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沈みゆく大国 : 中国の北京が毎年10センチメートルずつの急激な地盤沈下を起こし続けていることが最新の研究で判明。今のままでは30年後には完全な廃墟に

   

北京朝陽区のビル群

sinking-beijing-chaoyanghinadaily.com.cn

 

中国の都市部で進行していること

上の華やかな都市の写真は、中国の首都である北京の朝陽区という、ビジネスなどの中心ともいえるような場所ですが、この地が「毎年 100ミリメートルずつ地盤沈下している」ことが最近わかったのです。

これを研究したのは、北京首都師範大学の科学者たちなどによる研究チームで、複数の人工衛星などのデータを解析した結果を論文として、オープン・アクセスの「リモート・センシング(Remote Sensing)」に掲載しました。

下が論文に掲載されたそのマップで、黒の部分が「年間 80ミリから 110ミリ地盤沈下している」ところで、赤の部分が「年間 60ミリから 80ミリ地盤沈下している」地域です。

北京の地盤沈下の速度を示す図

beijing-masive-sinkholeImaging Land Subsidence Induced by Groundwater Extraction in Beijing (China) Using Satellite Radar Interferometry

赤と黒の色の他にも、緑色のところも地盤沈下を起こしているので、結局、「北京はほぼ全域が地盤沈下を起こしている」ことがわかります。

また、上の領域は地図でいいますと、下の赤で囲んだ範囲になるのですが、最も激しい地盤沈下を起こしているところが「北京の中心地」あたりであることもおわかりかと思います。

北京の地図
beijing-mapGoogle Map

つまり、これは、冒頭にあるような壮大なビル群が立ち並ぶ場所で急速な地盤沈下が起きているということになります。

その北京朝陽区には、数多くのビル群と共に、下のような大規模構造のインフラが多数あり、そういう場所で「年間 10センチの地盤沈下」が進み続ければ、10年後には? あるいは、30年後にはどうなるのだろうか? ・・・という話でもあるのです。

china-massive-objectlvtu.qunar.com

今回は、そのことを記事にしていた報道をご紹介します。

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急速かつ過剰な都市発展と、水不足の結果としての崩壊への道

北京の地盤沈下は 1935年から報告されていたのですが、ここに来て急激にその速度を速めている理由は、2つだそうで、

・地上にある過剰な大規模ビル群とインフラ群

・地下水の過剰汲み上げ

だということを北京首都師範大学の研究者たちは述べています。

そして、成長が急速過ぎたことも挙げられていますが、いずれにしても、そのどちらかが解消されないうちは、北京の地盤沈下は収まらないわけですが、これが意味するところは、

・巨大ビル群とインフラ群をなくす
・地下水を使用するのをやめる

のどちらかか、あるいは両方を選択しなければならないということで、これはもう「無理」な話だと思われます。

先月、

中国 : 猛烈な勢いで砂漠化が進み、今では国土の4分の1以上が砂漠状態となりつつある巨大国家にまつわる…
 2016/05/22

という記事を書きましたが、この問題は北京だけの問題ではなく、中国全体の問題となっているようで、先の記事では、今の中国は、国土面積の「4分の1」が砂漠化しつつあることを書きまして、砂漠化が進んでいる要因として、

・過剰な牧畜

・耕作地の過剰な拡大

・それらによる過剰な水の使用

・気候変動

などを挙げているのですが、これらは単に水不足の問題だけではなく、

「中国の砂漠化が都市部に及ぶ」

「中国の都市部の全体的な地盤沈下」

という2つの未来、というか、現在進行していることですけれど、それを示唆しているということになりそうです。

そして、ここから少し先の未来を考えてみると、

「中国の都市部の廃墟化」

ということにも結びつきそうな感じです。

現在の北京で最も地盤沈下が大きな場所は、1年間で 10センチ前後ですが、1年間ではこの程度でも、10年間なら 1メートル沈下し、30年間なら 3メートルも沈下するわけです。これはもう冒頭の写真のようなビル群を保持していくことは難しいほどのものではないでしょうか。

まして、地下水の消失は毎年進行しているわけですから、この地盤沈下のペースが加速する可能性もあります。

北京の状況については、下のような報道もあります。

中国の水不足は深刻

BLOGOS 2015/03/07

北京市長が、全国人民代表大会の分科会にて、2020年の同市の人口を2300万人以下に抑制する方針を示しました。

朝日新聞によれば、現在北京市の人口は約2154万人ですが、2004年と比べ約662万人も増えているため、水不足が深刻化しているとのことです。

しかも、水不足は北京の問題に限られません。中国北部には中国全土の5分の1の淡水しかありませんが、一方で耕地の3分の2が集中しており、農業における水不足も深刻化しています。

これを解消するため、2002年に中国南部から北部に水を移す「南水北調」という世界最大の用水プロジェクトが始動しています。

最初の用水が昨年12月12日に始まったばかりですが、このような大規模プロジェクトでも水不足は解消出来ないと予想されています。

 

北京の水不足は進行していく可能性のほうが高そうで、地下水も汲み上げられるだけ汲み上げるということになっていきそうです。

もちろん、中国は広いですから、たとえば北京の地盤沈下がさらにひどくなり、都市機能が損なわれてきた場合、他の場所に移転すればいいだけなのかもしれないですが、その新しい都市もいずれは同じ運命を辿るはずです。

