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「噴火すれば最悪1億人が死亡と想定」 : 九州南方にある鬼界カルデラの活動の徴候の報道から再び「破局噴火の時代」をおもう

   

カルデラ破局噴火のイメージ

caldera-eruptionNewton

 

サイクル的にはいつ起きても不思議ではない日本のカルデラ噴火

このブログでは、過去に何度か「カルデラ噴火」というものについて書いたことがありました。カルデラ噴火は「破局噴火」とも呼ばれます。

記事で取り上てきました理由は、局地的な文明を絶滅させる自然現象としては、巨大な彗星や小惑星の衝突と並ぶほどの事象だと考えられるからです。

カルデラというのは、

カルデラとは、火山の活動によってできた大きな窪地のこと。Wikipedia

というように、火山活動によって作られた円形などの窪地のことですが、普通の噴火とカルデラ破局噴火は何が違うのかといいますと、カルデラ噴火は、このカルデラにおいて「窪地の面積ごとマグマが噴出する」という大規模な噴火のことです。冒頭のイメージは、科学誌ニュートンにあるもので、九州での過去のカルデラ噴火を想定して描かれたイラストですが、このようなマグマの噴出の規模が著しい噴火となります。

とはいっても、カルデラ噴火は、ほとんど起きるものではなく(日本での発生頻度は約 6000年に 1度程度)、近代文明史の中で起きたことはありません。日本では約 7300年前に九州南方にある鬼界カルデラがカルデラ噴火を起こして以来、起きてはいません。

つい先日、九州南方にある鬼界カルデラのマグマが「活動的である」ことを示す調査について報道されていまして、そのことについてご紹介しておこうと思います。

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被害想定は最悪「死者1億人」の衝撃

報道は下の通りです。抜粋したものですので、全文をお読みになりたい場合は、リンクから神戸新聞のサイトでお読み下さい。

九州南方海底に活動的マグマか 神戸大が確認

神戸新聞 NEXT 2016/11/18

神戸大学海洋底探査センターは18日、九州南方の海底に広がるくぼみ「鬼界(きかい)カルデラ」を調べた結果、熱くて濁った水が海底から湧き出る「熱水プルーム」を5カ所で確認した、と発表した。

海底からの高さは最大約100メートルに上る。現時点では噴火予測はできないが、カルデラ直下のマグマが活動的であることを示しているという。

同センター長の巽好幸教授(マグマ学)のチームは10月13~27日、大学保有の練習船「深江丸」を使い、鹿児島県の薩摩半島南約50キロに位置する鬼界カルデラ(直径約20キロ)内で、ドーム状に盛り上がっている場所などを調べた。

音響測深装置で、水深約200~300メートルの海底に向けて船から音波を出し、反射波を観測。少なくとも5カ所で、海底からの高さ数十メートル~100メートル程度の熱水プルームを見つけた。

鬼界カルデラは約7300年前に噴火を起こし、九州南部の縄文文化を滅ぼしたとされる。

巽教授によると、こうした超巨大噴火は日本では過去12万年で10回発生。実際に起これば国内で死者が最悪約1億人と想定している。

というものです。

この記事に出てきます鬼界カルデラの大体の位置は下のようになります。

kikai-caldera-map・Google Map

 

この記事の最後は、

> 実際に起これば国内で死者が最悪約1億人と想定している。

という物騒なものとなっていますが、ただ、この死亡者1億人というのが今回の調査での鬼界カルデラ単体のこととは思えず、おそらく他のカルデラ噴火を含めての想定ということなのでしょうけれど、いずれにしても、こんな数の想定をしていたということは、初めて知りました。

単一の自然災害において「1億人の死者の想定」というのは、まさに物騒中の物騒といえることで、「ザ・キング・オブ・ザ・物騒」というような称号も与えられようかと思われるものですが、その数に反応して、この記事を取り上げたというような次第です。

そもそも、この数が自然災害での被害としては、どのくらいものすごいものかといいますと、たとえば、

1995-2015年の過去20年間で地球の自然災害で死亡した人の総数が「135万人」に上ることがベルギーの自然災害データベースにより判明
 2016/10/14

という過去記事では、このタイトルにありますように、

「過去 20年間の自然災害での死者数は 135万人だった」

というベルギーのルーベンカトリック大学災害疫学研究所のデータベースをご紹介したものでした。

これは年によってその数は違うものですので、平均値を示すのは本来ならおかしいのですが、まあ一応、20年間で 135万人ということは、「過去 20年間の地球では平均として1年間に7万人弱が自然災害で亡くなっていた」ということになります。

