8月15日のアメリカのブログ記事より
数日前、イギリスのメディアで一斉に、
「マサチューセッツ工科大学のコンピュータが、人類の文明は 2020年頃から劇的にその質が低下し、2040年頃に終わりを迎える」
という内容が報じられました。
それは一体どんなものだ? と思い読みましたら、それは「 1973年に出されたコンピュータモデル」のものだったのでした。つまり今から 45年前の話であり、なぜこれが今になって大きく報道されているのかはよくわからないのですが、しかし、それは、
「私自身が個人的に考えているものとあまり変わらない」
ものでもあったのです。
漠然とですが、時期として同じようには感じていまして、つまり、年代的に 2020年頃から文明(主要国的な文明)社会の質の低下が目立ち始め、そこから文明の終焉(人類の終焉ではありません)までは 20年か 30年くらいなのでは……というような感じです。
そのように思うのも、このブログで書いてきたいくつかのことそのものからだったりするのですが、とりあえず、その 1973年のコンピュータモデルについてご紹介しようと思います。元の英国の報道そのものは素っ気ない感じのものですので、いろいろと「味を加えた」冒頭のアメリカのブログ記事をご紹介したいと思います。
なお、この 1973年のコンピュータモデルは、それが「ローマクラブ」というものの政策の背景となったようで、そのあたりにもふれられています。
とりあえず、ここからご紹介します。
MIT Computer Model Predicts Dramatic Drop In Quality Of Life Around 2020 And The “End Of Civilization” Around 2040
The Economic Collapse 2018/08/15
マサチューセッツ工科大学のコンピュータモデルは、2020年前後から社会生活の質は劇的に低下し、2040年頃には「文明の終焉」を迎えると予測した
人類は今、大きな転換期に近づいているのだろうか。1973年に MIT (マサチューセッツ工科大学)の科学者グループによって最初に開発されたコンピュータモデルが、人類社会が劇的に変化すると警告していたことが判明した。
このコンピュータの予測が正確であれば、私たち人類の生活水準は 2020年ごろに劇的に低下し始め、2040年頃には「文明の終焉」を目撃することになる。
もちろん、このような不吉な予測が私たちの未来についてなされたのは、これが初めてではない。限られた天然資源が使い尽くされるにつれて、水、食糧、石油の深刻な不足に向かっていることを、専門家たちは長年にわたって警告してきた。
そして、別の専門家たちは、私たちの経済モデルは持続可能なものではなく、歴史的な崩壊に向かっていると長年警告し続けてきた。
あるいは、地球全体の地震活動の驚くべき増加について警告する専門家たち、大量破壊兵器の拡散について警告してきた専門家たちなど、人類社会に対する警告は数限りなくあった。
事実、社会は私たちの周囲でどんどんと崩壊しており、「パーフェクトストーム」が人類社会に訪れる要素は時間と共に間違いなく増加している。
このコンピュータプログラムの名前は 「ワールド・ワン(World One)」というもので、もともとは、コンピュータの先駆者であったジェイ・フォレスター(Jay Forrester)氏によって作成されたものだ。
英国エクスプレスの記事には以下のようにある。
この予測は、MITの研究者チームによって開発され、オーストラリア最大のコンピュータによって処理されたワールドワンという名のプログラムから生成されたものだ。
ワールドワンは、コンピュータの先駆者であったジェイ・フォレスター氏が、ローマクラブからグローバルな持続可能なモデルを開発するよう任命されたことにより、考案された。
しかし、それによるコンピュータの計算による結果は、汚染と人口のレベルが 2040年までに世界的な崩壊を引き起こすという衝撃的な結末を示した。
(※訳者注)「ローマクラブ」とは、人類の危機の接近に対し,可能な解決策を追求するため,イタリアのA・ペッチェイを中心に世界各国の科学者、経済学者などにより設立された民間組織のこと。
この記述でわかるのは、「ローマクラブ」の発想の背後に、ジェイ・フォレスター氏のこのコンピュータ分析の結果があるという事実だ。これは危険な信号だ。なぜなら、ローマクラブには、デイヴィッド・ロックフェラー氏や他のグローバリストたちが資金提供しており、その政策推進のために利用されてきたものだからだ。
