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4月19日にメルマガ私たち現生人類は「鉄の種族」であることから思う生き方を発行させていただきました。

人類の未来 地球という場所の真実 未来の地球

20億年前の地球で「酸素の消失により99%の生命が死滅した」大量絶滅事象があったことが明らかに。それは微生物の大量死で、その状況は現在と酷似しており…

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2019年9月2日の米ニューズウィークの記事より


newsweek.com




 

その後の地球は「10億年」も生命がほぼいない状態に

地球の歴史では、これまで「 5回の大量絶滅」があったということになっています。

ところが、最近、それらの 5回の大量絶滅より、はるか以前に、

「地球上のほぼすべての生物が消えたような大絶滅」

があったことがわかったのでした。

それは「微生物の大量絶滅」でした。

地球のこれまでの 5回の大量絶滅は大ざっぱには以下のようになっています。年代にはすべて「約」がつきます。

地球の過去の大量絶滅

4億4400万年前 当時生息していた全ての生物種の85%が絶滅

3億7400万年前 すべての生物種の82%が絶滅

2億5100万年前 海生生物のうち最大96%、全ての生物種で見ても90%から95%が絶滅

1億9960万年前 すべての生物種の76%が絶滅

6550万年前 恐竜をを含むすべての生物種の70%が絶滅

このようになっています。

今回明らかになった「地球上で最大の大量絶滅事象」は、それらよりはるかに向かいの 20億年前に発生していたのでした。

これは、大量絶滅の調査の方法を変更したことにより突き止められたものです。

大量絶滅の調査は、これまでは、基本的に「化石」から行っていましたが、化石の方法ですと、大型の生命などについては増加や減少について追跡できるのですが、大型の生物以前の生物、つまり「微生物などの大量絶滅」は、これまで考慮されたことがありませんでした。

しかし今回、国際的な研究チームが、重晶石と呼ばれる岩石内の酸素の量を追跡することによって、「時代の変遷の中での、生物の量」を特定することに成功したのです。

その中で、20億年前の大量絶滅が明らかとなったのでした。

最も興味を持ったのは、この大量絶滅が、

「地球上から酸素が消えて起きた」

ことでした。

そういう時期が地球にあったのです。

地球上で、増えていた酸素が、再び急激に減少していったことで、ほとんどの生物たちは生き残ることができなかったようです。酸素を不要とする一部の生命以外は、みんな絶滅してしまったということのようです。

まずは、冒頭のニューズウィークの記事をご紹介します。

 


TWO BILLION YEARS AGO, UP TO 99 PERCENT OF LIFE ON EARTH DIED IN AN EVENT MORE CATASTROPHIC THAN MASS EXTINCTION OF THE DINOSAURS
Newsweek 2019/09/02

20億年前、地球上の生命の最大99%が絶滅していたことが判明。それは恐竜が絶滅した時よりもはるかに壊滅的な大絶滅だった

国際的な科学者チームは、このたび、すでに知られている大量絶滅事象の他に、20億年前の地球で、地球上の生物のおよそ 99.5%が死滅した大絶滅があったことを突き止めた。

この大量絶滅では、6500万年前に地球上から恐竜が一掃された時よりも、はるかに多くの生物圏が消滅したと考えられるという。

通常、大量絶滅の事象は、化石を通して追跡することができる。化石を調べれば、動物たちがどの時期に存在し、どの時期に存在していなかったかが分かるのだ。

しかし、化石からの追跡は、多細胞生物などの複雑な生命に対してしか行うことができない。多細胞生物以前の生命の大量絶滅を追跡することは難しい。当時、地球上に生息していたのは、主にさまざまな「微生物」であり、微生物の存在は、化石からは追跡できない。

今回、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された研究報告では、国際的な科学者チームが、数十億年前に形成されたカナダのハドソン湾の重晶石(バライト岩)を調べた。重晶石は、特定の時間に大気中にどれだけの酸素が含まれていたかについての情報を保持する鉱石だ。この鉱石に、特定の時期に大気中に含まれていた酸素の量に関する情報が含まれているのだ。

