2年間の残存ということが意味すること
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者たちが、新型コロナに自然感染した人たちを対象に行った研究についての論文が発表されていたことを知りました。
これは、「長期のコロナ後遺症(Long Covid)」の症状を持つ人たちに対して行われたものですが、その内容は驚くべきものであり、
「新型コロナウイルスの RNA が感染 2年後に検出された」
というものでした。
論文は以下にあります。プレプリント(査読前)です。
マルチモーダル分子イメージングにより、組織ベースのT細胞の活性化と、新型コロナウイルス感染症後最大 2 年間のウイルス RNA の残留が明らかに
Multimodal Molecular Imaging Reveals Tissue-Based T Cell Activation and Viral RNA Persistence for Up to 2 Years Following COVID-19
論文の概要は、
> 急性 SARS-CoV-2 感染後 27日から 910日の範囲の時点で、24人の参加者からなるコホートで全身陽電子放射断層撮影法(PET)イメージングを実施した。
から始まり、
> これらすべての参加者の直腸S状結腸固有層組織において、最初の COVID-19 罹患後 158日から 676日の範囲で細胞性 SARS-CoV-2 の RNAを同定した。これは、組織ウイルスの存続が長期的な免疫学的混乱と関連している可能性を示唆している。(ncbi.nlm.nih.gov)
となっていました。
論文のラストは以下のように締められています。
論文より
この結果は、長期にわたる新型コロナウイルスの症状を経験している組織を含む、SARS-CoV-2 感染後のいくつかの特定の組織における長期的な免疫系活性化の挑発的な証拠を提供するものだ。
私たちは、SARS-CoV-2 の持続性がこの進行中の活性化された免疫状態の潜在的な要因の 1つであることを特定し、SARS-CoV-2 の RNA が最初の感染後ほぼ 2年間腸組織内に残留する可能性があることを示した。
全体として、これらの観察は、新型コロナウイルス感染症が一過性の急性ウイルス感染症であるというパラダイムに疑問を投げかけ、最初の病気をはるかに超えた組織における T細胞の活性化とウイルスの持続性の証拠を提供する。
コロナの自然感染の感染者たちから「最大で感染後 676日目の人からも検出された」とあるのです。
「自然のウイルス RNA がそんなに体内で保つ…?」
とは思うのです。
まあ、自然とは書きましたけれど、「自然の新型コロナウイルス」そのものの出自も「自然」と言い切るには大変に不自然な部分があるのですけれど、そのことはともかくとして、一応、自然とされる RNA が、人間の体内で 2年などのあいだ保存されているというのは、どうも理解できません。
たとえば、2017年7月に科学誌サイエンスに掲載された研究論文には、以下のようにあります。mRNAの「寿命」に関してです。
サイエンスに掲載された論文より
…測定された mRNA 半減期は、酵母の代謝パルス標識法で得られた半減期と高度に相関していた。ただし、mRNA の分解は以前の推定と比較してかなり速く、半減期の中央値は約 2分だった。
自然の mRNA は、「平均 2分間で消滅してしまう」ことがわかったというものでした。
そこに出てきた「2年間」という数字。
どれだけ例外的に分解を免れる RNA があったとしても、2年まで延命する可能性は確実に「ない」と思います。
いずれにしても、
「コロナの mRNA が体内に残存している間は、スパイクタンパク質が作られ続ける」
ことは間違いないわけですので、いろいろな症状が、そのような長期間にわたり出続ける可能性が高いということになります。
論文を読んでみたのですが、まあ、こういう医学的論文は難解な部分が多いのですが、理解できる部分として、「ああ、これが関係しているかな」と思う部分があり、後でその部分をご紹介します。
まずは、この米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の論文を取り上げていた記事を最初にご紹介します。
太字はこちらでしています。
これは中国語の報道メディアの記事ですが、注目すべきは、「自然感染の研究」なのに、報道の画像は、「なぜかワクチンの写真」が使われているということでしょうか。
最新研究:ウイルスRNAは新型コロナウイルス感染後2年間体内に残る
最新研究:感染COVID-19后 病毒RNA在体内存留2年
ntdtv.com 2023/09/20
最新のプレプリント学術報告書は、新型コロナウイルスに感染した後、ウイルスの RNA が人体内に一定期間残留することを示している。 それは最大 2年後までを示していた。
この研究は、多くの人が新型コロナウイルス感染症から回復した後も医学的症状が続く理由を説明している。
感染者の約 15% は、回復後に心血管疾患、凝固障害、潜伏ウイルスの再活性化、糖尿病、またはその他の症状を発症する。これらの症状は人々の身体的および精神的健康に影響を及ぼし、 「新型コロナウイルス感染症後遺症」または「ロング・コビッド」と呼ばれている。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校やその他の研究機関の 30人以上の研究者たちが medRxiv に研究を発表し、回復した新型コロナウイルス感染症患者の陽電子放出断層撮影法(PET)を通じて新型コロナウイルス RNA を発見した。
