2023年2月16日、米ニューヨーク州で撮影された赤いオーロラ。とても珍しいことです。spaceweather.com
太陽津波が発生
この 1週間ほど、ずっと地球側の太陽表面には巨大な黒点群が向き続けていました。黒点数も 200前後まで上昇し、前回の太陽活動の極大期に迫ろうとしています。
それにも関わらず、フレア活動そのものは比較的穏やかで進行していましたけれど、昨日、Xフレアが発生しました。クラスとしては X2 ということで、さほど巨大なものではないですが、同時に、
「太陽津波」
という現象が発生したことをスペースウェザーが伝えています。
太陽津波とは、津波という名称がつけられていますが、水とは関係なく、「磁気の津波」というような感じのもので、太陽フレアによって噴出したプラズマが、津波のように太陽表面に広がる現象です。
2009年12月の AstroArts の記事より
太陽津波は、1997年に太陽観測衛星SOHOによって初めてとらえられた現象だ。太陽表面の活発に活動する領域で爆発が起き、大量のガスが放出され、爆発地点を中心に津波が同心円状に広がっていくようすが記録された。
津波は地球の直径を超える高さで、爆発が起きた中心地点から数百万kmも離れたところにまで到達した。
太陽津波は、水の波ではなく、高温プラズマと磁気の巨大な波である。 (astroarts.co.jp)
以下は、一昨日 2月16日の太陽津波の様子ですが、わかりやすくはないと思いますけれど、太陽フレアが発生したと同時に周囲に「白い影のようなものが広がっていく」のが、なんとなく見えるのではないかと思います。
これが太陽津波です。
2023年2月16日のフレアと太陽津波
spaceweather.com
なぜ、このようなことが起きるのかのメカニズムはわかっていないですし、太陽津波が何か地球に大きな影響を与えるというものでもありません。
しかし、
「めったに起きない」
ことは確かで、それが起きていることになります。
しかも、X2 という、それほど超巨大とはいえないフレアで起きています。
1週間ほど前でしたか、太陽で「おそらく初めて観測された事象」が起きていたことを以下の記事で取りあげたことがあります。
[記事] 太陽で信じられないような異常な現象が起きていることが発覚
In Deep 2023年2月11日
これは、太陽の極(地球でいう北極とか南極の位置)において、プラズマが「旋回している」という現象でした。科学者たちは、「極渦」という表現を使っていましたが、大気の流れではないですので、厳密には極渦とは違います。
以下がその様子で、これもわかりやすくはないですが、上方の極の周囲をプラズマが旋回している様子がなんとなくわかります。
2023年2月2日の太陽の極でプラズマが「旋回」している様子
Tamitha Skov
これは、世界中の太陽物理学者が「誰も見たことがない現象」ですので、当然、メカニズムも、なぜ起きたのかもわかりません。
しかし、これもまた、
「普通は起きないことが太陽で起きた」
ことは確かです。
まあ、つまり、「太陽のエネルギーにかつてない変化が起きている可能性がある」ということなんでしょうか。
それが内部のエネルギーなのか、あるいは、学説の中には、
「太陽は外部からエネルギーを得ている」
という主張もあることにはありますので、そういう面では、「太陽系あるいは宇宙全体としての変化が起きている」ということなのかもしれません。
ちなみに、「太陽は外部からエネルギーを得ている」という主張をされていたのは、ハンガリーのブダペスト工科経済大学の教授であるジャマル・S・シュレア (Jamal S. Shrair)博士という方です。以下の記事でご紹介したことがあります。
[記事] 「太陽は《外部から》エネルギーを得ている」:ブダペスト工科経済大学の科学者が発表した太陽理論は、現行の標準太陽モデルを100パーセント否定した
In Deep 2017年8月4日
論文そのものは以下にあります。
The External Energy Supply To The Sun Is Overwhelmingly Obvious And Has Recently Been Detected By Space Probes
太陽への外部からのエネルギー供給は圧倒的に明白であり、それは最近の宇宙探査により検出されている
私自身は、わりとこのシュレア博士の主張が好きで、正しいかどうかは何ともいえないのですが、とにかく「好き」ではあります。
