In Deep

地球最期のニュースと資料

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8月1日にカナダ・オンタリオ州で撮影された「謎の空の物体」は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)ではなさそうで……

   

2017年8月1日のスペースウェザー・イメージギャラリーより

spaceweathergallery.com

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オンタリオの不思議な光を検証してみました

宇宙天気に関しての報道では世界一の人気を誇るスペースウェザーには「リアルタイム・イメージギャラリー」という、世界中の写真家たちによる空や太陽、オーロラなどの天文写真などが投稿されるコーナーがあります。

太陽の様子やオーロラの状況、あるいは時期によっては彗星や小惑星、日食や月食の様子などが世界中の天文写真家たちから投稿されるコーナーで、私もいつも楽しみに拝見させていだいています。

このギャラリーに掲載される写真はかなり厳選されていて、一般的に説明のつかないような写真は採用されることは少ないのですが、8月1日に、冒頭にありますように「 Unknown 」(正体不明)と題された写真が掲載されていました。

こういうものについては、後に NOAA (アメリカ海洋大気庁)のスタッフなどによって科学的な解説がページでなされるのが普通なのですが、これについてはこの投稿の状態のまま今に至るまで説明がないという、スペースウェザーのイメージギャラリーとしては異例の状態となっています。

撮影した方は、このものが移動した様子を3枚連続して撮影し、それを1枚の写真に編集したものも投稿しています。

つまり、このものは一定方向に「動いていた」ということになります。こちらです。

spaceweathergallery.com

投稿者のコメントを訳しますと、以下のようになっていました。

撮影したカメラマンのコメントより

オウイメット・キャニオン(カナダ・オンタリオ州)で空を撮影していた時、このようなものが空を通過していきました。撮影時刻は 8月1日午後 10時53分です。かなり明るいもので、典型的な人工衛星くらいに高速で移動し、まっすぐに空を横切りました。

これが何だったのかを考え続けていますが、わかりません。どなたかこれが何かおわかりになりますか?

 

さて、これは何なのか。

といっても、私にもわからないのですが、こういう得体のしれない光の場合、最も多いのが「大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試験発射」だと私は認識しています。

下の光はどちらも ICBM の光です。

2015年11月7日 カリフォルニア州ロサンゼルス上空

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あと、下は、国際宇宙ステーションから撮影されたもので、地球の上空の光景ですが、やはり ICBM の発射後のものです。

2013年10月 ロシアの大陸間弾道ミサイル Topol / SS-25 の打ち上げ

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どちらも、軍当局から正式に発表された情報ではありません。たまたま撮影された奇妙な光景が、その時間、場所などから算出すると ICBM の発射とシンクロしたということから、これらは ICBM の光だったとほぼ断定できるものとなったという次第です。

このようなこともあり、最近では「奇妙な光を見たら ICBM だと思え」という標語も自分の中で形成されているほどです。

このあたりは、過去記事、

狂乱と饗宴が続く世界の空:大陸間弾道ミサイルが作り出す光景、激増する「美しき緑の火球」の爆発、そして、空から降り続ける人工物たち
 2015/11/10

などで記したこともありましたが、ICBM の描く光は「とにかく美しくも奇妙な形になりやすい」ということがあります。

ICBM は実戦の場合、核弾頭などを積んで遠方まで飛んでいくものですので、現実に使われると、大変な「大量死の運搬人」ですが、これが一般のミサイルやロケットなどとは違う異様な光の光景を見せます。

下のような「光の鳥か、天使の美しき光か……」というような光景。これも ICBM なんです。

2002年のアメリカの ICBM ミニットマン III の打ち上げ時

NASA

確実な大量死をもたらすこれらの兵器は、飛び立った直後にひときわ美しく輝く痕跡を残すわけですが、今回のスペースウェザーの光を見た時も「このたぐいかな」と思ったのでした。

それで調べてみますと、今はちょうど、北朝鮮とアメリカの「 ICBM 打ち上げ試験合戦」がおこなわれている時期と重なったようで、このスペースウェザーの「未知の光」が撮影された 8月1日には、アメリカのカリフォルニア州から ICBM が打ち上げられていました。

