これがADEなら、さらに状況が悪化することは避けられない
日本を含めて、最近、西側の多くの国でコロナの再度の拡大が起きています。
しかも、それは過去最大の規模のものとなっている国や地域も多く、オーストラリアやニュージーランドなどに見られるように、感染数だけではなく、重症事例、死亡事例も過去最大となる地域が多くなっています。
オーストラリアは、16歳以上の二回のワクチン接種率が 95%、と世界最高レベルであると共に、ブースター接種率も 70%を超えています。
しかし、そのオーストラリアは、たとえば、ロイターが、「豪でコロナ感染・死者が記録的水準に、変異株が猛威」と報じているような一種の「修羅場」となっています。
オーストラリアは、以下のように、現在「入院患者数も過去最大」となっていますので、死亡事例は今後上昇していくと見られます。
オーストラリアのコロナ入院数の推移(パンデミック全期間)
ourworldindata.org
日本の感染状況もそうですが、過去と比較して「ちょっと度が過ぎている」ということがあります。
ここに至りますと、「変異種の差」というような問題ではないというようにしか捉えられないのですが、これらの原因のひとつには、ワクチン接種によって免疫が抑制されていることはあるにしても(過去記事)、それでも 1回目の集団接種、2回目の集団接種の後に比べて、今はひどすぎる。
ふと思うのは、
「抗体依存性増強 (ADE)が始まっているのでは?」
ということです。
抗体依存性増強については、昨年何度か記させていただいていますが、その詳しいメカニズムは、後半に記させていただきますが、以下の記事などで、かなりわかりやすい海外の記事をご紹介しています。
[記事] 人類の大量死につながる可能性を否定できない ADE (抗体依存性増強)についてのメカニズム…
In Deep 2021年4月27日
今、日本やオーストラリアで起きていることが ADE なのかどうかは、それ単体を見ていてもわかりません。
なぜなら、「 ADE に特化しているような症状や感染状況があるわけではない」からです。ADE だからこれが起きる、というようなことは一切ありません。
特に、もともとコロナ(あるいはスパイクタンパク質)は、多彩な症状を出現させるものでもあり、感染が増強された状況がどのように出てくるのかは人それぞれだとは思います。
それが ADE なのかどうかを判断するためには、
「比較するしかない」
と思われます。
「しかし、どうやって比較を……」と考えていましたが、先日の以下の記事を書いている時に、いろいろと思い出したのでした。
[記事] サル痘って…その症例にはヒトヘルペスウイルスの再活性化と「自己免疫水疱症」が多く含まれているのでは…と思わざるを得なかったり
In Deep 2022年7月26日
この記事には、ファイザー社ワクチンが展開された国のマップを載せていますが、他のワクチンも、世界中で展開された以下のワクチンは、「スパイクタンパク質の全長をコードしている」ものです(この「全長」という概念についても後で注釈させていただきます)。
・ファイザー社ワクチン
・モデルナ社ワクチン
・アストラゼネカ社ワクチン
これらは、スパイクタンパクの「全部分」を体内で生産します。
現在、世界中で感染や重症化が拡大している国や地域は、これらのワクチンを大規模に展開した国であり、しかも、複数回のブースターショットまでおこなっているような国で最も強烈な感染爆発が見られています。
では、
「これらのようなワクチンを使用しなかった国との比較ではどうなのだろう」
というように思ったのです。
「これら」というか、実際には、「スパイクタンパク質の全長をコードしていない RBD という領域だけをコードしたコロナワクチン」を接種している国との比較、という意味です。
この RBD という概念も、後に注釈させていただきますが、確かに全体的にややこしい概念なのですが、これは、
「私たちが生きるか死ぬか、ということと関係していること」
ですので、後半で詳しく書かせていただきます。
いずれにしましても、ファイザー社ワクチン、モデルナ社ワクチン、アストラゼネカ社ワクチンなどのように、「ほぼ必ず ADE を発生させるメカニズム」を持つものではないワクチンを接種した国との比較を見てみたいと思いました。
しかも、そのワクチンの構造が正式に文書化されているものでです。
