In Deep

地球最期のニュースと資料

*

人間が人間を編集し、造り出す時代の一歩手前に何を思う : 実施直前の様相を呈する「デザイナーズベイビー」と「人間クローン計画」

   

clone-human-top

・Daily Mail

ヒトがヒトを造るのは「倫理」の問題ではなく「自然の摂理への反逆」のような気もして

今日は、ふたつの記事を翻訳しまして、それをお読みいただきたいと思いました。

英国のデイリーメールを読んでいましたら、同じ日に、別の記事として、それぞれ載っていたもので、ひとつは、

・中国の企業による「食肉牛のクローン化の実施」と「人間クローン実験」の兆し

に関しての報道で、もうひとつは、

・デザイナーベイビーを含む「生殖系の遺伝子の編集」が科学会で進行しつつあること

に関してのものです。

私自身は、「クローン」にしても「あらゆる遺伝子操作」にしても、それは何だかとても悪魔的な作業だというように感じていまして(単に「悪魔的」というだけで、良いとか悪いとかいう価値観ではないです)、こういうたぐいの報道は切ないものがありますが、望む人たちが数多くいることも事実のようでして、まあ・・・いろんな意味で、今の時代は行くところまで行くしかないのかなとも思います。

ふたつの翻訳ということで、長くなりますので、とりあえず、その記事をご紹介したいと思います。

最初は、中国のボヤライフ・グループという大企業が進めている「あらゆるものをクローン化する計画の工場」の話です。将来的には「ヒトも」ということで、7ヶ月後の稼働を目標に、昨年、爆発事件のあった天津港に大工場を建設しています。

そのことを取り上げた記事をご紹介します。

なお、記事の中に出てくるボヤライフ・グループのパートナーである韓国の「スワム生命工学研究財団」とは、2006年にあった、論文捏造事件の黄禹錫(ファンウソク)元ソウル大学教授の財団です。

ファン元教授のこの財団は、「愛犬をクローン化(複製)する」というビジネス(費用は1頭につき約 1200万円)を実際におこなっているのだそうです。

スワム財団がクローン化した犬の例
clone-dogToday

 

ファン元教授の次の目標は「人間のクローン化」のよう。

それでは、デイリーメールの記事です。

Sponsored Link

 


The world’s largest cloning factory could one day clone HUMANS: Scientist claims technology is ready but public opinion isn’t
Daily Mail 2015/12/02

世界最大のクローン工場は、いつの日か「ヒトのクローン」を作ることになるかもしれない:その技術は準備ができていると科学者は主張するが、世論は受け入れていない

中国の企業ボヤライフ・グループ( Boyalife Group )が、2016年から、犬や牛、馬のクローン生産を開始することになった。

ボヤライフ会長の許曉椿(シュウ・シャオチュン / Xu Xiaochun )氏は、人間のクローンを作るテクノロジーは、「すでにここにあるのです」と言う。

ボヤライフ本社ビル
boyalife-building

 

この世界最大のクローン工場のテクノロジーを支える中国人科学者は、人間を複製することは、すでに可能であるが、公共からの敵対的な反応を避けるために、そのことについては公には語っていないのだという。

ボヤライフ・グループの許会長は、「当社は、すでに霊長類のクローン化技術の向上について進めています」と言う。

そして、会長は、「クローン化に関して、サルからヒトは”わずかな生物学的段階があるだけ”です」と付け加えた。

ボヤライフ・グループとそのパートナー企業は、中国北部・天津港に巨大な工場を建築しており、7ヶ月以内に、クローンの生産に入ることができるとしている。

そして、2020年までに、100万頭のクローン化された牛の出荷を目指している。

しかし、牛は、最高経営責任者である許氏の野望の始まりに過ぎない。

工場のパイプラインでは、サラブレッド競走馬、ペット、警察捜査に特化した警察犬などもクローン化しようとしている。

そして、人間さえも。

許会長は、「その技術はすでにある」と AFP に語っている。

そして、「もし、ヒトのクローン化が許されていたならば、このボヤライフ社以外に、より良い技術を持っている会社が他にあるとは思えません」とも述べている。

ボヤライフ・グループは、現在はまだ、人間のクローン化に関しての行動をおこなっていないが、それは、外部からの批判を含む副作用を避けるためだという。

しかし、許会長は、「社会的な価値観は変わっていくものです(※ そのうち、社会も人間のクローン化を認めるようになるだろう、という意味)」として、会長は、過去と現在の同性愛者に対する社会的価値観の変化を例に挙げた。

そして、会長は、いつかは、人々が自分を再生産(クローン)した子どもについて、より多くの選択肢を持つことができるようになるだろうと語った。

「現在は、子どもを持つ唯一の方法は、その子の半分はお母さんのものを持っていて、半分はお父さんのものを持っているわけですが、将来は、3つの中から、それを選択することができるようになると思います」と会長は言った。

