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4月12日にメルマガ夢見と古代ギリシャと「痛みとの個人的歴史」が混沌とを発行させていただきました。

人類の覚醒と真実 宇宙の中の地球

暗黒物質は宇宙が始まる前に生まれた?

投稿日:

アメリカの経済誌フォーブスの記事より


Forbes

暗黒物質 - Wikipedia

暗黒物質とは、天文学的現象を説明するために考えだされた「質量は持つが、光学的に直接観測できない」とされる仮説上の物質である。"銀河系内に遍く存在する"、"物質とはほとんど相互作用しない"などといった想定がされており、間接的にその存在を示唆する観測事実は増えているものの、その正体は未だ不明である。

2013年3月、欧州宇宙機関はプランクの観測結果に基づいて、暗黒物質は26.8%、暗黒エネルギーは68.3%、原子は4.9%と発表した。




 

暗黒物質という存在がなければ、現在の宇宙モデルは崩壊する

最近、アメリカの著名な経済誌フォーブスの記事を見ていましたら、「暗黒物質がビッグバンの前に作られた可能性」についてのとても長い記事を見つけました。

その記事の丁寧さと長さを見まして、「フォーブスは本当に経済誌なのかい?」とつくづく思いましたが、過去にはずいぶんとフォーブスの記事をご紹介していまして、その一部を振り返りますと、経済と関係があるかどうか微妙なものが数多くあります。

下は、すべてフォーブスの記事を翻訳してご紹介したものです。

「地球の回転が《謎の速度低下》を起こしている」 :アメリカ地質学会の衝撃的な発表。そして来年、大規模地震の発生数は大幅に上昇するという予測も公開

「ビッグバン以前の《別の宇宙の痕跡》を発見した」と物理学者ロジャー・ペンローズ氏が発表。そこから思い出す「物質的意識」や「私が確信する宇宙論」

鳥もまた歴史的な大量減少カタストロフの渦中に : 過去50年間で北アメリカで「30億羽」の鳥が消えていた

偽りに満ちていたアマゾン大火災報道 : 今年のアマゾンの森林火災は実際には平年以下の平凡なものであることが判明した上に、「気候変動のための扇動」に利用されていた可能性も

「アメリカ国家はエイリアンの支配層にコントロールされている」と全世界で報道された 2014年 1月 14日に

経済誌というよりは、ワクワク雑学雑誌的な展開を見せ続けるフォーブスですが、今回ご紹介する記事は、とにかく長いもので、内容もかなり難解でもありますが、「最近の宇宙論の混乱」が見えてくるようなものでもあり、ご紹介させていただこうと思います。

なお、「暗黒物質」というものは、冒頭の Wikiepda にありますように、

「宇宙の 95%以上を占めているが、私たちには観測できない仮説の物質」

です。

どうして「仮説」の物質が、これほど天文学の中に学問として、定着しているかというと、

「暗黒物質の理論を使わないと、現代宇宙モデルを説明できない」

からです。

現代宇宙モデルというのは、たとえば「宇宙は膨張している」というようなこともですが、それも説明できないですし、あるいは「暗黒物質の理論を使わないと、ビッグバンも説明できない」のです。ですので、現代の宇宙モデルにおいては、この暗黒物質の存在を否定することはできないのですね。

ここでは話がややこしくなりますから触れないですが、私自身は、心の師であるフレッド・ホイル博士の主張の通り、「ビッグバンは存在しない」と確信している人ですが、それでも、今回のフォーブスの記事をご紹介しようと思ったのは、この記事は、この現代の宇宙モデルの維持が過渡期に来ていることをうかがわせるものだからです。

いずれにしましても、「暗黒物質という存在がなければ、現在の宇宙モデルは基本的に崩壊する」のですが、そのようなこともあり、世界中の科学者たちが賢明に暗黒物質を検出するために、極めて大規模な装置を用いて暗黒物質の検出を続けていますが、「まだ一度も検出されたことがない」ことも、フォーブスの記事では取りあげられています(私個人の考えでは、今後も永遠に検出されないと思います)。

そういえば、少し前に、英ロンドン大学の研究者たちが、研究の結果、

「暗黒エネルギーは存在しない」

という結論に達したことが報じられていました。

2019年8月26日の米メディアの記事より

Experiments with a single atom rule out the 'fifth force' theory of dark energy

この「第5の力」というのは何かというと、物理学では「この世界は、4つの基礎的な要素からできている」とされていて、その4つとは、

重力、電磁気力、弱い力、強い力

となります。

そして、現代の科学は、暗黒エネルギーを「第5の力」と想定し、その上で宇宙モデルを構築していますので、暗黒エネルギーに第5の力として作用がないことが確実になった場合、物理学と天文学は「暗黒物質のない宇宙論」を確立しなければならなくなるのです。

