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宇宙線の地球への到達量がもうじき「観測史上最高値」を突破する

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NASA SCIENCE




 

もうじき観測史上最大の記録に


宇宙線のイメージ図 / spaceweather

 

太陽活動が弱まっていく中で、地球に到達する宇宙線の量が急増していることは、昨年以来、何度か記事で取りあげてきました。

冒頭の NASA のニュースリリースは、今から10年前の 2009年のもので、この 2009年には、歴史的に弱い太陽活動の中で「地球で観測された宇宙線の到達量が観測史上で最も高くなった」のですけれど、そのことを報じるニュースです。

そして、今日 2019年4月25日のスペースウェザーでは、

「もうじき、宇宙線のレベルは、その 2009年を突破する可能性が高い」

ということを記事で報じていました。

宇宙線の観測をしている機関や施設はいろいろとありますが、その中で、最も歴史があるものが、1964年から観測を続けているフィンランドのオウル大学にある宇宙線観測モニターで、その 55年の宇宙線のレベルの推移は以下のようになっています。

オウル大学の中性子モニターによる宇宙線到達量の推移


cosmicrays.oulu.fi

上のグラフは、ちょっと小さくなってしまって、見づらいと思いますので、2004年からのグラフを示しますと、以下のようになります。


cosmicrays.oulu.fi

あと 1%ほどで 2009年の記録に並ぶことがわかりますが、その後はこの数値を越えていくことになると思われます。

まずは、スペースウェザーの記事をご紹介したいと思います。


COSMIC RAYS ARE NEARING A SPACE AGE HIGH
spaceweather.com 2019/04/25

宇宙線の到達量が宇宙時代の最高値に近づいている

10年前の 2009年、NASAは「宇宙線のパーフェクトストーム」を報告した。

2009年の間に、深宇宙から地球にやって来るこの放射線は、観測史上の過去 50年の中での最高値に達した。これは、宇宙時代の間で、それまでに観測されたことのないレベルの記録となった。

そして今、地球に到達する宇宙線量が、再び新たな最高値を記録しそうになっている。

地上で宇宙線量を観測している中性子モニターと、地球の高高度で宇宙線を検出している観測バルーンは、地球に到達する宇宙線の新たな増加を記録している。

1964年から宇宙線の測定を続けているフィンランドのオウル大学にある中性子モニターは、2019年4月に観測された宇宙線のレベルは、過去最大の記録となった 2009年の宇宙線量にほとんど近づいていると報告している。

この原因は、太陽活動極小期の状態と関係がある。太陽活動極小期は、約 11年間の太陽活動のサイクルの中で太陽活動が低い状態の時で、この時には太陽の磁場と太陽風は弱まる。

宇宙線の進行を妨げるのは主に磁場であるため、太陽の磁場が弱くなると、宇宙線は太陽系の中を容易に通過しやすくなる。そのため、太陽活動が弱くなると、太陽系内の宇宙線が増加するのだ。

2009年の太陽活動は、過去 100年で最も黒点が少なく、活動が極めて弱かった。そのために地球に到達する宇宙線の量は急増した。

それから 10年後の現在、太陽は極小期に入ろうとしているが、太陽の活動の弱い状態、すなわた磁場と太陽風が弱まる状態が再びやってきている。

NASA が述べた「パーフェクトストーム」とはこのことだ。

NOAA (アメリカ海洋大気庁)と NASA が率いる専門家によるパネルは、現在の太陽活動は 2019年後半あるいは 2020年に最も低い状態(極小期)になると予測しており、その際には太陽の活動が記録的に弱かった 2009年と同じようなレベルになる可能性がある。

もうじき、地球への宇宙線の到達量の新しい記録が作られると思われる。


 

ここまでです。

このスペースウェザーの記事では、このような宇宙線量の急増は、太陽活動極小期と関係があるとしていまして、確かにそうなのですけれど、ただ現在までの増え方のペースの早さには、昨年以来、科学者によっては懸念している人たちが数多くいたほどのものでもあります。

たとえば、今から約1年ほど前のスペースウェザーには、「悪化し続ける宇宙線の状況」というタイトルの記事で、その急増ぶりと、宇宙線が人体、気候などに与える影響にふれていました。そこから少し抜粋翻訳させていただきます。

THE WORSENING COSMIC RAY SITUATION
Spaceweather 2018/03/06

悪化し続ける宇宙線の状況

ニューハンプシャー大学のネイザン・シュワドロン教授が率いた研究は、人体等に危険でもある深宇宙からの放射線が、これまでに予測されていたよりも速いペースで加速していることを示した。

地球と月の間の宇宙空間の宇宙線レベルは、過去数十年の宇宙時代(人類が宇宙への探査等を始めた時代のこと)には見られなかったレベルでピークを迎えており、宇宙空間の放射線環境が悪化していることがわかった。