カナダと米国の大学を出、以前は、アメリカの大手製薬会社ファイザーに勤めていた 44歳の科学者がいる。

彼は、生物多様性の保護手段としての生物のクローン化を提唱している。そのために、中国の天津工場では、約 500万にのぼる細胞の試料を液体窒素で凍結し、それらを保持することが可能な遺伝子バンクを収容している。

これは、世界の絶滅危惧種の将来の再生のための「カタログ」として作用する可能性がある。

ボヤライフ・グループの韓国のパートナーの「スワム生命工学研究財団」( Sooam / 秀岩) は、すでに、シベリアの永久凍土で見つかったマンモスの細胞をクローンにより復活させるためのプロジェクトに取り組んでいる。

スワム財団はまた、顧客の愛犬を「クローンで再生する」というサービスを提供している。報道によれば、費用は、一回 10万ドル(約 1200万円)だ。

今年の初め、スワム財団の代表である韓国の生物学者、黄禹錫(ファン・ウソク)氏が、彼の会社が中国でのクローン化の合併事業を計画していることが、韓国の東亜日報に引用されたことがある。

それによると、黄氏は、

「韓国では、生命倫理に関する法律によって、人間の卵子の使用を禁止されており、私たちは、犬などにおこなってきたクローン化の技術を人体に適用する段階に入る際には、中国で施設を見つけることにしたのです」

と述べたとある。

今のところは、ボヤライフ・グループの許会長は、世界初となる「遺伝的に同一のクローン牛の繁殖家」となることを目指している。

許会長は、「味は神戸牛ほどのものになることを保証します」と言った。

これはまた、中国で爆発的に増えている中産階級以上の牛肉の需要を満たすためのものでもあるという。

遺伝的改変と異なるクローン化の動物への適用は、その質を均一化して保持させることができる。

「(クローン牛が多く流通すれば)スーパーの肉は、どれも見栄えがよく、どの味も均一の品質になり、良い風景になると思います」と許会長は言う。

「動物の品質を均一にするということは、過去の私たちにはできないことでした。しかし、私たちのクローン工場では、それができるのです」

「この工場で作り出される牛は食べ物であるということを覚えていてください。私たちは、その食べ物を、非常に品質の一貫したものとしたいのです」と、会長は付け加えた。

クローン化された牛肉を人間が消費することが安全であるかどうかは、論争となっている。

アメリカ食品医薬品局は、その研究で、安全性には問題はないとしているが、欧州議会は、クローン動物と食物連鎖を生産することの禁止を支持している。


 

ここまでです。

> 2020年までに、100万頭のクローン化された牛の出荷を目指している。

という具体的な記述を見ましても、このようなものが、少なくとも中国では、スーパーに並ぶ日は近い・・・というか、最短だと、もう来年の夏には並んでいるのかもしれません。

人間のクローン化も、「こっそりと」なら、いつ始まっても不思議ではない雰囲気を感じます(記事に出てくる人たちが、みんな、やる気満々ですし)。

さて、もうひとつの記事は、クローンではないですが、

「赤ちゃんが誕生する前に、精子、卵子、あるいは、胚などに遺伝子操作を加えて、《親が望むような赤ちゃん》を造る技術に関しての国際会議」

についての記事です。

desisisi1THE PROS AND CONS OF “DESIGNER BABIES”

 

これも、いろいろ書かずに、記事をご紹介したいと思いますが、中に出てくる「デザイナーベイビー」というのと「 CRISPR-Cas9 」の二つの言葉について記しておきます。

デザイナーベビー – Wikipedia

デザイナーベビーとは、受精卵の段階で遺伝子操作を行なうことによって、親が望む外見や体力・知力等を持たせた子供の総称。親がその子供の特徴をまるでデザインするかのようであるためそう呼ばれる。

1990年代から受精卵の遺伝子操作は遺伝的疾病を回避することを主目的に論じられてきたが、親の「より優れた子供を」「思いどおりの子供を」という欲求に従い、外見的特長や知力・体力に関する遺伝子操作も論じられるようになってきた。

CRISPR-Cas9 とは

CRISPR-Cas9 とは、DNA二本鎖を切断してゲノム配列の任意の場所を削除、置換、挿入することができる新しい遺伝子改変技術です。

第3世代のゲノム編集ツールとして2013年に報告された CRISPR-Cas 技術は、カスタム化(標的遺伝子の変更や複数遺伝子のターゲット)が容易であることから、現在、ヒトやマウスといった哺乳類細胞ばかりではなく、細菌、寄生生物、ゼブラフィッシュ、などの膨大な種類の細胞や生物種において、そのゲノム編集または修正に急速に利用されています。

