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2020年からの世界 人類の未来 健康の真実

「外出禁止が新型コロナウイルスの感染と重症化のリスクを増大させている」: 太陽光により体内に生成されるビタミンDが感染症予防に劇的に有効であることが発表される

投稿日:2020年4月8日 更新日:


・アイルランド TILDA が発表したレポートより。TILDA




 

外出禁止がもたらす健康上の危機

厳格な外出禁止措置や、移動の制限などをおこなっているフランスやイタリア、あるいはアメリカの各地域の感染者と死者数の指数関数的な増加が止まらない中で、以前、こちらの記事でもふれましたが、

「ヨーロッパで、唯一、新型コロナウイルスに対して《何も対策しない》」

という態度を続けている国に「スウェーデン」があります。


zerohedge.com

スウェーデンでも確かに少しずつ感染者も死者も増えているとはいえ、外出禁止措置のおこなわれている他の国々と比較して、特にそれが激しいということもなく、強いていえば、「どちらもほとんど変わらないか、むしろ感染拡大が緩やか」という傾向を見せています。

私自身、外出禁止や交通機関の停止などで新型コロナウイルスの感染拡大が収まるとはまったく思っていないのですが、これは、私がこのウイルスを軽く見ているからではなく、その「まったく逆」で、何度も書いていますが、このウイルスは、人類が対峙したウイルスの中で最強だからです。

その感染力は、以下の記事でご紹介した論文などでもわかると思いますが、まさに驚愕の伝染力を持ちます。

国際的な研究により、新型コロナウイルスは「332種類のヒトタンパク質」を利用してヒト細胞と結合できる驚異的な感染能力を持つことが見出される。治療薬開発は厳しい局面に
In Deep 2020/04/05

さらにこのウイルスは、他のウイルスと違い、外部でもそう簡単には死滅しません。物の表面で数日間生き続けるこのウイルスは、風に乗って、あるいは人の衣服や物に付着して、どこまでも広がります。理論上は、このウイルスは、車の表面や飛行機に乗って旅をすることもできるはずです。

つまり今や「世の中のどこにでもこのウイルスは存在している」のです。

今の私はこの新型コロナウイルスに強い尊敬の念を抱いていますが、この新型コロナウイルスという存在は「絶対に地上から消えない」という宿命を持って登場してきたと思えて仕方ありません。

また、このウイルスが「季節性となって永遠に残る」と考える専門家たちも多いです。

たとえば、ロシアの感染症専門家のアレクサンドル・ゴレロフ博士は、メディアに以下のように答えています。

ゴレロフ教授は、COVID-19はパンデミックが終わっても消滅することはないと考えている。秋になればCOVID-19は戻ってくる可能性がある。ただし、通常の季節性疾患という形になるだろうという。

「例えば、同じコロナウイルスである SARS-1 は1年半で流行は終わりました。空気・飛沫感染は完全にブロックすることは不可能ですが、全人口の 3分の 1がこの新型コロナウイルスに罹れば、免疫となる自然層が形成され、そうなると、感染拡大のスピードは遅くなります。ただ今後はインフルエンザのように季節性の病気になる可能性が大きいのではないかと考えています」 Sputnik

また、米ハーバードの感染症の専門家であるマイケル・ミナ博士(Dr. Michael Mina)は、「新型コロナウイルスの感染力は現在信じられているより、はるかに高いかもしれない」と述べていまして、そして、「アメリカでもすでに何百万人が感染して(無症状のまま)治っている可能性があり、社会免疫が形成されているかもしれない」と述べています。

パンデミックの収束に最良の形が、このミナ博士の言う「人々が自然免疫を持ち、社会での感染速度が遅くなる」ことでしょうが、現時点では、自然免疫が形作られているかどうかはわかりようがないです。

いずれにしても、このウイルスが、季節性の風邪やインフルエンザのような存在となり、今後ずっと「地球に根付く」という形になる可能性はあります。

そうなりますと、現在、各国政府がおこなっているような政策を続けることの無意味性が浮上してくるとも思われます。つまり、たとえば、「季節性の風邪を封じ込めるために全土を封鎖する」という奇妙なことを行う政府はおそらくないと思います。

今、各国がおこなっていることは、それに近いと考えます。

壮絶な感染力を持つこのウイルスに対して、封鎖措置や外出禁止は、ウイルスを封じ込めることには寄与しないはずです。

この世に「風」があり「物」がある限り、それらに乗り、このウイルスはどこまでも旅をします。

実際、フランスでもイギリスでも、ずいぶんと長く封鎖措置を続けていますが、数字からは効果は見えていません。

これは今後の日本でも同じだと思います。

話を戻しますと、現時点では、社会システムとビジネスが破壊されていない分、ヨーロッパの中では、「何もしないスウェーデンの勝ち」という感じですが、スウェーデンも国家としていろいろとありますからね。

以前、「福祉国家スウェーデンの福祉が崩壊するとき」という記事でご紹介したことがありましたが、スウェーデンは、移民政策などにより、福祉の崩壊の危機に直面していまして、これ以上、ビジネスや社会システムに何かあれば、国家を維持できないところにまで来ており、現在の「何もしない対策」は、スウェーデンという国家を守るための最後の手段だという面もありそうです。

