さらに自死を進めるヨーロッパ首脳たち
ヨーロッパの多くの国や地域が、この冬、エネルギーに関して非常に厳しい状態になることが避けられないことは、これまで何度かふれてきました。
そんな中で、
「ヨーロッパ全体のモバイルネットワークが崩壊する可能性」
があることを、米ロイターが特報として報じています。
私は携帯基地局のアンテナのことはよく知らないのですが、停電が繰り返されると、バックアップバッテリー機能が働かなくなり、停止してしまうのだそうで、これがヨーロッパ全体で起きる可能性があるということについての報道でした。
この記事は後半でご紹介します。
まずは、その後の「さらに危機的な状態となっているヨーロッパの現状」です。
最近、ロシアからヨーロッパへ天然ガスを供給していた(事故当時はすでに供給が止められていましたが)ノルドストリームが爆破されたことで、少なくとも、この冬などのロシア経由のヨーロッパへの天然ガス供給の可能性は途絶えました。
しかも、最近知ったのですが、トルコや南ヨーロッパなどにロシアから天然ガスを供給していた「タルクストリーム (TurkStream)」という天然ガスパイプラインも、
「最近、ガスの流れが停止した」
と、アメリカのエネルギーメディアが伝えていました。
これは、EU による「新しい対ロシア制裁」の発動後に行われたようですので、「制裁に対してのロシアからの制裁」なのかもしれないですが、いずれにしても、これにより、ロシアから天然ガスをヨーロッパに送っていた、以下の、
・ノルドストリーム二基 (破損)
・ヤマルヨーロッパ (西シベリアからドイツまでガスを送達。5月に停止)
・タルクストリーム
のすべてのガス流入が停止しているということになり、そして、ロシアからのガスのパイプラインは、
「これが全部」
なのです。
パイプライン経由のヨーロッパへのガスがすべて止まってしまったと見られます。
そうなると、他の地域から船舶等で運ぶことになるわけですが、「費用が全然異なる」ために、要するに高くなる。
それなのに、ヨーロッパは、ロシアへ更なる制裁(制裁という言葉の意味となっていないですが)を課する可能性が報じられていまして、そこには、
> ロシアの石油の上限価格とロシアに対するさらなる制裁を支持する合意に達する可能性がある、とEUのポーランド代表は本日述べた。(oilprice.com)
とありまして、「あー」と思いますが、プーチン大統領は、「上限を設定すれば、すべてのエネルギー供給を停止する」と明確に述べていましたので、これはもう「ヨーロッパは完全な自死を覚悟している」ということなのかもしれません。
> ロシアのプーチン大統領は9月7日、ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムで演説し、ロシア産エネルギーに上限価格が設定されれば、ガス・石油供給を停止すると表明した。 (ロイター 2022/09/07)
ロシア産のエネルギーを購入する国はいくらでもある一方で、ヨーロッパが購入できるエネルギー源は、時間の経過と共に少なくなっています。
現在、ヨーロッパへの最大の天然ガスの供給国はノルウェーとなっていますが、いつまでもノルウェーだけから供給され続けるというわけにはいかないでしょうし、何より「今は戦争」であり、ノルウェーのある北欧は、ロシアの隣です。
地政学的な意味合いでは、「ノルウェーからヨーロッパへの天然ガスの供給を断つ」ことができれば、戦争の一部は終わったようなものだと思いますが (参考記事:ノルウェーの北欧最大の石油開発事業者の石油とガス基地の周辺に「正体と目的が不明の無人機」が出現し続けている)、それがなくとも、エネルギーに関しては、どの国でもさらに厳しくなっていまして、10月2日の英 BBC は、
「この冬、英国は、ガス不足による停電の重大なリスクに直面している」
と報じています。
英国はこの冬、ガス不足の重大なリスクに直面している、とエネルギー規制当局に警告
UK at significant risk of gas shortages this winter, warns energy regulator
BBC 2022/10/03
大規模な停電を避けられるのかどうかギリギリの検討が続けられていると報じられています。
