In Deep

地球最期のニュースと資料

*

「不老不死」「永遠の命」を探るロシア人科学者の研究から「永遠とは何だろう」とあらためて考えてみる

      2015/10/16


eternal-life-top

▲ 2015年09月16日のシベリアン・タイムズより。

 

「永遠の命の手がかりをつかんだ」とする主張

今日は、シベリアン・タイムズにありました上の記事をご紹介しようと思います。

ロシアのシベリアン・タイムズといえば、2014年に、シベリアに次々と開いた「不思議な穴」について最初に報道したメディアとしてよく覚えています。

この「穴」については、

…「世界の終わり」という地名がつくシベリアに突然開いた巨大な穴 : 「ウラジーミルの栄光の国」を襲い続ける異常な気象と現象

という記事以来、何度かご紹介しました。

 

map-crater2

▲ 過去記事「ロシア国防省が報告したという「シベリアの穴と地球の磁場反転の関係」。そして「未知の大気物質」の存在」より。

 

その後も増えているというような話もあり、現在はどのようになっているのか、今ひとつはっきりとはしていません。

さて、冒頭のシベリアン・タイムズの記事は、そのシベリアの「永久凍土」の中から「350万歳」の年齢を持ち、「それを与えた動物が若返る」バクテリア(細菌)を発見したと主張している科学者の記事なのですね。

主張しているのは、モスクワ大学の学部長教授で、変な人ではないようです。

ブロウシュコフ博士という方なんですが、その方の主張は、
・350万年、永久凍土の中で生きてきたバクテリアを発見した
・このバクテリアは、自分の DNA を自分で守る機能を持っていて、老化がない
・このバクテリアには、他の生物(マウス、ヒトなど)の細胞の老化を防ぎ、若返らせる仕組みがあることを発見
・研究が進めば、不老不死の手がかりをつかめるかもしれない
・また、植物を寒さに強くする作用がある

などなのですね。

アナトリ・ブロウシュコフ博士
Dr-Anatoli-Brouchkov

 

とても内容を知りたいタイトルで、興味を持って翻訳しているうちに、次第に、

 

「あれ?」

 

という気持ちになってきたのですね(笑)。

何が「あれ?」かというと、

・いろいろと主張に不安定な部分が多い
・実験の具体的な記述がほとんどない

という2点がありまして、たとえば、大前提となっている、このバクテリアが驚異的に長生きしているということについて、「永久凍土が 350万年前のものという根拠があまりない」ことがあったりします。

あるいは、マウスなどに、どのような実験を行い、どのくらいの項目の比較で、効果があるとしたのかなどが書かれていないのです。「年老いたメスのマウスが、再び繁殖を始めた」という記述がある程度です。まあ、もちろん、それが事実ならすごいことではあるのですが。

シベリアン・タイムズは科学メディアではないですので、そこまで具体的に取材することもないのかもしれないですが、そのあたりをはっきり提示してもらえれば、不老不死の方はともかく、作物の種が「5度の気温で発芽した」という話などもありまして、仮に世界が寒冷化していくなら、そういう作物は本当に重要ですので、興味があります。

 

まあ・・・「永遠の命」については・・・。

 

少なくとも、人間はそういうものではないと思いますので、そういうところを目指すというのはどうなんでしょうね。

 

 

人間の老化は実はものすごいミステリー

ところで、この「人間が年を取る」というのは、当たり前のことと考えている場合が多いかと思うのですが、とても大きな謎でもあって、過去記事に、

進化論の崩壊の序曲?:「なぜ老いるのか」という理由がわからなくなった科学界
2013年12月12日

の中で、実は、

「なぜ私たちは年をとるのかということを、今の科学は何の説明もできない」

ということをご紹介したことがありました。

そこで翻訳した記事の冒頭は、

高齢化という問題は最近のメディアでは最も注目される話題であるにも関わらず、科学者からはそれに対しての答えは出ない。

最新の人間と動物、そして植物の統計データは、老化プロセスにおける極端な多様性を明らかにした。しかし、既存の進化論ではこれらを説明することはできない。

というもので、私たちは多くの動物が、人間のように「年齢と共に死亡率が上昇するもの」と思っている場合が多いですが、実は生物界全体と比較いたしますと、

人間は「特異な老化のシステムを持っている」

ということが、その時にご紹介した記事で明らかにされています。

生物には、死亡率と年齢の関係について、


1. 年を取るにつれて死亡率が上昇する
2. 年を取るにつれて死亡率が「下がる」
3. 死亡率が一生を通じて一定

 

というようなグループわけができて、人間は「1」なんですが、その「1」のグループの中でも、

 

