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12月06日にメルマガ免疫と戦争とパンデミックと5Gを発行させていただきました。

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「抗体二倍」報道に驚き、モデルナ社の特例承認報告書も読んでみる

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抗体の意味

最近、モデルナ社のワクチンに不純物が見つかるなどの報道の見出しを見ましたが、それと共に以下のようなブルームバーグの報道を見ました。

モデルナ製コロナワクチン、抗体産生量はファイザーの2倍余り-研究

米モデルナの新型コロナウイルスワクチンはファイザーと独ビオンテックのワクチンに比べ、2倍余りの量の抗体を産生することが分かった。それぞれのワクチン接種後の免疫反応を直接比較した研究で明らかになった。 bloomberg.co.jp 2021/09/01)

「これさ…」と記事を読んですぐに思いましたのは、「ニバーイはいいけど、中和抗体はともかく、感染増強抗体の元となるほうも倍じゃ、ADE (抗体依存性増強)のリスクも増えるんじゃないの?」ということでした。

実際にリスクが増えるのかどうかはわかりようがないですけれど、まあ、この「中和抗体」とか「感染増強抗体」とかいうのは面倒くさい話ではあるのですが、歴代のコロナウイルスの一部のワクチンには、この ADE (抗体依存性増強)のリスクというものが必ずついてまわっていました。

そのメカニズムは、以下の記事などでわかりやすいかと思います。

人類の大量死につながる可能性を否定できない ADE (抗体依存性増強)についてのメカニズム。そしてそれを避ける方法は「永遠のワクチン接種のループ」しかないという絶望
投稿日:2021年4月27日

この ADE というのは、ワクチン接種からしばらく経って(数カ月あるいは数年後に)発生する現象ですが、「なぜ自然感染ではなくワクチンでだけ起きるのか」ということについて、最近、私はボッシュ博士の「特異的抗体」などの言葉などから何となくわかってきたのですが、これは私的な思い込みですので、ここではいいです。

その私なんてのは、この  ADE という概念は、コロナワクチンが出現してから始めて知ったのですが、ADE のリスクはワクチンの専門家たちには「常識」のようです。

最近、京都府立医大名誉教授の細川豊史さんという方が、国際ジャーナリストからインタビューを受けた際の言葉が記されている記事を読みました。細川名誉教授は以下のように述べられていたようです。

「これ(ADEのこと)はね、まあ、極端に言うと、先生はワクチン反対派ですかみたいな感じにね、プラスかマイナスかにね、こう、黒か白かに絞られちゃう。

まあ、ウイルスの、こういうワクチン製造をやってる方にとっては(ADEは)常識なんですよね。で、今回、巷に流れている話が、この基本的な話がまったく欠如しているんですよ。 京都府立医大名誉教授 細川豊史氏

いずれにしましても、こういう ADE のリスクは、一部のウイルスのワクチンには確実にあると。

コロナウイルスも歴代ではそうだったと。

それで、今年の春、大阪大学や免疫学フロンティア研究センターなどの日本のウイルス学の一流の専門家たちが、

「新型コロナウイルスの ADE のメカニズムを突き止めた」

のです。

以下にプレスリリースがあります。

新型コロナウイルスの感染を増強する抗体を発見 - COVID-19の重症化に関与する可能性 -
大阪大学 日本医療研究開発機構 2021年5月24日

これについては、以下のブログ記事で、それなりに詳しくご説明させていただいています。

大阪大学が「抗体依存性増強の研究」論文を発表。そこから想像できる「ワクチン接種拡大と共に死者数が増加する理由」。そして、今のワクチンではADEは避けられないことも
投稿日:2021年5月31日

それで、まあ……これに関しては、かなり面倒な話となってしまうのですけれど、大阪大学のプレスリリースから抜粋させて完結に書きますと、

・スパイクタンパク質(S1)は、RBD と NTD という領域に分けられる。

・このうち中和抗体(感染を防ぐほう)は RBD のほう。

そして、この研究では、世界で初めて、

・感染増強抗体は NTD の特定の部位を認識することがわかった。

というものです。

これを正確ではないですけど、簡単に書きますと、

・RBD だけをターゲットにしたワクチンなら ADE は起こりにくい

という可能性があると。

しかし、

・NTD をターゲットに含めたワクチンでは ADE が引き起こされる可能性がある

というような感じでしょうか。

ですので、ADE を引き起こさないためには、「 RBD 」という部分のみをターゲットにしたワクチン開発をして、NTD は含まれないものが望ましいと、研究では述べられています。

