おそらく多くの若い人たちの胸腺が萎縮している
現在、日本は、コロナの新たな流行波に突入していまして、その急激な上昇ぶりはかなりものですが、全体の数はともかくとして、最近の東京都の感染状況を見ていて、
「?」
と日々思っていました。
たとえば、以下は、7月17日の東京都の感染確認者の「年代別の感染状況」です。
2022年7月17日の東京都の年代別の新型コロナ感染確認数
・10代未満 1,950人
・10代 2,559人
・20代 3,456人
・30代 2,849人
・40代 2,679人
・50代 2,125人
・65歳以上 1,569人
このようになっていました。
65歳以上というのはかなり大ざっぱな区切りですが、ともかく「高齢者が最も少ない」。
これを 10代未満、10代と20代と合わせて比較しますと、以下のようになります。
・10代未満と10代と20代 7,965人
・65歳以上 1,569人
圧倒的に「若い人たちのほうが多い」のです。
まあ、偽陽性なども多く含まれる検査ですから、数そのものの信憑性はともかくとしても、一定の方法での検査なら、比率は実際にこうなのだと思います。
明らかに「若い人たちのほうが圧倒的に感染しやすくなっている」ことがわかります。
どうして、こんなことになったのかなあと思いますが、こういう場合、「ウイルスの変異」云々が言われることがありますが、それがどんな感染症であっても、
「結局は《受け手》の問題」
です。
どんなウイルスであっても、免疫が高い身体の状態の場合、すなわち免疫を司る細胞などの働きが活発であれば「かかりにくい」ですし、逆ならかかりやすい。
ほぼすべての感染症がそう言えるはずです。
ウイルスの変異とかはあまり関係ない。
そこで思い出すのは、
「胸腺」
という存在です。
これは、私が初めて知ったのは、今から約 2年前のことで、以下の記事で取りあげた時でした。
[記事] パニック障害の人はできるだけ「マスクを避けたほうが望ましい」医学的理由。そして私は、子どもや若者たちの胸腺が萎縮した病的な社会の出現を懸念している
In Deep 2020年8月4日
この後半の「子どもや若者の胸腺が萎縮した病的な社会の出現を懸念している」というほうですね。
つまり、
「今、これが起きているのではないか」
ということです。
今、というか、この2年半の中で少しずつそうなっていったのではないかと。
この「胸腺」というのは、免疫に重要な T細胞というものを作り出す(分化する)上で非常に重要なもので、特徴としては、
「若い人で非常に活発に免疫細胞を作り出す」
ものです。
(胸腺 - Wikipedia より)
> 胸腺は胸腔に存在し、T細胞の分化、成熟など免疫系に関与する一次リンパ器官。……T細胞は主として感染細胞を破壊する細胞性免疫にかかわる。
この胸腺は老化と共に萎縮して、胸腺からの免疫細胞の生産は次第におこなわれなくなります。
(胸腺 - Wikipedia より)
> 胸腺中のリンパ球が最も多いのは思春期(10代前後)でピーク時の胸腺は 30~40gに達する。その後は急速に萎縮し脂肪組織に置き換わる。この胸腺の退縮は 70歳までにほぼ完了する。
しかし、「老化」とは別に、胸腺が萎縮する原因があるのです。
「ストレス」と「恐怖」です。
以下は、早稲田大学の論文からの抜粋です。
(早稲田大学の論文より)
> 胸腺は精神的、物理的化学的等のストレッサーによって急性のストレス状態が生じ萎縮が起きるが、その原因が取り除かれると自発的な回復が起こる。しかし、回復の程度は萎縮の原因の刺激の程度により、あまりに強い刺激を受けた場合は完全に元の状態に回復することは不可能であり、障害を示す。
十代などの若い人たちでも、「過度なストレス」を受けた場合、胸腺が、
「元の状態に回復することが不可能なダメージを受ける」
のです。
若くして胸腺の機能が不全となった場合、どのようになるかというと、以下のようになります。
(胸腺 - Wikipedia より)
> 胸腺不全があると細胞性免疫に欠陥が生じ、感染症にかかりやすくなる。
この2年半は、特に若い人たちに絶望的な状況が続きました。もちろん日本だけではなく、世界の多くがそうでしたが、日本では、2020年からの緊急事態宣言という名の事実上の「精神的ロックダウン」により、
・遊べない
・コンサートも映画も何もやっていない
・外を歩くにはマスクをしなければならない