しかし、今はまだ暗黒物質と暗黒エネルギーの存在を前提にして宇宙論は成り立っています。

 


Was Dark Matter Really Created Before The Big Bang?
Forbes 2019/09/19

暗黒物質は本当にビッグバンの前に作られたのか

 
宇宙のすべての未解決の謎の中で、おそらく最も混乱しているのは暗黒物質の問題だろう。

仮に私たちが、太陽系の中にある物質だけを、現代の最高のエネルギーと最高の精度の研究で観測すれば、観測されるすべてのものは、標準モデルの粒子と結合された構造体(プロトン、原子、分子など)となり、これらの物質以上何も必要としない。

しかし、これを、銀河や銀河団、または宇宙全体のような、より大きなスケールで見ていくと、通常の物質では、もはや私たちが見ているものを説明することができなくなるのだ。

渦巻銀河が回転していることも、宇宙の大規模構造がどのように形成されているのかをシミュレートしている場合でも、膨大な量の「一般の物質以外の物質」を適用しなければ、正しい答えを得ることができないのだ。

その一般の物質以外の物質は、光を吸収または放出していないはずなのでで、暗黒物質(ダークマター)として知られている。しかし、暗黒物質とは、一体何であり、私たちの宇宙でいつ発生したのだろうか。

それはいまだに答えの出ない大きな課題となっている。

天文学者たちは、これまで、宇宙を精査するために途方もない数の観測技術を開発してきた。そして、それらのすべては宇宙の 1つの一貫した場所に向けられる。ビッグバンから 138億年⁠経過した私たちの宇宙は、当初は、密度が高く、暑く、ほぼ完全に均一な起源から膨張、冷却し、引き寄せられた。

今日、私たちの観測可能な宇宙の範囲は膨大で、それは約 920億光年もある。そこは、何兆個もの銀河で満たされ、巨大な宇宙の網に集まっており、わずか 2.73 K (ケルビン / 気温の単位)の極小温度でビッグバンの残りの放射を浴びている。

しかし、最大の驚きは、私たちが現在の物理学的な知識で持っている物質の粒子とフィールドだけでは、この宇宙を説明することができないということだ。私たちが知っているすべての物質と放射線の存在比率は、その両方を組み合わされても、宇宙のエネルギーのわずか 5%に過ぎない。残りを構成するのは、暗黒物質( 27%)と暗黒エネルギー( 68%)の2つの不思議な存在だ。私たちには、この宇宙の 5%しか認識できていないということになる。

これらがどこから来たのかを含め、宇宙のそれらの暗黒の構成要素が何であるのかを理解することは、21世紀の大きな未解決問題の一部となっている。蓄積した観測から暗黒物質と暗黒エネルギーの両方について推測できることがいくつかある。

それは以下のようなものだ。

暗黒物質 : 宇宙全体に均一に分布し始めたはずであり、通常の物質が持っていたのと同じ密度変動の初期スペクトルを持つと考えられる。暗黒物質は暗黒物質と衝突したり相互作用することはできないし、また、一般的な物質の粒子と衝突したり相互作用することもできない。そして、これは宇宙の大部分の凝集と集団化の原因だ。その重力効果は、通常の物質の場合の効果の5倍重要だ。

暗黒エネルギー : これについてはほとんど何もわかっていない。これは完全に均一であり、塊やクラスターではないように見える。また、宇宙の定数または空間自体の真空に固有のエネルギーの形態と 100%一致しているようだ。暗黒エネルギーの大きな効果は 2つあり、宇宙を空間的に平らにし、宇宙の膨張を加速させる。

暗黒物質については、それが存在する証拠は圧倒的だが、理想的なシナリオとは異なる欠点を持つ。それは、暗黒物質が存在するという証拠がすべて間接的なものであることだ。暗黒物質が宇宙の放射線と通常の物質に及ぼす影響を観測することにより、暗黒物質と通常の物質の比率がすべて同じ 5対 1を示す測定値を見つけることができる。

特に、以下の観測により、暗黒物質の存在の証拠と、比率を知ることができる。

・宇宙マイクロ波背景の変動

・銀河が最大規模で集結する方法

・孤立したX線放射銀河クラスターの重力レンズ効果

・ビッグバン原子核合成および初期の軽元素の豊富さ

・衝突する銀河群と銀河団の測定

・相互作用する銀河ペアの特異な速度

そして、他の多くの観測結果も、すべて暗黒物質の存在を必要とする。この宇宙は、暗黒物質なしに存在するすべてを説明する方法がないのだ。

このように、暗黒物質の存在は、間接的な観測による証明しかなされていないが、しかし、これまで、暗黒物質の原因となる可能性のある粒子を直接検出するための多くの試みがあった。しかし、非常に大規模な装置による研究でさえ、暗黒物質が直接検出されたことはない。