そして、チームは、これらの鉱石から、20億5000万年前に、地球の生命レベルが大幅に低下していたことが示されていることを見出した。

これは、地球上の酸素レベルの大きな変化と一致した。

今回見出された 20億5000万年前の大量絶滅の前の 24億年前に、地球の大気中の酸素の量は大幅に増加している。これは「大酸化イベント」として知られる。

その後、酸素の量が劇的に減ったのだ。地球上の生命にとってみれば、それまで十分に自然から与えられていた酸素が減少し、一転して、地球の生命は、「酸素不足」に苦しむことになったのだ。

しかもこの酸素の減少した状態は、その後、10億年近くにわたって続いたという。

論文の著者であり、イスラエルのワイツマン科学研究所と米国プリンストン大学に在籍するピーター・クロックフォード (Peter Crockford)氏は、この結果に、「とても驚きました」と語る。「これほど大きな大量絶滅の痕跡を、重晶石のサンプルから発見できるとは思ってはいませんでした」

クロックフォード氏は以下のように言う。

「この大量絶滅の 1億年前から 2億年前、地球上には多くの生物がいましたが、その後大部分が死滅しました。その後の時代に地球で複数回起きている大量絶滅事象の場合は、その後に生態系が回復しますが、この 20億年前の大量絶滅の後は、10億年にわたって生物が極端に少ない状態が続き、地球の生物圏が小さな状態が続きました」

クロックフォード氏らの推定では、20億年前の大量絶滅では「地球上の生物の 80%から最大で 99.5%が絶滅した」という。

恐竜が絶滅した 6550万年前の絶滅事象での時に地球から消えた生物は全体の約4分の3だった。また、これまでに知られているなかで最大の大量絶滅だった約 2億5200万年前の「大絶滅」で絶滅した生命でさえ、陸上生物の約 70%と海洋生物の約 96%だった。

ここからも、20億年前の大量絶滅がいかに壊滅的なものだったかがわかる。

研究チームによれば、この大量絶滅は、科学者たちが「酸素のオーバーシュート」と呼ぶ学説を裏付けるものかもしれないと述べている。

酸素のオーバーシュートは、光合成をして酸素を作り出す生物の出現と、大陸表面に風が生じるようになったことによって大量の酸素が地球に発生し、それが地球上の生命の進化を促したが、酸素を放出する生き物が増え過ぎて、酸素が不足し、それが生物の減少を招いたという説だ。

クロックフォード氏は、今回の発見が、地球の未来の変化を予想する上で役立つ可能性があると語る。

「 20億年前と同じように、人間を含む現在の生物圏は、食物連鎖の末端に依存しています。それはつまり、海の微生物と地上の植物に依存しているのです。大気中の酸素濃度に関しては、それが急激に変化することはないとしても、今後の数十億年などの間には、変化する可能性は十分にあり得ます」

クロックフォード氏は、今回の発見により、地球には、まだ科学者たちに突き止められていない大量絶滅事象がたくさんあるはずだと確信するようになったという。


 

ここまでです。

これを読みまして、「うーむ」と思いました。

地球にはいろいろな変動の歴史がありますれけれど、「酸素がなくなった」という事象は、地球上に生命が登場して以来、1度もなかったと私は思っていたののですが、

「それがあった」

のです。

酸素がなくなれば、そりゃまあ、今でも、ほとんどの生命は生きられないでしょうけれど、しかしですね、なぜ、「うーむ」なのかといいますと、ニューズウィークの記事に出ています科学者の方は、「酸素のオーバーシュート」という言葉を使っています。

つまり、

「地球に光合成で酸素を作り出す植物性の生命が現れた」

ことによって、

「地球の酸素は大幅に増加した」

と。

しかし、これは以下の記事でもふれましたけれど、「それはない」はずなのです。

「今の地球は《劇的に緑化》しているという事実」と、そして、「酸素を放出するその植物たちを増加させているのは二酸化炭素」だという事実を思い出してみる

この記事でも、「なぜ、地球には酸素があるのか」ということは、科学の世界で最大の謎のひとつであり、そのほぼ理由はわかっていないことにふれましたが、

・植物や植物性バクテリアが酸素を生成しても、他の微生物に消費される

・植物や植物性バクテリアも夜は酸素を消費する

という理由などから、どれだけ光合成をする生物が増加しても、「地球上の酸素が増えるという理由にはならない」と思われるのです。

地球に酸素があるという現実は、光合成の登場だけでは説明が難しいように思われまして、他に何か「決定的な要因」があるはずだと思うのです。

もちろん、植物が突然、極端に減少すれば、地球の大気が危機的になるという「急激な減少」のほうの話はあると思われますが。

 