しかし、実際には、たとえばファイザー社の厚生労働省の特例承認書で知ったのですが、ファイザー社ワクチンは、

「全長をコードする」

とあり、つまり「 RBD も NTD 」もどちらも含まれるために、理論上だけでいえば、接種した(一部の)人たちに将来的に ADE が引き起こされてしまう可能性があると。

これについては、以下の記事で取り上げたことがありますけれど、ファイザー社は ADE を起こさないワクチン候補を「実際には持っていた」のです。

幻のワクチン : ADE (抗体依存性増強)を誘発しないコロナウイルスワクチンが現行のファイザー社ワクチン以前に存在したことを明らかに示す厚生労働省の特例承認報告書
投稿日:2021年7月7日

それで、先ほどの「モデルナ社ワクチンの抗体産生量はファイザーの2倍余り」という記事を見まして、モデルナ社のはどうなんだろうと。

考えてみれば、私はファイザー社とアストラゼネカ社の厚生労働省「医薬・生活衛生局医薬品審査管理課」による特例承認書類は読んでいましたが、

「モデルナ社のは読んでいなかったな」

と思い、読んでみました。

少しだけ、と読み始めたのに、結局完読してしまったというように、興味深いものではあります。

ファイザー社とアストラゼネカ社の特例承認書については、それぞれ以下のような記事で取りあげています。

[ファイザー社ワクチン特例承認書]
厚生労働省の医薬品部局による「コロナワクチン特例承認」書類で知る「闇」(というか本当に黒い部分が多いので)。蒙昧なその内容を皆様もご覧ください
投稿日:2021年6月22日

[アストラゼネカ社ワクチン特例承認書]
ウイルスベクターDNAワクチンの破壊力。「他人のヒトゲノム8%を注射される」ことで起き得る可能性のあるあまりにも多い本作用
投稿日:2021年6月25日

今回、モデルナ社の特例承認報告書を見てみました。

特例承認の報告書は以下にあります。承認日は、今年の 5月20日です。

COVID-19 ワクチンモデルナ筋注 武田薬品工業株式会社 特例承認に係る報告書

ファイザー社やアストラゼネカ社などの特例承認報告書に比べますと「黒塗り」の部分が比較的少なくて読みやすいです。

ここから少しご紹介させていただきます。




 

モデルナ社ワクチンの特例承認書より

なお、これらの中に出てくる「申請者」というのは、武田薬品工業株式会社です。

 

最初に、このモデルナ社ワクチンが、「感染増強抗体と関係する NTD を含んでいるかどうか」を見てみます。

「全長をコード」

という言葉が入っていれば、NTD は含まれています。太字はこちらで施しています。

モデルナ社ワクチンの特例承認書より

2.1 原薬(CX-024414)

原薬である CX-024414 は、SARS-CoV-2(Wuhan-Hu-1 株由来)の完全長 S タンパク質をコードする mRNA であり、2 つのアミノ酸置換(K986P 及び V987P)によって S タンパク質が融合前構造に安定化するよう設計されている。pmda.go.jp

このように、

> 完全長 S タンパク質をコードするmRNA

とあり、スパイクタンパク質全体をコードするというもののようで、つまり、 NTD を含んでいます。

意外なことに、ここには、

> 2つのアミノ酸置換によって S タンパク質が融合前構造に安定化するよう設計されている。

とあり、「強化されたスパイクタンパク質を産生します」と書かれていますね。

この、mRNA の配列を変えることによりスパイクタンパク質を強化するには、「プロリン」というスパイクタンパク質を保護・再生するものを強化するのですが、ファイザー社ワクチンも同じ配列の改変を行っています。ワクチンのスパイクタンパク質は、自然感染のものより「強い」のです。

これも面倒な話ですけれど、以下の記事にあります。

仏英のワクチンパスポートの現実。そして、1990年のファイザー社の特許「コロナウイルス遺伝子組み換えスパイクタンパク質の発明」から30年間の努力の歴史
投稿日:2021年7月15日

この記事の後半の「 21世紀に注ぎ込まれた遺伝子への情熱」というセクションに、コロナウイルススパイクタンパク質の遺伝子改変的な「強化の歴史」を少し書いています。

 

