In Deep

地球最期のニュースと資料

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60億年彼方から届き続ける謎の「宇宙からの電波放射」の発生源の特定は、ビッグバン理論や暗黒物質の問題に何かを働きかけるだろうか

   

2016年2月24日のロシア・トゥディより

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最近、上のような「 60億年離れた宇宙から届いた電波バースト(瞬間的に強力な電波が爆発的に放射される謎の現象)の発生源の場所が突き止められた」というニュースがあったのですが、この電波バーストは3年くらい前に、「宇宙からの届く謎の電波」として、下の記事でご紹介したことがありました。

銀河系外の宇宙から 10秒周期に発信されている電波信号の存在の探査が始まる
 2013/07/08

そこに、当時のデイリーギャラクシーの記事を翻訳して載せました。

今回の報道は、その「謎の電波」の発生源が突き止められたというものですが、突き止められたのは、あくまで場所であり、「原因」については、相変わらず不明です。

電波バーストは今でも「謎の現象」であり、基本的に原因は特定されにくいものですが、宇宙からの電波バーストが記録された場合、現在の科学や天文学では、一般的には、

・中性子星などの衝突など
・ブラックホールなど極端な天体物理学での出来事

などにより説明されるようです。

今回場所が突き止められた電波バーストも、そういう説明がなされていますが、ただ、今回の報道ではふれられていないですが、これらの電波バーストの中には奇妙な特徴を持つものも含まれていました。

それは「正確に 10秒ごとに発信されているシグナルがあった」ことです。

さきほどの3年前の記事の中から抜粋します。

Daily Galaxy 「天の川銀河の向こうからやってくる宇宙の電波バーストの発生源の謎をつきとめるための探査」より

今から6年ほど前、原因や発生源が不明である電波放射のシグナル(電波バースト)が私たちの天の川銀河の外に検出された。

しかし、天文学者たちにも、それが何であるのか。また、発生源は何なのか。あるいは、そもそも本当なのかどうかということさえ含めて何もわかっていない。(略)

調査では、それらの銀河系の外の電波バーストのうち4つ以上のものは、疑うことなく実際に存在していることが確認された。
そして驚くべき発見もあった。

調査の結果、その中のひとつのシグナルは 10秒ごとに発信されていた。

「その電波バーストは、まばたきする速度の 10分の 1ほどしか継続しないとても短いシグナルですが、10秒ごとに検知されることが示唆されています」と、マックスプランクの所長でありマンチェスター大学の教授であるマイケル・クレイマー(Michael Kramer)博士は述べた。

というような記録があるため、「地球外の知的文明の徴候」ではないかと主張する人たちも現れたりしたわけですけれど、まあしかし、実際の発生原因は今もわからないままです。

宇宙からの謎の電波に関しては、6年前の記事ですが、

銀河 M82 星雲からの謎の電波を英国の国立天体物理学研究所がキャッチ
 2010/09/18

というものもありました。

あと、電波等ではないですが、最近話題となった「遠くにある宇宙空間の怪しい現象」としては、昨年の、

スクリーム顔の小惑星、謎の星 KIC 8462852…
 2015/11/06

に書きました謎の星 KIC 8462852 のことなどもありました。

当時の AFP の記事から抜粋しておきます。

謎の変光星めぐり天文学界で激論、「宇宙人文明」唱える説も

AFP 2015/10/21

地球から約1500光年の距離にある謎の星は、明るさの変化パターンが異常なため、科学者らの間で議論を巻き起こしてきた。一部では、宇宙人文明が見つかるかもしれないとの説まで唱えられている。

米エール大学の博士課程修了学生、タベサ・ボヤジャン( Tabetha Boyajian )氏と市民科学者数人が発表した論文は、KIC8462852が異常な光度パターンを示すことを説明、その周囲を物体が周回しているように思われると示唆している。

