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人類の未来 人類の覚醒と真実 健康の真実

私たち人間の遺伝子情報(ゲノム)は「自らの腸内細菌によってコントロールされている」ことが判明

投稿日:2018年1月17日 更新日:

そこから思う、感染症やガンや認知症の著しい増加の理由の原因のひとつは、抗生物質と超除菌の濫用社会での「腸内細菌の崩壊」なのかもしれないこと

 
2018年1月11日のアメリカの科学メディア報道より
newatlas.com




 

私たち人間の遺伝子をコントロールしているものは

いろいろと私たち近現代の人類は、この世の仕組みというか、「何かと何かのあいだの関係性」について勘違いしながら長いあいだ生きてきたということを最近になって、いろいろと知ることが多くなったように思います。

その中に、たとえば「腸内細菌」というものがあります。この言葉は、最近は比較的よく耳にする言葉でもあります。

そして今では、この腸内細菌から「マイクロバイオーム」という言葉も科学の世界では使われていまして、過去記事の、

「体内の微生物は新たに定義された人間の臓器そのもの」だというマイクロバイオームという概念…
 In Deep 2016/01/25

の中で下の記事をご紹介したこともあります。

人体は「マイクロバイオーム」を内蔵する生態系、腸内フローラ、腸内細菌叢の世界

well 2015/12/22

世界的に有名な英国の総合科学雑誌ネイチャー誌が、このたび、人の腸内に住む微生物群、マイクロバイオームに関する話題を取り上げる特集を組んでいる。

研究グループは、マイクロバイオームの大部分は腸内に棲み付くが、微生物群は単なる「居候」ではないと説明している。「食べ物の消化」「抗炎症物質の産生」「敵味方を見分けるための免疫システムの教育」など、人間の健康と生存に重要な機能を数多く担う存在になっている。

医学や栄養学の世界の考え方が大きく変わりつつある。人間は単独で生きていく生き物ではなく、互いに協調・競合する微生物を内部に秘めた複雑な生態系だと考えられるようになりつつある。

このように、それまで単なる「居候」的存在と考えられていた人間の体内の細菌たちが、上の記事から抜粋しますと、

> 「食べ物の消化」「抗炎症物質の産生」「敵味方を見分けるための免疫システムの教育」など、人間の健康と生存に重要な機能を数多く担う存在になっている

という役割をおっていたということが次第にわかってきた、というようなことになってきていました。

この意味はつまり、「腸内(あるいは他の体内の)細菌と人間は共存している」ということへの理解が進んできていたということになるのだと思われます。

これを知った時にはそれなりに「微生物と人間の共存とは大したものじゃ」などというように思っていたのですが、しかし、「事態の真実」はさらに進みました。

最近の英国での研究でわかったことは、「共存」をはるかに上回る意味を腸内の細菌たちが持っていたということでした。

それは「共存」というレベルではなく、人間と細菌の立場が逆転したといっていいもので、すなわち、

「腸内細菌が、私たちの遺伝子情報をコントロールしている」

ことが判明したのです。

最近の科学で少しずすわかってきていたような「人間と体内の細菌の共存」というような概念から、見識はさらに進んで、「私たちは腸内の細菌に生かされている」という可能性が強くなってきたといってもいいと思います。

これはもう共存というよりも、「主従」でいえば、

・主は腸内細菌

・従が人間

ということになりそうなのです。

まあ、主従というたとえは変ですが、何しろ、今回の英国の研究でわかったことは、腸内細菌が制御しているのは、私たちのゲノム、つまりすべての遺伝情報なのです。これは「生体としての私たちのすべての部分を腸内の細菌が牛耳っている」可能性が高いということになります。

まずは、ネイチャーに掲載されたその英国での研究について、発表したバブラハム研究所のニュースリリースそのものから冒頭部分をご紹介します。

どうして冒頭部分かといいますと、中盤以降は難解理論と専門用語の嵐でして、私自身も理解できないですし、むりやり訳して掲載してもあまり意味がないと思いましたので、わかりやすい冒頭の部分を翻訳いたしました。全体にご興味のある方はリンクから原文をお読み下さい。

ここからです。

How good bacteria control your genes
英国バブラハム研究所 ニュースリリース 2018/01/09

良い細菌が遺伝子をコントロールするメカニズム

英国ケンブリッジ近郊にあるバブラハム研究所(Babraham Institute)の科学者たちは、ブラジルとイタリアの研究者たちと協力し、腸内の優れた細菌が細胞内の遺伝子を制御しているメカニズムを発見した。

ネイチャーに発表されたこの研究は、腸内細菌からの化学的メッセージがヒトゲノム全体の重要な化学マーカーの位置を変える可能性があることを示している。

このように化学的メッセージが腸内細菌から伝わることで、細菌は感染症と戦い、また、ガンを予防するのに役立っていると見られる。

パトリック・ヴァーガ・ウェイス(Patrick Varga-Weisz)博士が率いるこの研究は、果物や野菜の消化により腸内の細菌によって産生される化学物質が、腸内層の細胞内の遺伝子にどのように影響を与えるかを示している。