下がそれに関しての報道です。

米軍、ICBM発射実験を実施

AFP 2017/08/02

米軍は2日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン3」の発射実験を実施したと発表した。

米空軍グローバル打撃軍団は、ミニットマン3が同日午前2時1分に発射されたと発表し、実験は「北朝鮮の行動を受けたものではなく、米軍の核計画が安全、確実、効果的であり、米国や同盟国への攻撃に対する抑止、探知、防御の準備が整っていることを示す」ためのものだとしている。

ミニットマン3はバンデンバーグ空軍基地から約6800キロ先、マーシャル諸島のクエゼリン環礁まで飛行した。

 

「ああ、違う。これではなかった」と、この報道を読んで、すぐに気づきました。

まず時間が合いません。

・カナダ・オンタリオ州の謎の光   → 8月1日 午後10時53分
・カリフォルニア州での ICBM 発射 → 8月2日 午前02時01分

3時間の差は決定的であると共に、この報道を読みまして、地理的な部分でも、この ICBM の光がオンタリオ州で目撃されるのは難しいことを想像させます。

まず、カナダの「未知の光」が撮影されたオンタリオ州のオウイメットと、米カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地の場所はそれぞれ下の位置になります。

オウイメットとバンデンバーグ空軍基地
・Google Map

これだけでも、そのふたつの場所の間に「日本列島の全長を超えるような距離」があることがわかります。

そして、「 ICBM の飛んだ方向」。

AFP の記事には、

> マーシャル諸島のクエゼリン環礁まで飛行した。

とありますが、マーシャル諸島クエゼリン環礁までの位置などを地図に表すと下のようになります。

バンデンバーグ空軍基地からクエゼリン環礁まで
・Google Map

カナダとはまったく反対に飛んでいったわけで、さすがに、オンタリオ州でこの ICBM の光が見えるのは難しそうです。

それにしても、ICBM というのはよく飛ぶものですねえ。

こんなのが飛び交う戦争になったら、もう国と国の距離とかは確かにあまり関係ないのかもしれないです。

ちなみに、以前から言われていることですが、こういう ICBM 系のミサイルを「迎撃」したり、撃ち落としたりすることは基本的にはできないことだと思われます。

そのあたりは、最近の米国ニューズウィークの記事「ICBMはミサイル防衛システムで迎撃できない (2017/07/13)」の中にある記述、

ミサイル防衛システムが直面する大きな課題は、ICBMがターミナル・フェイズで大気圏に再突入する時に出す、けた外れの速度だ。通常、音速の20倍かそれ以上の速さだ。

よくミサイル防衛システムは、拳銃の弾を拳銃の弾で撃ち落とすようなものだと言われるが、現実はさらに厳しい。

例えば、.300ウィンチェスター・マグナム弾(高速の狩猟や狙撃用銃弾)の発射速度は毎秒900メートル。これを1時間当たりに換算すると毎時3220キロで、音速の2.62倍だ。ICBMはこれのほぼ8倍の速度が出る。結果的に、ICBMを確実に迎撃するのはほぼ不可能だ。

というあたりでも想像できます。毎秒 900メートルの 8倍というと 秒速 7000メートルなどのレベルとなります。これは、東京の山手線なら「 8駅分を 1秒で進む」ような、ちょっと想像の外のスピードですが、そういうものを

「狙って撃ち落とす……」

というのは禅問答にも近い話で、まして、実戦では、「〇時〇分に〇〇の方向に向かって ICBM を撃ちますよ」と相手が教えてくれてから発射するというわけではなく(教えてくれるのなら少し状況も変わるかもしれないですが)、現実には防衛の可能性は「0かそれ以下」の世界なのではないですかね(以下、というのは、むしろ別の変な被害が出る)。このことは、おそらくみんな薄々感づいているのに、「これで防衛できるとされているようなものが配置されて存在したりする」というのは不思議です。

 

というわけで、オンタリオ州で撮影された光について、気楽なつもりで書き始めましたら、結構いろいろと長くなってしまいました。

これが何なのかは結局わかりません。

spaceweathergallery.com

わかりませんけれど、UFO 的なものにしても軍事的なものにしても、最近はいろろいろな光が地球の上空で撮影されてはいまして、それが、「天空の奇跡」的なものが近い示唆なのか、「戦争の気配」的なものを現す示唆なのか、それも今のところはわかりません。