このコンピュータモデルが、グローバリストたちが到来を信じているような未来を垣間見ることが可能だったかどうかはわからないが、そのコンピュータモデルは、私たち人類の生活を大きく変化させると判断している。エクスブレスは以下のように記す。
「2020年ごろから、地球の状態は非常に危機的になる」
「それに対して何もしなければ、生活の質は「ゼロ」に陥る。汚染が深刻になり、人を殺すようになる。人口は減少し続け、それは 1900年の時点と比べても少ないような状態となる」
「そして、2040年から 2050年にかけて、私たちが知っているようなこの地球での文明的な生活は終わりに向かう」
このコンピュータモデルは、主に天然資源と公害の問題、そして人口レベルを強く示唆するものだが、現実には、他の要因も同様に考慮する必要がある。
「文明」というものを持ち持続するためには、人類は「文明的な方法」で行動する必要があるはずだ。ところが、今の私たちは日常的に高度な社会崩壊状態にあるという証拠が増えている。もはや多くが「文明的な方法」で行動していない。
たとえば、司祭は私たちの社会の中で最もよく行動し、文明化されたメンバーの一人であると誰でも思うだろうが、ペンシルバニア州の聖職者の虐待に関する新しい報告は、暗闇での驚異的な行為を暴露している。8月15日の報道では、以下の事柄が一斉に報道された。
米ペンシルベニア州のカトリック教会で 300人以上の司祭が児童を性的に虐待したという信頼できる申し立てがあり、カトリック教会が長年隠蔽してきた 1000人を超える被害者が特定された。大陪審の報告書で明らかになった。
大陪審は記録が消失した、または名乗り出る勇気のない子どもがいることを考慮すると実際の被害者は「数千人」規模と推定している。(AFP 2018/08/15)
皆さんが気づかなければならないのは、この事件はペンシルベニア州というひとつの州だけの出来事だということだ。アメリカすべて、あるいは世界すべてで、このような事例がどのくらいになるのかは想像もつかない。
これはひとつの例だが、日常の中で、多くの人々が、「文明的な方法」で行動していないことを示す報道があまりにも多い。
そのようなおびただしい事例の報告からは、今の私たちの文明の板は「とても薄い状態」となっていると思える。その薄い文明の板は、社会の崩壊やカオス、あるいは無秩序を簡単に導いてしまうものだ。
1973年に出されたコンピュータモデルが、最も適切な未来の示唆になると思っているわけではないが、巨大な社会変化が非常に急速に進んでいることには同意するしかないのではないだろうか。
しかし、ほとんどのアメリカ人たちは、そのような社会の崩壊やパーフェクトストームの到来といった概念についてはフィクションだと考え、現実にそのようなことが起きるとは思っていない。彼らは今のこの私たちの社会の文明形態が持続可能だと考えているのだ。
しかし、「その日」は必然的に来る。それは 1973年のコンピュータモデルでさえ予測しているほどだ。
なお、個人的な見解では、過去 10年間と比較して、今後 2年間でより大きな変化を目の当たりにすると確信している。時計は刻々と変化しており、アメリカの運命の日は急速に近づいていると考えている。
未来が素晴らしい日々になることを願ってはいるが、しかし、最悪の未来に備えての準備が必要な時に来ている。
ここまでです。
ローマクラブについては、私はよく知らないですので、ふれません。
ところで、この 1973年のコンピュータモデルの内容で、やや驚いたのが、
「人口の減少を予測している」
ところです。
この 1973年頃というのは、多くの主要国において、子どもが増え続けてきた時代で、たとえば、日本でも今のような「少子化」などという概念が出てくる社会になっていくとは誰も考えていませんでした。
実際、この 1973年は日本の出生数がピークを迎えた年で、1年間で 209万人の子どもが生まれています(2017年は、その半分以下の 94万人)。そして、この 1973年以降、現在まで出生率は基本的に下がり続けています。
以下のグラフは、1972年からの日本の出生数と出生率の変化の推移です。
2016年までの日本の出生数と出生率
2003年には、「少子化社会対策基本法」というものが公布されますが、それからさらに劇的に少子化に拍車がかかっています。
なお、上のグラフは、以下の過去記事に載せたものです。
これは、アメリカやイギリスのメディアで、「日本の若者たちが異性との性的関係をあまり持たなくなっている」ことが一斉に報じられた時のことで、そのことを記事にしたものでした。
国家社会保障・人口研究所の予測では、今後、日本は 2045年までに「年間 90万人ペース」で人口を失うことになるとされています。