銀河宇宙線は、太陽系の外からやって来ている。それらは、超新星爆発および宇宙の他の暴力的な事象によって地球に向かって加速される高エネルギー光子と亜原子粒子の混合物だ。

そのような宇宙線から最初に私たちを守ってくれるのは「太陽」だ。太陽の磁場と太陽風は、太陽系に侵入しようとする宇宙線を遮る「シールド」を作り出すために組み合わされている。

太陽が宇宙線を遮る作用は、11年間周期の太陽活動とシンクロしており、太陽活動の最大期に最も強くなり、そして、太陽活動の最小期には最も弱くなる。

今、その太陽の防御に問題が起きている。

研究者たちが新しい論文で指摘しているように、太陽のシールドが弱体化しているのだ。

シュワドロン教授は以下のように述べる。

「過去 10年間、太陽風は低密度と低い磁場強度を示してきましたが、現在は、宇宙時代には決して観察されなかった異常な状態を表しています。このように太陽活動が著しく弱い結果として、私たちはこれまでで最大の宇宙線の放射を観測しているのです」

この記事の翻訳の全体は、以下のIn Deepの記事でご紹介しています。

予測をはるかに上回り激増している宇宙線と放射線 : その人類への影響は何か。気象、天候、人間の健康、地震や噴火……そして生命の進化にも関係する? 

いずれにしましても、昨年の時点ですでに、

「太陽活動と磁場の状況は、過去に観察されなかった異常な状態」

になっていると科学者たちは指摘していました。

そして、その通りに、もうじき「過去最大の宇宙線の到達量となる」というようになってきているわけなのですけれど、問題は、

「どこまで、この量が増加していくのか」

ということだと思われます。

先ほどの 1965年から 2019年までの宇宙線の到達量の推移のグラフを見ますと、21世紀になってから「地球に到達する宇宙線のレベルが底上げされている」という印象を受けます。

これは、21世紀に入ってからの太陽活動の弱さと関係しているのだと思いますが、「太陽活動がこの先どの程度まで弱くなっていくのか」については、何ともいえないにしても、「かつてないほど弱い状態が、長く続く」と予測する科学者たちが多いのです。

そのあたりは、先日の以下の記事でもふれていました。

歴史的に弱かった太陽活動周期サイクル24の「次の活動周期」について、NOAAやNASAの専門家集団が「非常に弱くなる」と発表。それにより地球にはどんな状態が出現するのか

そこでは、ひとつの例として、次の太陽活動周期である「サイクル25」の活動を、以下のように予測している人たちいるということにもふれています。

太陽活動(黒点数)の強さの推移と今後の予測のひとつ


Sun's Bizarre Activity May Trigger Another Little Ice Age (Or Not)

太陽活動が、仮にこんなに弱い状態になってしまった場合は、地球あるいは太陽系内の宇宙線の量は、さらに増加して、かつて経験したことのないような「宇宙線の嵐」の中に私たちは置かれることになるかもしれません。

先ほどのスペースウェザーの記事では、 NASA が、現在の宇宙線の状態に対して、

「パーフェクトストーム」

という表現をしたことにふれていますが、今の状態ではまだパーフェクトストームとはいえないでしょうけれど、これからさらに宇宙線量が増えていき、前人未踏のレベルになった時には、「パーフェクトストーム」という表現も使えるものになるのかもしれません。

そのような時に、環境に、あるいは人体にどんなことが起きるかは(誰も経験していないので)わからないはずですが、宇宙線とはいえ、放射線ではあるわけで、さまざまな影響はありそうです。

宇宙線の影響については、確実な統計やデータはほぼないですが、学術論文などでは、以下のことは確実だと思われています。

・宇宙線が増加すると雲が増えて雨が増える。

・宇宙線が増加すると雷の発生が多くなる。

・宇宙線が増加すると心臓疾患(不整脈、突然の心臓死)が増える。

 

そして、これは全然科学的ではない私個人の思い込みなのですが、私は、

「宇宙線が過度に多い時代に人類は《進化》してきた」

と考えています。

しかし、これは今回の本題と違う話になってしまいますので、そういうようなことも昔から考えているということを記すのに留めたい思います。

このことについては、以下の過去記事後半の「宇宙線の強い時代には、人類もおそらく少し進化する」というセクションで少しふれています。

「宇宙空間」は生命に直接的に進化あるいは変化の機能を与えているのかも : 宇宙で「頭とお尻の奇妙な双頭」となって地球に戻ってきたプラナリアを見て

このことはともかく、もしこれからの太陽活動が、多くの予測通り、かつてないほど弱いもので、しかも、それが長い期間続いた場合、私たち人類は現代文明時代には経験したことのない状態を見ることになるのかもしれません。





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