・孤独の時間ばかりが増えていく
・太陽の光さえ奪われた
というような時間が長かったのですが、これでストレスを感じないわけがない。
特に若い人たちには「拘束されるストレス」というのは極めて甚大です。
若い人たちは、自分では大丈夫だと思っていても、潜在的には、人によって壊滅的な精神的ストレスの渦中に叩き込まれていたはずです。実際、主要国では、どこでも若い人たちのメンタルがボロボロになっていることが報じられていました。
2021年2月の時点での世界の若者たちのメンタルヘルスの状況についての報道
・アメリカで最も若い年齢層の4人に3人が、1つ以上のメンタルヘルスの問題に苦しんでいる (CDC)
・アメリカの大学生の5%が自殺未遂をした (Chegg.org)
・アメリカの十代の自殺傾向が56%増加 (ワシントンポスト)
・アメリカの自死者の最低年齢は9歳 (ニューヨークタイムズ)
・オーストラリアでは年間自殺者数が3000人から4500人に増加。半分が若者 (LaCorte News)
当時は以下のような記事でも取りあげました。
[記事] 「今起きていることは通常のメンタルヘルス・カタストロフではない」
In Deep 2020年7月18日
[記事] 世界中の多くの若者たちのメンタルヘルスの状態はそろそろ限界なのでは。アメリカでは「4人に1人の若者が本気で自死を考えた」と回答
In Deep 2020年9月28日
これは現在でもあまり変わらなく、以下は、今年 3月の米エポックタイムズの記事のタイトルです。
アメリカの十代の自殺率が上昇している:子供たちを助ける方法は
Teen Suicide Rates Are Rising: How to Help Our Kids
冒頭は、以下のような報道でした。
> CDCは最近、アメリカの 10代の自殺に関する驚くべき統計を報告した。10代の少女の自殺未遂による緊急治療室への訪問が、2019年と比較して 2021年の最初の数か月で 51.6%増加しているのだ。
アメリカの自殺率はもともと上昇し続けていたのですが、2020年からの「状態」はトドメだったと思われます。
自殺を企図するまでに至るようなストレスが、「胸腺を萎縮させないわけがない」とも思います。
ちなみに、胸腺による免疫の維持は、十代が最高で、成長するにつれて少しずつ胸腺は萎縮していき、七十代くらいまでには胸腺による免疫メカニズムは「ゼロ」になります。
では、お年寄りはどのような免疫システムを持っているのかというと、これを発見したのは、日本の安保徹博士なのですが、
「老化と共に胸腺が萎縮すると共に、高齢者の身体は《胸腺以外で》免疫細胞を作るようになる」
ことを発見したのでした。
以下は、安保徹さんの論文からの抜粋です。
CD3細胞というのは、T細胞のマーカーとして最も汎用されるものだそうです。
安保徹著 「膠原病、炎症性腸疾患、がんの発症メカニズムの解明」より抜粋
マウスでもヒトでも、胸腺外分化T細胞の出現は誕生時には稀であるが、加齢とともにその数が増加する。この現象は胸腺退縮に伴って出現する。
100週齢マウスでは、CD3 int 細胞が肝臓のみならず、他の臓器でも顕著になった。老齢マウスの脾臓とリンパ節でも、CD3 high 細胞に比較してCD3 int 細胞の比率が大概圧倒的に多い。
胸腺外分化T細胞の概念なしでは、加齢による免疫現象を理解できない。
このように、高齢になると、肝臓、脾臓、あるいは他の器官でも T細胞が作られるようになる。
まあ…関係ない話ではありますが、この肝臓と脾臓は、コロナワクチンの mRNA がもっとも蓄積する部位のひとつでもあります。以下は、マサチューセッツ工科大学のセネフ博士の mRNA ワクチンについての論文からの抜粋です。
これは、インフルエンザ mRNA ワクチンですが、使用されている脂質ナノ粒子はコロナワクチンと同様ですので、同じ分布となります。
(ステファニー・セネフ博士の論文より)
> 臓器の中で、これまでで最も高いレベルを示したのは脾臓(86.69 ng / mL)と肝臓(47.2 ng / mL)だった。体内の他の場所では、濃度は 100〜 1,000倍低いレベルだった。 (ijvtpr.com)
これについては、以下の記事にあります。
[記事] 脾臓とワクチン : mRNAワクチンが最も攻撃する脾臓の精神科学的な意味は?
