9月25日午前 爬虫類的な表情でカテゴリー5に発達した台風24号
台風24号が日本を直撃する可能性が高くなった理由を調べると
関西空港が機能停止に陥るなど、西日本に大きな被害をもたらした台風 21号の日本への直撃からまだ2週間ほどですが、数日前に「台風 24号」が発生しました。
発生した頃の世界の多くの気象機関の予想は下のようなもので、普通に見ますと、このまま台湾や中国大陸に直進していき、「日本はあまり関係ないかな」というように思っていました。
9月21日時点の世界の気象機関による台風24号の進路予測
それから 4日ほど経ち、アメリカ軍が発行する「スターズ・アンド・ストライプス(星条旗新聞)」の台風 24号の予想進路の最新予測を見まして、
「ありゃりゃ」
と思った次第でした。
スターズ・アンド・ストライプスの予測は下の赤いラインのようになっていたのでした。
アメリカ軍による9月25日正午時点の台風24号の進路予測
これを見れば、誰でも、
「急に曲がって日本に来るのかよ」
と思ってしまうと思いますが、私もそう思いました。
アメリカ軍の予測が最も正しいとは思いませんが、軍の台風予測は、沖縄などを含めた多くの軍人と関係者の生命財産と関係しているものであるせいか、わりと大まかでは予測は当たりやすいです。
しかし、この予測コースでは、大まかにでも的中するとしたなら、このあいだの台風 21号の時と同じ直撃コースとなってしまうような可能性が出てきたのです。
予測そのものは、まだずいぶんと先の日付けのものを含んでいますので、今の時点で正しい進路予想を出すことは難しいと思いますが、しかし漠然と、「またスーパー台風が日本に来るのか…」とは思いました。
ちなみに、この台風 24号は英名では「 Trami 」と書きまして、日本語では「チャーミー」となっています。いくら何でも Trami をチャーミーとは読まないのでは? と思って調べてみましたら、元はベトナム語で、ベトナム語では確かにそのような発音に聞こえるようです。
この台風 24号は現在、日本でいう「猛烈な」という勢力になっていまして、世界基準ではカテゴリー 5のスーパー台風ということになるのですが、アメリカのウェザーチャンネルを見ていましたら、
「モンスター・スーパー台風」
という字幕が下に出ていまして、驚きました。
報道の下に「モンスター・スーパー台風」の字幕
「モンスターがついたか…」と、なぜか感慨を覚えつつも、今後の時代にもっと強大な台風やハリケーンが現れた時には、さらに形容が増えていくのかなとかも思ったり。
それはともかく、この台風 24号が「どこでどう進路を変えようとしているのか」見ますと、何となく興味深い「今の地球の気流」が見えてきます。
地球の気流の変化に翻弄される私たち
台風24号が発生した 9月21日頃の進路では、「さすがにこれが急に曲がって日本に来ることはないだろう」というような進路でしたが、この台風は下のように「ほぼ直角」に曲がって日本にやってくる予測となりました。
台湾の手前で「直角に曲がって」日本に来る台風24号の予想進路
それにしても、「どうしてこんな曲がり方を?」とは思います。
自然現象的に見えない直角、あるいは直角以上の急カーブ。
それで、「地球の大気の流れ」というものを見てみることにしました。
今はネット上で地球全体のジェット気流などを含めた大気の流れの状態を見ることができるのです。 earth というサイトで見ることができます。
そうしましたら、台風24号が「急に曲がった」あたりである日本の西側の気流が、何かすごいことになっていることを知りました。
画像にするとわかりにくいとは思うのですが、下が太平洋地域の全図で、この図で四角で囲んだ部分をアニメーションで示してみます。
2018年9月25日午後の太平洋地域の大気の流れ
下が、上の四角で囲んだ部分の動きです。GIF アニメですので、カクカクする部分がありますが、実際にはスムーズに流れています。
これで少しおわかりでしょうか。
「日本列島の西側で《大気の流れが直角に曲がっている》」
のです。
下で示しますように、ちょっと信じがたい流れの形状となっているのですね。
この大きな気流の「急激なコースの変化」に合わせて、台風 24号も進路を変えるということになるようで、それにより先ほどのような予測が出てきたようです。
なので、台風24号自体は「素直に大気の流れに従っているだけ」ということで、おかしいのは、
「地球の気流の動きそのもの」
ということになってくるようです。
このようなことの理由は、どのようにでも考えられるとは思います。
たとえば、今年の 7月に記事にしました以下のような「大国同士での気象操作戦争」みたいなものが現実に存在する時代でもあります。
しかし何より、「今、地球の気流が根本的におかしなことになってきている」ということとの関係は大きいと思われます。
過去2年ほどの間に、「地球の大気の流れが変化あるいは崩壊している」可能性を示すような記事を何本か記したことがあります。それぞれ以下の記事です。
地球の気流の崩壊についての過去記事
・地球の気流が壊れた : ジェット気流が赤道を通過して北極から南極に進むという異常すぎる事態。このことにより、この先の気象と気温はこれまでに考えていた以上のカオスとなる可能性が極めて濃厚に
・気流の崩壊は続く : 規則正しく続いてきた成層圏の気流のサイクル「準2年周期振動」の規則性が2015年に崩壊したことがアメリカ地球物理学連合の研究で明らかに
・地球の気流がさらに崩壊中 : 北極上空の大気「極渦」が真っ二つに分断して北半球上空を進行中という異常事態が発生。日本への影響は不明
たとえば下の図は、ジェット気流の「ブロッキング」という現象が起きている状態で、スムーズに進むべきジェット気流が、停滞したり、途切れたり、二手にわかれたりと、いろいろなことが起きるために、「その地域で異常な気象が起きる」ことが最近増えているのです。
このブロッキングにより雨量や気温に異常が起きる事例がとても増えています。
これについては、
・地球のジェット気流が崩壊している中で、その大気の循環異常のメカニズムがアメリカの日本人科学者によって突き止められる
という記事で取りあげたことがあります。
これらが、「根本的な部分では」どういう原因によるものなのかは何とも言いようがないですが、今回の台風 24号のような奇妙な進路などを含めて、以前より、さらに気象が荒れやすく、そして荒れる地域が拡大しているとは言えます。
それは、すでに日本を含めた世界各地で現実に起き続けている気象の状態が証明しているとも言えます。
まあ実際には、台風 24号がどういうコースをとるかは数日先まではわからないですので、必ずしも日本にやって来るわけではないでしょうが、その可能性が高まったことは確かなようです。
アメリカ軍の予測のようなコースとなれば、台風 21号と似たような進路となる可能性もあり、無慈悲な台風になる可能性も出てきてしまいました。