「人間のような老化と死亡率の関係を持つ動物は、生物界には他にはまったくいない」

 

のだそうです。

人間の老化と死亡率のこのパターンは「人間だけ」のものなんです。

要するに、私たちが普通に考えている人間の老化と死亡というのは、実はものすごい謎でもあるということを上の記事を書いた時に知りました。

上の記事での翻訳記事は、なかなか興味深いものですので、ご参照いただければ幸いです。

 

あと、「永遠の命」という概念は、輪廻転生を否定する概念でもあるのですね。

ということは、「物理的な永遠の命」という概念は、「本当の人間の永遠性を否定する」概念という、ややこしいことにもなってしまいそうです。

難しいところですが、何はともあれ、シベリアン・タイムズの記事をご紹介いたします。

Sponsored Link

 

 


Russian scientists make progress on secret of eternal life
Siberian Times 2015.09.16

ロシア人科学者たちが「永遠の命」の秘密を進展させている

永久凍土で見つかった「 350万歳」のバクテリアが、老いた雌マウスに繁殖させることを可能にしたという「科学的衝撃」

 

科学者たちは、古代の永久凍土から発見されたバクテリアの DNA を解析し、現在、その異常に長い寿命を提供する遺伝子を理解しようとしている。

そのバクテリアは、バチルスF( Bacillus F )と名づけられている。

 

バチルスF

inside_bacteria_gram

 

この研究では、生きている生物に、これまで説明不能だった影響を与えることについても同時に調べられている。

具体的には、ヒトの血液細胞、マウス、ショウジョウバエ、そして、作物に適用することで、細胞を活性化し、寿命を延ばす研究が含まれているのだ。

チュメニ科学センター( Tyumen Scientific Centre )の主任研究員であるセルゲイ・ペトロフ教授( Professor Sergey Petrov )は以下のように述べる。

「これらすべての実験で、バチルスFは成長を刺激し、免疫システムを強化しました。そして、ヒトの赤血球と白血球に対しての実験に関しても、非常に良い結果が得られたのです」

このバクテリアは 2009年に、シベリアのサハ共和国にあるマンモス・マウンテンと呼ばれる場所の永久凍土で、モスクワ大学 凍結地質学( Geocryology )の学部長教授であるアナトリ・ブロウシュコフ博士( Dr Anatoli Brouchkov )によって発見された。

同様のバクテリアは、シベリアの科学者、ウラジミール・レーピン( Vladimir Repin )氏によっても発見されている。レーピン氏は、このバクテリアを、永久凍土の中のマンモスの脳の中から発見した。

ブロウシュコフ博士は以下のように語る。

「私たちは、マウスやショウジョウバエの多くの実験を行ないました。そして、私たちは、このバクテリアの、彼らに対しての、寿命と生殖能力への持続的な影響を見出したのです」

「しかし、なぜ、このバクテリアがそのように機能するのかについては、正確にはまだわかっていないのです。とはいっても、作用のメカニズムはわからなくとも、その影響は現実であることは実験が示しています」

ヤクーツクの疫学の専門家ヴィクトル・チェルニャブスキー博士( Dr Viktor Chernyavsky )は、この発見を称して、「科学的な衝撃」、そして、「不老不死への手がかり」として、以下のように述べた。

「このバクテリアは、実験動物の免疫状態を活性化し、その生命の全体に生物学的に活性させる物質を提供するのです。その結果、年老いたおばあちゃんマウスが、忙しく動き始め、そして何と、再び繁殖を始めたのです」

 

inside_mice_1

 

「同じ物質を人間に与えた場合、それはその人の健康に有意な改善を引き起こす可能性があり、これは『永遠の命』への手がかりにつながる発見かもしれません」

現在、永久凍土で見つかった三つの異なる株のバクテリアで、生物の生命の若返りについて研究が続けられている。

もう一つの可能性として、バクテリアを与えた生物を水に返すことで、「石油の分子を破壊することができる生物」を開発できるかもしれないと科学者たちは述べる。

これは、海に流出した石油などを、新しい生物によって、短時間で除去する新しいシステムの構築を意味する。この古代のバクテリアの株は、セルロース分子を除去することが可能なのだ。

ブロウシュコフ博士は、シベリアン・タイムズ紙に以下のように語った。

「より重要なこととして、私たちはすでにこのバクテリア、バチルスFの DNA の解析を完了しているということなのです。私たちは、遺伝子の順序を完全に復元したのです」

「この DNA の研究に関しては、数年間、継続的に続けられたものでしたが、昨年末で完了しました」

「そして今、私たちは、最も複雑な課題に直面しています。それは、長寿を提供している遺伝子を見つけるための試みです。どこかのタンパク質が DNA を損傷から保護しているのですが、それを特定したいのです」

