永続的な影響であることがさらに明確に
数日前に、科学誌サイエンスに掲載された、米国イェール大学の研究者たちなどにより発表された論文について、アメリカの著名な心臓専門医であり、疫学者であるピーター・A・マッカロー博士が、記事で説明してくれていました。
ワクチン接種後、心筋炎あるいは心膜炎で入院した患者たちの、その後を、研究で追跡したものですが、結果として、
「 80%が 6ヵ月後でも心筋の状態が回復していなかった」
ことがわかったというものです。
論文は以下にありますが、難しいものです。
SARS-CoV-2 mRNA ワクチン関連心筋炎における異常な細胞傷害性リンパ球を伴うサイトキノパチーおよび線維化促進性骨髄反応
Cytokinopathy with aberrant cytotoxic lymphocytes and profibrotic myeloid response in SARS-CoV-2 mRNA vaccine–associated myocarditis
Science 2023/05/05
長い記事ではないですので、先にそのピーター・A・マッカロー博士の記事をご紹介します。
心筋炎はワクチン接種後 6ヵ月後でも 80%が回復しない
Myocarditis Not Recovered in 80 Percent at 6 Months After Vaccination
Dr. Peter A. McCullough, MD 2023/05/10
青少年における憂慮すべき連続MRI結果
アメリカのすべての心臓病診療所は、若者に発症する新型コロナウイルス感染症ワクチン誘発性心筋炎を認識すべきであり、その 90%は男性で、 mRNA ワクチン注射後に胸痛、努力不耐症、不整脈、心停止を引き起こしている。
こうした患者さんたちを診ていると、よく聞かれるのが「(症状は)いつ終わるのですか?」ということだ。
心電図と血液検査の結果はすぐに正常化する傾向があるが、私の懸念は、持続性の高いファイザーまたはモデルナの mRNA ワクチンによってコードされたスパイクタンパク質の生産が継続しているため、進行する炎症が発生していることだ。
血液検査は炎症を推測することができるが、心臓専門医たちは心臓 MRA (※ 心臓周辺の血管に特化した検査)を使用して炎症を視覚化し、診断を確立し、予後を立てることもできる。私たちは、若い十代の若者たちが MRI の結果を解決し、人生を続けられることを願っている。
しかし、これとは反対の最近の報告が私の注意を引いた。
この研究は、バルマ氏らが、ワクチン関連心筋炎および心膜炎で入院した患者 23人からなる臨床コホートを研究したものだ。
このコホートは主に男性 (87%))で、平均年齢は 16.9歳 ± 2.2 歳 (患者の範囲は 13 ~ 21歳)だった。
患者たちには過去の病歴はほとんどなく、ワクチン接種前は概して健康であった。ほとんどの患者は、BNT162b2 mRNA ワクチンの 2回目の投与後 1~ 4日で症状が発現した。
6人の患者はワクチン接種後 7日以上遅れて初めて症状を経験したが、入院時のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査で偶然 SARS-CoV-2 陽性となった。
したがって、これら 6人の患者はさらなる分析から除外されたが、これは、ワクチン関連心膜炎の幅広い臨床症状を反映している可能性がある。
残りの 17人の患者コホートは、最近以前に SARS-CoV-2 に(自然)感染したという証拠は示さず、入院時のスパイクタンパク質に対する抗体はあるが、ヌクレオカプシドタンパク質に対する抗体は示さず、また、入院時の鼻咽頭スワブ逆転写定量的 PCR は陰性であった。
論文では、明らかに高レベルの炎症マーカーが示されているが、私の注意は追跡調査の MRI スキャンに引き寄せられた。
図に示されているように、6 か月 (199 日) 以上で異常 (後期ガドリニウム増強)が解消したのは 20% のみだったのだ。
この論文は次のような疑問を提起する。
1. 接種後 6か月の時点で心臓の損傷や炎症は続いているのだろうか?
2. 80パーセントに見られる LGE (※ 心筋遅延造影)は、これらの子供たちを将来、心停止の危険にさらすような永久的な「傷跡」を表しているのだろうか?