 

最近、今後この差は「さらに大きくなる」可能性があることを知りました。さらにスウェーデンの一人勝ちになる可能性があるという意味です。

 

それは何か。

冒頭に示しましたように、アイルランドの研究により、

「ビタミンDが、新型コロナウイルス感染症への免疫に寄与している」

ことが発表されたのです。

そして、ビタミンDを作る基本は「太陽の光」です。報告書では、サプリメントでの服用を勧めていますが、実は経口でのビタミンD 摂取は、あまり効率よく体内に残らないのです。

太陽を浴びて基本的なビタミンD を体内で生成した上でサプリメントを服用するならば、効果もあると思いますが、直接太陽光に当たらない生活では、常にビタミンD 不足になる可能性もあります。

そういう意味で、外出禁止と自宅封鎖の状態は、多くの人を「太陽から遠ざける」ことになり、それは、新型コロナウイルスだけではなく、

「すべての感染症に対しての免疫を弱くする」

ことにつながります。

長く外出禁止や外出自粛勧告が発令されている地域では、その期間が長くなればなるほど、新型コロナウイルスの感染状況や重症度(これは死者数の増加を見ればわかります)が悪化していき、それだけではなく、さまざまな病気が増えていくと思われます。

もともと、ほぼすべての呼吸器感染症に対して、

・ビタミンD は抗ウイルス状態を維持させる
・ビタミンD は気道上皮でサイトカインを誘発するウイルスを減少させる
・ビタミンD の摂取が低いと感染症の重症度が高まる可能性

という効用を持つために「感染そのものを予防する」ことと「重症化を予防する」ふたつのことと関係していることがわかっています。以下の記事でふれています。

中国の上海市政府が「ビタミンCの大量投与」を新型コロナウイルスの標準治療に正式に採用。そして思う「ビタミンDは感染症予防に有効だけれど、ビタミンCには治療以前の予防効果はある?」

 

そして、先日、アイルランドでおこなわれている「アイルランドの加齢に関する縦断的研究(TILDA)」は、報告書で、

「感染症流行の中では、ビタミンD の積極的な摂取を」

ということが述べられたのでした。その研究を紹介していた、タイランド・メディカル・ニュースの記事をご紹介します。

 


アイルランドの研究は、ビタミンDが他の治療法に加えて、COVID-19を撃退するのに役立つ可能性があることを示した

Irish Study Indicates That Maybe Vitamin D Could Help In Addition To Other Therapeutics To Fight Off COVID-19
Thailand Medical News 2020/04/07

アイルランドの首都ダブリンにあるトリニティ・カレッジの「アイルランド縦断的高齢化研究(TILDA)」の医学研究者たちが、新型コロナウイルス COVID-19 の世界的危機に対応した重要な報告書を発表した。

これは「アイルランドのビタミンD欠乏症 - その COVID-19 への影響(Vitamin D deficiency in Ireland - Implication for immune protection for Covid-19)」と題された医療報告書で発表された。

研究では、ビタミンD が呼吸器感染症の予防、抗生物質の使用の削減、および感染症に対する免疫系の反応の促進に重要な役割を果たすことが示された。

アイルランドでは、50歳未満の成人の約 13%がビタミンD 欠乏症だとわかっており、報告書では、ビタミンD 摂取量を増やすことの重要性が強調されている。

ビタミンDは、通常、日光に身体を曝すことによって皮膚で生成される。

アイルランドでは、日射量の問題のため、ビタミンD が皮膚で生成される太陽光レベルとなるのは 3月下旬から 9月下旬の間だけとなっている。冬のアイルランドの日光では、ビタミンD が生成されるのには不十分だ。

夏の場合でも、日照量、天候などの要因によって異なり、夏でも、十分な量のビタミンD を体内で生成するには晴天がある必要がある。

しかし、ビタミンD 欠乏は、適切な食物摂取とサプリメントにより改善できる。食物では、ビタミンD は、卵、レバー、サケやサバなどの油性魚などの食品や、穀物や乳製品などに多く含まれている。

TILDA の研究者たちは、アイルランド全土で毎日のビタミン摂取量が不十分であることを発見した。主な調査結果の一部は次のとおりだ。

・85歳以上のすべての成人の 47%が冬期にビタミンD が欠乏

・70歳以上で「外に出ない傾向が強い人」の 27%がビタミンD 欠乏

・50歳以上の成人の 13%が一年中ビタミンD が欠乏

・ビタミンD のサプリメントを服用しているのは、男性で 4%、女性で 15%のみだった

日常で日光への露出がほとんどない人たちや、ビタミンD の量が不十分な食品を食べている人たちが欠乏症になりやすく、特に家の中に引きこもりがちか、閉じ込められている人たちが最もビタミンD 欠乏のリスクに曝されていることがわかった。