結局、それが何かはわからないですが、20億年前に、

「何らかの要因で、地球に酸素がある決定的な要因が消失した」

ということになると思われます。

 

ちなみに、地球の地上に大気が保持されているのは、基本的には、地球の重力の強さによるものだと思われますが、たとえばですけれど、

「地球の重力に、あるとき、突然異常な変化が急速に生じた」

というようなことがあるとすれば、それは、「地球の大気に異常が起きる」こととつながるということは、あり得るかもしれません。

たとえば、地球の重力が月のような程度のものだったなら、地上の大気は、宇宙空間へ逃げていき、大気は地球に止まらないはずです。

そうかといって、「地球の重力がこれ以上強力なものだったら」それはそれで、いろいろと不都合がありそうな気もします。

ですので、重力の問題ひとつを考えても、地球というのは「生命が生きるために、完全にできている」と思うのですね。

重力でも、あるいは磁場なども、そういういろいろな地球環境の「バランス」が保たれているうちは、20億年前みたいな極端なことは起きないと思います。

 

しかし、

「そのバランスが崩れたら?」

ということは考えることも重要なことかもしれません。

 

バランス・・・重力・・・磁場・・・微生物の減少・・・植物の減少・・・というように見ていきますと、「バランスが崩れた時代」というのはいつかといと、

「今でしょ」(古ッ)

ということになるのではないでしょうか。

この地球の根幹を支えているのは、どこまでいっても微生物であり、海でいえば、細菌やさまざまなプランクトン、陸上でも、さまざまな細菌や微生物が、たとえば食物網においても、他のさまざまにおいても、多くを支えています。

ところが、海や川の水システムの微生物は、以下のような記事で取りあげさせていただいていますが、今や、抗生物質などの流入により、「水中の微生物環境は壊滅的」ということになっています。

英国の大学が「抗生物質による河川の汚染状況」に関して史上最大の調査を敢行。その深刻さは、耐性菌と環境破壊のダブルの黙示録が進行している現実を示す

あるいは、かなり前の記事ですが、「海のプランクトンも劇的に減少している」ことを NASA が突き止めたことを以下の記事で取りあげました。

北半球の海の「植物プランクトン」が劇的に減少し続けていることが NASA の調査で判明。そして、その海のプランクトンたちもまた「他との共生」で進化していた

海や川で、このように微生物が減少している状態では、魚類や海洋生物も、それに伴って減少していくのは、ある意味で当たり前だと思います。

そして、たとえば、先日の以下の記事では、ミツバチは「微生物を食べる肉食だった」ことが明らかになったことをご紹介させていただきましたが、そこでわかるのは、「陸上の微生物」も劇的に減少していることでした。

[衝撃] ミツバチは花の蜜や花粉を食べているのではない。彼らは食糧としての微生物がいなければ生きていけない「肉食」であることが判明。そのことから、ハチの大量死が「殺菌剤」と関係する可能性が浮上

 

地球のあらゆるところで、微生物が急減している今の状況は、実は、

「20億年前と似ている」

と考えられます。

ニューズウィークの記事での科学者の方は、「数十億年」というような数字を出されていましたが、しかし、現在のような微生物において危機的といえる環境になるまでには、ほんの数十年ほどしか時間がかかっていません。

以下の記事で取りあげました昆虫の減少なども、ほんの数十年で加速しました。

地球上の昆虫の減少が「カタストロフ的なレベル」であることが包括的な科学的調査により判明。科学者たちは「100年以内にすべての昆虫が絶滅しても不思議ではない」と発表

ですので、絶滅に至るまでに数十億年というような遠大な数字はないと思います。

ここまで突き進んできた時間、つまり数十年以内くらいに、

「私たちは 20億年前に起きた微生物の大量絶滅と同じような状況を見る」

ことになるのかもしれません。

微生物がいない世界で生き残ることができる生命は(微生物同士を含めて)ほとんどいないはずです。

現在の世の中は、その兆候があまりにも顕著で、むしろ「 20億年前のようにはならない」と考えるほうが難しいレベルにまで来ていると思います。





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Oka In Deep

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