それはともかく、モデルナ社ワクチンも ADE を誘発する可能性のある部位は含まれているようです。

セクション「3.1.2.1 抗体産生」(14ページ)にも以下のように記されています。「NTD 特異的抗体」と明記されています。

> サルを用いた各試験において、本剤投与後の各測定時点で、本剤投与による S タンパク質特異的抗体、 RBD 特異的抗体又は S1 タンパク質の NTD 特異的抗体価、ACE2 特異的抗体価及び中和抗体の誘導が確認された。pmda.go.jp

 

その後、この特例承認書の他の部分も見てみますと、ファイザー社同様に「曖昧な承認」の様子がわかります。

最近、モデルナ社ワクチンに「不純物が見つかる」というような報道がなされていますが、その「不純物」の項目を見てみます。ただ、ここでいう「不純」というのは、異物のことではなく、「 mRNA の純度」のことのようです。

■■■■■ は黒塗りの部分です。

モデルナ社ワクチンの特例承認書より

2.R.4 製剤の不純物等の管理について

申請者は、製剤の純度試験[mRNA 純度及び目的物質由来不純物(RP-HPLC)]の規格値の妥当性について、以下のように説明した。

製剤の mRNA 純度の規格値は、海外第Ⅲ相臨床試験における接種時点の mRNA 純度(■■■■■■■■■■■)で、有効性が示されたこと等に基づき設定した。

mRNA 純度の低下は、有効性に影響を及ぼす可能性はあるが、mRNA の分解生成物は天然のヌクレオチドで構成されるものであり、内因性 RNA と同じ代謝経路で分解されるため、不純物量の増加や不純物の種類の変動が、製剤の安全性プロファイルに影響を及ぼすことはないと考える。pmda.go.jp

ここには、

> 不純物量の増加や不純物の種類の変動が、

とあり、そのようなことが見られ、そして、それが「有効性に影響を及ぼす可能性」があると読めますが、製品にバラツキが出る原因にもなっているのかもしれません。

濃いのと薄いのが混在している。

あと、ここには、

> 内因性 RNA と同じ代謝経路で分解されるため

とありますけれど、知らないで書いているのではないと思いますが、mRNA 自体が配列の改変で強化されている上に、脂質でガードされていますから、「内因性 RNA と同じ代謝経路で分解ということにはならないはずです。

この後、「申請者」の説明に続いていきます。

モデルナ社ワクチンの特例承認書より

申請者は、欧州では、保存時等における mRNA 純度の損失を考慮し、出荷時規格をより厳格に設定しているが、本邦においても出荷時点の mRNA 純度の管理をするとともに、今後、実生産スケールでの製造実績等を踏まえて、mRNA純度及び個々の不純物の規格値を見直すと説明した(2021年 6 月予定)。

また、機構は、RNA 封入率及び個々の脂質不純物の規格値についても、製造実績を踏まえ、より厳格に設定することを検討するよう申請者に求め、申請者は、今後検討すると述べた。pmda.go.jp

機構は、「より厳格に設定することを検討するよう申請者に求めた」とありまして、そして、申請者(武田製薬)は、

> 今後検討すると述べた。

で終わっています。

純度のバラつきの問題は、承認された時点では解決していなかったようです。

その下は、やや苦笑したのですが、以下のようにあります。

モデルナ社ワクチンの特例承認書より

機構は、mRNA 純度の規格下限値は、現在までの製造実績と比べて低く、下限値をより高い値に設定する余地があると考えるが、海外市販用製剤のロット分析結果等からロット間の一貫性が認められていること、出荷時点の管理がされたこと等を考慮し、現在の COVID-19 流行状況及び本剤の社会的必要性から、規格値等の再検討が事後的になることはやむを得ないと判断した。pmda.go.jp

> 下限値をより高い値に設定する余地があると考えるが…

しかし、機構は、

> …やむを得ないと判断した。

と。

モデルナ社ワクチンの不純物管理の項目の最後はこのように、「やむを得ない」という表現が出てくるものでした。ワクチンの承認書としては珍しい形です。

なお、この特例承認書で「最も黒塗りが多かった」のは、

「脂質の使用目的」

についての部分でした。つまり、ポリエチレングリコールとかコレステロールなどの、mRNA を包んで体内に送達する、アジュバントなどと呼ばれるナノ粒子ですが、ここはわりと真っ黒ですね。

