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福祉国家スウェーデンの福祉が崩壊するとき

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崩壊の局面にあるスウェーデンの福祉構造

スウェーデンといえば、非常に高い「福祉」が設定されている国として著名であり、年金や教育、各種福祉が充実している国とされています。

それは当然、税金により成り立っていて、個人の税負担は、Wikipedia によれば、

> GDPに占める租税率は35.5%、さらに社会保障負担を含めると50.6%

と、国民の人々が収入の約半分を税金として収めることによって成り立っているようです。

以前から、こういうスウェーデンなどの福祉の状況が賞賛されることを耳にすることがありましたが、個人的には、以前から「危ういよなあ」とは思ってはいました。

福祉を保つ前提条件が、「スウェーデン全体が、低い失業率と、国民の高い収入が保たれている」ということにあり、これが崩壊すれば、福祉も崩壊することは明らかなように思えたからです。仮にいつか世界全体が経済的後退局面に入ったとすれば、スウェーデンもその渦中に入ることはある程度は当然ですし。

しかし経済的後退とは関係なく、現在、「スウェーデンに福祉の危機が起きている」ことが、いろいろなメディアで伝えられています。

その中の記事のひとつをご紹介したいと思います。

これは、少し前に記しました以下の記事の内容ともリンクするもので、移民政策がもたらしたものだと記事では主張されています。

ヨーロッパで始まる新しいタイプの内戦 : 手榴弾抗争が続く「スウェーデンの憂鬱」に見るこれからの世界

なお、ご紹介する記事は、アメリカの「ゲートストーン・インスティテュート」という非営利組織で、反イスラム系右派組織であるため、表現は多少偏っている面があるかもしれないですが、他のさまざまな報道を見ましても、おおむね事実だと思われます。

それでは、ここからです。

 


Sweden and its Welfare State in Crisis
gatestoneinstitute.org 2020/01/24

スウェーデンの福祉国家としての危機

スウェーデンでには、移民により人口の大半が外国人である行政区が存在する。同時に、そのような場所で生まれた多くの子どもたちは、スウェーデン語をあまり上手に話せないか、ほとんど話せない。このような変化は急速なペースで展開している。そして世界的に名高いスウェーデンの福祉も、変化するか段階的に廃止され続けている。

スウェーデンの福祉国家制度はしばしばアメリカなどの左派から賞賛される。しかし、2015年の移民危機の際に、シリア難民たちの要求によって、彼らがスウェーデンに殺到した時から、現在に至るまで、スウェーデンはその福祉国家モデル全体を脅かす福祉危機の渦中にある。

スウェーデンの人口は 2015年には 970万人だったが、その後、16万2000人の亡命希望者を受け入れた。亡命希望者の 70%は、シリア、アフガニスタン、イラクから来た。その 70%は男性だった。

ここから始まった移民危機は、スウェーデンに持続不可能な財政的および社会的状況を生み出し、それによってスウェーデンの政治的組織はそれまで非常にリベラルだった亡命移民に対するスタンスの再考を促されることになった。

それにもかかわらず、移民の流入は続いている。2016年から 2018年の間に、スウェーデンには、さらに 7万人以上の移民が亡命を申請し、結果として、10万5000人以上の移民が亡命を許可された。

これは、移民たちによる、スウェーデンの国民的および文化的アイデンティティへの影響を含め、人口学的影響、およびスウェーデンの福祉国家への圧倒的な経済的影響がある。

人口統計学的影響は、スウェーデンで 3番目に大きい都市であるマルメなどの都市で見ることができる。マルメでは、外国出身の人たち(スウェーデン以外で生まれたか、あるいは両親がスウェーデン以外で生まれた人たち)の人口の比率が急激に増加した。マルメの外国人の人口比率は、2002年には 31.9%だったが、2018年には人口の 45.9%にまで増加した。

他にも、ボートシルカ市、セーデルテリエ市、ハパランダ市の 3つのスウェーデンの行政区では、現在、外国人の人口が全体の半数以上となっている。

マルメでは、小学生の 51%は外国生まれか、両親のどちらかが外国生まれだ。そして、大多数の人々が外国出身だ。

このような場合、移民の市民との統合がどのように行われるかが問題だが、移民をスウェーデン社会に統合することについては「失敗」していると、専門家たちも政治家たちも、どちらも同意する状況となっている。

2018年3月、スウェーデンの失業者の 58%はスウェーデン以外で生まれた人たちだった。しかし、それはスウェーデン全体の人口から見ると 23%に過ぎない。

2018年に、スウェーデンに住む外国生まれの人たちの失業率は 15.4%だったが、スウェーデンで生まれたスウェーデン人の人たちの失業率は 3.8%だった。

スウェーデンの EBO法と呼ばれる法律では、亡命希望者は、国内のどこにでも定住することを許可している。移民は、他の移民たちがすでに定住している地域に定住することが多い。これは、一部の地域の住宅価格が低いためであり、一部の人たちにとっては、そこで移住者たちがネットワークを作りやすいためでもある。