他に、ハイリスクのカテゴリーに分類されるのは、肥満または極端な運動不足、および喘息または慢性肺疾患を有する人々だ。

アイルランドの医学研究者たちは、50歳以上の成人で十分な日光を浴びていない場合は、冬だけではなく、一年中ビタミンD のサプリメントを摂取することを推奨している。また、現在、新型コロナウイルス対策などで「家に引きこもっている」人たちは、ビタミンD サプリメントを摂取すべきだと述べている。

主任研究者であるローズ・アン・ケニー博士(Dr Rose Anne Kenny)は、次のように述べている。

ビタミンD のサプリメントを服用した人において、胸部感染症のリスクが半分になることから、新型コロナウイルスの場合でも、免疫反応の改善と骨および筋肉の健康の明らかな証拠から、ウイルス感染の際にリスクのある人たち(たとえば高齢者など)は、ビタミンDを適切に摂取できるようにする必要がある。

感染症予防のための自宅待機は必要だが、その場合、身体活動が減少し、太陽光が不足するため、ビタミンD の摂取で筋肉の健康と強さを維持するべきだという。


 

ここまでです。

これを読んでいて思ったのですけれど、下の部分ですね。

> 85歳以上のすべての成人の 47%が冬期にビタミンD が欠乏

これはアイルランドの場合であるとはいえ、どの国でも、日光にあたる機会が少ない高齢者は多いと思われ、この部分は、高齢者が重症化しやすい原因のひとつかもしれないことを示しているように思います。

家からあまり出ない高齢者の多くがビタミンD 不足となっていて、重症化しやすいと。

なお、ビタミンD というものを私は軽く見ていましたが、なかなかすごいもので、簡単にご紹介しておきます。

 

 

太陽に当たることの補助としてのサプリメント

現在までに、可能性として挙げられているビタミンD の効果としては、以下のようなものがあります。カッコ内のリンクは、論文などです。

・季節性インフルエンザの感染率を大幅に低下させる可能性 (academic.oup.com

・大腸ガンのリスクを50%減少させる示唆 (NCBI

・乳ガンと卵巣ガンのリスクを30%減少させる示唆(ajpmonline.org

・ビタミンD の不足は、高血圧及び循環器疾患と関連する (accp

・ビタミンDの欠乏が、うつ病の発症と関係している可能性 (webmd.com

・ビタミンDの欠乏が、統合失調症の発症と関係している可能性 (NCBI

なお、ビタミンD は、春から秋であれば、「日光のみ」で、基本的な分量は体内で生成されます。

時間の目安としては、国立環境研究所のウェブサイトによれば、おおむね以下のような時間で、身体に必要なビタミンD が生成されます。これは、地域による日光量により異なります。

・夏(7月)の北海道札幌市  10~ 20分
・夏(7月)の茨城県つくば市 10~ 20分
・夏(7月)の沖縄県那覇市  10~ 20分

・冬(12月)の北海道札幌市  140分以上
・冬(12月)の茨城県つくば市 40分
・冬(12月)の沖縄県那覇市  10~ 20分

冬期は、太陽光だけでは、足りない地域もありそうです。

ビタミンD を多く含む食べ物は、おおむね、

・きのこ類
・きくらげ
・かつお
・あん肝
・いわし
・鮭
・卵

などだそうで、理想的には、ビタミンD は、日光や食べ物からとるのがよろしいのでしょうけれど、上のように魚類が多いために、「生鮮食品の流通の問題」などが起きた場合なども今後ないともいえないでしょうし、サプリメントを用意するのも悪くないと思います。

まあしかし、「太陽の光に当たる」ということは、ビタミンD の観点だけではなくとも大事なことだと思います。以下の記事では、カナダのブリティッシュコロンビア大学の研究で、「太陽の紫外線が、腸内細菌の環境を良好に変化させていることがわかった」ことをご紹介しています。

もっと太陽の光を浴びましょう : カナダの研究で「太陽の紫外線は腸内細菌環境に極めて良い状態を与える」ことが判明。難病の治療にも応用できる可能性
投稿日:2019年10月31日

腸内細菌環境を良好にすることは、感染症対策として最も有効なことのひとつでもありますし、ベランダや庭、あるいは玄関から出ただけでもいいですが、どんな方法でも、太陽の光は積極的に浴びるべきだと思います。

また、上の研究では、「ビタミンD が、紫外線による腸内微生物叢の変化を部分的に媒介する可能性」についてふれられていまして、つまり、

「ビタミンD を介して、太陽光は、腸内細菌環境を良くする」

ようなのです。

そして、そのビタミンD は、太陽の光によって体内に発生する。

太陽と人間の関係は、本当によく出来ているシステムだと思います。

また、太陽光から隔離されている環境では、サプリメントでの一般的なビタミンD の目安量の摂取では「不足する」ことが、2005年の研究で示されていますので、緊急的にビタミンD のサプリメントを摂取することは悪くないと思いますが、基本的には太陽の光をなるべく浴びる機会を増やすことが、新型コロナウイルスも含めた感染症対策だと感じます。

それにしましても、新型コロナウイルスの出現以来、次々と新しい健康の見識を得ることができていまして、それについては感謝するばかりです。

 

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