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鳥もまた歴史的な大量減少カタストロフの渦中に : 過去50年間で北アメリカで「30億羽」の鳥が消えていた

投稿日:

2019年9月23日の米フォーブスより


Forbes

1970年から2017年までのアメリカとカナダの鳥類の生息数の推移


allaboutbirds.org




 

鳥類の壊滅的な減少の現実が明らかに

今、地球上のいろいろな生物が、終末的な減少を見せていまして、絶滅する生物も大変に多くなっています。

これまで、ミツバチを含む昆虫や植物や魚類など、いろいろな生物の減少の現実についての科学的調査についてをご紹介してきましたが、今、アメリカで、

「北米大陸の鳥類の数の推移」

が大きく報じられています。

これは、米コーネル大学などの研究チームがおこなった、1970年から 2017年までのアメリカとカナダの鳥の生息数の推移についての史上最大規模の研究結果を科学誌サイエンスに発表したもので、それによると、実数にして、北米の鳥は 50年間で 29億羽減少したことがわかったというものです。

率にして、約3割の鳥が「北米から消えていた」のでした。

これは、野鳥の生息調査データや、気象レーダーに映る渡り鳥のデータなどを解析したものです。

このサイエンスの論文の内容に関しては、日本語でも報じられていますが、冒頭の経済誌フォーブスを始めとして、アメリカのメディアの報道では、非常に詳細に説明されておりますので、それをご紹介したいと思います。

次から次へと地球の生き物が大規模に消えていっている。しかも、多くの生物種が、たった数十年でそのような事態になっているというのは尋常な話ではないわけで、現世人類の十数万年の歴史の中で初めて起きていることだと思われます。

フォーブスの記事をご紹介したいと思います。In Deep の「生物の減少」についての過去記事は、その後にまとめてリンクさせていただきます。

 


Bye-Bye Birdies: Almost 3 Billion Birds Disappeared From North America's Skies In Less Than 50 Years
Forbes 2019/09/23

約30億羽にのぼる鳥たちが北米から消えていた。それもたった50年間で

アメリカでの新しい研究によると、カナダとアメリカに生息、あるいは繁殖している鳥類は、1970年以来、平均 29%減少していることがわかった。

これは、数にすれば、29億羽に相当する。そのような数の鳥が「消えた」のだ。

論文の筆頭著者である米コーネル鳥類研究所およびアメリカ鳥類保護協会の科学者であるケン・ローゼンバーグ (Ken Rosenberg)博士は、プレスリリースで以下のように述べている。

複数の独立した鳥の数の推移に関する一連の証拠により、北米での鳥の数が大幅に減少していることがわかった。

我々は、当初、北米の絶滅危惧種の鳥類が継続的に減少していることについての予測は立てていたが、ところが調査の結果は、北米のすべての鳥類生息地域において、日常的な鳥を含む鳥類が広範囲で大幅に消えていたことを知ってしまった。

ローゼンバーグ博士は、カナダ環境庁とアメリカ地質調査所の科学者たちと協力して、北米の鳥の数を調査したが、この研究が可能だったのは、鳥類は、地球上で最もよく継続的に監視されている生物であったためだ。

特に繁殖鳥類の調査や、クリスマスの鳥類数などの長期にわたる市民科学プロジェクトにより、長年にわたって鳥類が監視されているために、今回のように大規模な鳥の数の推移の研究は可能なものとなった。

そして、この研究は、鳥という存在は、その自然環境が健康かどうかをあらわす指標であることを示し、アメリカとカナダの自然体系が、人間活動によって非常に深刻な影響を受けており、その自然体系は、もはや野生生物の集団をサポートしていないことを示した。

論文の共著者である米ジョージア大学環境科の教授であり、スミソニアン渡り鳥センターの前センター長のピーター・マッラ (Peter Marra)氏は、以下のように述べる。

「今回得られたデータからは、鳥類が減少している場所は、昆虫や両生類を含む、他の生物群が大幅に減少しており、これは他の場所で見られる鳥類と他の生物群との関係と一致しています」

「即座に、そして継続的にこの脅威に対処することが不可欠です。なぜなら、鳥類の連鎖的な減少の影響は、生態系の崩壊につながる可能性があるためです。私たち人間は、その自然の生態系に依存して生きているのですから」

そして、マッラ教授は、

「鳥のさえずりのない世界を想像できますか?」

と付け加えた。

鳥類は、自然が生態学的に健康であるかどうかの重要な指標であるため、鳥類、特に一般的な種の大規模な減少は、包括的な生態学的な問題と、環境的問題が進行中であることを示している。