これらのデータは、多数の若者たちが危険にさらされている可能性があることを考慮すると、この新たな問題についての大規模な調査を私は強く求める。
ここまでです。
マッカロー博士によれば、心筋炎の症状が出た後、「心電図と血液検査」においては、比較的早期に通常の状態に戻るそうですが、
「心筋の潜在的な損傷そのものを示す検査での異常が解消されていない」
ことを博士は懸念しています。
記事には、「後期ガドリニウム増強」という初めて聞く言葉が使われていますが、これは、「認識されていない心筋の疾患を示す検査」になり得るようで、2021年の論文には、以下のようにあります。オリジナルの論文では、英語の略称で示される (未認識心筋梗塞 → UMI、など)部分が多いですが、馴染みがないですので、フルネームにしています。
(2021年の論文より)
> 後期ガドリニウム増強心臓磁気共鳴イメージングで検出される未認識心筋梗塞(UMI)の予後的役割を評価する。電子データベースから、明らかな症状のない患者における主要有害心臓事象および全原因死亡率に対する後期ガドリニウム増強心臓磁気共鳴イメージングによって検出される未認識心筋梗塞の予測値を探索するために系統的に検索した。
>
> …後期ガドリニウム増強心臓磁気共鳴イメージングより検出された未認識心筋梗塞の存在は、症状のない患者における MACEs (主要心血管事象)のリスク増加および全死因死亡率と関連していた。後期ガドリニウム増強心臓磁気共鳴イメージングは、未認識心筋梗塞患者における重要な予後情報を提供し、リスク層別化を誘導する。
「未認識心筋梗塞」という言葉が出てきますが、本人も含めて、あるいは他の検査では心臓疾患だとは認識されていない心筋の潜在的な異常を、この「後期ガドリニウム増強心臓磁気共鳴イメージング」で検出できる、という認識でよろしいのでしょうかね。
それにしても、なぜ、接種後に心筋炎になった人たちが、6ヵ月も経った後に、まだ心筋に潜在的な問題を持っているのか。
それは、
「心臓の筋肉の損傷は再生されないから」
です。
このことは、最初、科学者の荒川央さんの note 記事の自らの記事のコメントから知りました。
(荒川央さんの「ブレーキの無いワクチン」の本人コメントより)
> 心臓を構成する心筋の細胞は代表的な増殖をしない細胞の一つです。つまり損傷した部位は修復されませんので、一生そのトラブルを抱え続けなければいけなくなるという事です。 (note)
理由は、以下のようなことです。慶應義塾大学医学部のページからです。
> 「心臓の筋肉、つまり心筋の細胞は、胎内では細胞分裂をしますが、生まれた後は細胞分裂をしなくなります。そのため、心筋梗塞や心筋炎などの病気によって心筋細胞の一部が壊死してしまうと、その後再生することはありません。筋肉が減ってしまった心臓は収縮する力が弱くなり、ポンプとしての機能が落ちてしまう。これが『心不全』という状態なのです。 」
もっとも、この慶應義塾大学医学部のページは、心臓再生医療について内容で、「心筋を再生する」という研究についてのものです。
この再生医療についての是非を語るつもりはないですが、当然、現段階では、実用化には非常に遠いものです。
なお、最初のサイエンスの論文で、最も気になったのは以下でした。
> 平均年齢は 16.9歳 ± 2.2 歳 (患者の範囲は 13 ~ 21歳)だった。
有害事象としての心筋炎を発症する年齢が若いんですよ。
そして、87%が男性。つまり、少年です。
以下の 2021年12月の記事では、アメリカ CDC と、英国の保健当局のデータなどから、「接種後の心筋炎の中心は若い世代」であることをデータで取り上げています。
[記事] 若い人たちに「多発している心疾患」は深刻なことかもしれない。これは生涯引きずる問題だから
In Deep 2021年12月9日
また、以下のグラフは、CDC のワクチン有害事象報告の数値をグラフ化したものですが、心筋炎は、15歳から 19歳までが最も多いのです。
CDC のデータによる接種後の心筋炎の報告の年齢分布 (9 - 97歳)
OpenVAERS / Myo-Pericarditis
これら心筋炎が、時間と共に「治る」のでしたら問題も深刻ではないかもしれないですが、そうではない可能性も確かにあります。
英国民保健サービスで 30年にわたる外科医担当としてのキャリアを持つアンソニー・ヒントン博士は、以前、