この研究では、新型コロナウイルス感染症に感染してから 27日後から 910日後以内に合計 24人が PET スキャンを受けた。
いわゆる PET スキャンでは、被験者の腕や手の甲の静脈にトレーサーと呼ばれる放射性薬剤を注射し、体内のトレーサーの活動を通じて体の代謝活動や細胞生化学活動を測定する。
今回の PET スキャンでは、研究者たちは新しいタイプの放射性薬剤を使用し、コロナウイルスに感染した人々がパンデミック以前の人々と大きく異なっていることを発見した。
最も明らかなのは、脳幹、脊髄、骨髄、および肺門リンパ組織、心肺組織、腸壁へのトレーサー吸収は有意に増加していた。咽頭扁桃、直腸壁、肺門リンパ組織へのトレーサー吸収は女性被験者よりも男性被験者の方が高かった。
研究者たちは、新型コロナウイルス感染症の症状で検査を受けた人々の腸組織の生検を実施する中で SARS-CoV-2 の RNA の存在を発見した。
彼らが生検を受けたとき、最後に新型コロナウイルスに感染してから 158日から 676日が経過していた。
研究チームは、これは新型コロナウイルスが人間の免疫系に影響を与えていることを示していると考えている。
また、もうひとつの着目すべき点は、吸収されるトレーサーの量は時間の経過とともに徐々に減少するが、コロナウイルスに感染した患者の中には免疫系の欠陥が何年も続く人たちもいるということを研究チームが発見したことだ。
白血球の T 細胞と新型コロナウイルス感染症 との関連性を明らかにするために、研究者たちは、新型コロナウイルス感染症の症状のある人と症状のない人の違いを比較した。
検査を行ったところ、新型コロナウイルス感染症の症状が 5つ以上ある人では炎症レベルが高いことを発見した。パンデミック前の検査と完全回復した新型コロナ患者と比較して、新型コロナ患者は脊髄と腸壁で、より高い T細胞活性化を示した。
研究では、コロナワクチンの結果への影響を排除したいと考えており、参加者のうち 1人のみが PET スキャンを受ける 6日前にワクチン接種を受けていたが、残りの参加者は最後のワクチン接種から 60日以上経過していた。ワクチン接種後 180日ごとに 2 つのグループに分けて比較した。
研究者たちは、この研究はサンプルサイズが小さいこと、ウイルスの変異体が考慮されていないこと、試験対象者が受けたワクチンの違いなど、多くの限界があることを認めた。
さらに、パンデミック後にコロナウイルスに感染したことがない人を見つけるのは困難だったため、研究者たちは比較のためにパンデミック前のデータを使用した。
しかし、これら 24人の参加者の検査結果の分析を通じて、研究者たちはウイルス RNA が患者の腸組織に約 2年間存在すると考えている。
ここまでです。長期のコロナ後遺症を持つ人たちから、最大で、感染後2年経過している人から新型コロナの RNA が検出されたということです。
そして、この記事にもありますけれど、被験者の方々の 24人は、1人を除いて、ほぼ全員がワクチン接種を受けていました。ただし、どのメーカーのワクチン接種を受けたかには言及されていません。
論文には、以下のように、すべての人たちにおいて、「コロナ感染から今回の PET 検査までの日数」と「ワククチン接種から今回の PET 検査までの日数」が記載されています。
この表組みは、「感染から期間の短いほうから並んでいる」のですが、最初の被験者 1 の方などは、「感染から27日 ワクチン接種から135日」となっていて、つまり、「ワクチン接種後に感染している」ことになるのですが、そういう方が被験者の中に 11名います。
実際には、この「長期の後遺症」の原因が、自然感染か、あるいはワクチンも関係しているかを正確に知ることは難しいでしょうが、論文の中に、「ヌクレオカプシド抗体の検出」という言葉が出てくる部分がありました。
ヌクレオカプシド抗体というのは、以下のようなものです。
> ヌクレオカプシドタンパク質とは、コロナウイルスの遺伝子を包む殻のことを指します。…ヌクレオカプシドタンパク質は現在使用されているmRNAワクチンからは人工的に生成することができず、ワクチンとの関連がない部分です。(businessclinic.tokyo)
論文には以下のようにあります。
SARS-CoV-2 抗体反応
SARS-CoV-2 ヌクレオカプシド IgG レベルは、我々の調査結果に影響を与えた可能性のある最近の再感染の可能性に関する情報を提供するために、PET イメージング時に得られた血漿から測定された。
急性期の新型コロナウイルス感染症後の参加者 24人中 10人では、PET イメージング時にヌクレオカプシド抗体は検出されなかった。
まあ、このことが意味するところは、私には何とも説明できないですが、こういう部分がありましたということです。
ただ……。
最初にも書きましたけれど、通常(自然)の RNA が、2年間も体内に残るという現象自体が理解できないのですね。
いろいろと思い出す言葉はあります。
「もともと新型コロナウイルスは HIV 同様の働きを持つ」
ことが、2020年にわかっていたこと、などです。以下は、ワクチン前の 2020年の記事で、そこに記しています。