In Deep 2021年5月17日
まあ、この脾臓と肝臓の話は、本題とは関係ない話でしたが、とにかく、人間は、老化と共に「免疫システムが根本的に変化する」のです。
高齢者は、
「もう胸腺なんて要らない」
ということになっていくのですね。
しかし、若い人にとっては、免疫の大きな役割を果たす T細胞を作り出してくれるのは、「胸腺だけ」なんです。
その胸腺が萎縮したり、機能不全になると「免疫がとても弱くなってしまう」と。
先ほどリンクしました「…子どもや若者たちの胸腺が萎縮した病的な社会の出現を懸念している」という 2年前の記事は、
「こんなストレスの中で、若い人たちの胸腺が萎縮してしまうと、社会全体が病的になってしまう」
という心配を書いたものでした。
現在、実際にそうなっているかどうかはわからないです。わからないですが、「そうなっていても不思議ではない」と思います。
それほどストレスは過度でした。
しかし、高齢者は、胸腺とは関係のない免疫システムを持っていますので、影響をあまり受けない。ですので、過度なストレスの負荷がかかる社会下では、「高齢者の免疫のほうが強くなる」という逆転現象も起き得るのかもしれません。
最初に数値を載せた、
・10代未満と10代と20代 7,965人
・65歳以上 1,569人
は、それを示しているのではないかなと思った次第です。
本当にそうなのかはわかりませんし、わかりようがないです。
若い人たちの胸腺が萎縮しているかどうかは、大規模に調査すればわかることですが、そんな調査は、なされないでしょう。
あと、その胸腺の萎縮についての 2020年の記事の後半に「パニック障害の人は、できるだけマスクを避けたほうがいい」ということも書いていますが、このメカニズムから、
「マスクも胸腺の萎縮に関係している」
と、少なくとも私は思っています。
マスクをしていると、特に今のような湿度の高い環境では、通常より多くの二酸化炭素の「再吸入」が起きますが、
「二酸化炭素は脳に恐怖を誘発する」
のです。
脳の扁桃体という部分が過剰な二酸化炭素を検出した場合、「脳に恐怖反応を引き起こす」ことが研究でわかっています。
本人が気づかないうちに、日々、連続的に恐怖の感情がもたらされやすくなるのです。
これも積み重なれば深刻なストレスと結びつくはずです。
この 2020年の頃は、「本当の感染症対策」ということをたまに書いていました。
それはいろいろとあるとはいえ、若い人たちなら、根本的には、
・日々楽しく過ごす
・友だちや知人などとの明るい交流を絶やさない
・若い人なら恋をする(高齢者はドンマイ)
などが「若い人たちの胸腺を萎縮させない」という観点からは、最も科学的な感染症対策だと確信していました。
ところが、日本の当局も欧米に倣って、「人間を機械として扱う対策」に走り、その結果としての「今」があります。
つまり、過去最大の感染者の出現状況です。
次の流行波ではさらに大きなものとなるかもしれません。あるいは、この増減の流行波の繰り返しが、2年、5年、10年と続くかもしれません。
そうなったのは何のせいなのか……と批判することは容易でしょうが、しかし、もう非難しても仕方ありません。
先ほどの早稲田大学の論文にありますように、
「あまりに強い刺激を受けた場合は、萎縮した胸腺を完全に元の状態に回復することは不可能」
だからです。
一部の若い人たちは胸腺が萎縮したまま生きていかなければならない。
あるいは、若い方で、ワクチンを接種された場合は、以下の記事でイタリアの研究をご紹介していますが、やはり免疫に極めて重要な、
・CD4細胞
・CD8細胞
・ナチュラルキラー細胞
も、ワクチン接種後に著しく減少してしまいます。
胸腺の萎縮と相まって、「ほとんど免疫がない状態になる」可能性さえあります。
[記事] コロナの後天性免疫不全は「エイズより悪い」ことがイタリアの研究によって突きとめられる。膨大な数の人々が「強化されたスパイクタンパク質」を接種した日本の未来は
In Deep 2022年6月20日
これはコロナの枠を超えて、インフルエンザや感染性胃腸炎など、今後のあらゆる感染症の流行に際して影響が出るものだと思われます。
少し希望のあることも書きたいですが……何があるでしょうか。
今ひとつ思い浮かびません。
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