インドやロシアもコロナワクチンを製造していますが、その中味は「今でもブラックボックス」であり、詳細はわかりません。個人的には、これらのワクチンは、身体に害のない水ワクチンの疑いが濃厚ですが、推測でこのようなことを書いても仕方ないです。
その中で、「あ、そうだ」と思い出しましたのが、キューバでした。
キューバは、他国で製造したワクチンを一切使用せず、「自国で開発、生産」したコロナワクチンだけを展開し、約 90%の国民が接種しています。
そのことについては、昨年 12月の以下の記事に書いています。
[記事] 抗体依存性増強を引き起こさない自国製コロナワクチンを展開させたキューバでは、すでにパンデミックは終わった様相に
In Deep 2021年12月22日
なお、キューバというのは、経済的には大変なのかもしれないですが、医療については「高い予防医療技術」を持つ大変な医療先進国であり、1000人あたりの医師の数も、日本の 3倍です。
キューバは、2021年9月からワクチン大規模接種を開始していますので、現在で、約 10ヵ月ほどになります。
現状、日本を含む西側の多くの国が、コロナにおいてグダグダになっていますが、キューバはどうなのか。
もしキューバの感染状況、あるいは死亡事例の状況も、日本のように何度も悪化しているようなら、キューバのワクチンもまた「ダメなもの」と言えるでしょうし、仮に、
「パンデミックがほぼ完全に収まっているなら」
キューバのワクチンの優秀性が示されていることになります。
いくつか日本とキューバを比較してみました。
自国産ワクチンのみを接種したキューバとの比較
まずは、過去1年のキューバと日本のコロナ感染確認数の推移です。
キューバと日本の感染確認数の推移 (過去1年)
ourworldindata.org
キューバは、2021年9月7日に自国産ワクチンの接種を開始した直後から、驚くような感染数の減少を見せました。その後、今年 1月には、再び流行波が起こりましたが、「前回の流行波よりはるかに低い数値」だったことがわかります。
日本の場合、「流行波が起きるたびに、前回より大きくなる」ということを繰り返していますが、それはありません。
そして、キューバは、今年春には、ほぼパンデミックが終息したグラフとなっています。
過去3ヶ月のグラフで見ますと明らかですが、「死者数」の差については、特に顕著な差があります。
以下は、過去3ヶ月のコロナ死者数(人口100万人あたり)の比較です。
キューバと日本のコロナ死者数の推移 (過去3ヶ月)
ourworldindata.org
日本が、現在より前に 1日の新たな死亡者数がゼロになったのは、2022年1月16日で、それ以来、1度も死者数がゼロの日はありません。
ちなみに、パンデミック全期間で比較しますと、2021年には、キューバのほうが日本よりはるかにコロナ死亡数が多かったのです。それこそ、率として「日本の数十倍」という死亡が日々記録されていました。
以下は、2020年2月からの日本とキューバのコロナ死者数(7日移動平均)の推移です。
キューバと日本のコロナ死者数の推移 (全期間)
ourworldindata.org
キューバでは、国産ワクチン展開後、少しずつ「流行波の規模が小さくなり」、そして「完全に終息した」ようなグラフを描いています。少なくとも、現時点ではそのようなことを示します。
日本の場合、接種、あるいはブースター接種が進むたびに、「前回の流行波より大きな流行波がやってきている」ことは否定しようがないと思いますが、キューバにはそれがない。
先ほどのキューバの記事を書いた際には、まだ、キューバで国産ワクチン(RBD特化のワクチン)接種が始まって 3ヵ月くらいでしたので何ともいえない面はあったのですが、約 10ヵ月経って、これだけの差があるというのは、データ上では、キューバの国産ワクチンの優秀性が証明されていることになるのではないでしょうか。
なお、中国で展開されたワクチンについても、……まあ、中国でおこなわれることについては、実際にはわからないことばかりだとは思いますが、臨床試験前の文書を見た限りでは、
「キューバワクチンと同じように、抗体依存性増強がおきないもの」
である可能性があります。
以下の記事に書いています。ちょうど1年くらい前の記事ですね。
[記事] 中国ワクチンは、スパイクタンパク質の中和抗体部位の標的に特化した「ADE(抗体依存性増強)を引き起こさないもの」であることを今にして知る…。積み重なる「やられた感」…
In Deep 2021年7月22日