ドイツも同様で、ドイツのロバート・ハベック経済相が、「エネルギー供給に関してきわめて緊張した状況にある」と述べたことが報じられていますが、それで先ほどのような、「ロシア原油に価格上限を設定する制裁を実行する見込み」という、もう頭が、「ジャッキーはどこだ?」レベルの措置を始める可能性があるわけです。
フランスのボルヌ首相という人などは、「ロシアにとって戦争の代償を耐えられないものにしたい」という、左脳が床に転げ落ちたようなことを述べていたことが報じられていますが、
「もうヨーロッパ自体が耐えられていないっちゅーの」
という感じであり、さらに、他のエネルギー価格も再び高騰する兆しを見せています。アメリカの石炭価格は過去最高を記録しました。
(報道) アメリカの石炭価格が史上最高値に / 2022年10月4日
石油価格も先行きが怪しくなっていまして、OPEC は「2020年以来最大の減産」を発表する見込みと報じられています。
結局、被害を受けるのはそれぞれの国の一般の人々のわけですが、各国首脳は、もうお構いなしといった感じです。(人民寺院っぽいです)
このような中で、最初にも書きました、
「この冬、ヨーロッパで、携帯ネットワークが崩壊する可能性がある」
ことが報じられていました。
対策として考えられているのは、「一般家庭を停電させて、モバイル通信を維持する」というような方法らしいです。つまり、どのみちこの冬のヨーロッパの停電は避けられないものとしての対策のように読めます。
米ロイターの記事は以下にあります。
独占:ヨーロッパは、モバイルネットワークの崩壊に備えている
Exclusive: Europe braces for mobile network blackouts
かなり長い記事ですので、これをまとめていたメディア記事をご紹介します。
いずれにしても、ヨーロッパでは、暖房、電気、食料が乏しい状態のまま冬に突入し、状況次第では「スマートフォンや携帯も使えなくなる」可能性が出ています。
しかも、今年のヨーロッパはずいぶんと早くから寒くなっているようで、以下は、9月28日のヨーロッパの気温の平年との差異で、9月はまだ夏ですが、一部の国ではすでに氷点下も観測されています。
2022年9月28日のヨーロッパの気温の平年との差異 (青、紫の純に気温が平年より低い)
GFS 2m Temperature Anomalies
そして、ヨーロッパへ流入する「移民」は、さらに大量になっています。
[記事] ドイツが移民で圧倒されており、ほとんどの州で受け入れ停止の状態に
In Deep 2022年10月1日
皮肉な話ですが、ドイツでは、「出生数が減っているのに、人口が増えた」と報じられています。移民が人口そのものを押し上げているのです。
豊かさと仕事、そして食べ物を求めてヨーロッパに殺到している移民たちを待ち受けている国々のこの冬は、
「暖房がない、食料は高い、携帯も通じない。もちろん仕事はない」
という場所になる可能性があります。
これで、移民の人たちは、それらの国々で、犯罪にも手を染めず、じっとおとなしくしているでしょうか。暖房も食べるものもない場所で。
その意味のほうでも、荒れていく可能性はあるかもしれません。
どの国もスウェーデンのような暴力国家となる可能性さえあります。
(最近の報道) スウェーデンでの年間の「銃撃による死亡者」がすでに過去最大に。48人が射殺されている (2022/09/24)
(2019年のブログ記事) ヨーロッパで始まる新しいタイプの内戦 : 手榴弾抗争が続く「スウェーデンの憂鬱」に見るこれからの世界
In Deep 2019年11月30日
そういえば、ヨーロッパで劇的に「抗うつ剤の消費」が増えていることが報じられていまして、世界で最も高いレベルの抗うつ薬消費国のアイスランドは、2021年の国民 100人あたりの抗うつ剤消費「 1日 16回」だったそうです。こちらにグラフがあります。
国民の 8人から 9人に 1人が抗うつ剤を飲んでいるということになりますが、これは全人口ですので、子どもを除外すれば、成人の半数くらいが抗うつ剤を使用しているという可能性さえあります。
これが招く「未来」というのも、また「苦痛を伴うもの」なのですよね。
以前、英 BBC の「英国で数百万人が、抗うつ剤の禁断症状に苦しめられている」というタイトルの記事などをブログでご紹介したことがありました。
基本的には「使えば使うほど事態が悪くなる」のが、抗うつ剤であり、そういうものの消費が世界中で増えているというのは、あまり良い兆候ではないです。