これらの分子は、短鎖脂肪酸と呼ばれ、細菌から私たち自身の細胞に移動し、そして、細胞内で遺伝子活動を変化させ、最終的に細胞の働きに影響するプロセスを引き起こす可能性がある。

ここまでです。

マーカーとか短鎖脂肪酸とか難しい言葉はともかとくして、ここにある、

> 腸内細菌からの化学的メッセージがヒトゲノム全体の重要な化学マーカーの位置を変える

の中に、「ヒトゲノム全体の」という部分があるのがおわかりでしょうか。

腸内細胞は、「体のどこかの部分に影響を与える」のではなく、「人間の遺伝子情報全体を変える」可能性があるのです。

さらに文章の中には、

> 最終的に細胞の働きに影響するプロセスを引き起こす可能性がある

とありますが、これらが示すことは、この腸内細菌の働きが人の体状態や、健康や病気にどのくらい影響を与えているかと考えますと、「ほぼすべてに及ぶ」といっていいのではないでしょうか。

つまり、明らかに外部的な要因からくる健康問題や病気を除いたすべてということです。免疫系の病気は全体的に関係があるはずですし、もちろん、ガンも非常に関係があると思われます。そして、精神や神経の病気もそうでしょうし、アレルギーも非常に関係してそうです。もちろん、あらゆる感染症にかかるということもそうだと思われます(同じ病気が流行しても、ある人はかかって、ある人はかからない、など)。

おそらく、およそ病気という病気すべてから「体を守る」役割をこの腸内細菌は持っているということになるのではないでしょうか。

ということは、

「腸内細菌が死滅したり消滅した時には、人間は健康に対しての防御を失う」

といっていいかと思います。

「何が他院医の細菌を殺すか」といえば、身近なところでは、腸内細菌を殺す最も有名なものとして「抗生物質」があります。

抗生物質の今の世の中での濫用は、もはや書くまでもないでしょうが、安易に抗生物質を使うたびに、その人の腸内細菌がいくばくか失われていくということは事実です。

そして、このようなことを思った時に、「なぜ、今の地球は病気の時代となっているのか」ということが、かなり具体的にわかってくるのです。

 

 

抗生物質と清潔に殺されていく人類

2年ほど前、「過去 30年間の世界での感染症の異常な増加」について、

開き続けるパンドラの箱:アメリカ国立感染症研究所の感染症マップが示す、この30年間が「異常な病気の出現の時代」であったこと…
 In Deep 2016/02/15

という記事を書いたことがあります。

下の図は、米ワシントンポストに掲載されていた「1984年に新しく出現した感染症」と、その後の状況を示してものです。

1984年に新しく出現した感染症と「その後の30年間に出現した感染症」

Washington Post

なぜ、1984年との比較かといいますと、この年にエイズが出現して世界に衝撃を与えたからですが、その後は図のように、世界に衝撃を与える感染症が日常的に出現するようになっています。

そして、こういうことが「どうして起きているのか」については、その根本的な理由は今でもわかっていないとされています。

しかしです。

たとえば、上の地図をよく見るとわかるように「新しい病気が数多く生まれている場所」は、いわゆる未開の地と言われるような衛生状態が悪い場所が主ではありません。この図を2年ぶりに見て、そのことに気づきました。それはアメリカであり、中国やアジアヨーロッパのような「清潔な国」での新しい感染症の出現が顕著になっているのです。

 

そして、私は過去に、「主要国の過度な清潔社会化が、数多くの病気を生み出している可能性」について書いたことが何度かありました。

下のような記事です。

なぜ私たち現代人は0157や花粉やダニ程度のものに対して、こんなに弱くなってしまったのか冷静に考えてみませんか …… その答えは過度な清潔社会の進行以外にはないのですが
 In Deep 2017/08/24

数百万の「無菌室」が導く崩壊 : 「微生物との共生を拒否した日本人」たちが創り出す未来の社会
 In Deep 2016/12/13

 

そして、今回の記事でご紹介している「腸内細菌が人間の遺伝子をコントロールしている」ことから、

「抗生物質の服用を含む過度な《除菌》社会」が、この病気の地球を作り出したことと関係あることは間違いない

と確信しました。

今回の記事では腸内細菌のことについての研究でしたが、人間には他のいろいろな部位に「常在菌」がすんでいてくれます。

そして、たとえば、喉や手の平にある常在菌は、現代社会では常に滅菌されやすくなっています。つまり、殺菌作用のある石鹸やうがい薬、あるいは除菌洗剤にふれるたびに、それらは死滅していきます。

いろいろなことがそうですが、こういうことの重なりで、現代人の体は極限まで弱くなってきているのではないかと思った次第です。

抗生物質だけではなく、過度な滅菌・殺菌という概念のあらゆる部分が、最終的には人間の遺伝子の弱体化につながっていくといえるのだと個人的に今は確信しています。

 

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