水量には限界があり、過剰な消費が続けば、水はなくなっていきます。

あるいは、4月に書きました、

世界は想像を絶するすさまじい干ばつと水不足の世紀に入ったかもしれない
 2016/04/28

という記事で記しましたように、季節的な干ばつも含めれば、今、世界のかなりの地域で激しい水不足が進行していますので、この問題はもう少し広い範囲での問題なのかもしれません。

 

地球と相性が良くない都市文明というもの

それにしても、何といいますか、こう・・・地球は「大都市」という存在と相性が良くないというか、地球はそれがあまり好きではないのかもしれませんね。

今回ご紹介している地盤沈下にしましても、たとえば、農村部や草原や山間部でなら、年間 100ミリの地盤沈下があったとしても、まあ、何らかの影響はあるにしても、壊滅的とまでは言えないと思いますが、都市部の場合はその程度の地盤沈下でも、毎年続いていくと、「崩壊」という状態に結びつくわけで、その差は大きいです。

少なくとも、北京に関しては、今のままの状態では、都市としての機能は 30年もたないのではないでしょうか。

30年後となると、日本もよくわからないですが・・・。

日本も都市部が多いですが、地震の多い国でここまで今の現代文明を存続させたことはすごいことだと思いますが、それでも、やはり相性が悪いものは悪いのだとも思います。

今後、さらに自然の変化が激しくなっていき、天体の衝突などの事案も増加してきた場合にはいろいろな相性の悪さがあらわれてくるのかもしれません。

それにしても、今回の北京の地盤沈下の論文を読んで、未来の北京の姿を思い浮かべていましたら、くしくも、前回の記事、

「人間がいなくなった地球に起きること」:もしかすると繰り返されているかもしれない新しい地球の誕生
 2016/06/28

で、ご紹介しました動画「人類が消えたら、何が起きるのだろうWhat Would Happen If Humans Disappeared?」の中に出てきた「過去の都市」の光景が重なりました。

ewh-vegetation

でも、これは「世界の4分の3の都市が植物に覆われる」という想定のもとの光景で、今の中国は砂漠化しているので、こうはならないのかもしれません。

前回の記事ではご紹介しなかったのですが、動画には、「人間が消えてから 25年後、ドバイやラスベガスなど一部の都市は砂に埋もれてしまう」という部分があり、30年後の北京はそれに近いのかもしれません。

人間が消えてから25年後に砂に埋もれた一部の都市

dune-cityMind Warehouse

 

本当に、これから 10年間、20年間くらいのあいだは、世界がどうなってしまうのか、まったくわからない状態になってきていますね。

では、今回の北京の地盤沈下の論文を報じていた英国デイリーメールの記事をご紹介いたします。


Beijing is sinking by FOUR inches each year: City is falling under the weight of massive buildings and a growing population
Daily Mail 2016/06/28

北京は毎年10センチずつ沈没している : 大規模な建物の重量と人口増加の下に大地が沈下し続けている

中国の首都である北京は 1935年以来、沈降し続けている。

そして、新しい研究で、北京の一部では年間 100ミリメートルという急激な地盤沈下を起こしていることが判明したのだ。

論文の著述者たちは、この地盤沈下は、北京の人々の安全、そして都市のインフラの安全への非常な脅威となっていると述べている。

この論文は、科学誌リモート・センシングに発表された。

著述者たちは、地下水を汲み上げることがどのように中国での地盤沈下を起こしているかを監視し続けているが、それによれば、北京のいくつかの地域では、年間に最大 100ミリメートルずつ沈んでいることを発見した。

その場所は、多くのホテルやオフィスビルが含まれる朝陽区から、北京の中央ビジネス地区も含まれる地域であり、そのような特に発展した場所が最も急激な地盤沈下に苦しめられていることを示している。

このような沈下は、地質学的な理由でも起きるし、人為的に誘発されることでも起きる。

北京の場合は、急速に建てられ始めた大規模なビル群や道路、そして他のさまざまな巨大インフラなど、大地の上に過重な構造物が設置されていることが原因であることを意味する。

地下水の過剰な揚水も中国の都市部を悩ませている主要な問題で、中国政府は人口の増加と水の需要への対応に苦慮し続けている。

華北平原の北端に位置する北京は、世界で5番目に水に対して神経を使う街だ。

北京では、地下水は、工業用、農業用、そして、家庭用の主要な水源となっている。

「急速な都市の発展に伴い、北京での水の受容が増加した」と研究は述べる。

研究では、2003年から 2010年までに地球観測衛星エンビサットに取り付けられたセンサー「Cバンド合成開口レーダー (ASAR) 」で取得した画像を干渉 SAR 時系列解析技術によって描き出したデータと、人工衛星テラサーエックス(TerraSAR-X)が、2010年から 2011年までに収集した画像を用いた。

アメリカでも地盤沈下が発見されている。

今年の初め、NASA の科学者たちが、航空機搭載レーダーを用いてマップを作成した際、ニューオーリンズとその周辺地域は「非常に高い率」で沈下していることが明らかとなったのだ。

最も急激な地盤沈下を起こしていたのは、ミシシッピ川沿いの工業地帯で、最大で年間 50ミリメートル沈下していた。

しかし、今回の新しい研究が明らかにした北京の地盤沈下の速度はニューオーリンズの2倍となるのだ。

研究者たちは、北京での急速な地盤沈下は、公共、および都市インフラの安全に対する大きな脅威となっていると彼らは言う。

そのためには、地盤沈下の継続的な監視と、地盤沈下が持つ潜在的な危険を検出して、それに対しての戦略を立てることが重要だと研究者たちは論文の中で述べている。