この数から比べてみますと、破局噴火の最悪死者数想定1億人というのは、その何百倍にも何千倍にも相当する途方もない数だということが何となくわかります。

また、これは局地的な被害にとどまらないはずで、巨大な破局噴火が起きれば、噴火した場所から遠く離れた国や地域であっても、火山灰などにより気温や日照などの影響を受けます。おそらく全世界規模で、太陽日射がかなりの期間遮られることになり、その影響も、正確なところはともかく、かなり長く影響するはずです。

下は 536年の東ローマ帝国の様子ですが、これは、前年の 535年に、インドネシアの火山が巨大噴火を起こしたものによると考えられていますが、1年以上も「太陽が暗い状態」が続いていたことが記されています。

東ローマ帝国の歴史家プロコピオスの西暦536年の記述

昼の太陽は暗くなり、そして夜の月も暗くなった。

太陽はいつもの光を失い、青っぽくなっている。

われわれは、正午になっても自分の影ができないので驚愕している。

太陽の熱は次第に弱まり、ふだんなら一時的な日食の時にしか起こらないような現象が、ほぼ丸一年続いてしまった。

月も同様で、たとえ満月でもいつもの輝きはない。

 

歴史家であり教会指導者ヨーアンネースの西暦536年の記述

あのような太陽からの合図は、いままで見たこともないし報告されたこともない。

太陽が暗くなり、その暗さが1年半も続いた。太陽は毎日4時間くらいし照らなかった。照ったといっても、実にかすかだった。

人々は太陽が以前のように輝くことは2度とないのではと恐れた。

これらは、過去記事の、

21世紀も「太陽が暗くなる時」を経験するのか? : 全世界が地獄の様相を呈した6世紀と酷似してきている現在に思う
 2013年07月15日

などに記しています。この6世紀に、記録が残っているほぼすべての世界で示されている異常な状態の原因は、確定したものではないですが、インドネシアのクラカタウ火山が 535年に噴火したものによるものではないかという説が最も強いとされています。

近代文明の中で連絡システムが世界中に広がったこの 200年くらいの間には、カルデラ噴火のような破局的な噴火は起きていませんので、現在の世の中で起きた場合にどうなるかはよくわからないですが、しかし、破局噴火を含めて、「今の日本は最前線」だということはできます。

最近の、日本の火山に関しての海外を含めた研究や報道を振り返ってみます。

 

 

火山王国・日本をめぐる最近の科学的研究

世界で最も危険な火山の1位となっている硫黄島

昨年 11月に、英国マンチェスター大学の天体物理学者たちが発表し、科学誌「ボルケーノカフェ」や「マンチェスター・コンフィデンシャル」などに掲載された「世界で最も危険な火山 10」は以下の通りになっていました。

2015年版 世界で最も危険な火山 10

1位:硫黄島(東京都)
2位:アポヤケ山(ニカラグア)
3位:フレグレイ平野(イタリア)
4位:阿蘇山(熊本県)
5位:トランスメキシコ火山帯(メキシコ)
6位:アグン山(インドネシア)
7位:カメルーン山(カメルーン)
8位:タール山(フィリピン)
9位:マヨン山(フィリピン)
10位:ケルート山(インドネシア)

このようになっていまして、1位が硫黄島ということになっています。

硫黄島は小笠原諸島にありますので、東京都の区分ですが、その位置は下のようになります。

硫黄島の場所
iwo-jima-map・Google Map

この硫黄島が最も危険なだとされた根拠は「4年に1メートルにのぼるマグマによる隆起が確認されている」ということで、この地でアメリカ軍との戦いがおこなわれた 1945年からでは 17メートルも隆起しているのだそうです。

そういう意味で、硫黄島の超巨大噴火の懸念はかなり高いということになっているようです。

ただ、上の地図を見ましても、硫黄島は日本列島から遠方の南に位置しており、偏西風などの大気の流れ(大ざっぱにいえば西から東に流れます)から考えますと、仮に巨大な噴火が発生しても、周辺の島は大変な影響を受けるでしょうけれど、日本列島への「直接的」な影響はあまりないような感じです。もちろん、先ほど書きましたような長期的な影響はあるでしょうけれど。

 

30年以内に巨大噴火を起こす可能性を指摘されている桜島

鹿児島の桜島も近い巨大噴火が想定されています。

英国ブリストル大学の科学者たちが桜島に蓄積されているマグマの量を分析したところ、そのマグマの量が小規模噴火の量を超えており、計算上では 25年後から 30年後に大規模な噴火を起こす可能性が高いと推測したことが今年報じられました。