その結果として、
「日本の人口は 2065年までに現在の 1億2650万人から 8千800万人にまで減少する」
という予測が立てられています。
この予測は今も変わっていないというより、「加速している」感じもあります。
それに加えて、単に人口が今より 2000万人減るということだけならともかくとして、その 2065年頃には、
「その大半が高齢者」
という人口構成になっています。
今回ご紹介した 1973年のコンピュータモデルにある「 2040年には人口減少により文明の終焉を迎える」という一見荒唐無稽な解析結果も、「日本に当てはめてみれば、実に正しい予測に見える」のです。
このような未来が確実となっている私たちの社会は、戦争が起こらなくても、小惑星が衝突しなくても、経済が信じられない大崩壊をしなくとも、「それでも文明は持続できない」と考えるのが妥当で、それは……まあコンピュータの言うような 2040年ではなくとも、2050年頃までには確実ではないでしょうか。
あと 30年から 40年。
私の子どもは今、中学生ですが、その彼に対して「大人になった時にどんな未来のビジョンを提案してあげればいいのだろう」とよく思います。そんなの思いつかないですもの。
昨年 12月に、ヨーロッパの政治統計サイトの「 300年後には日本人は 300人しか残らない」というタイトルの、日本の人口動態について詳細なレポートが発表されまして、それを以下の記事でご紹介したことがあります。
ここでご紹介したレポートを読みますと、欧米では、すでに「日本が将来的に消滅する」ことを前提として、新しい世界経済態勢を模索しなければならないということが提言されていることがわかります。
もちろん、この「人口の減少」は、主要国のほぼすべてが抱えている問題でもあります。
過去記事の、
・地球老年期の終わりを越えて : 人類史上初めてとなる壊滅的な「世界の人口統計的時限爆弾」をグラフで見てみる
In Deep 2017/07/12
では、世界の人口統計などが図示されていたものをご紹介しました。そこには、「2050年に人口における高齢者の比率が高くなる国」というものの分類があり、それは下のようになっていました。
2050年に人口の20%以上が60歳以上になると予測される国
・The Demographic Timebomb: A Rapidly Aging Population
赤は、高齢者人口が全体の 30%を超えると予測される国(日本、中国、韓国、ヨーロッパのほとんど、カナダ、アルゼンチンなど)、黄色は 25-30%などとなっていまして、予想以上に「地球は高齢化している」ことがわかるのです。この記事のオリジナルのタイトルは、「人口統計的な時限爆弾 : 急速に高齢化が進む世界 (The Demographic Timebomb: A Rapidly Aging Population)」というものでした。
もちろん、人口だけではありません。
1973年のコンピュータモデルが予測した「汚染」もそうです。
しかし、当時の概念の「汚染」と、今認識される「汚染」は意味が違います。
私が今最も深刻な汚染だと考えるのは、
・抗生物質
・プラスチック
・主要国の人々の過度な衛生観念
の3つです。どれも地球の生態系そのものを壊し続けていて、肥大していくばかりです。
抗生物質というか「薬」がどのように地球全体の生物体系に干渉しているかは、以下の記事で取りあげたことがあります。
簡単にいえば、「人間の排出から薬が地球全体に拡散している」ということがわかったのです。
完全絶滅プロトコル : 魚たちが次々と「男性から女性へと変化」しているその原因が判明。そこから気づいた「人間から水循環システムの中へ排出されている薬たちによる皆殺し」
本当は、この「薬の汚染」に関しては、いろいろ書きたいところもあるのですが、独断的な解釈になってしまうので、それはやはり問題もありますので、書けないでいるという部分もあります。
いずれにしましても、1973年のコンピュータの「文明の終焉」予測は、それから 45年後の私の漠然としたアナログ予測と不思議と同じであることに興味を持ち、ご紹介させていただきました。
ちなみに、この上のふたつの問題、
・人口減少
・汚染
への対策は「ない」と考えています。理由は比較的明白ですが、長くなるのでふれません。
逆に、それぞれに完全な対策が「ある」という奇跡が存在するならば、それをどなたかが推し進めてほしいです。
しかし、現実的には、文明の質の低下とその終焉は、時間が前後にずれることはあっても避けられないとしか思えないのです。