これら鳥類の減少は、花粉の媒介生物や、他の虫などを食べる捕食者、および食べられる被食者を含む食物網全体に、深刻で広範囲にわたる生物と生態系の変化への影響が反映されていることを示していると見られる。

基本的に、野鳥は北米の自然生態系の「炭鉱のカナリア」なのだ。

また、論文には以下のように書かれている。

自然生態系の豊かさが低下すると、それに伴い、生態系の完全性が低下し、生物が環境に提供する重要な生態学的、進化的、経済的、社会的機能が低下する可能性がある。

 

北米から30億羽の鳥が消えたかもしれない

ローゼンバーグ博士と共同研究者たちは、12のデータベースから鳥の数を収集した。このデータベースには、アメリカとカナダ全体で、毎年行われる北米繁殖鳥類調査とクリスマスの鳥類数を含む複数の監視プロジェクトと、市民科学者調査で蓄積された 50年近くのデータが組み込まれている。

研究者たちは、48年間の鳥の人口軌道に沿って各種の範囲にわたる個体数の推定値を統合することにより 529種の個体数の変化を定量化した。これらの 529種は、北米で繁殖する鳥の 76%に相当する。

これらのデータベースで鳥の数の定量化をなした後、研究者たちは、アメリカの国土全体を 143に区分した気象レーダー NEXRAD のネットワークによって収集されたデータから鳥の数を計測するという作業も加え、分析の対象となる地域を増やしていった。

研究者たちは、これらの独立して導き出されたデータを使用して、2007年から2017年までの渡り鳥が移動する春の期間に夜間の空を通る鳥の動きの長期的な変化を推定することが可能となった。

これらのデータを組み合わせて分析することで、ローゼンバーグ博士と共同研究者たちは、北アメリカ大陸全体の広範な鳥の人口レベルの変化を明らかにすることに成功した。

そしてその結果、1970年以降、現在までの北アメリカでは、約 30億羽の鳥の個体が消失したと推定された。

この中には、スズメやウグイス、ツバメなどの北米で最も親しみのある鳥を多く含んでいる。


(※ 訳者注 / この図は、記事の後で説明させていただきます)

最も減少率が高かった鳥類は、草原や牧草地などの広い空間に住んでいる鳥たちだった。草原に生息する鳥の数は、この 50年間で 53%も減っており、これは、31種の鳥 7億羽が消滅したことに相当する。

分析により、牧草地での鳥の人口の消滅は珍しいものではないことが判明した。調査されたすべての牧草地の鳥種の 74%は、草地を破壊する農業慣行が強化されたために減少したと見られる。

森林に生息する鳥も急激な減少を示し、1970年以降、森林に生息する鳥は 10億羽以上減少した。

北米のスズメは、従来は、私たちの住宅地の周辺にも住み、裏庭などでさえずる鳥たちだったが、過去 48年間で、その 4分の 1近くの数である 7億 5000万羽を失っていることがわかった。


北米のスズメ「ノドジロシトド」

北米のほとんどの地域で一般的な湿地や沼地に生息する赤い翼のクロウタドリも、推定 9200万羽の個体が消えた。

海岸に住む鳥類は、開発による沿岸生息地への広範囲な被害、人や車、ペットによる撹乱、および海面上昇等により、30%以上の減少を起こしていた。

さらに、おそらく最も懸念されていることは、もともとは外国産の 10種の鳥類の急激な減少だ。

ヨーロッパから来たムクドリなど、これらの鳥類は非常に順応性の高い種であり、生息に不利な条件のもとでも繁殖する強靱な鳥類だ。

ムクドリは、しばしば都市部および郊外に近接して生息しているが、その順応性の高いムクドリの数もまた 63%も減少していた。

ムクドリのような順応性の高い鳥たちにまで問題が及んでいるということは、これは何か深刻な事態が足下で進行中であることを示している可能性がある。

失われた鳥のほとんど( 25億羽以上)は、作物や果実の種を周辺に広げていくことから害虫駆除まで、それぞれの地域の食物網や生態系の機能において大きな役割を果たしている一般的な種だ。

調査した 67種の鳥類のうち、38種が総個体数の減少を示し、29種が増加を示した。

この研究結果について、ノルウェー科学技術大学の生物統計学者ロバート・オハラ (Robert O'Hara)氏は以下のように述べる。

「 30億羽の鳥が消えたというのは莫大な数値ではありますが、しかし、鳥類全体の数は、さらに多いと考えられます。つまり、29%の減少というのは、30億羽どころではないと私は確信しています」