ボヤジャン氏は「このような恒星はこれまで見たことがない」と、米誌「アトランティック」に語っている。

米ペンシルベニア州立大学の天文学者、ジェイソン・ライト( Jason Wright )氏は、KIC8462852の光度パターンを地球外文明のしるしとして解釈する独自の研究論文の準備を進めている。ライト氏は、恐らく宇宙人の太陽光発電パネルのような類いの「巨大構造物の大群」を減光の原因とする説を唱えている。

これも、どう推測しても実際の要因がわかるとも思えないですが、宇宙の記録の中では、わりと頻繁に、このような、いろいろと想像をめぐらせそうな現象がそう少なくもなく起きていることは事実でもあります。

というわけで、今回の記事をご紹介したいと思いますが、記事の中で「ミッシング・バリオン」という言葉が出てくるのですけれど、これを少しご説明しておきたいと思います。

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ビッグバン理論の維持のために次々と出現する「科学界最大の謎」

これは、宇宙の大規模構造とダークバリオン問題というページによりますと、


 

ダークバリオン問題とは

宇宙の 96% はダークエネルギー、ダークマターといったダークなやつらです。しかし、星や銀河団 (陽子や中性子)、といった「普通の」物質 (バリオン) でさえも、すべてが観測にかかっているわけではありません。ビッグバン直後の遠方宇宙では観測されたバリオン量に比べて、近傍宇宙で観測されている量は半分程度にすぎないのです。

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これは「ダークバリオン問題」あるいは「ミッシングバリオン問題」と呼ばれています。近傍宇宙のバリオンがどのような形態で存在しているのかは宇宙論に残された大きな謎の一つです。


 

「バリオン」と言われても、よくわからない部分がありますが、バリオンとは「暗黒物質やダークエネルギーではない、つまりはこの世の普通の物質のこと」です。そして、このミッシング・バリオン問題というのは、上の、

> ビッグバン直後の遠方宇宙では観測されたバリオン量に比べて、近傍宇宙で観測されている量は半分程度にすぎない

という部分のことで、つまりは、科学では、この世の普通の物質が、予測の半分ほどしか観測されていないということになるようなんですね。

それにしても、「普通の物質」というのは変な表現ですが、普通の物質というのは、つまり、

「一般的なこの世のすべての物質」

です。

何もかも、です。ぜーんぶです。それらを「普通の物質」としていて、その「普通の物質は宇宙の存在全体の4%ほどしかない」というのが、今の宇宙論で、私などは「やっぱり、その理論って普通にヘンでは?」とは思うのですが、覆される様相はありません。

上の図にもありますが、暗黒物質とかダークエネルギーとかは、ビッグバン理論を補足するために作られた「仮定」でしかないですが、いずれにしても、それらは「私たちには感知できない」物質で、それ以外が「普通の物質」ということになります。

この目に見える宇宙すべてが「普通の物質」であり、私たち人間も、そのあたりにある水や大気も何もかもが「普通の物質」ということですが、それらについても、科学での観測では、「推測よりはるかに足りない」のだそうです。

結局、宇宙の組成については、いまだに謎が大部分を占めていて、判明している部分はほとんどないといえそうです。

まあしかし・・・ビッグバン理論にこだわらなければ、暗黒物質もダークエネルギーも必要ないですし、「ミッシング・バリオン問題」というような難解な問題も起きないのですが、科学にビッグバン理論を配置し続ける限り、これらの問題は「解決されなれければならない」となっています。

科学と天文学の存続に関わる問題でもありそうです。

「仮定に固執し続けるために、科学の中で新しい科学の最大の謎が作られていく」というのは不思議なことだとは思いますが、今の科学界はいたるところに、そのようなものが存在しているようには見えます。もちろん、科学者の方々はそれぞれが真剣に取り組んでいられるのだとは思いますが、何かどこかに根本的な、あるいは完全に新しい発想からの突破口がないと、現代宇宙論は生きながらえないように思えて仕方がありません。