モデルナ社ワクチンの特例承認書より

2.R.5.1 規格及び試験方法並びに安定性について

SM-102、PEG2000-DMG、DSPC 及びコレステロールの規格及び試験方法について、機構は、各脂質の使用目的を達成するために重要な品質特性を説明した上で、それらの品質特性が適切に管理されていることを説明するよう申請者に求めた。

申請者は以下のように説明した。pmda.go.jp

として、その「申請者の説明部分」は以下のようになっていました。


pmda.go.jp

「あー、これは脂質ナノ粒子の使用目的はわからないな」と思いますが、その後に続く文章は、

> 機構は、申請者の説明を了承した。

ということで、これで OK となりました。

あと、ファイザーで問題となった「生体内分布」は、モデルナ社のワクチンでは、特例承認書でふれられていました。

モデルナ社ワクチンの特例承認書より

4.1.1 ラットの生体内分布

ラット(雄 5 例/時点)に mRNA-1647 が 6 種類の mRNA の総 RNA 量として 100 μg 単回筋肉内投与(大腿側部)され、投与前及び投与 2~120 時間後までの計 7 時点において血漿中及び各組織中(筋肉(投与部位)、膝窩リンパ節、腋窩リンパ節、脳、眼、骨髄、心臓、肺、腎臓、肝臓、脾臓、精巣、胃及び空腸)の mRNA 濃度が測定された。

(略)

組織中の mRNA は、腎臓以外のすべての検討組織で検出された。mRNA 濃度は筋肉(投与部位)、膝窩リンパ節、腋窩リンパ節、脾臓の順に高く、これらの組織では 120 時間後でも検出可能であり(略)pmda.go.jp

ファイザー社ワクチンもそうだったのですが、「脾臓」にかなり多く残るみたいですね。

それにしても、この、

> 組織中の mRNA は、腎臓以外のすべての検討組織で検出された。

というのは、わりと問題のあることなのではないかとも思うのですが、この結果を受けて、厚生労働省の部局の判断は、

>特段の問題はないと判断した。

となっています(おいおい)。

この生体内分布は、ファイザー社ワクチンで、後になって資料が流出して、かなり大きな問題となりましたが、モデルナ社もおおむね同じようです。

ファイザー社の生体内分布の資料は以下でご紹介しています。

mRNAコロナワクチンの開発者が「私たちは間違いを犯しました。あれは単に毒素です」とメディアに語る。研究者たちがそれを知ったのは「日本から流出した」ファイザー社の動物試験極秘文書より
投稿日:2021年6月2日

 

話をモデルナ社に戻しますと、この特例承認では、「抗体依存性増強(ADE)」についても複数の項目でふれられていまして、検討を行った厚生労働省の部局も、その点は気になっていたようです。

7.R.3.4 本剤接種による疾患増強リスクについて」という項目から最初と最後をピックアップしますと、

(最初)
> SARS-CoV-2 ワクチン接種による疾患増強リスクの有無は現時点で不明であるが

(最後)
> 本剤のヒトでの疾患増強リスクについては、製造販売後において、海外の情報を含めて引き続き情報収集し、新たな知見が得られた場合には速やかに情報提供を行うことが適切と考える。

というように、「今はまだわからない」という結論と読めるものとなっていました。

 

全体的にこのような感じでして、検討しているのは、もちろん専門家の方々でしょうけれど、「このワクチンに対して、言いたいことは山ほどある」ということがとてもよくわかるのですが、

「しかし、承認しなければならない」

というような感じとなっていて、「理由があって承認」ということではなく、承認という前提があり、そのために「いろいろ黙認しなれければならない」という感じではあり、担当者の方々も苦労されただろうなとは思います。

そんなわけで、結局ファイザー社、アストラゼネカ社、モデルナ社のすべての特例承認書を完読するということになってしまいました。

接種を考えられている方は、これを読まれてからでもいいかもしれません。以下にそれぞれの特例承認書があります。

コミナティ筋注 ファイザー株式会社 特例承認に係る報告書
COVID-19 ワクチンモデルナ筋注 武田薬品工業株式会社 特例承認に係る報告書
バキスゼブリア筋注 アストラゼネカ株式会社 特例承認に係る報告書

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