この研究では、鳥の数を相対的な傾向として計測したもので、絶対的な数ではないために、真実はさらに深刻かもしれないとオハラ博士は言う。

 

水鳥が私たちに回復への道を示しているかもしれない

しかし、すべての北米の鳥類が減少しているわけではない。

たとえば、殺虫剤 DDT が禁止され、米国とカナダの両方で「絶滅危惧種に関する法律」が制定され、鳥類が保護された後、1970年代から絶滅に近づいていた多くの猛禽類の種の保持はうまくいっている。

水鳥(アヒル、ガチョウ、白鳥)の個体数も過去 48年間で増加した。これは、狩猟者による協調的な保全努力と、これらの鳥が生息する湿地を復元および保護するために設計された数十億ドル(数千億円)の政府資金によるものと思われる。

残念ながら、牧草地の鳥やスズメには、その存続を擁護する組織化された活動的なグループがない。また、これらの鳥の個体数は、連邦政府の保護下にされるほど減少していない。

しかし、これらの鳥類の保全努力を開始するためには、保全されるべき場所においての農薬の使用量を減らし、鳥が繁栄する生け垣、木、草の生い茂った縁の場所等を多く設置するためのインセンティブを農家に提供する持続可能な農業慣行に報いる政府プログラムの拡大に向けて取り組むことが必要だと思われる。

論文の共著者である生物統計学者アダム・スミス (Adam Smith)博士は、以下のように述べる。

「米国とカナダで鳥類の 4分の 1以上が失われたということが判明したことは、私たちが目覚めるための呼びかけです」

「鳥の問題は国境を越えるものです。カナダで繁殖する渡り鳥の多くは、冬をアメリカ南部やメキシコやカリブ海諸国で過ごします。そのような距離を移動しているのです。つまり、鳥を保護するために必要なのは、人と組織を一つの共通の目標に結びつける国家を超えた歴史的で半球的な努力です」

 


 

ここまでです。

記事中に出てきた図のうち、減少した鳥類の内訳については、以下のようになっています。特殊な鳥ではなく、スズメやムクドリなどの日常的な鳥たちが最も減少していることがわかります。

消滅した32億羽の北米の鳥の内訳


Science

 

このうちのスズメに関しましては、世界中どこでも劇的に減少していまして、日本でも、2010年に東京新聞に掲載された報道では、東京都久留米市のバードセンサス調査から、

「スズメの数は 50年で 10分の 1になっていた」

ことがわかっています。

その記事は、こちらにあります。

また、少し古い記事ですが、英インディペンデントの 2006年4月の報道では、

「イギリスでは、過去 15年間でスズメの数が 90%減った」

と報じられています。

これは、In Deepのこちらの記事に翻訳を載せています。

何より、生活している中で、スズメが減ったことは強く感じるわけで、むかしは、住宅街でも、都市部でさえも、「スズメの声で目ざめる」というのは、わりと普通のことでしたが、そういう日は少なくなっています。

私が住んでいるあたりは、まだ多少はスズメはいますけれど、以前住んでいた東京の杉並区などは、年々スズメの声がなくなっていくのを感じていました。

本当は、絶滅危惧種といわれるような鳥たちよりも、スズメのような日常的な鳥のほうが重要なはずですが(人間に重要だからこそ、スズメはずっと人間の生活圏で生きてきたはずです)、ここまで事態が進んでしまった現状では、今から何をどうすればけいいのかということは難しいことだと思います。

今回は、ご紹介したフォーブスの記事がわりと長かったですので、このあたりまでとさせていただきますが、鳥も、種を自然界に転げたり、受粉に関係したりもする生き物で、ミツバチ同様、そういう生物が消えていっていますね。

なお、In Deep の過去記事で、生物の減少や絶滅について取りあげた記事をいくつかまとめてリンクさせていただきます。

地球の生物の減少と絶滅に関する In Deep の過去記事

いったい何が世界中のミツバチを殺している? ロシア、アメリカ、ヨーロッパ … 全世界でミツバチの黙示録的な大量死と大量消失の拡大が止まらない

地球上の昆虫の減少が「カタストロフ的なレベル」であることが包括的な科学的調査により判明。科学者たちは「100年以内にすべての昆虫が絶滅しても不思議ではない」と発表

淡水の大型魚類が40年間で「90%」という絶滅レベルでの減少を起こしていることが国際的な調査により判明

地球の植物は、予測されていたより「500倍の速度で絶滅し続けて」いる

サンゴと海藻が全滅に向かい続ける「地球の海」の近い未来

つくづく、6度目の大量絶滅の渦中にいることを感じる最近であります。





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