なお、この抗体依存性増強 / ADE は、語感からですと、
「再度感染した場合に、症状が重くなる」
というイメージがある言葉ですが、もちろんそれは重要な部分ですが、実際には、
「感染自体しやすくなる」
のです。
たとえば、以下は、2021年8月の大阪大学の研究者など複数の日本の研究者たちが発表した論文からの抜粋です。この頃流行していたのはデルタ株です。
> デルタ変異株の NTD の独自な変異は、BNT162b2 免疫血清 (※ファイザー社ワクチンのこと)による感染力の増強に関与していた。 (biorxiv.org)
いろいろと難しい表現ですが、「感染力の増強」という表現がある通り、抗体依存性増強というのは、
・コロナに(再)感染しやすくなる
・感染した場合、重症化しやすくなる
というふたつの特徴を持っているわけで、これは、現在の日本で起きていること、そして、オーストラリアなどで起きていることをよく物語っていると思います。
また、「ワクチンの接種回数が、増えれば増えるほど」そのような抗体依存性増強に至る傾向が大きくなると思われます。
というのも、
「中和抗体(感染を防ぐ抗体)は消えるけれど」
「感染増強抗体(ADEの原因となるもの)は消えない」
からです。
さきほどの大阪大学等の論文には、以下のようにあります。
太字はこちらでしています。
(大阪大学等の研究者による論文より)
> 中和抗体ではなく、増強抗体のエピトープ (抗原の一部)は、デルタ変異体を含むほとんどの SARS-CoV-2 変異体でよく保存されている。
>
> したがって、SARS-CoV-2 変異体に由来するスパイクタンパク質の追加免疫(ブースター接種のこと)は、以前に野生型 SARS-CoV-2 に感染した、または野生型スパイクタンパク質で構成されるワクチンで免疫された個体において、中和抗体よりも増強抗体を増強する可能性がある。 (biorxiv.org)
やはり難しい書き方ですが、専門用語を使わずにこれを書きますと、
・保存されるのは中和抗体ではなく、感染増強抗体
・なので、ブースター接種等は、感染増強抗体を増強する可能性がある (ADEにつながる可能性)
ということになり、「よく保存されている」という表現でわかりますように、
「回数を打てば打つほど、感染増強抗体だけが体内に増えていく」
わけです。
回数を打てば打つほど ADE に至りやすい、つまり「感染しやすい」「重症化しやすい」ということになりやすいと。
これは、以下の記事でご紹介しました、東京理科大学名誉教授の村上康文さんの、このタイトルにある通りの言葉である、
「6回(目の追加接種)ぐらいで全部死んでしまう」
という言葉通りです。
ワクチンの全品質が均等な場合、生存できる接種回数の上限は 6回以下くらいなのですね。
[記事] 「6回目ぐらいで全部死んでしまう」 : 村上康文 東京理科大学名誉教授の言葉から見えるブースターによる、すぐそこにある終末
In Deep 2021年12月29日
実際のところは、まあこのことは何度も書いていますが、ファイザー社ワクチンには、濃度と内容に大変な違いがあるため、何でもない人もいるとは思います。(参考記事1、参考記事2)
しかし、このような、つまり、
「全部死んでしまうようなこと」
を
「起こさないワクチン」
を作ることは可能だったのです。
実際には臨床試験の段階では、ファイザー社にもこれがありました。以下の記事に書いてあります。
[記事] 幻のワクチン : ADE (抗体依存性増強)を誘発しないコロナウイルスワクチンが現行のファイザー社ワクチン以前に存在したことを明らかに示す厚生労働省の特例承認報告書
In Deep 2021年7月7日
この記事の後半部分を今回の記事の最後に示させていただきます。
というのも、ここまで書かせていただきましたすべての事柄については、スパイクタンパク質の、
・RBD という領域
・NTD という領域
の理解が必要になってくるのです。
なかなか面倒な概念ではあるのですが、その説明が書かれた過去記事を編集した部分をご紹介して締めさせていただきます。
それにしても、日本の技術なら、安全なコロナワクチンは必ず開発できていたはずなのですが、実際には妙なことになったまま現在に至っており、そして未来は悲観的です
オーストラリアの死亡数を見ていましても、日本も今後かなり重症事例、死亡事例が増加していくと見られます。なぜなら、人口 100万人あたりでのオーストラリアの死亡数にまだまったく届いていないからです。オーストラリアと日本のワクチン接種率から、日本もオーストラリアに近いものとなる可能性はあり得ます。