シュレア博士は、他の論文で、
「現在、太陽系全体に変化が起きている」
ことを述べています。
以下の記事にあります。
[記事] 太陽系は、現在「銀河系の最も中心部に近づいて」おり、地球を含む太陽系は非常に高いエネルギーが支配する宇宙の領域に突入するとハンガリーの科学者が警告
In Deep 2019年9月26日
数年前には予想もされていなかったような現在の太陽活動の活発性などを見ましても、また、地球のほうの気象、気温、地震などを含めたあらゆる自然の状態の変化を見ましても、「全体のレベルで変化が起きている」というのは、わりと納得できる部分もあります。
以下は、もう 7年前の記事ですが、ドイツのカールスルーエ工科大学の研究者たちが、「西暦 1900年から 2015年までの自然災害での経済的損失の推移」をすべて示した資料を発表していたことをご紹介したことがあります。
[記事] 自然災害は予想以上の驚異的な勢いで地球の文明を崩壊させ続けている : ドイツの大学が発表した西暦1900年以降の災害損失データベースが示すこと
In Deep 2016年4月20日
この記事に、そのグラフを載せていますが、グラフが巨大でわかりにくい面もありましたので、
・1900年からの20年間 (20世紀初頭)
と
・1995年からの20年間 (21世紀初頭にかかる年)
を比較しています。
1900年からの20年間と、2016年までの20年間の自然災害での経済的損失の比較
KIT
20世紀のはじめと、21世紀のはじめは、もう「全然違う地球」なのです。
地震と洪水の増加が目立ちますが、他も何もかもです。
先ほど最近の太陽のことを取りあげましたように、「太陽においては、かつてないような激しい現象が起きている」ことが確認できます。
では、これからの地球は?
というと、そんなことはわかるはずもないのですよね。
個人的には地球の環境はさらに激化するとは思いますが、経験したことのないような環境を想像するということは無理ですので、なるようにしかならないのかもしれません。
あと、太陽活動と関連して気になったのが、
「アメリカに赤いオーロラが出現し続けている」
ということでした。
赤いオーロラの意味
以下のふたつの記事に、2月16日にアメリカのニューヨーク州とモンタナ州でオーロラが撮影されたというスペースウェザーの記事を翻訳しています。
(記事) 米ニューヨークで赤いオーロラが観測される(2023/02/17)
(記事) モンタナ州でも赤いオーロラが観測される(2023/02/17)
ニューヨークのオーロラは冒頭の写真のものです。この異例性は、赤いということ自体も、後述しますが稀なものなのですけれど、それ以上に、ニューヨークやモンタナ州などの緯度の地域で、これほど鮮明なオーロラが、大きな太陽フレアが起きていない時に観測されるということが珍しいのです。
2023年2月15日 米モンタナ州で撮影された赤いオーロラ
spaceweather.com
スペースウェザーは、どちらのオーロラも、発生した理由について、以下のように説明しています。
> 地球の磁場に亀裂が入り、その隙間から太陽風が吹き込み、 地磁気嵐を引き起こした。
この「地球の磁場に亀裂が入り…」という状態が、今後起き続けたとした場合、冒頭で書きました「 Xフレアによる CME (コロナ質量放出)」が、現在、地球に近づいていますので、つまり、このアメリカのオーロラの時よりも、はるかに強い磁気の嵐が地球に衝突することになります。
「地球の磁場の亀裂」の原理が働けば、さらに大きな磁気の影響を地球が受けるのかもしれないですし、そうならないのかもしれないですし、来てみたいとわかりません。
しかし、今後、このような Xフレアは、散発的にではあっても、何度も何度も発生すると思いますので、そして、「太陽の極渦」現象から悟りますように、
「現在の太陽の磁場には異変が起きている」
こと自体は確実だと見られます。
ですので、今後数年あるいは今後数ヶ月で太陽がどんな挙動を見せるのか、予測はできないですが、スリリングではあります。
そして、これは科学的な概念に基づいているということでもないですが、
「アメリカのオーロラがどちらも赤かった」
ということにも興味を持っています。
かなり以前、「オーロラが人間を狂気に導く」というロシアのメディア記事をご紹介したことがありました。以下の記事です。
