして、つい先ほどまでアメリカの各地を照らしていた赤い月は、多くの人たちによって撮影されていました。
1月21日 米ワシントン州フェデラルウェイで撮影された皆既月食
赤い月と黒い太陽
私がはじめて、皆既月食のことに興味を持ったのは、今から 5年ほど前でした。
ややオカルトじみた響きに聞こえるタイトルの記事だとお感じになられるかもしれない下の記事から始まりました。
・赤い月と黒い太陽: 2014年から 2015年まで「4回連続する皆既月食」がすべてユダヤ教の重要宗教祭事の日とシンクロ。そして、過去の同じ現象の時に「イスラエルの建国」があった
In Deep 2014年04月06日
「赤い月と黒い太陽」という言葉の意味は、皆既月食は光の反射のために赤くなるのに対して、太陽の皆既日食は、光が遮られるために黒くなるということです。
月と太陽は、地上から見る大きさは基本的に同じですので、以下のような対比となるのです。
先ほどリンクしました記事の内容については、やや複雑でして、ひとことでうまく説明するのは難しいですが、「イスラエルの建国と赤い月の出現」に非常にシンクロした時間軸の存在を知り、驚いた次第だったのでした。
その記事を書いた 2014年4月から、翌年の 2015年9月までの 1年半ほどの間に、「連続して 4回の皆既月食」が起きて、そして、
「そのすべてがユダヤ教の重要祭事と日付けが重なる」
ということが起きていたのでした。
以下のようになっていたのです。
月食のサイクルは、月と地球と太陽の関係が成立したはるか昔から規則正しいサイクルで発生し続けているもので、介入しようがないものです。
そして、ユダヤ教の祭事の日付けも、ユダヤ暦が生まれた時から、未来に至るまでの毎年の祭事の日付けは決まっているのです。
つまりは、このように「お互いに日付けに細工しようがないものが、完全にシンクロしている」ということに驚いた次第なのでした。
細工するとすれば、「ユダヤ暦が生まれた時」にしかできないはずですが、ユダヤ暦の「始まり」すなわちユダヤ教で神が世界を創世した日とされるは紀元前 3761年ですので、5780年前に細工しないと、こうはできない……という苦笑するしかないような現実があります。
このようなシンクロがどうして起き得るのかは今でもよくわからないですが、実は、かつての「イスラエルの建国」の時にも同じことが起きていたのでした。
イスラエルが国家として成立したのは、以下のふたつの事象によります。
・イスラエル独立戦争(第一次中東戦争 / 1948-1949年)
・六日戦争 (第三次中東戦争 / 1967年)
このどちらの際にも、先ほどの 2014年から 2015年の時と同じように、
「やはり、 4回連続した赤い月と、ユダヤ教の宗教的行事がシンクロしていた」
ことを知ったのでした。
「過越」という祭りも「仮庵の祭り」というのも、イスラエルでは、非常に重要な宗教的な行事です。
イスラエル独立戦争の年(1948-1949年)
1949年04月13日 皆既月食 過越
1949年10月07日 皆既月食 仮庵の祭り
1950年04月02日 皆既月食 過越
1950年09月26日 皆既月食 仮庵の祭り
六日戦争の年(1967年)
1967年04月24日 皆既月食 過越
1967年10月07日 皆既月食 仮庵の祭り
1968年04月13日 皆既月食 過越
1968年10月06日 皆既月食 仮庵の祭り
「どうして、こんなことが何度も起きる?」と、当時は思いましたが、今も、どうしてこんなことが起き得るのか、やはりわかりません。
そもそも「 4回連続する皆既月食」という事象そのものがとても珍しいものなのです。
この「月の現象とイスラエルの関係」は、昨年春にも、以下の記事で取りあげています。
赤い月と青い月 : 152年ぶりの月の現象のすぐ後にやって来た1999年以来の稀少なダブル・ブルームーンと共にユダヤ教の犠牲祭「過ぎ越し」が訪れた
ちなみに、「黒い太陽」と「赤い月」というのは、聖書にも表現されています。
聖書の中でも、これを読んでおけば、お酒を飲まなくても「酔えるっしょ」ということで有名な「ヨエル書」というものがあります(ここでダジャレかよ)。
これは、「ユダヤ教でもキリスト教でも預言書に分類される」ものとなっているのだそうですが、そこには以下のようにあります。
旧約聖書「ヨエル書」 3章 4節
主の日、大いなる恐るべき日が来る前に
太陽は闇に、月は血に変わる。
ちなみに、ここにある「太陽は闇に、月は血に変わる」というのは、皆既日食と皆既月食が同時に来るというようなことなのかと思いますが、完全に同時なのはともかくとして、連続して起きることはわりとあります。
ちなみに、このヨエル書の 3章は、最初の 1節から読みますと、何とも詩的ないい感じのものでして、ちょっとご紹介しておきたいと思います。
ヨエル書 3章 1-4節
その後
わたしはすべての人にわが霊を注ぐ。
あなたたちの息子や娘は預言し
老人は夢を見、若者は幻を見る。その日、わたしは
奴隷となっている男女にもわが霊を注ぐ。天と地に、しるしを示す。それは、血と火と煙の柱である。
主の日、大いなる恐るべき日が来る前に
太陽は闇に、月は血に変わる。
私は「老人は夢を見、若者は幻を見る。」というくだりが好きなんですね。
ここには、予兆としてなのか「天と地に、しるしを示す」とありますけれど、今の時代は、もうしるしだらけで、何が予兆になる得るのかもわからないほどです。
それはともかく、少なくとも、古代では「赤い月」というものは予兆としてとらえられていたとはいえそうです。
これらを単なる迷信として考えるのもありでしょうけれど、しかし、さきほどのイスラエルのシンクロの件のように、偶然というだけでは理解できないことも赤い月の周囲に数多くあることも事実です。
今回の「アメリカを中心とした赤い月」の示唆的な意味も現実社会に現れるのでしょうかね。