天然痘ワクチンの有害事象数
本題とは関係ないですけれど、今日、日本政府が、「天然痘ワクチンの接種についての研究を開始」という報道を見ました。
サル痘に天然痘ワクチン 政府、接種研究へ
中日新聞 2022/06/15
欧州などで報告が相次ぐ感染症「サル痘」の患者が国内で確認された場合に備え、政府が予防に有効とされる天然痘ワクチンを接種する研究に乗り出す方針を決めたことが、複数の関係者への取材で分かった。
使用が認められていない病気への薬の有効性や安全性を調べる「特定臨床研究」の枠組みを使い、国立国際医療研究センター病院(東京都)を中心に実施する。
国立感染症研究所などによると、天然痘ワクチンによるサル痘の発症予防効果は約85%。ワクチンは国内で備蓄、生産されているが、サル痘は目的外のため、特定臨床研究を立ち上げて患者発生時に備えることが狙いとみられる。
この天然痘ワクチンというのは、日本でどうだったのかはわからないのですが、アメリカ CDC (アメリカ疾病予防管理センター)に残されたデータでは、結構な有害事象数が示されています。いや、正確には数自体は少ないのですが、「天然痘ワクチンの接種」というのが特殊であることから考えますと、多いかもしれないという感じです。
データは過去約 40年分ですが、40年前だと、もう天然痘は根絶されていまして、この 40年間、天然痘そのもので死亡した人は「ゼロ」です。
その後は、アメリカでも天然痘ワクチンは定期接種するものではなくなったのですが、では、どういった人たちがこの 40年で接種してきたかというと、CDC のページには以下のようにあります。オルトポックスウイルス属というのは、天然痘やサル痘などが含まれる分類です。
> 米国での天然痘に対する定期予防接種は 1970年代に終了しました。ただし、オルトポックスウイルス属への職業的曝露のリスクが高い特定の集団については、予防接種実施諮問委員会が、この病気に対する予防接種を推奨しています。 (CDC)
このようにあります。「オルトポックスウイルス属への職業的曝露のリスクが高い特定の集団」というのがどういう集団なのかは具体的にはわからないですが、少なくとも、「かなり少ない人数」だとは思われます。
この「接種者の数は毎年かなり少ないと考えられる」という観点から有害事象数を見ますと、それなりのものです。
数だけですと、天然痘ワクチンによる有害事象は、以下のようになっています。
・全有害事象 5,755件
そのうち、
・生命を脅かす有害事象 1,110件
・緊急処置に至った有害事象 2,977件
・入院に至った有害事象 826件
・永続的な障害に至った事例 91件
・死亡 18件
となっています。
全接種者数がわからないですので、これが他のワクチンと比較して多いのか少ないのかはわからないのですが、それよりも「年齢」なんですよ。
有害事象が報告された年齢層が極端に偏っています。
以下のように、18歳から 29歳の年齢層だけで 56%に達しています。
年齢別の天然痘ワクチンの有害事象報告数
VAERS
というか、18歳から 49歳までの若い年代が、「ほぼ 9割を占めている」のです。
こんなに有害事象発生の年齢層が偏るワクチンがあるものなのだなと思いますが、これは、先ほどの「オルトポックスウイルス属への職業的曝露のリスクが高い特定の集団」というのが、たとえば研究者などの場合だと、この年齢層に集中しているからとも思いますが、ただ、若い人の天然痘ワクチン接種は「完全に安全とはいえない」とは言えると思います。
これを見ますと、生後6ヵ月未満の事例が 39件あったりして、「赤ちゃんが職業的曝露のリスクが高い特定の集団?」とも思いますが、まあ、職業的曝露のリスクが高い人の家族とかなのですかね。
また、CDC のページには、以下の文言もありまして、「接種者の 0.5%程度で心筋炎が発生する可能性」が書かれてあります。
> 臨床試験データに基づくと、心筋心膜炎は一次ワクチン接種者 1,000人あたり 5.7の割合で発生すると推定されている。 (CDC)
くしくも「 0.5%」というような数字に当たりますが、1000人に 5人の心筋炎って、結構多くないですかね。
心筋炎って治ることのない不治の病ですから。これについては、昨年の以下の記事で記しています。
[記事] 若い人たちに「多発している心疾患」は深刻なことかもしれない。これは生涯引きずる問題だから
In Deep 2021年12月9日
なお、昨年 2021年は、ワクチン後の心筋炎が「過去最多」の年で、その率は、まったく他の年と比較できるようなものではありませんでした。以下が、 CDC のデータにあるワクチン後の心筋炎の報告数の推移です。
ワクチン接種後の心筋炎の報告数 / 2010年-2021年までの推移
OpenVAERS / Myo-Pericarditis
このグラフは以下の記事にあります。
[記事] 米CDCのデータは、2021年のワクチン後の心筋炎が昨年の「260倍以上」であることを示す。そして今年は過去30年すべての接種後死亡報告の総数を上回っていることも
In Deep 2021年12月6日
今後もこれは増えていくでしょうけれど、仮に今後、「天然痘ワクチン」なんてものが展開され始めたとすれば、先ほどの CDC の「 1000人に 5.7人が心筋炎に」という数字からは、またも激しく心筋炎の報告は増加し続けそうです。
