その同じ時には今年最大のコロナホールも出現
直近10日間ほどの太陽の状況
・NICT
先ほど、太陽についてのインフォメーションに気がつきまして、何度もふれさせていただいている「太陽活動の低下」についてのことなのですけれど、最新の状況について簡単にご紹介させていただこうと思います。
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10年ぶりに「黒点のない日が上回った年」に
太陽活動が日に日に小さくなり続けていることは、一昨年くらいから何度か取りあげていますが、昨日 3月12日に、太陽は、
「今年の現時点で、《黒点が出ていない日》が《黒点の出ている日》を上回った」
ことが、スペースウェザーの記事で紹介されていました。
正確なところでは、今日(3月13日)までですと、2017年に入ってから 72日経過したことになりますが、そのうち、
・太陽に黒点が出なかった日数 37日
・太陽に黒点の出た日数 35日
ということになっています。
これは昨日 3月12日に、黒点が出ない日が 36日となり、黒点が出た日数(35日)を越えまして、その時点で、2017年は、
「黒点0の日が全体の 52%」
ということになりました。
調べてみますと、この「黒点のない日のほうが上回った」のは、2009年(71%)以来で、ほぼ 10年ぶりに、黒点0の状態が、黒点のある日を上回ったことになります。
今年はまだ途中ですけれど、この 10年間を並べますと以下のようになります。
2009年から2018年までの「黒点0」の日の日数
・2009年 黒点0の日は 260日(全体の 71%)
・2010年 黒点0の日は 51日 (全体の 14%)
・2011年 黒点0の日は 2日 (全体の 1%未満)
・2012年 黒点0の日は 0日 (全体の 0%)
・2013年 黒点0の日は 0日 (全体の 0%)
・2014年 黒点0の日は 1日 (全体の1%未満)
・2015年 黒点0の日は 0日 (全体の 0%)
・2016年 黒点0の日は 32日 (全体の 9%)
・2017年 黒点0の日は 104日(全体の 28%)
・2018年 黒点0の日は 37日 (全体の 52%)
今年 2018年は、今後のこの比率はさらに黒点0の日が上回っていき、最終的には 2009年の 70%というような感じの数に近づいていくと思われます。
そのような感じの「眠りにつこうとしている太陽」からは、すでに黒点活動による地球への磁場の影響はあまりないのですが、ただ、数日前より出現し始めたコロナホールが、大きくなっていまして、正確に比較していないですが、おそらく今年 2018年に出現した中で最大級なのではないかと思います。
長さは大ざっぱには、全長 80万から 90万キロメートルほどはあるのではないかと思われます。比較として、地球の直径は 1万2000キロメートルほどです。
2018年3月12日 太陽表面の巨大なコロナホール(NASA / SDO)
・NASA
下は、国立天文台と JAXA が運用する太陽観測衛星ひのでによる画像です。
2018年3月12日 太陽のコロナホール(観測衛星ひので)
昨年 2017年9月27日に、太陽に全長 100万キロメートル級のコロナホールが出現した時のことを、以下の記事、
・今年最大規模の太陽からの磁気嵐の直撃の渦中にある地球
In Deep 2017/09/28
でご紹介しましたが、面積はともかく、全長ではその時のものと比較できるものとなっています。
2017年9月27日のコロナホール
しかし、違いとしては、この 2017年9月の時には、このコロナホールの影響で、かなり強い磁気嵐が地球を襲いましたが、今回はそのようにはならないと予測されています。ある程度の影響があったとしても、小さなものだと思われます。
そのようなこともあり、特別に何か影響があるというわけではないでしょうけれど、印象的なコロナホールですので、ご紹介させていただきました。
いずれにしましても、太陽活動はどんどん弱くなっています。
今のこれらの太陽活動の減衰自体は、太陽の活動サイクルの中の通常の状況なのですけれど、ただ、過去何度かふれていますように、今の太陽の活動は「過去数百年の観測史の中でも特別に弱い」のです。
これからどうなるかということについては、はっきりとはしないながらも、2年前の記事となりますけれど、
・歴史的に弱い太陽活動だったサイクル24の次の「新しい時代の新しい太陽活動」はどんな方向に? もう少しでそれは明らかに
In Deep 2016/03/28
などに書いていますにように、今後の太陽活動は、全体として、今よりもさらに弱いものとなるとする見方が主流です。
今、終わりを迎えている「サイクル 24」という太陽活動は、下のグラフにありますように、黒点数において平均値より大幅に少ない、つまり「活動の弱い」ものでした。
今後の太陽活動は、「これをさらに下回る」と見られています。そして、そのような期間がどのくらい続くのかということについては正確なところはわからないにしても、科学者たちの一般的な予測では
「かなり長い期間にわたり、きわめて弱い太陽活動の時代を迎える可能性が強い」
ということになりそうです。
科学者によっては、今後その状態が「 200年以上続く」と述べる人たちも多くいまして、もしかすると、今後、太陽黒点観測が始まった過去 400年の中で「人類が経験したことのない時代に入る」ことになるのかもしれません。
その影響もまた、具体的にはわからないにしても、何度もふれています「寒冷化」の予測や、あるいは最近の記事、
・予測をはるかに上回り激増している宇宙線と放射線 : その人類への影響は何か。気象、天候、人間の健康、地震や噴火……そして生命の進化にも関係する?
In Deep 2018/03/07
で記しました「今後、激増する宇宙線と放射線の影響」も含めまして、ある程度の長い期間の中では、その「結果」はかなりはっきりと見えてくると思われます。
とはいえ、人類全体として、それが良い影響となるのか、そうではないのかについては、やはり具体的なことに関しては何とも言えないのですけれど。
何しろ先ほど書きましたように、もしかすると、今後の私たちは過去数百年で初めて経験する「時代」を過ごす可能性も強いわけですので、その時代を生き、そして経験していく中でそれらを知っていくしかないのかもしれません。
実際すでに、いろいろと変わってきていますしね。
太陽については顕著な変化がある際には、またお知らせしたいと思います。