「私たちは、このバクテリアの、ゲノムの保護の仕組み、遺伝子の機能を理解したいのです」

「重要な問題は、このバクテリアの、活力と長寿を提供しているものが何なのかを突き止めることです。しかし、たとえば、人間のガンに対しての遺伝子の反応が、非常に複雑で巨大なメカニズムであるように、このバクテリアの仕組みもまた同じように複雑なのです」

この遺伝子の特定の研究は技術的に困難を伴う、と博士は言った。

博士は、このバクテリアが、シベリア永久凍土の下に何百万年も生存していたことも明らかにした。

「バクテリアの正確な年齢を述べるために、私たちは永久凍土の岩の年月を調べる必要がありましたが、これがそう簡単ではありません」と博士は述べる。

「何しろ、永久凍土の年代を正確に測定する方法は、現在でもないのです。しかし、私たちには、それがかなり古いことを信じる固い理由があるのです」

「東シベリアは、今でも暖かい場所ではないですが、350万年前も寒かった場所でした。そして、それは現在とほぼ同じ気温モードだったと思われます。そのことから、私たちは、この永久凍土が 350万年前に形成されたと確信しています」

「このバクテリアは、外の世界から隔離され、氷の中に閉じ込められていたので、私たちは、このバクテリアが、そのような長い時間、永久凍土の中に保持されていたと確信していいるのです。しかし、私たちは、なお、そのことを証明するために取り組んでいます」

このバクテリアは、他の極限環境でも発見されていることを博士は述べる。

「このバクテリアは、琥珀の中でも発見されており、また、岩塩の中でも発見されていますが、この岩塩が生成されたのは5億年前と考えられているのです。そのようなものの中にこのバクテリアがいたのです」

そして、博士は以下のように主張した。

「永遠の命を持つバクテリア、そして、不死の生き物は、この世界に存在します。彼らは、その遺伝子を自分自身を守ることができるメカニズムを持ち、それによって、彼らは死ぬことができないのです。私たち人間は、細胞の損傷を自ら守ることはできませんが、これらのバクテリアの細胞は、自分自身を保護することができるのです」

「この、老化からの細胞の保護のメカニズムを見つけ出すことは素晴らしいことだと考えています。そして、私たち自身が、細胞の損傷と老化と戦うために、それらを使用するのです」

「老化は人類の大きな謎ですが、私たちはそれを解決するために研究し続けなければならないのです。そして今、私たちは、古代のバクテリアから、その鍵を見いだせるかもしれないのです」

同時に、博士は、この発見の重要性について、説得力のある説明が必要があることを認めている。

「それについての議論は続いています。このバクテリアが本当は古いものではないと考える懐疑論者もたくさんいます」

「私たちの研究は世界的に始まったばかりです。最初の科学的な研究は、約 10年前に登場し、それが研究の第一段階でした。私たちは、この人間の不老不死の研究を、より多くの人が始める必要があると考えていますが、現時点では私たちのような研究をしている科学者は多くありません」

研究は、西シベリアのチュメニで進行している。

これまで、博士は、このバクテリアを、カイアシ類、マウス、作物やヒト血液細胞に対しての実験を行ったという。

博士は述べる。

「これらのすべての実験で、パチルスFは成長を刺激し、免疫システムを強化しました。ヒト赤血球と白血球への実験もまた非常に希望的なものでした」

「今、私たちは作物を用いた実験に焦点を当てています。このバクテリアは、作物の成長を刺激し、生産性を向上させます。今年は、実験室での研究を完了し、屋外での試験に移行しました」

「種を、このバクテリアの培養物を含む溶液に入れてから蒔くのですが、研究室では、非常に良い結果を得ました。このバクテリアは、作物の成長を刺激し、また、霜への抵抗力を増加させます。また、この種は、温度 5℃でも発芽したのです。このように、霜に強く、低い気温で発芽する作物は、私たちのシベリアのような苛酷な環境では非常に重要です」

 

inside_crops_2

 

また、博士が明らかにしたところでは、このバクテリアは、光合成を促進させるという。

「これは、日照の少ないシベリア北部地域などでは、非常に重要なことです。現時点では、確かに、この作物に対しての代謝作用のメカニズムを正確に説明することはできません。なので、このバクテリアの影響を理解するための生化学的研究を続けているのです。そして、研究室での実験では、このバクテリアの植物成長促進作用は非常に有望だと思っています」

ブロウシュコフ博士は、このバクテリアのヒト血液細胞への適用のさらなる研究をおこなうために、助成金を申請しているという。