このような状態は、スウェーデン人と移民たちとの生活における分離が強化され、スウェーデンに移住者たちが「飛び地」を作る原因ともなっている。

統合政策の失敗と移民の大規模な流入により、スウェーデンの文化が急速な変化を遂げ、アイデンティティに挑戦するという文化的影響が生まれてもいる。

移民が過半数を占める多くの地域では、そこに暮らす人々は、スウェーデンの文化とは明らかに異なる文化を持っているため、スウェーデンの文化が維持される術がない。そのような地区では、とりわけ「言葉」が変わる。つまり、スウェーデン語が話されなくなる。

また、休日もスウェーデン本来の文化とは異なる日が制定されるようになった。

昨年 6月、いくつかのスウェーデンの有名メディアは、イスラム教の断食月であるラマダンの終了を祝う大祭である「イド・アル=フィトル」を称賛する記事を発表した。複数のウェーデンの有名食品企業は、このラマダン終了の祭に向けて、ウェブサイトでレシピを公開した。

このイスラム教徒の祝日であるイド・アル=フィトルをスウェーデンの国民の祝日にするべきだという声がすでにいくつか出ている。これらの主張は、スウェーデン社会に大きな影響力を持つ 2つの機関である社会民主党とスウェーデン教会から出された。

現時点では、イド・アル=フィトルはスウェーデンの国民の祝日にはなっていないにもかかわらず、いくつかの自治体では、それを祝う。

スウェーデンが国家として存在している限り、祖先であるフィンランドとの絆は強く、フィンランド語はスウェーデンで 2番目に話されている言語だ。ところが、2018年、言語学者のミカエル・パークバルは、現在のスウェーデンで 2番目に話されているのは、アラビア語だと指摘した。

同時に、スウェーデンで生まれた、海外から来た親を持つ多くの子どもたちは、幼稚園でも小学校でも、スウェーデン語を正しく話すことができない。この「言語の変化」は急速なペースでスウェーデンで展開している。

スウェーデンで根本的に変化しているのは、文化や言語だけではない。世界的に福祉国家として名高いスウェーデンだが、その福祉国家としての国の構造が変化しているか、あるいは福祉自体が段階的に廃止されているのだ。

スウェーデンの福祉国家の基礎となっている金額的な計算は、フルタイムで雇用されている成人の大多数が国家に所得税を支払うという仮定に基づいている。国家が受け取る金額は、さまざまな福利厚生などに対して支払うものより、歳入される金額のほうが上回る必要がある。

つまり、仮に、国からの福利厚生を受けている多くの人々が、仕事を見つけることができないか、働くことを望んでいないとき、国に入る金額が減少することにより、不均衡が生じる。これにより福祉の構造に危機が発生するのだ。これが、スウェーデンの自由な移民政策の後に起きている。

スウェーデンのメディアで強調されている例としては、約 1万人の人口を持つ自治体であるフィリップスタード市だ。

そこでは、外国で生まれたか外国で生まれた人を親に持つ人たちの割合が、2002年には 8.5%だったのが、2018年には 22.7%までになった。

フィリップスタードでは、2012年から 2018年の間に、スウェーデンで生まれたスウェーデン人の人口が 640人減少している一方で、外国で生まれたか外国で生まれた人を親に持つ人たちの割合は、963人増えた。スウェーデン人の人口が減少したのは、この街から出て行く人たちが増えたためで、しかも、街を出て行った多くは労働年齢の人たちだ。

ところが、フィリップスタードにやって来た移民たちの多くは、労働市場に参入するために必要なスキルを持っていない。結果として、フィリップスタードなどの自治体は、自治体が市民に提供する責任がある福祉サービスを削減しなければならない事態に直面している。

福祉の削減に直面している自治体はフィリップスタードだけではない。

スウェーデンの市町村地域協会の報告によると、2023年には、移民人口の増加と、その就労状態に応じてコストが増加した場合、市町村と地域の事業で 430億スウェーデンクローナ(約 5000億円)の赤字が発生すると試算されている。

1万1699人の人口をもつストームスンドの市長は次のように警告する。

「すべての福祉費用は市町村が負担しています。私は、スウェーデンの市町村で、こんなに高い失業率が続いているのを経験したことはありません。就労していない間の彼らには、福祉の手当てをすることになりますが、実際には、多くの場合、最終的には一生福祉手当をサポートすることになるのです」

ヨンショーピング国際経済大学の経済学教授であるシャーロッタ・メランデル氏は、自治体の経済危機について次のように述べている。

「この自治体の危機は、一晩で起こったものではありません。スウェーデンの市町村の財政が以前から長い間侵食され続けていたことは事実です。しかし、状況に大きな影響を与えたものは 2015年の難民受け入れです。移民の労働市場参加と、スウェーデン市民との統合の面の条件の問題です。そして、それが状況をさらに厳しくしました」