オーストラリアと日本の人口100万人あたりのコロナ死者数の推移(過去3ヶ月)
ourworldindata.org
しかし、今回の流行波はともかくとしても、ブースター接種を続けていった場合、次の流行波はもっと悲惨になります。それは確定的です。
ここから ADE のメカニズムについてです。
RBDとNTD
(※) 2021年7月7日の In Deep 記事「幻のワクチン…」より。
試薬 BNT162b「1」と試薬 BNT162b「2」
ここからの話は、基本的には、
と
「厚生労働省のファイザー社コロナワクチン特例承認書類の内容」
を照らし合わせていきます。
厚生労働省の「特例承認書類」については、正式名は、「コミナティ筋注 ファイザー株式会社 特例承認に係る報告書」といい、以下の記事で取りあげています。
厚生労働省の医薬品部局による「コロナワクチン特例承認」書類で知る「闇」(というか本当に黒い部分が多いので)…
投稿日:2021年6月22日
まず、大阪大学の論文のプレスリリースには、以下のように記されています。
> 感染増強抗体の認識部位は現行のワクチン抗原にも含まれている。
つまり、現在使われているワクチンは、ADE を起こす可能性があると述べられているわけです。
ここからがちょっと面倒くさい話ですが、新型コロナウイルス(のスパイクタンパク質)の部位は、
・RBD という領域(受容体の結合部位)
・NTD という領域 (受容体の結合部位)
からなっています。
大阪大学などの研究から図をお借りしますと、以下のようになっています。
大阪大学などの研究のプレスリリースには以下のように書かれてあります。
> 中和抗体は RBD を認識するのに対して、
> 感染増強抗体は NTD の特定の部位を認識することが明らかとなった。
つまり、
・ADE を起こす感染増強抗体は、上の図の「 NTD 」というほうの受容体の結合部位を認識する
ということで、この NTD というほうが、抗体依存性増強と関係する。
そして、 中和抗体、つまり感染予防となるとされる抗体のほうは「 RBD を認識する」とプレスリリースにはありまして、ワクチンが RBD だけを認識するものであれば、抗体依存性増強は起きにくい可能性がある。
このふたつのことがわかります。
図で示しますと、以下のようなことになるでしょうか。
さて、ここから、厚生労働省によるファイザー社ワクチンの特例承認書の内容に入ります。
その前に大前提として、現在、日本で接種が進んでいる実際に使用されているファイザー社ワクチンの正式名称の型番は、
BNT162b2
です。
末尾が「 2 」のものです。
この末尾の数字がとても大事になってきます。
末尾が「 1 」のものも出てくるからです。
日本で実際に使われているファイザー社ワクチンが、この末尾が「 2 」の BNT162b2 かどうかは、以下の国立感染症研究所の 5月10日時点の「新型コロナワクチンBNT162b2(Pfizer/BioNTech)を接種後のCOVID-19報告率に関する検討」というページの冒頭でわかります。
> 国内に導入された新型コロナワクチン BNT162b2 の臨床的効果を迅速に評価することを目的として
とあるように、日本国内に導入され現在使われているファイザー社新型コロナワクチンは「 BNT162b2 」です。
ここで再び、厚生労働省の「特例承認書」を見てみます。
末尾が「 2 」のほうです。
さきほどの、RBD というものと NTD というものを思い出されて読まれて下さると幸いです。
特例承認書の 22ページには以下のようにあります。
> なお、本剤は SARS-CoV-2 の S タンパク質の全長体をコードする mRNA であり、BNT162b1 は SARS-CoV-2 の S タンパク質の RBD をコードする mRNA である。
コミナティ筋注 ファイザー株式会社 特例承認に係る報告書 22ページ
とあります。
ここでの「本剤」というのが、現在、日本で使われているほうで、末尾が 2 のほうです。
文章をひとつずつもう一度書きます。
・本剤は SARS-CoV-2 の S タンパク質の全長体をコードする mRNA
・BNT162b1 は SARS-CoV-2 の S タンパク質の RBD をコードする mRNA
下のほうの文章には、
「 BNT162b1 」