「心筋炎の 5年後までの致死率は 50%に達する」
と述べていました。
それにしても、日本で「心臓の疾患は増加しているのかどうか」ということが気になりました。
日本でワクチン接種が始まってから、おおむね 2年が過ぎました。
心疾患での死亡が減り続けているのなら、影響は一時的なものだと言えそうですが、減少していない、あるいは「増加している」とすれば、今後も若い男性を中心としたリスクが続く可能性があります。
厚生労働省の人口動態統計を見てみました。
これが劇的な増加なのかどうかはわかりませんが
今年 3月に、NHK が、「心不全のパンデミックが起きている」という表現を使って報じていたことがありました。以下の記事で取り上げています。
[記事] NHKが「心不全のパンデミックが起きている」と報じる中、ワクチン接種後に特に増加する症候群は何かを科学誌ネイチャーのデータから考える
In Deep 2023年3月2日
この NHKが言うところの「心不全のパンデミック」が続いているのだとすれば、 NHK のデータでは、2019年までの劇的な増加を示していましたが、その後の 2020年からも増加しているかどうかです。
その後も(何らかの理由によって)増加しているのなら「心不全のパンデミック」は続いているか、激化していると考えられるかもしれません。
厚生労働省の人口動態統計の確定値は、現在、2022年11月分まで出されています。
その死因の中に、「心不全」があり、その推移を月ごとに見てみました。
すべて、こちらの厚生労働省のページからたどることができます。
以下のようになっていました。
結論としては、すべての月において、2022年は 2020年より大幅に増加しています。
2020年から2022年までの日本の月ごとの心不全での死亡数の推移
厚生労働省 人口動態統計 (確定値)より
心不全での死亡数及び死亡率(人口10万対)
1月
2022年 9701件 (2020年より 1298件増 / 増加率 15.4%)
2021年 9024件
2020年 8403件
2月
2022年 9353件 (2020年より 1904件増 / 増加率 25.5%)
2021年 7665件
2020年 7449件
3月
2022年 8982件 (2020年より 1587件増 / 増加率 21.4%)
2021年 7899件
2020年 7395件
4月
2022年 7857件 (2020年より 882件増 / 増加率 12.6%)
2021年 7375件
2020年 6975件
5月
2022年 7547件 (2020年より 893件増 / 増加率 13.4%)
2021年 7253件
2020年 6654件
6月
2022年 6663件 (2020年より 797件増 / 増加率 13.6%)
2021年 6466件
2020年 5866件
7月
2022年 7034件 (2020年より 1027件増 / 増加率 17.1%)
2021年 6728件
2020年 6007件
8月
2022年 7840件 (2020年より 1562件増 / 増加率 24.9%)
2021年 7016件
2020年 6278件
9月
2022年 7101件 (2020年より 971件増 / 増加率 15.8%)
2021年 6731件
2020年 6130件
10月
2022年 7860件 (2020年より 944件増 / 増加率 13.6%)
2021年 7142件
2020年 6916件
11月
2022年 8301件 (2020年より 1112件増 / 増加率 15.5%)
2021年 7652件
2020年 7189件
ここまでです。
統計の数字の解釈に詳しくないですので、これが何か異常な数字であるのか、あるいは、きわめて普通の数字であるのかにはふれません。
とにかく「全部増えている」ことだけがわかります。
仮に今後の 1年もこのような数字が続くとしたなら「ずっと続く」可能性のほうが高そうです。
労働年齢の若い男性たちの損失というのは、社会的損失に他ならないわけで、日本という社会の衰退とも関係していくことです。
そして、女性には不妊が蔓延する。
こんな社会を目指していたんですかね。
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