今後 10年は、スウェーデンが大きく変化せざるを得ない期間となるが、その問題の多くが、過剰な移住の流入と、労働や市民との統合政策の失敗だ。これにより、スウェーデンは根本的な文化的および経済的変化に直面し、国家が根本的に変化していくことを避けられることはない。

スウェーデンの一部では、文化と思考のイスラム化が進行中であり、このイスラム化がスウェーデンの社会にどれほど影響を与えるかは、2020年代に下される政治的決定の影響を受ける。

今後も、イスラム諸国からスウェーデンへの亡命移民は継続するのだろうか。スウェーデン政府は、今後も、スウェーデン市民の税金による基金でイスラム文化を引き続き支援するのだろうか。そして、移民たちはスウェーデン本来の文化を受け入れることがあるのだろうか。

それとも、統合のアプローチの失敗が続き、スウェーデンはますますイスラム文化を取り入れるようになるのだうか。

イスラム文化とスウェーデン文化の 2つの文化の間には大きな差異があるため、スウェーデンでのイスラム文化の拡大は疑いなく、スウェーデンにさまざまな種類の不安を生み出す。

現時点では、イスラム文化とスウェーデン文化の間には、共通点よりも多くの矛盾がある。イスラム教とスウェーデンの価値観との間の文化的対立により、お互いの隔離は強くなっている。

したがって、今後の新しい 10年は、スウェーデンにとって不安定なものになることは決定的であり、政治的、文化的、経済的な大きな変化は避けられない。

 


 

ここまでです。

なお、このゲートストーン・インスティテュートの報道としては、以前、以下の記事をご紹介したことがありますが、このような反キリスト的な宗教的動きは、おそらくスウェーデンでも間違いなく加速していると思われます。

2019年のヨーロッパでのキリスト教施設や聖母像などへの攻撃数は過去最高の「3000件」にのぼったことが判明

スウェーデンの治安に関しての先ほどリンクしました過去記事では、人口が約 1000万人のスウェーデンですが、

> 現在、スウェーデンでは 100万人が抗うつ剤を服用している。

とあったりと、今のスウェーデンの人たちにはいろいろと苦悩があるようです。

なお、他の報道によると、2015年にスウェーデンに移民としてやって来た人たちの現在の失業率は 90%に達しているのだそう。

Sweden: 90% of 2015 Migrants with Residency Status Are Unemployed

2015年の移民危機の最中にスウェーデンにやって来て永住権を獲得した亡命希望者の 90パーセント弱が失業していることがわかった。スウェーデンの健康保険と労働市場調査(LISA)の統合データベースによると、永住権を有する 40,019人の移民のうち、就労を通じて独立して生計を立てているのは 4,574人だけだった。

さらに 9,970人の移民がスウェーデンで勉強するための補助金を受け取っており、さらに他の 18,405人の移民が国の福祉プログラムから支給を受けている。2015年に人口あたり最も多くの移民を受け入れた 10の自治体のうち 8つは、全国平均をはるかに上回る失業率を記録していると報告されている。

人口 1000人の自治体であるリュスナルスベルク市は、人口への比率として最も多くの移民を受け入れた自治体であり、人口 1000人のうちの 230人が移民だ。この市の失業率は、現在 10%を超えている。

スウェーデンでは、それぞれの地方行政区が、その地区の福祉の責任を持つということのようですので、この報道にありましたような「 1000人のうち 230人が外国人」などのように大きな人口比が移民で、そのほとんどが就労していないとなると、確かにそのような地方行政区は、いずれは立ち行かなくなるのでしょうね。

移民との調和の問題に苦労しているのはスウェーデンだけではなく、ヨーロッパでは多くの国が直面していることでしょうけれど、その一方で、中東やアフリカの状態が良くなっているわけでもなく、特に中東の一部やアフリカは政治的な問題とは別に、ますます気象状態や干ばつが激しくなっていまして、今後もヨーロッパ方面に人々が押し寄せる局面は多くありそうです。

このような局面では「人道」という言葉は意味が難しいです。

避難してくる人たちへの人道は必要でしょうけれど、しかし「安全を奪われ」「福祉が消えようとしている」今のスウェーデンの人たちに対しての人道はどうなるのかなとも思ったりします。

何だかこう、今はもう「生きるのに楽な国」というのは、次第にこの世に存在しなくなってきている感じもしますね。

先ほどの記事では、「スウェーデンは今後 10年のうちに根本的に変化してしまうだろう」とありましたけれど、この「今後 10年」というのは、どこの国にとっても、もちろん日本にとっても、いろいろと節目なのでしょうね。

日本も 10年後に福祉という概念がどのくらい残っているかはわからないです。10年後のすべての日本の高齢者たちに今と同じような福祉の形態で対応しているということは、ちょっと想像しにくいですし、今と同じような健康保険や年金制度が存続していることも、やや考えにくいです。

主要国と、そこに生きる人たちは、すべてがサバイバルの状態のようです。





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