同時に、抗うつ剤を飲まなければならないメンタルの状態の人が増えているということでもあります。
また、どんどん話がズレてしまいましたが、ヨーロッパの携帯ネットワークに崩壊の危機が迫っていることに関しての記事です。
ヨーロッパの終末リストの次は「携帯電話ネットワークの崩壊」
"Gone In 30 Minutes" - Next On Europe's Doomsday List: Collapse Of Cell Phone Networks
zerohedge.com 2022/10/02
この冬、ヨーロッパ全体で不足する可能性があるのは暖房だけではない。携帯電話、スマートフォン網が消える可能性がある。
ロイターの最近の終末的な報告によると、停電やエネルギー配給により、地域全体のモバイルネットワークの一部が機能しなくなった場合、携帯電話がこの冬、ヨーロッパ全体で使用できなくなる可能性があるという。
ロシア政府がガス供給を停止して以来、ヨーロッパ全体で、配給と電力不足の可能性が爆発的に高まっていることは今では周知となっているが、フランスではいくつかの原子力発電所がメンテナンスのために停止しているため、状況はさらに悪化している。
加えて、通信業界の関係者たちはロイターに対し、厳しい冬がヨーロッパの通信インフラを試練にさらすことを恐れており、政府の影響に言及している(つまり、より多くの救済を要求している)。
通信会社の 4人の幹部は、ヨーロッパの多くの国で広範囲にわたる停電に対処するための十分なバックアップシステムがなく、携帯電話の機能停止の可能性が高まっていることが最大の問題だと指摘した。
フランス、スウェーデン、ドイツなどの国々は、わずか数週間でヨーロッパが携帯電話から切り離される可能性があることを認識し、停電によって何千もの携帯電話アンテナに取り付けられたバックアップバッテリーが使い果たされても、通信を継続できるように急いでいる。
しかし、ヨーロッパの他のすべてのものと同様に、対策の選択肢は多くなく、時間的にもすでに遅い。そのため、ヨーロッパは本当に歴史的な携帯電話の停止に直面している。ヨーロッパには 50万近くのモバイルアンテナ通信塔があるが、この冬、それらが停止する可能性がある。
議論されている代替手段の 1つは、ヨーロッパを共産主義時代の停電体制に戻すことだ。フランスでは、配電会社エネディス社が提案した計画に、最悪のシナリオで最大 2時間の潜在的な停電が含まれていると、この問題に詳しい 2人の情報筋は述べた。
一般的な停電は、ローテーションベースで国の一部にのみ影響を与える。情報筋によると、病院、警察、政府などの重要なサービスは影響を受けない。
そして、携帯電話も不可欠であると考えられているようだ。ブイグ・テレコム社とアルティス社などのロビー・グループであるフランス電気通信連合 (FFT) は、携帯アンテナを停電の影響から避けさせるためにエネディス社にスポットライトを当てた。
エネディス社は、ネットワークのセクションを分離して、病院、主要な産業施設、軍などの優先顧客に電力を供給することができ、通信事業者のインフラを優先顧客のリストに追加するのは地方自治体次第であると述べた。
交渉に詳しいフランスの財務省当局者は、「今年の冬までにこの問題に関する知識は向上するかもしれないが、モバイルアンテナをネットワークの残りの部分から分離するのは容易ではない」と語った。
スウェーデンとドイツの通信会社も、電力不足の可能性について政府に懸念を表明していると事情に詳しい複数の情報筋が語った。スウェーデンの通信規制当局である PTS は、通信事業者やその他の政府機関と協力して解決策を模索していると述べている。
これには、電力が配給された場合に何が起こるかについての話も含まれる。PTS のスポークスパーソンによると、PTS は、移動可能な燃料ステーションと、携帯電話に接続してより長い停電に対処するためのモバイル基地局の購入に資金を提供している。
イタリアの通信ロビーはさらに強力で、ロイター通信に対し、モバイルネットワークを停電や省エネ停止から除外することを望んでおり、イタリアの新政府にこれを提起すると語った。電気通信ロビーのチーフはインタビューで、停電によって電子部品が故障する可能性が高まると語った。
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