[記事] 「オーロラが人間を狂気に導く」という話から思う「太陽が地球に放ち続けるものとその影響の真実」
In Deep 2019年1月22日
これは、やや勘違いを与えてしまいかねないタイトルですけれど、オーロラ自体が人間を狂気においやるのではなく、
「オーロラを発生させるような大気の磁気や粒子の状態」
が、人の精神状態をおかしくするということです。
上でご紹介したロシアの記事からごく一部抜粋します。これは、ノルウェーの探検家ロアール・アムンセン(1872 - 1928年)の南極大陸の探検の際のことで、そこに同行した医師の調査です。
記事「オーロラは精神的な疾患にかかりやすい人にとっては危険」より抜粋
meteovesti.ru 2019/01/19
…極探検には医師たちが同行していたが、医師たちは、彼らが異常行動を起こす規則性を調査しているうちに、以下のような事実を発見した。
「極地で異常な精神状態になった事例すべてが、オーロラの活動と一致している」
最も精神状態がひどいときは、オーロラの光が赤い場合と一致した。
このような遠征隊の精神的異常による攻撃的な事件の数は、明るいオーロラが発生する機会が多くなるにつれて深刻になっていった。その時期は、太陽活動の最大期であり、オーロラ活動が激しくなった頃でもあった。全員がそうなるわけではなく、一部の人たちだけであった。
その後、この現象について、ソビエト時代の科学者たちが一連の調査と研究を始めた結果、科学者たちは以下のことを見出した。
「ある形態のオーロラは、人間の脳の基本的なリズムに近い周波数で脈動する」
緋色(黄色みのある鮮やかな赤)の明るいオーロラの光の点滅は、脳のリズムに近い周波数と一致し、それらはてんかん等と同様の精神的な疾患や発作の悪化を引き起こすことがわかった。
被験者たちの中には、そのようなオーロラ発生の影響下で、頭痛および前庭(内耳の器官)の機能不全を経験した者もいた。
最近のアメリカのオーロラが赤かったことから思い出したのは、上にあります中の、
・最も精神状態がひどいときは、オーロラの光が赤い場合と一致した
・精神的異常による攻撃的な事件の増加
などでした。
なお、内耳にも影響を与えるようですので、めまいや眼振にも関係しそうです。個人的に経験し続けていますが。
(((( ;゚д゚)))アワワワワ (状態の説明はいいから)
攻撃的な事件が増加する、とありますが、これは太陽活動そのものとリンクするものであることは最近も以下の記事で書かせていただいています。
[記事] 太陽の変化と「暴力と病気の時代」への突入
In Deep 2023年2月12日
三菱UFJモルガン・スタンレー証券参与、景気循環研究所長の嶋中雄二氏の名著『太陽活動と景気』にも、このことは何度も出てきます。
嶋中雄二著『太陽活動と景気』(1987年)より
太陽活動や地磁気活動は、ヒトの精神活動を乱すことが知られており、統合失調症の患者数は、約 10年の周期的変化を繰り返していることがわかっている。
また、もしも、地磁気と生体膜の透過性との間に何らかの関係があるとするならば、中枢神経系への地磁気の直接的な影響の可能性が理解できる。
現在のアメリカの暴力がどのようになっているかはわからないですが、「ニューヨークの赤いオーロラ」の写真を見ていまして、「これからいろいろだよなあ」と思った次第です。
ちなみに、2023年はまだ 48日などが経過しただけですが、今年のアメリカは、「最初の 48日で、73件の銃乱射事件が起きている」のだそうです。
(報道) 2023年のアメリカは、年初から48日で73件の銃乱射事件が発生 (2023/02/18)
なお、「オーロラのそれぞれの色があらわれるメカニズム」については、先ほどの記事 「オーロラが人間を狂気に導く…」でご説明させていただいていますが、オーロラは、その発生のメカニズムから、ほとんどのオーロラは「緑色」をベースとしています。まれに紫やピンク。
そして、激しくまれに「赤」となります。
これは、スペースウェザーの「リアルタイム・オーロラ・ギャラリー」等をご覧いただいていもおわかりになると思われます。
ですので、今後、赤いオーロラが数多く出るようになったのなら、それは「環境の何らかの大きな変化」を意味します。ピンクのオーロラもそうかもしれません。
太陽活動と共にオーロラの色にも注目したい時です。
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