カリフォルニアの群発地震への懸念を報じる米ロサンゼルス・タイムズ
世界各地で高まる巨大地震への懸念
1週間ほど前に、以下の記事で、地球全域で「謎の地震波」が観測されることが継続していることと、アメリカのカリフォルニア州において、激しい回数の群発地震が続いていることをご紹介しました。
地球で何が起きようとしているのか? 世界規模で継続する「謎の地震波」、そして規模的にも地理的にも拡大し続けている地震と火山活動……次は?
そのうち、カリフォルニア州の群発地震については、収まるどころか、さらに激しい状態となってきていまして、たとえば、アメリカ地質調査所(USGS)のデータを見ますと、どの地震も規模は大変に小さなものとはいえ、この1週間で「ほぼひとつの地震帯から 300回以上の地震が観測されている」ということになっています。
場所は、フォンタナという町がある場所で、「フォンタナ地震帯」と呼ばれているようですが、以下のように、大都市ロサンゼルスのすぐ近くにあります。
カリフォルニア州フォンタナの場所と最近1週間の地震
この群発地震について、まさに本社がこのロサンゼルスにある米ロサンゼルス・タイムズは、「この群発地震が大地震に結びつく可能性」について論じる記事を掲載しました。
まずはその記事をご紹介したいと思います。
ここからです。
Southern California earthquake swarm takes an unexpected turn, and that’s reason to worry
LA Times 2019/06/08
南カリフォルニアの群発地震は誰も予測しなかった変化を遂げている。そして、この群発地震が懸念される理由
フォンタナ地震帯を中心として発生している群発地震が、南カリフォルニアの街々の周辺地域で著しい持続力を示している。あなたがフォンタナ近辺の住民ならば、現在のこの群発地震の状況に神経質になっても仕方ない面はあるだろう。
幸い、多くの地震学者は、このような群発地震が、破壊的な巨大地震に結びつく可能性は高くはないと語っている。
しかし一方で、長期間にわたって続いている地震の発生数を考えると、より大きな地震が発生する可能性は通常より高いことも事実だと、カリフォルニア工科大学の地震学者であるエギル・ホークソン (Egill Hauksson)氏は述べる。
ホークソン氏は、以下のように語る。
「この群発地震に対して、住民の方々は懸念を抱くべきかもしれません。現在、フォンタナで起きている群発地震は、過去 30年間にこの地震帯で起きた群発地震の中で最多の数となっていると思われます」
同じカリフォルニア工科大学の地震学者であるジェン・アンドリューズ (Jen Andrews)氏によると、フォンタナ地震帯では 5月25日以来、700回以上の地震が記録されている。地震の規模は、マグニチュード 0.7からマグニチュード 3.2までだった。マグニチュード3以上の地震が 3回記録されている。
その期間の中で、異常なことが起きている。
群発地震は、最初、北の方角へと移動していた。ところが、その後、群発地震は、方向を転換して南に移動し始めたのだ。
この異常な出来事は、6月7日に始まった。
ホークソン氏は、「これはやや予想外の群発地震の進化でした」と述べた。
そして、ホークソン氏は以下のように語る。
「群発地震は、少なくとも数週間は続くと考えられますが、しかし期間を正確に判断することはできません。私たち地震学者は現在、フォンタナ地震帯に何が起きているのかを監視しており、そして、その活動を追跡してようとしています」
「もし重大な新たな地震活動が発生するとすれば、おそらく新しい地震系列からのものでしょう」
さらに、ホークソン氏は、南カリフォルニアの住民の人たちに対して、不測の事態に備えて、飲料水の準備や、家具などが転倒しないような措置をおこなうなど準備を行うべきだと述べた。
具体的には、南カリフォルニアのすべての家において、ベッドの周囲に重い物や転落するようなものを置かない、本棚やドレッサー、液晶テレビは壁に固定するなどの対策を講じてほしいという。
カリフォルニアの地震での最後に死亡した人の死因は、地震により壊れたテレビが頭部に当たったことによるものだった。
また、群発地震が続く場合の懸念としては、群発地震が巨大な断層の近くで発生している場合、断層で発生する巨大地震を誘発する可能性があることだ。
たとえば、3年近く前の 2016年9月26日、サンアンドレアス断層の近くで、規模の小さな群発地震が 24時間以上続いたことがある。そのうち、3つの地震は、マグニチュード 4.0を超えていた。この際、専門家たちによる「マグニチュード 7以上の地震が発生する確率」の予測は、従来の 6000分の 1から「 100分の 1」に上昇した。
この時は、結果として大きな地震は起きなかった。しかし、この際には、カリフォルニアの住民たちには、地震への備えをする警告が出された。
なお、今回のフォンタナ地震帯は、サンアンドレアス断層などの巨大な断層の近くではないので、それらの断層が刺激されることはないと専門家は述べている。
ここまでです。
この群発地震の回数事態もすさまじいですが、ここで注目したのは、「群発地震の震源がいろいろな方向へ移動している」というところでした。
この「カリフォルニアの移動する地質事象」ということで思い出しますのは、昨年 10月から 11月にかけて、
「クレーターあるいはシンクホールがカリフォルニアを移動し続けた」
という奇妙な地質の報道がありました。
これは、以下の記事でご紹介したことがあります。
そこで何かが進行しているのか? : アメリカのサンアンドレアス断層上で「1日に39回連続した地震」が発生。同時に「断層上を移動するシンクホール」という不思議な事象が出現中