RISPR-Cas9
RISPR-Cas9Genome Editing with CRISPR-Cas9

 

それに関しての科学者たちの議論についての記事です。

ここからです。


‘Designer babies’ are ruled out FOR NOW – but experts fall short of banning use of gene editing in humans in the future
Daily Mail 2015/12/04

デザイナーベビーは「今は」禁止されている。しかし、将来的にはヒトでの遺伝子編集の使用を禁止するには及ばないと専門家たちは述べる

遺伝子編集技術は、妊娠において使用されるにはほど遠い技術となっているが、しかし、国際的な専門家たちは、研究目的のために初期の胚を編集して改変することは許されるべきであると主張している。

国際的なサミットの主催者たちは、手を加えられ変更された初期胚は慎重に実験室での研究の一環として行うことができると結論付けた。

しかし、科学者たちや社会は、このテクノロジーを取り巻く倫理的な問題に取り組むことを続けている。そこには、「デザイナーベビー」の概念を含む。

サミットの議長であり、1975年にノーベル生理学医学賞を受賞した、カリフォルニア工科大学の教授であるデビッド・ボルティモア( David Baltimore )氏は、

「妊娠につながるヒトの精子や卵子や初期胚に手を加えて改変するという行為は、あまりにも無責任ではないでしょうか」

と述べる。

生体細胞内部の遺伝子に手を加えるツールは、生物学そのものを変えてしまう可能性を秘めている。そこには、「 CRISPR/ Cas9 」と呼ばれる、安価で使いやすいツールを含む。

これらを使用することにより、科学者たちは、たとえば、鎌状赤血球貧血やエイズ、あるいは、ガンなどの治療の難しいとされている病気の治療法を作り出すことができる可能性がある。

しかし、これらのツールは、ヒトの遺伝子を変えてしまうこともできるのだ。

これにより、いわゆるデザイナーベイビーを作り出すことが可能になってしまう。

デザイナーズベイビーの概念は、倫理的な問題を提起し、サミットでは、政策立案者や倫理学者、そして、科学者たちの間で、この問題に対して、3日間の議論をおこなった。

これらの問題が緊急性を持つ提言となった理由は、中国人科学者が、初めて、ヒトの胚の遺伝子を編集する最初の試みをおこなったことによる。

そこで示された実験が安全なのか、あるいは本当に効果的なものなのかについては、科学者たちにはわからない。

承認された遺伝子関連研究をおこなっている主催者たちは、ヒトの生殖系の操作の研究の問題に関して、

「明らかに必要とされていることであり、適切な監督の下で進めるべき」

だと述べている。

委員会の結論としては、「科学的知識の進歩、そして、社会的な価値観が進化するにつれて、生殖系列の操作の臨床使用は、定期的に改訂されるべきだ」というものとなった。

委員会はまた、アメリカとイギリスと中国の科学アカデミーに、「ヒト生殖系列の操作に対しての許容可能な使用に関する規範を確立する」ための国際フォーラムを作ることを促した。

サミットの発表によると、ヒトの遺伝子治療の第一段階のテストは、 すでに始まっているという。

サンガモ・バイオサイエンス社は、HIV の治療法を開発する過程にある。それは、免疫細胞を患者の血液から採取し、遺伝子を編集し、ウイルスに対する抵抗性を向上させてから、また、患者の細胞に戻すという方法だ。

これまでに、80人の HIV 患者が、第一段階試験で治療を受けている。 サンガモ社の上級科学者は「良い結果が出ています」と言う。

サンガモ社は、次のステップをに入っており、体に直接遺伝子操作ツールを注入する臨床試験を来年計画している。これは、 血友病Bとして知られている血液疾患を対象とする試みだ。

ロンドン大学のエイドリアン・スラッシャー博士( Dr Adrian Thrasher )は、最近、免疫細胞を操作し、1歳の白血病患者を治療したと述べる。

 「遺伝子操作の物語は今始まったばかりなのです。臨床試験はこれからも増加し続けるでしょう。


 

ここまでです。

今回は、翻訳だけでかなり長くなってしまいまして、時間的に、ここまでという感じになりますが、「この路線を進めたいと考えている科学者たちが、わりとたくさんいる」ということは事実のようで、また、デザイナーベイビーなどの例のように「求めている人たちも多い」ということもあり、どうやら、人はすでに「生命は神のたまもの」というような表現の下では生きられなくなっているようです。

そして、クローンも遺伝子編集も、大義名分(クローンなら絶滅危惧種の再生、遺伝編集なら難病を治すためなど)があれば、その大義名分に抗うことは難しく、一気に進んでしまうものなのかもしれないですね。

まあ・・・・・確かにいろいろと難しいことですが。