In Deep

地球最期のニュースと資料

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イルカたちの死と太陽 — 3月末の「数日間」で世界各地で連続したイルカの大量死は現在の異常な太陽活動と関係があるのか

   

南アフリカでの30頭以上のイルカの大量死についての報道

heraldlive.co.za

 

この1週間くらいの間、「地球は太陽活動の影響での磁場の嵐に見舞われている」ことについて、少し前の、

太陽の表情が急変:表面には100万キロの長さのコロナホールが出現すると共に、半月の間「ゼロ」だった黒点が唐突に急増し、地球は現在、磁気の嵐にふきさらされている最中
 2017/03/29

という記事に記しました。

突然、太陽フレアを頻出し始めた黒点活動とコロナホールの影響などで強い磁場の異常が続いています。

そんな中、ふと、ニュースを見ていて気づいたのが、「この数日、世界各地でやけにイルカの死亡や座礁事象が相次いでいる」ということでした。

パッと探しただけのものですけれど、3月終わりの3〜4日くらいで6、7件くらいのイルカの死亡や座礁についての報道が続いていました。

それを見ていて、今年2月の科学ニュースを思い出しました。

それは「太陽活動がイルカやクジラの座礁や大量死と関係している可能性」についての下のものです。

phys.org

私自身は、この説にあまり賛同しているわけではないですが、イルカやクジラ、あるいは他の多くの動物が「磁場を《見て》移動している」ことは事実で、今回のイルカの連続死でその報道を思い出しましたのでした。

そんなわけで、

・この数日間の世界でのイルカの死亡についての報道
・太陽からの磁気嵐がイルカやクジラの座礁と関係している研究についての記事

を続けてご紹介したいと思います。

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まずは、この3〜4日間に報道された「イルカの死亡事象についての報道」です。ここにあるのは英語の報道だけですので、他にもあるかもしれまんせんが、ご紹介しておきたいと思います。


2017年3月28日から4月2日までのイルカの死亡についての報道

 

南アフリカ ポート・エリザベス 3月31日

3月31日、南アフリカ南部のバードアイランド川沿いに 30〜40頭の死亡したイルカが散在しているのが発見される。

[報道]30+ Dead dolphins wash up outside Port Elizabeth

 

米国ニューヨーク州 3月28日


ニューヨーク州のハッチンソン川で、体長約2メートルのイルカが死亡しているのが発見される。検死の結果、の腎臓に病変が見つかる。

[報道]Dolphin found dead in Hutchinson River ‘had not eaten for some time’

 

ニュージーランド・グレイマス 3月31日


ニュージーランド南島のウェストコーストにあるグレイマスという町のビーチで、2頭のイルカが死んでいるのが発見される。

[報道]Two Hector’s dolphins found dead

フィリピン・ミンダナオ島 3月30日

ミンダナオ島のイリガン市の海岸の別々の場所で、2頭のイルカが死亡しているのが発見される。イルカには傷があったが、これが死因と関係あるのかは不明。

[報道]Dolphin found dead in Iligan

 

フィリピン・南カマリネス州 4月2日

フィリピンの南カマリネス州にあるリゾートビーチで、若いイルカが死んでいるのが発見される。イルカは目や口から出血していた。

[報道]Dead spinner dolphin found on Camarines Sur beach

 

英国メバジスジー 3月26日

英国のメバジスジーの入り江でイルカが死亡しているのが発見される。

[報道]Decomposing dolphin found at Portmellon Cove amid concerns over record number of marine deaths


 

ここまでです。

今回のイルカの連続死の特徴としては、負傷、病気、出血などが見られるなど、あまり健全ではない状態でのものだったということでしょうか。しかし、どれも死因はわかっていません。

イルカやクジラの座礁については、何しろ、この数年はとても多いですので、このくらいの連続は頻繁に起きているものなのかもしれませんが。

 

そして、続けて、イルカやクジラの座礁と磁気嵐の関係について NASA の科学者たちが調査を始めたということに関しての報道をご紹介したいと思います。

これに関しては、「イルカやクジラが磁場で移動する」という点でいえば、関係がありそうな気もしないでもないですが、しかし、

「太陽嵐はずっと大昔から何度も繰り返されてきたのに、最近になってから特にクジラの大量座礁がきわめて多くなった」

というようなことなども考えますと、何かそれとは違うような気もします。

イルカやクジラの座礁や大量死に関しては、長期の世界的な統計がどうやら存在していないようで、調べようがないですが、たとえば、イルカなどの座礁がよく発生するアメリカ・マサチューセッツ州のケープコッドという入り江の 2000年から 2011年までの海洋動物の座礁数の推移は下のようになっています。

そこに、太陽活動についてこちらで書き加えたものです。

マサチューセッツ州ケープコッドの座礁数の推移
NOAA

上の例では、太陽活動と海洋動物の座礁にはあまり関係性はないようにも見えます。

ただし、世界的な統計が存在しない中、この NASA の科学者の方々は、その統計の作成をしようとしているということでは意味がありそうです。

記事をご紹介します。


NASA scientist studies whether solar storms cause animal beachings
phys.org 2017/02/02

NASA の科学者たちは、太陽嵐が海洋動物たちの座礁を引き起こす原因となり得るのかどうかを調べている

健康なクジラやイルカなど「クジラ目」として知られる海洋哺乳類たちが、海岸や沿岸で座礁し、大量死に至るという事象が世界中で発生しているが、どうしてこのようなことが起きるのかということについては、世界中の海洋生物学者たちの間で長年にわたり解き明かしたいと考えられている謎のひとつだ。