(記事)「Covid-19 は HIV」:米ペンシルバニア大学の研究で新型コロナウイルスが人間の重要な免疫細胞を「エイズ同様に消滅させている」と結論付けられる
In Deep 2020年6月28日
いろいろなことを思い出しますけれど、しかし、2年間もの間、体内に RNA が残っているという理由は、私などの考えでは、以下の 3つのうちのどれかしかないのでは? とも思うのですが。
・コロナの RNA が DNA に統合された
・恒久的に壊れない RNA である(理論的には自然RNAでは無理)
・HIV のように細胞内で休眠した後に再活性化する性質を持っている
HIVの休眠と再活性化については、2021年2月のこちらの記事の後半に、ドイツのヤコブ・ゼーガル博士という方の著作から抜粋しています。
いずれにしても、今回の研究は、これまでの体内からの mRNA の検出の記録で、以前にあった「ワクチン接種 60日後に検出された」という研究をはるかに上回る期間です。
そして、今回は「 2年」です。
2年も体内に残ったものが「今後、消える可能性があるのだろうか」とは思います。
「永遠に体内に残存する」可能性さえ示しているように思います。
今回検出された RNA が、いわゆる自然感染時の RNA なのか、あるいはワクチン暴露での RNA なのか、について断言するつもりはないですし、断言はおそらくできないです。
しかし、自然の mRNA とワクチン mRNA の「どちらがより強力か」ということを考えると、合理的な考え方はどちらかということは曖昧にはわかります。
逆の言い方をしますと、
「自然のコロナ mRNA が、2年間も体内に残ることができるなら、ワクチン mRNA が長期間体内に残らない理由がない」
とも言えます。
しかし、先ほど書きましたように、自然の RNA が 2年間も残存するというのは、現状の科学的見識からはあり得ないことです。
以下の 2年以上前の記事の中の、米マサチューセッツ工科大学のステファニー・セネフ博士の言葉の中に、「どのように強化されているか」の具体的な説明があります。
(記事)遺伝子コロナワクチンのさまざまな害についての「完全に科学的な側面から見たメカニズム」を、アメリカの三人の医学者と科学者が語ったその内容。貴重ですよ
In Deep 2021年6月24日
2年前か…。場合によっては、この 2年前に接種された方の一部には、「今でも体内に mRNA が残っている」場合もあるのかもしれないと今回の論文を読んで思います。
この当時から、ある程度「影響は長くなりそう」だとは曖昧には思っていましたが、時間の経過と共に、次々とその懸念を事実にさせるさまざまが明らかになってきています。
2021年のステファニー・セネフ博士のインタビューから、mRNA とスパイクタンパク質の強化についての一部を抜粋して締めさせていただきます。
2021年6月のステファニー・セネフ博士へのインタビューより
通常、体内の酵素は RNA を分解してしまいます。そのため、本来の体内の RNA は非常に壊れやすいのですが、PEG(ポリエチレングリコール)を入れて頑丈にしています。脂質の膜を作ることににより頑丈にしたのです。
脂質は正の電荷を帯びているので、それが細胞の膜に入ると、細胞は非常に動揺するのです。脂質はプラスに帯電しています。
しかし、最も気がかりなのは、実際に「 mRNA の遺伝子コードを変更」されていることです。遺伝子コードを改変し、スパイクタンパク質の正常なバージョンを生成しないようにしているのです。
ワクチンでは、通常のスパイクタンパク質は生成されず、スパイクタンパク質の重要な場所にプロリン(一度破壊されたコラーゲンを修復する力をもつアミノ酸)が 2本並んだバージョンが生成されます。
ワクチンで作られるスパイクタンパク質には 2つのプロリンがあるので、非常に硬くなっており、形を変えられないようになっています。通常、このタンパク質は ACE2 受容体に結合すると、形を変えて膜に突き刺さります。
ところが、ワクチンのスパイクタンパク質は、再設計により、そうならないようになっており、ACE2 受容体の上に居座ることになります、それにより、ACE2 受容体は露出した状態となります。
そのため、免疫細胞はその場所に特化した抗体を作ることができます。免疫細胞は、細胞と融合すべき場所に特異的な抗体を作ることができることになるのです。
それは融合ドメインを不全にし、タンパク質が入るのを防ぎます。つまり、タンパク質は ACE2 受容体に付着し、 ACE2 受容体を無効にするのです。
心臓の ACE2 受容体が機能しなくなると、心不全になる可能性があります。肺で ACE2 が無効化すると肺高血圧症になる可能性があります。脳で ACE2 が無効化すると、脳梗塞になる可能性があります。
彼らが mRNA に対して行ったもう一つの改変は、RNAに余分なG(グアニン)とC(シトシン)をたくさん追加したことです。G と C をたくさん入れ、スパイクタンパク質を作ることを有利にしました。
その結果、自然の新型コロナウイルスのゲイン(スパイクタンパク質の産生能力)を約 1,000倍にし、mRNAが、より多くのタンパク質を産生するようにしたのです。したがって、ワクチンの RNA は、天然の RNA を使った場合よりも、より多くのスパイクタンパク質を作ることができるのです。
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