「そんな天然痘ワクチンはイヤだ」という方には、モデルナ社の mRNA サル痘ワクチンがあります。
モデルナ、サル痘ワクチン開発に着手
化学工業日報 2022/05/30
来日した米モデルナのポール・バートン最高医療責任者(CMO)は27日、オンライン会見を開き、感染報告が欧米で相次ぐ「サル痘」ワクチンの開発に着手したことを明らかにした。
天然痘に似た感染症のサル痘は、ここ数週間、欧米で複数の集団感染が報告され、拡大が懸念されている。バートンCMOは、サル痘は「非常に難しいウイルス」としつつも、同社が持つメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンプラットフォームを使い、開発に「優先的に取り組みたい」考え。
それにしても、mRNAワクチンとか述べていますけれど、天然痘やサル痘のポックスウイルス科のウイルスは、
「 2本鎖 DNA ウイルス」
であり、RNA ウイルスではないです。どうやるつもりなのかなあ、といろいろと想像も膨らみます。
逆転写して必ず DNA に組み込まれるように作ったりして。ハハハ…(ハハハじゃねえだろ)。
ここまで何だか天然痘ワクチンのことについて書いてしまいましたが、ワクチンつながりで、コロナワクチンについて最近知ったことを書かせていただいて締めさせていただきます。
アスリートの心臓突然死の正確な増加率が判明
以前、「2021年以来、全世界でアスリートたちの試合中や練習中の突然死あるいは心臓死が劇的に増加している」ことを何度か記事にしました。
[記事] 全世界のプロスポーツ選手の突然死の記録 : 過去1年で突然の心停止等を起こしたアスリートの数は報道ベースで433人。そのうち「試合中などに突然死亡した 256名のリスト」
In Deep 2022年1月10日
[記事] FIFA所属のサッカー選手の試合中などの「心臓突然死」が2021年に「 500%増加した」とイスラエルのメディアが全リスト付きで詳細な数を報じる
地球の記録 2021年11月21日
最近、このアスリートの突然死の数の「過去との正確な比較」をした記事を見ました。
そこで比較のために使われた数値は、2006年に発表されたスイスのローザンヌ大学病院の研究者たちによる論文にあるもので、そこに、
「 1966年から 2004年までの 35歳未満のアスリートの心臓突然死」
の統計があり(論文)、これは約 39年間の心臓突然死をしたアスリートの数を調査したものでした。
結論でいえば、
・1966年から 2004年までの 39年間で、1,101人のアスリートが突然死した
ことが示されています。
それに対して、2021年1月から 2022年4月までの 1年4ヵ月で心臓突然死したアスリートの数は「 673人」です。
39年間と 1年4ヵ月はそのまま比較できないですので、これを 1ヵ月の平均として計算しますと、
・1966年から 2004年まで → 2.35人
・2021年1月から 2022年4月まで → 42人
となり、この約1年半は、月間ペースで、
「以前より 1700%多くアスリートの心臓突然死が起きている」
ことがわかります。
スポーツ選手の突然死の増加は、感覚的なものではなく、「現実として劇的に増えていた」のです。
アスリート 673人の心臓突然死の、報道リンクつきのほぼ完全なリストはこちらにあります。
なお、それが増え始めたのは、タイミングとしては、2021年に、欧米でコロナワクチンの2回目の接種が開始された時期とリンクしています。月ごとに増えています。
以下は、2021年1月から2022年4月までの「アスリートの突然死の数(赤)」と、「試合中などに突然倒れた数 (青)」の推移です。
2021年1月からのアスリートの倒壊と突然死の数
expose-news.com
多くの国で2回目のワクチン接種、あるいはブースター接種が始まった頃から急激に増えています。
なお、これらは、あくまで報道された、主にプロのアスリートたちの数の推移ですので、一般の方々でスポーツをされている方々がどのようになっているかはわかりません。
やはりスポーツ選手はプロでもアマチュアでも心臓を酷使する場合が多いですので、一般の方より心臓に負担がかかるということはあるのかもしれません。
それが心筋炎のような場合ですと、心臓の筋肉は一度損傷を受けると修復されないことが知られていまして、一生不安は続くということになってしまいそうです。
まあ……そして、以下の記事で少し書きましたけれど、この 5月からファイザー社ワクチンの製剤が変更となりまして、今後はどうなるのかなとも思っています。
つまり、若い年齢層のブースターショットなどがまた推奨されるようなことになった場合にはどうなるのかなと。
[記事]製剤形式変更により「完全な凶器」と変貌した可能性のあるファイザー社ワクチンがもたらすかもしれない今後
In Deep 2022年6月12日
先ほどの天然痘ワクチンでも、CDC のページで「 1000人に 5.7人の」という割合で心筋炎が起きる可能性があることを知りますと、こういう事例がさらに増加してしまうかもしれません。
もちろん、問題は心臓だけではないです。
最もこわいのは社会全体の免疫抑制が本格化することだとは思っています。
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