2016年9月14日の英国BBCの報道より
bbc-sakurajima-eruptionBBC

これについては、「史上最強の台風と桜島の「虹のシンクロ」の日に思う雑記」という記事に書きました。

そして、今回の神戸大学の調査による鬼界カルデラの活動についての発表・・・と続いているわけで、火山に関しまして、最近の日本は「活動懸念の最前線」というような感じになっているのかもしれません。

ちなみに、日本は火山列島ですので、カルデラはいくつもありますが、「巨大カルデラ」については、日本に大体8か所ほどあると見られています。

日本の巨大カルデラ

caldera-japan神戸大学

何だか、九州と北海道に集中しています。

ちなみに、北海道のカルデラは、洞爺、支笏、屈斜路とありますが、これらはすべて湖でありまして、「ああ、北海道のこれらの湖って全部カルデラだったんだ」と今にして、知るのではあります。これらも、時期はともかく、かつて大爆発を起こしたことにより湖が出来たということでありそうです。

カルデラ噴火の特徴は、「直接的な影響の範囲が大きい」ことにありますが、たとえば、7300年前の鬼界カルデラの噴火で、当時の日本列島にどのくらいの範囲で、火山灰が降り積もったかといいますと、次のようになります。

鬼界カルデラから噴出した火砕流(オレンジ)と火山灰の厚さ分布

kikai-caldera-bunpuNHK

東北にまで火山灰が降り注いだことが示されています。

しかし、この分布から見ますと、最初の神戸新聞の記事にあった「死亡者1億人」というのは、やはり、鬼界カルデラ単一の噴火ではなく、他の複数のカルデラ噴火などを含めた総合的な数値だと思われます。

おそらく、この鬼界カルデラも含めて、ひとつの破局噴火が招く直接の犠牲者は、一般的な見地からは、多くて数百万人と言われています。

いずれにしても、大きな数値の話とはなるのですが、しかし、この破局噴火、時間的な単なる計算での上では、そろそろどこかで起きても不思議ではない時期にはあります。

その根拠は、カルデラ噴火の歴史上での発生間隔によるもので、たとえば、東大名誉教授であり火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣さんは、NHKの「 カルデラ噴火! 生き延びるすべはあるか?」というコラムで、以下のように記されています。

NHK「カルデラ噴火! 生き延びるすべはあるか?」より

わが国では、100立方km以上のマグマを放出するカルデラ噴火は、1万年に1回程度発生しています。

数10立方km以上の噴火ならば12万年間に18回、つまり6千年に1回程度は「起こっている」ことになります。

もちろん、これは平均発生頻度で、前のカルデラ噴火から2,000年のうちに起こったものもあれば、1万数千年以上の後に起こったものもあり、このような規模の噴火で、最後に起こったものが先の鬼界カルデラ噴火なのです。

ところが、これまで平均6,000年間隔で起こっていたカルデラ噴火が、最近7,300年間は発生していません。

カルデラ噴火はもはや、いつ起こっても不思議がない現象なのです。

というように、

> もはや、いつ起こっても不思議がない

というように述べられていますが、そのように言う専門家も多い中で、日本の火山活動は確実に活発化しているということになるのかもしれません。

なお、こういう壊滅的な自然現象については、いろいろな見方はあると思いますが、私自身は「文明のリセット機能」として、この地球で働き続けてきていると考えています。

そのあたりについては、

カルデラ破局噴火の報道で「地球には同じ系統の文明を継続させないメカニズムがある」…
 2014/10/25

という2年くらい前の記事あたりから薄々思い始めたものですが、今年の夏頃に書いた記事「破局は回避できないかも…という想いが強くなる中での走り書き」という記事で、エックハルト・トールという人の『ニュー・アース -意識が変わる 世界が変わる-』という著作からの抜粋を記していますが、そのことも継続的に思い出されることでもあります。

要するに、地球の表面上の変化は、人類の変化とシンクロしているというような話ですが、それは 21世紀になって、地球の自然災害が現実として、とてつもなく増加しているということにもあらわれているような気がしてなりません。

そのニューアースの下りを一部を抜粋して、今回の記事を締めたいと思います。

エックハルト・トール『ニュー・アース』より

人類はいま、進化するか死滅するかという重大な選択を迫られている。

生存を脅かす根源的な危機に対処する — これがいま、人類に突きつけられた課題である。

人間の心の構造が変化しなければ、私たちはいつまでも基本的に同じ世界を、同じ悪を、同じ機能不全を繰り返し創造し続けるだろう。