この時の「移動するクレーター」は、サンアンドレアス断層に沿うように移動していたと報じられていました。
また、このサンアンドレアス断層とつながっている場所にあるカスケード沈み込み帯という巨大地震発生の可能性のある場所では、昨年の夏、米オレゴン大学の科学者たちによって、「マントルが上昇している」ことが突き止められたことがあります。
そのことは、以下の記事で取り上げさせていただいています。
・かつてマグニチュード9の巨大地震を発生させたアメリカ西海岸のカスケード沈み込み帯で「マントルが上昇している」ことが米オレゴン大学の調査により判明
In Deep 2018年8月2日
マントルが上昇していることがわかった場所
このように、昨年あたりから、アメリカの西海岸では、いろいろと地質的な異常・・・といっていいのかどうかはわからないですが、通常とは異なる事象が発生し続けている感じで、そのような中で、今回のカリフォルニア州の群発地震が発生したということになります。
このサンアンドレアス断層などがある太平洋の海域は、かつて非常に大きな地震が繰り返し発生している場所でもあり、そして、過去の記録からは、経過年数から考えて、「次の巨大地震がいつ起きても不思議ではない」ことになっています。
また、このアメリカ西海岸の場所は、環太平洋火山帯にあるのですけれど、アメリカから遠く離れてはいても、同じ環太平洋火山帯に位置しているニュージーランドでも、実は今、
「巨大な地震が懸念される地震」
が起きたことが報じられていました。
地震が起きたのは、ニュージーランドのアルパイン断層と呼ばれる長さ 500キロメートルに及ぶ断層で、この断層では、1717年にマグニチュード 8.1の地震が起きており、そのため、以下のように「マグニチュード 8級の地震が近づいている」という報道が億なされています。
2019年6月11日のニュージーランドの報道より
このアルパイン断層は、過去 8000年のデータから、平均 330年ごとに巨大地震が発生していることがわかっていまして、最後の地震から 300年が経過している現在、いつそのような地震が起きても不思議ではないという内容の報道でした。
日本の南海トラフとなどでの巨大地震などと同様に、過去の記録からの推測となります。
なお、最近、北海道の沖で巨大地震が発生する可能性について以下のようなタイトルの報道がありました。
・北海道で巨大地震の恐れ 津波対策が急務
産経新聞 2019/06/09
北海道の西方、つまり色丹島や択捉島がある海域ですが、そこでは、過去に、
・1893年 マグニチュード 7.7
・1918年 マグニチュード 8.0
・1963年 マグニチュード 8.1
・1969年 マグニチュード 7.8
・1995年 マグニチュード 7.3
というように、高い頻度で巨大地震が起きていまして、仮にここで東北の震災級のような規模の地震が起きた場合、大きな津波被害が出る可能性があるというものです。
しかし、日本にはこのような「次の○○年で、巨大地震が発生する確率は○○%」というような場所はたくさんありますが、現実には、この数十年間、予測されている場所での巨大地震は起きていないわけで、
「想定していなかった場所ばかりで巨大地震が発生する」
ということが続いていますので、今後も何とも言えませんが、しかし、アメリカもニュージーランドも日本も、予測されている場所では「過去に周期的に巨大地震が起きていた」ことは事実ですので、それぞれでいつかは巨大地震が起きるということにはなるのだとも思います。
そういえば、以下の過去記事で、「巨大地震は、地球の反対側に地震の連動を起こさせやすい」ことが、米オレゴン州立大学の研究者たちによって見出されたことを取り上げたことがありました。
「大地震は《地球の裏側》に別の地震を誘発する」 : 2018年の北海道地震を誘発させたペルーの地震の震源に近い場所で「M8の大地震」が発生。またも連動は起きるのか?
この場合は、短期間での地震の連動についての研究でしたが、もう少し長い期間で見てみましても、地球の反対側では地震が連動しやすいことが最近いくつかのメディアなどで取り上げられていました。
TOCANA さんの「南海トラフ巨大地震は“3カ月以内”に発生か!? 最も危険な月は… ペルーM8.0地震で“法則”発動、過去データで判明!」という記事では、チリやペルーなどの南米の大地震と日本の大地震が連動した多くの事例をデータで掲載されていました。
ペルーでマグニチュード 8.0という巨大な地震が起きたのは 5月26日のことで、まだ 2週間ほどしか経っていませんが、どこの地域というのはともかく、日本でも比較的大きな地震が発生する可能性は確かにあるのかもしれません。
また、ここまで書かせていただいたことと関係あることではないですが、以前のこちらの記事でもふれた話として、
「普通はほとんど地震が発生しない場所で地震が発生する、ことが最近続いている」
のです。
それは現在も続いていまして、下は 6月10日の世界のマグニチュード 3.0以上の地震の発生場所を示したものですが、ふだんはそのような規模の地震が、ほぼ起きない中東からヨーロッパにかけて、よく地震が発生する状態がいまだに続いています。
白い丸で囲んだ場所は、特に地震の発生が珍しい場所です。
2019年6月10日に発生したM3.0以上の地震
環太平洋火山帯の活動が激しくなっている徴候は、最近の激しい火山活動からも理解できるのですが、環太平洋火山帯ではない場所でも奇妙な地震が増えているようで、どうも「地球規模で地震が不思議な増加傾向にある」という中に私たちはいるようです。