最近出てきた説として「地球の磁場」との関係の主張がある。強力な太陽嵐(磁気嵐)は、地球の磁場に大きな影響を与えるが、それはイルカやクジラなどの動物の体内のコンパスを混乱させ、方向を失う原因となり得るのだろうか。

この「太陽嵐とクジラ目の動物の座礁の関係」については、いくつかの仮説を立てている科学者たちはいるが、これまで、そのような関係が存在するかどうかを判断するための徹底的な調査がおこなわれたことはなかった。

米国メリーランド州の NASA ゴダード宇宙飛行センターで働く太陽物理学者(heliophysicist)アンティ・パルッキネン(Antti Pulkkinen)氏は、その関係が存在するかどうかを判断するために、アメリカ連邦海洋エネルギー管理局(BOEM)や動物福祉国際基金(IFAW)と協力して調査を進めている。

クジラ目の座礁は世界中で発生しており、一回の事象につき、数頭から 多い時では 数百頭の座礁となることもある。

そして、これは確かに世界的な現象ではあるが、特に近年は、ニュージーランド、オーストラリア、マサチューセッツ州のケープコッドなどで多く見られると動物福祉国際基金の代表ケイティ・ムーア(Katie Moore)氏は述べる。

動物福祉国際基金は、米国マサチューセッツ州に拠点を置き、世界 40カ国で国際的な動物救助プログラムを展開している。

 

体内コンパスの乱れ

ニュージーランド、オーストラリア、ケープコッドなど海洋動物の座礁の多い場所は、穏やかな傾斜の海岸であることや、細粒の堆積物があるなどの共通点があり、これらの地理的な特徴が何らかの関わりを示している可能性がある。

そして、もう一つの可能​​性としては、人間の船舶のエコー音響掃海機(multi-beam echo sounder)や、海底の地図作成や漁場の特定に使用されるソナー型機器の使用等によって、これら海洋動物体内の内部コンパスが、何らかの形で攪乱されている場合があるかもしれないということだ。

「しかし、多くの座礁は、これらの人為的な影響では説明できないものなのです」と、パルッキネン氏は述べる。

「そして、これらの座礁の原因に、地球の磁場の異常や、新月などの際の極端な潮の状態などが海洋動物たちを混乱させているのではないかという可能性が考えられるようになりました。イルカやクジラなどの動物は磁場を感知して移動しますので、磁場に異常がある場合にそれが原因となるかもしれないのです」

実際に、太陽のコロナが太陽系内に荷電粒子の巨大な帯を放出するときに引き起こされる磁気異常は、地球の周回衛星や電力網に問題を引き起こす可能性を持つ。

このような磁場の異常が地球の磁気圏にやってきた場合、それは海洋動物たちにも影響を及ぼす可能性があるとパルッキネン氏は述べる。

パルッキネン氏と、アメリカ連邦海洋エネルギー管理局の海洋生物学者デスレイ・リーブ(Desray Reeb)氏らは、お互いに蓄積したデータから、クジラ目の座礁と、宇宙天気の関係についての初めてとなる分析に着手している。

研究チームは、データマイニング(統計学、パターン認識、人工知能等のデータ解析の技法を大量のデータに網羅的に適用することで知識を取り出す技術)により、収集されたデータの分析を進めている。

パルッキネン氏は、「何百ものクジラ目の座礁データの記録が研究に利用できるようになるため、分析が統計的に有意であると推定しています」と述べる。

これまで、この仮説を検証する研究はほとんど行われていない。

「クジラ目の座礁は長い間の謎であり、何が起きているのかを把握することはとても重要なことなのです」とパルッキネン氏は述べた。

チームは、2017年9月までに研究を完了し、結果を発表する予定だ。そして、世界中でより多くの動物たちを救う機会を得たいと考えている。


 

ここまでです。

なお、多くの動物たちが「いかに磁場に依存して生きているか」ということに関しては、

おそらく人間を含めた「全生物」は磁場により生きている:ハトや蝶が持つ光受容体がヒトにも存在していること。そして、そのハトや蝶が「全滅」に向かっていること
 2015/11/23

という記事で、多くの動物の網膜の中に「クリプトクロム」というタンパク質の「光の受容体」があり、それが磁場に対して「コンパスのように振る舞う」ことが、北京大学の研究で判明したということについて記したことがあります。

下のように、蝶や鳥の目の網膜にあるクリプトクロムは、磁場に対して正確に動き、その動物たちは自分の位置と移動する場所を把握できるのです。

nature

そして、この光の受容体は、

・ネズミ
・クジラ

といった哺乳類からも見つかっていて、そして、

・人間の細胞の中にも作られている

ことがわかったのです。

つまり、人間はふだんは「磁場を見ている」ことに気づいていませんが、肉体機能的には鳥や蝶やクジラと同じに「磁場を見る」能力を持っていることになります。

何らかの理由で、現在は「それが使えなくなっている」という状態なのだと思われます。

そういうこともあり、人間と磁場の関係は、わからないことは多いとはいえ、かなり重要で重大な関係性を持っているものと思っています。

そして、太陽による地球の磁場の異常は現在も継続中です。