ヒッグス粒子の発見の示唆がメディアを巻き込んで大報道されてから何年経ったでしょうか。ヒッグス粒子 – Wikipedia は、「新たな粒子はヒッグス粒子である事を強く示唆している」の記述で3年間止まったままです。

まあしかし、何であれ、時間は進んでいきます。

それでは、60億年離れた宇宙からの電波バーストについて、 RT の記事からご紹介させていだきます。

 


Scientists trace mystery ‘alien signals’ to distant galaxy
RT 2016/02/25

科学者たちは、遠い銀河から届く謎の「未知の信号」の発生源を突き止めた

科学者たちが、謎の「高速電波バースト(Fast Radio Bursts / FRBs)」がどこから発せられているかを、世界で初めて突き止めることに成功した。

この高速電波バーストは、地球から 60億光年離れた場所のもので、地球外文明の徴候である可能性もあるという主張も存在する神秘的な存在だ。

このような電波バーストは 2007年から 17回記録されており、それぞれ、最大で数ミリ秒(ミリ秒=1000分の1秒)ほどの一瞬のものだが、そのエネルギーは太陽放射の1万年分のエネルギーと等しいという。

しかし、その発生原因はいまだに科学的には突き止められていない。

その発生源と原因を確定するための最初のステップは、これらの電波バーストの発祥物体までの距離を特定することだった。

科学誌ネイチャーに発表された今回の発見について、研究の筆頭科学者である英国ジョドレルバンク天文台の天文学者エヴァン・キーン(Evan Keane)博士は、オーストラリアのパークス電波望遠鏡の助けを借りて、2015年4月18日に、 FRB 150418 と呼ばれる最新の電波バーストのひとつを記録した。

そして、その発生源を特定する試行が始まったが、そのブロセスには長い時間が費やされた。

オーストラリアの望遠鏡を使った次に、研究チームは「すばる望遠鏡」として知られる、ハワイにある 8.2メートルの日本の望遠鏡を使い、その残光から、楕円銀河にその電波の起源があることを突き止めた。

この電波バーストが、地球外知性体によって地球に送信されていると主張する人々もいるが、そのような説について、キーン博士は AFP に対して、「それは決してありません」と、否定の見解を述べた。

最も可能性が高い理由は、2つの中性子星の衝突によるものではないかとキーン博士は述べる。2つの死んだ星の衝突と銀河の組成物が電波バーストの原因となった可能性が高いという。超新星爆発が原因いう説もあるが、それよりも可能性が高いだろうという。

チームは、現在、電波バーストが地球で記録されるまでに、どのくらいの物質を通過してきたかを特定するための研究を続けている。

キーン博士によれば、それを突き止めることによって、宇宙マイクロ波背景放射の測定のような、科学での最大の謎のいくつかに答えを提供することができるかもしれないと語る。

科学者たちは、将来的に、マップを作成するために、このような電波バーストを用いることを計画している。そのマップは、さまざまな銀河の間の磁場を詳細にし、また、それにより、宇宙空間に存在する物質の種類を決定することができるかもしれない。

この発見はまた、長年の科学的疑問である「ミッシング・バリオン(あるいは、ダーク・バリオン)」の問題に解決の糸口がもたらされる可能性もあると研究チームは述べる。

現在の科学では、この宇宙は、約 70パーセントを占めるダークエネルギーと25パーセントの検出不可能なダークマター(暗黒物質)で構成されていると信じられており、この宇宙の「通常物質(バリオン)」は約 5パーセントしか存在しないとされている。

惑星や恒星や、私たち人間なども、すべてこの「通常物質」から作られている。

しかし、これまでに、科学者たちは、通常物質の約半分の存在しか説明できておらず、残りは「行方不明(ミッシング)」と見なされているのだ。

これが、「ミッシング・バリオン」という、現在の科学と天文学での大きな問題となっている。

キーン博士は、今回の発見が、このミッシング・バリオン問題に解決の糸口を見出すものだと主張する。