と、末尾の数字が「 1 」とあり、現在日本で使われている末尾が「 2 」のファイザー社ワクチンとは「異なるワクチン」が、比較として臨床で使われていたことがわかります。
「 1 」とありますので、ごく普通に考えれば、現在使用されている「 2 」のひとつ前の開発バージョンか何かだとは思いますが、開発の順番はともかく、「異なる2種類のワクチンで比較された」ことになります。
この文書には、
> 18 歳以上 55 歳以下及び 65 歳以上 85 歳以下の健康人を対象に、本剤( BNT162b2 )の安全性、忍容性及び免疫原性の検討を目的とした無作為化観察者盲検、プラセボ対照並行群間比較試験が米国の 4 施設で実施された。
> 被験者は、各グループ(本剤又は BNT162b1 の用量別及びプラセボと年齢層別の組合せ計 13 グループ)ごとに、無作為化された。
とあり、これはアメリカでの試験であり、
・本剤(末尾が 2の BNT162b2で、現在日本で使われているほう)
・BNT162b1(採用されなかったほう)
での比較試験とあります。
文書では、「本剤」とあり、やややこしいですので、それを正式名にして、もう一度、書きますと、
・BNT162b2 はスパイクタンパク質の全長体をコードする mRNA
・BNT162b1 はスパイクタンパク質の RBD をコードする mRNA
とあります。
ここで、大阪大学等の研究を思い出してみます。
現在日本で使われている BNT162b2 は、「全長体をコードする」とありますので、「すべて含まれている」ということになり、つまり、
「 RBD も NTD も含まれている」
ということになります。
以下の図をもう一度示させていただきますと、「感染増強抗体の産生を誘導する」部位、つまり ADE を引き起こす可能性と関係する部位である NTD も含まれているということです。
しかし、採用されなかったほうのワクチンである、末尾が「 1 」の BNT162b1には、「 RBD をコードする」とだけ書かれており、ADE を引き起こす可能性がある部位の NTD はコードしないと読めます。
ということは、
「この採用されなかったワクチンなら ADE が引き起こされない可能性がある」
ということで、大阪大学などの研究のプレスリリースには、
> 感染増強抗体の認識部位を改変することで、感染増強抗体の産生を誘導しないワクチン開発が可能になると期待される。
とありますが、くしくもファイザー社は、この「感染増強抗体の認識部位を改変することで、感染増強抗体の産生を誘導しないワクチンの開発に成功していた」のでした。
つまり、「 ADE を引き起こさないコロナウイルスのワクチン」を、おそらく世界で初めて開発したということになるのです。
これは素晴らしいことです。
ただ、ひとつ残念だったことは、以下の点です。
「そのワクチンは現実には使われなかった」
試験後に採用され、世界中で現在接種されているのは、
「スパイクタンパク質のNTD もコードする BNT162b2 」
であり、感染増強抗体の認識部位が含まれているほうで、つまり、
「 ADE を引き起こす可能性がより高いほうが本採用となった」
のでした。
試験の中で、 ADE を引き起こさない可能性があるほうのバージョンは最終的に採用されなかった。
そして、今回のことでわかるのは、新型コロナのスパイクタンパク質を作り出すタイプのワクチンは、
1. RBD と NTD のどちらもコードするワクチン
2. RBD のみをコードするワクチン
3. NTD のみをコードするワクチン
という3つの種類のワクチンを作ることが可能であるということでした。
これはそれぞれ以下のようになります。
1. RBD と NTD のどちらもコードする → 感染抑制の効果が期待できるが、後に、抗体依存性増強が引き起こされる可能性がある
2. RBD のみをコードする → 感染抑制の効果が期待でき、抗体依存性増強を引き起こす可能性が低い
3. NTD のみをコードする → 感染抑制効果はなく、抗体依存性増強に特化したワクチン
「3」は、まるで完全な生物兵器ですが、幸いなことに、これはどの国でも使われていません(おそらく)。
実際に使われているのは「1」です。
試験での経緯の詳細はともかくとしても、残念なほうが本採用となったということをご説明させていただきました。
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