暗黒物質の正体といわれる仮説上の素粒子「アクシオン粒子」の検出装置でも、いまだにそのようなアクシオンと呼ばれる粒子は一度も検出されていない。同様に、大型ハドロン衝突型加速器 (LHC)でも暗黒物質粒子が表示されたことはない。

大規模なニュートリノ検出器でさえ、すでに知られているニュートリノおよび予想される背景では説明できない信号、つまり、いまだ知られていない粒子というものが見られたことはない。

暗黒物質は私たちの宇宙に必要な要素だが、これまで、直接的な検出は成功した事例がなく、これは、暗黒物質は粒子で構成されていても、粒子の特性が私たちにはわからないということを意味する。

さて、観測データが示すことから、暗黒物質が、いつ、どこから来たかについて私たちは何か推定することができるだろうか。

これについて、注目を集めた最近の話題として、暗黒物質はビッグバン以前に発生した可能性があるというものがある。

多くの人たちがこの主張で混乱していると述べられた。

2019年8月7日のサイエンスデイリーより

sciencedaily.com

ビッグバンという地点を考えるときに、普通、それは無限密度の特異点を想定するため、この「暗黒物質がビッグバン以前に生まれた」という理屈は、直感的に奇妙に感じるかもしれない。

宇宙が膨張し冷却してきたと言うなら、そこから逆に、すべての物質とエネルギーが空間の単一点に圧縮された状態、つまり特異点(物質密度が無限となる点)に戻すことができる。これが宇宙の最初の開始時間、つまり宇宙の始まりに相当する。これがビッグバンだ。

では、宇宙に存在する不可解な存在である暗黒物質がビッグバン以前に生まれたという考え方はあり得るのだろうか。そして、それはどのような理論に基づいているのだろうか。

それを語るには、実は「ビッグバンは実際には時間と空間の始まりではなかった」ということが前提となる。これは、フォーブスにおいて、2017年9月に特集記事を示したことがある。

実際は、時間と空間に始まりがあるかどうかさえわからないのだ。なぜなら、特異点への外挿は、観測と矛盾することが知られている。

これらは、ビッグバンより前に「別の状態」が生み出されていたに違いないことを示す。それが宇宙インフレーションが果たす役割だ。宇宙のインフレーションは、ビッグバンの前に私たちの宇宙で発生し、現在私たちが見ている多くの特性を宇宙に与えたものだと考えられるのだ。

もしこれらすべてが真実で、そしてそれが現代科学が持っている最良の宇宙モデルであるならば、暗黒物質はいつ発生したのだろう。

これには以下のように、いくつかの選択肢が考えられている。

・インフレーション中、ビッグバンの開始前に生まれた

・再加熱中:インフレーションとビッグバンの間の移行の中で生まれた

・ビッグバンの最初期の最もエネルギッシュな段階で生まれた

・ビッグバンの後期段階で、相転移のために発生した

これらが選択肢として上げられ、そして、これらだけが唯一の選択肢だが、すべてに欠陥がある。

膨張する時空は、指数関数的に拡大する性質を持ち、これにより、任意の 2つの粒子が任意に互いに接近し、膨張し 10秒から 33秒のタイムスケールで数千億光年離れる可能性がある。

ビッグバンがこのことをモデル化する前に、宇宙の新しい基本的なスカラー場として暗黒物質が作り出されたと主張する最近の論文がある。

この理論で、ビッグバンの再加熱中に暗黒物質が作られるという想定ができる。その場のエネルギーが、粒子、物質、反物質、放射に変換されるインフレーションの終わりの際に、暗黒物質が作られる。

宇宙のインフレーションの場と、仮定する新しい暗黒物質の場とのカップリングを作る必要があるが、これは、予測を想定することは困難なものだ。

しかし、実際には、暗黒物質のモデルを説明する理論のほとんどは、ビッグバンの後に暗黒物質が作られたとされるものであり、それはビッグバンの後に起きた粒子生成のメカニズムの仮説を含んでいる。これらのモデルでは、有限質量、相互作用断面積、および直接検出可能なシグネチャを持つ粒子を予測するため、試験の容易性にはるかに役立つ。

結局、暗黒物質が何であるかを正確に知ることはできていないが、それが存在することを示す多くの証拠があり、その特性の多くを推測すると、暗黒物質は他の多くの物質に制限をかけるという驚くべき仕事をするものであるといえる。

しかし、暗黒物質が何であるかを実際に知るまでは、すべての可能性に心を開き、宇宙に刻まれる有用な科学的信号が何であるかを探さなければならないだろう。

暗黒物質はビッグバンの後に作られたかもしれないし、ビッグバンの前に作られた可能性もあるだろうが、しかし、暗黒物質が、時間と空間の始まりの前に作られたということはない。

そして、遠い過去に、この宇宙に暗黒物質が発生した時から、宇宙はまったく違ったものとなったと言えるだろう。





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Oka In Deep

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